CAD人材をダイレクト採用する方法について
目次
はじめに
みなさんはCADを知っていますか?
本記事ではCADとはそもそも何に使われるものなのか、CADを扱える人材を採用するにはどうすれば良いかについて紹介します。
私自身、前職でCADを販売しているメーカーに就職するまでCADがどういうものか知りませんでした。この記事を通して少しでも身近にCADを感じていただけると幸いです。
CADとは
CADとは
CADは「Computer Aided Design(コンピューター支援設計)」の略で、設計図の作成や、モデリングを行うことができるソフトウェアです。主に製造業界や建築業界で利用されています。CADは2DCADと3DCADに分かれている他にも、使用する業界など使用用途によって複数のソフトウェアが市場に出ています。中には1つのソフトに2D、3Dどちらの機能が搭載されているものもあります。過去はドラフター(下記画像参照)で作図しており、そこから2DCAD、3DCADとCAD業界も進化を続けてきました。
参照:Wikipediaより
2DCAD
2DCADはその名の通り、二次元設計する際に使用するものになります。元々は手書きで紙に書いていた図面や設計図をコンピューター上で作成することができます。現在は3DCADへ移行しているものの多くありますが、まだまだ図面ベースで設計を行なっている現場も多くあります。ソフトの操作自体は複雑でないものが多いので、習得自体はそこまで時間はかかりません。ただ、図面を作成する際に専用の記号や表記もあるので、担当する作業によっては別途知識が必要になります。
参照:AutoCAD HPより
3DCAD
2DCADが二次元設計するソフトであれば、3DCADは三次元設計をするためのソフトになります。立体的なモデリングができるので、最終的な形が視覚的にわかりやすく、機能によっては重さや重心点を求めることなども可能です。その分2DCADと比較すると機能が多く、操作が複雑な部分もあるので、操作習得に時間がかかってしまう場合もあります。
参照:3D-CADとは?機械設計の3次元モデリングのデメリットとは?
カーネルとよく使用されるソフトについて
カーネルとは
カーネルと聞いた時にOSのことを思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれませんが、ここで言うカーネルとはCADの心臓部分のことです。CAD機能の大半はカーネルにプログラミングされているため、使用しているカーネルによって機能に差が出ることもあります。カーネルには市販のものと独自のものがあります。CADにはスペックによってハイエンド、ミドルレンジ(ミッドレンジ)、ローエンドと分かれており、使用しているカーネルによって価格帯も大きく変わってきます。独自のカーネルは開発コストがかかる分、自由に機能をカスタマイズできるので高機能なハイエンドCADで使用されることが多いです。
よく使われるCADソフト
ここではよく使われているCADソフト、合わせて使用しているカーネルやミッドレンジについて表にまとめてみました。以下はほんの一部のため、他にも多くのCADが世に出ています。中には無償で使用できるCADもあるので、少し触ってみたいという方はまずは無償版で触ってみるのが良いと思います。
ハイエンドは高速処理などが可能なので車や航空機や、複雑な形状を設計する際に使用されていることが多いです。ただし最近はハイエンドのカーネルを採用して、一部機能は劣るもののある程度のモデリングが可能なミドルレンジも使用される機会が増えています。
CAD名 | 開発元(者) | 2D,3D | カーネル | レンジ | 業界(一例) |
---|---|---|---|---|---|
CATIA | ダッソー・システムズ | 3D | 独自 | ハイエンド | 車、航空機など |
NX | SIEMENS | 3D | Parasolid | ハイエンド | 車、航空機など |
SolidWorks | SolidWorks | 3D | Parasolid | ミドルレンジ | 機械、幅広く製造関係 |
AutoCad | AUTODESK | 2D,3D | 独自 | ミドルレンジ | 建築、幅広く製造関係 |
Fusion360 | AUTODESK | 3D | 機能によって複数カーネル使用 | ローエンド(無料版) | 幅広く製造関係 |
Jw_cad | Jiro Shimizu & Yoshifumi Tanaka | 2D | 独自? | ローエンド | 建築 |
出典:CADの心臓カーネルとは,ハイエンド/ミドルレンジ/ローエンド
CADを使用している業界について
製造業
CADを使用するする主な業界に製造業があります。例えば乗り物や、家電、それらを構成する部品、部品を作るための機械など、それらは一般的にCADで設計されています。一例を挙げると、普段私たちが使用している製品は3DCADで大まかな設計をした後に、詳細に設計をします。その後に別ソフトで作成したモデルに矛盾がないかを確認し、最終的に2DCADで図面を作成します。その図面をもとに試作を作り、問題なければ実際に製造工程に行きます。今回は大きく製造業でまとめましたが、扱うものによって使用するソフトは2DCAD、3DCADともに様々です。
参照:AMD CATIA紹介ページより
建築業
建築業でもCADを使用して設計図を作成します。そもそも建築するのには基本設計図、実施設計図、施工図、構造図、意匠図、設備図など多くの図面が必要になります。それらの作成をするためにCADは欠かせません。元々は図面なので2DCADが多く使われていましたが、最近ではリアルなデータでの確認や、プレゼンテーション向けに3DCADや、建物の情報データであるBIMに対応したCADなどもあります。建築系のCADではAutoCADやVectorWorksなどが使用されます。
出典:建築業界で使われるCADとは?図面の種類についてもご紹介!,AutoCADで間取り図面を書いてみた!作成方法を徹底解説
その他
上記に挙げた業界以外でも幅広くCADは使用されています。例えば土木系系で橋や道路などのインフラ関係の設計などに使われることもあります。他にもジュエリーや服飾関係のCADなど特定の分野に特化した専用のCADもあり、私たちが普段使っている色々なものの設計にCADは関わっています。
実際のスカウトについて
ペルソナを考える
今までCADについて書いてきましたが、CADは色々な業界で使用されており、種類や機能も様々です。なのでCADの操作できる人を採用したい場合にはしっかりとペルソナ設計をした上でターゲットを探していく必要があります。例えば、年齢、どのような業界でCADを扱っていたのか、何年くらい経験しているのか、専門の知識が備わっているか、部署での立ち位置はどこになるか、今後のキャリアが自社とマッチするかなどがあります。また、スカウトする時に合うメディアもそうですが、採用手法についても考える必要があります。例えば求人サイトでCADオペレーターの求人を複数見てみると、未経験者歓迎・事務業務などと記載されているものがあります。こういった求人は派遣で客先常駐することが多く、元々の経験がなくとも本人の意思さえあれば働くことができるものが多いです。特定のスキルなどを求めている場合はダイレクト採用が候補者と繋がりやすいですが、今回の例だとコストに見合わないことが多いです。
求めるスキル
スキルについても募集するポジションで大きく変わってきます。例えば自動車部品を扱う会社での設計者のスキルを考えてみましょう。まずは業界の知識があるかは重要です。知識の粒度については自動車設計の知識なのか、それとももう少し細かくECUやシャシー、モーターなどどの程度の知識があるかを意識するのは大切です。次にCADのスキルについて考えてみますが、どのような設計をするかで2DCADか3DCADかが変わってきます。図面ベースの業務であれば2CADですし、立体モデルの作成であれば3DCADの経験が必要です。使用するソフトも決まっているのであればソフト名を入れるのも良いと思います。また、強度などの検証が必要なので応力解析などの解析経験なども必要です。具体的に何を求めているかは採用担当だと中々キーワードベースでしか話を伺えなかったりすることもあります。改めて現場の方と具体的に求めるスキルやペルソナについては認識を合わせる必要があります。
検索キーワード例
上記でペルソナやスキルについて考えてきましたが、ある程度欲しい人材が固まってきたら実際スカウトする際のキーワードや条件について考えてみましょう。まずは業界、職種、年齢、希望年収、希望勤務地などを設定します。キーワードについてまずはCADで考えてみます。まずは2DCADor3DCADを入れます。先述した通り使用するソフトが決まっていて、すぐにでも扱える人が欲しい場合はソフト名(CATIA,NXなど)を入れましょう。ソフト名であまりヒットしない場合などは、同じカーネルを使用しているソフトは操作が似ていたりするので、同じカーネルを使用する別ソフトの名前を入れてみるのもいいと思います。業界系でキーワードを入れるのであれば、製品名(車、装置、家電)であったり、応力解析、量産、資格などが挙げられます。あとはキーワード自体を英語に言い換えてみたり、複数の言い回しに変えてみるとキーワードが広がります。
まとめ
今回はCAD業界を例に概要であったり、実際のスカウト例などを紹介させていただきました。ここまで読んでいただいてありがとうございます。少しでも業界やスカウトについて知っていただけたら嬉しいです。
しかしここに記載している内容はほんの一部分です。CADを使用して設計を行なっている業界はたくさんあり、求める人材によって適した採用は変わってきます。もしも現在CADを扱う人材でのスカウトで悩んでいらっしゃる方がいれば、ぜひ一度弊社にご相談ください。
45分の気軽な相談会を
開催しています
萩原 彩実
大学卒業後、CAD/CAMを販売する会社に入社。主にCAD/CAMのカスタマーサポート、セミナー講師、コンサルティング、製品化業務を担当。その後、株式会社ダイレクトソーシングにカスタマーサクセスとして入社。メーカー、IT、コンサルティング業界などの採用支援に従事。