RPOの市場規模は600億円超へ|採用アウトソーシングの将来性とは?
こんにちは、ダイレクトソーシングの野溝です。
企業の人事担当者が手がける採用業務のうち、一部または全部を外部に委託する「RPO」の市場規模は、国内・世界ともに急速な伸びを見せています。
採用チャネルの多様化や労働人口の減少によって人事担当者の負担が増加し、コスト削減のためにRPOを導入する企業が増えていることが背景にあると考えられます。
株式会社矢野経済研究所によれば、RPO市場は2021年度には607億円に達すると見込まれており、今後の将来性にも高い期待が寄せられています。
本記事では、RPOの国内・世界における市場規模と、今後の将来性についてご紹介します。
目次
RPO(採用アウトソーシング)とは?
RPOとは、「採用代行」「採用アウトソーシング」を意味する”Recruitment Process Outsourcing”の頭文字を取った言葉です。
企業が外部に委託しても影響がない事務的なルーティンワークなどを代行会社に依頼することを指し、コスト削減や自社の採用力強化につなげる狙いがあります。
近年では求人倍率が1.0倍を超える売り手市場が続いており、これまでの手法では質の高い人材を確保することが難しい時代が到来しています。
さらにWebやSNSの普及による採用チャネルの増加、働き方改革の推進による転職希望者の増加も影響し、人事担当者にかかる負担はこれまでにないほど膨大です。
そこで人事担当者が抱える業務の一部を代行会社に依頼し、採用計画の立案や採用人材の最終判断など、企業にとってより重要なコア業務にリソースを割くことがRPOの目的です。
国内では今後も少子高齢化が進み、労働人口の減少傾向が続くと見込まれているため、RPOを利用する企業は今後も増え続けると予想されています。
参考記事:RPOとは?採用代行が向いている企業と失敗しないための注意点
RPOで委託可能な業務
RPOで委託可能な業務は、求人広告の制作や問い合わせ対応、面接の日程調整など、事務的なルーティンワークが代表的です。
自社の人事担当者ではなくとも対応できるノンコア業務が中心で、工数が多く煩雑な業務の負担を軽減するために活用されることが多くなっています。
ただし、RPOの代行会社は採用に関する専門的な知見を持っていることが多く、時には採用計画の立案や面接官代行、内定後のフォローなどのコア業務を委託するケースも少なくありません。
外部の専門家のアドバイスやコンサルティングを取り入れ、自社の採用力を強化することが目的です。
そのためRPOでは、合否判断や最終的な採用判断を除き、ほぼすべての採用業務を委託できると言えます。
社員の入れ替わりが激しい繁忙期にのみ代行を依頼したり、コア業務を含めた採用業務全体を代行会社に依頼したりと、自社ニーズに合わせて柔軟な使い方ができるのもRPOの強みです。
RPOの費用相場
RPOはそれぞれの代行会社や委託する業務内容、契約内容によっても費用は異なるため、具体的な費用相場をご紹介するのは難しいのが実情です。
大まかな費用感としては、月額固定型の契約で月5万円〜100万円が目安となります。
他にも、選択した業務ごとに料金を支払う従量課金型や、採用が決定したタイミングなどで費用が発生する成果報酬型なども存在します。
また、コア業務を依頼する場合と比べてノンコア業務のみを依頼する場合の方が、費用は抑えられます。
新卒・中途採用よりもパート・アルバイト採用の代行の方が、相場は低くなる傾向です。
なお、RPOの代行会社の多くは、委託する業務内容に合わせて料金を設定しています。そのため事前に自社内で外部委託したい業務内容を明確化しておくと、他社との料金・サービス比較がしやすくなるのでおすすめです。
国内・世界のRPO市場規模
では、RPOは現在どのくらいの市場規模に達しているのでしょうか。
ここでは日本国内、そして世界のRPOの市場規模について、各種データを参照しながらご紹介します。
2021年には600億円を突破する見込み
株式会社矢野経済研究所が2022年3月に発表した調査によれば、採用アウトソーシング市場規模の推移は下記の通りとなっています。
引用:「矢野経済研究所」
2020年のコロナ禍で一時的な落ち込みがあったものの、2016年以降着実に拡大傾向にあることがわかります。
2021年度には607億円の市場規模に達すると見込まれており、採用計画の立案や求める人材の要件定義といったコア業務を委託する動きがあることも指摘されています。
人事・総務アウトソーシング市場は10兆円を超えると予測
なお、RPOを含めた人事・総務関連業務全体のアウトソーシング市場規模は、次の通りです。
引用:「矢野経済研究所」
こちらも株式会社矢野経済研究所による2022年4月のデータで、給与計算や企業向け研修サービス、福利厚生、人材派遣などの領域を含めた市場規模を表しています。
2021年度の市場規模は10兆4,162億円に達すると予測されており、人事・総務領域全体でもアウトソーシング需要は高まり続けていることがうかがえます。
世界規模でも年20.8%のペースで拡大へ
続いて、世界全体のRPO市場規模についてチェックしてみましょう。
米国の市場調査コンサルティング会社であるResearch Nester社が2022年7月に発表した”Global and Southeast Asia Recruitment Process Outsourcing Market”によれば、世界および東南アジアのRPO市場は、2019年には6092.4 million 米ドルに達したと報告されています。
1ドル100円換算で、およそ6,000億円となる計算です。
さらに2020年〜2028年には20.80%の年平均成長率(CAGR)を記録すると見込まれており、2028年末には32059.5 million 米ドル、およそ3兆2,000億円に達すると予測されています。
年間20%以上のペースで市場が拡大することを考慮すれば、将来性に大きな期待が持てる分野と言えるでしょう。
RPO市場の将来性・今後の展望
続いて、国内RPO市場の将来性や今後の展望についても解説していきましょう。
有効求人倍率はコロナ禍を経て上昇傾向
厚生労働省が発表した2022年10月の有効求人倍率(季節調整値)は1.35倍で、前月から0.01ポイント上昇したと報告されています。
2009年度(平成21年度)以降の有効求人倍率を比較した下記のグラフを見ると、コロナ禍で大きく落ち込んだ求人倍率が、2021年度以降回復傾向にあることがわかります。
引用:「厚生労働省”一般職業紹介状況(令和4年10月分)について”」
有効求人倍率の高まりにより人材業界の活性化が見込まれるため、RPO市場は今後拡大していくことも期待できるでしょう。
RPO市場は今後も伸び続ける
近年ではダイレクトリクルーティングや求人検索エンジン、リファラル採用など、従来とは異なるさまざまな採用チャネルが登場・普及し始めています。
こうした採用手法の変化に対して人事担当者のリソースが追いつかない企業を中心に、採用活動を外部にアウトソーシングするケースは増加し続けると予想できます。
日本では今後も少子高齢化が進み、労働人口が減少し続けることが予測されているため、女性・シニア・外国人労働者といった、これまでとは異なるターゲットへのアプローチが必要になる可能性も高いでしょう。
そうした状況では、採用活動により専門的な知見が求められることから、RPOの需要は拡大し続けると考えられます。
参考記事:いま、採用代行(RPO)を検討するべき3つの理由!
RPOを導入するなら早めの検討を
RPOの市場規模は、コロナ禍を除いて着実な拡大傾向にあります。近年の売り手市場や採用チャネルの多様化を受けて、今後もRPOへのニーズは高まり続けることも予想できます。早めの時期からRPOの導入を進めておくことにより、今後登場する新たな採用チャネルへの対応が容易になり、代行会社との連携ノウハウも蓄積され、自社の採用力強化にもつながります。
将来的にRPOの導入を検討している場合には、まずは外部へ委託したい人事業務を洗い出し、自社のニーズに合ったサービスを比較・検討するところから始めてみるのはいかがでしょうか。
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野溝
前職で採用担当・コンテンツディレクターを経験後、株式会社ダイレクトソーシングのWebマーケティング担当に転職。 これまで数多くの採用関連コンテンツに携わり、特にエンジニア、スカウト関連のコンテンツに強みを持つ。
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