新卒採用ノウハウ
2025.09.27

新卒採用が難しい理由とは?外的要因と内的要因、解消策を紹介

「新卒採用は難しい」と感じている企業は多いのではないでしょうか。その背景として、新卒採用スケジュールの早期化や学生の価値観の変化、自社の知名度やリソースの不足などさまざまな要因が入り混じり、複雑化している点が挙げられます。

そこで本記事では、新卒採用が難しいとされる理由を外的要因と内的要因に整理した上で、新卒採用の「難しい」を解消するための具体策を紹介します。

新卒採用が難しい理由:外的要因

新卒採用は難しい

新卒採用が難しい理由について、「外的要因」によるものを4つ紹介します。

1. 新卒採用市場の競争が激化しているため

少子高齢化や労働者人口の減少、学生優位の売り手市場の継続など、さまざまな背景により新卒採用市場における企業間の人材獲得競争が激化しています。

たとえ大手企業であっても決して楽に学生から応募が集まるわけではなく、優秀な学生をめぐって多くの企業が採用に注力しています。こうしたなか、大手企業に比べると、どうしても知名度や予算が限られる中小企業は優秀な学生を確保することが一層難しくなっているのが実状です。

2. 新卒採用スケジュールが早期化しているため

新卒採用のスケジュールは早期化傾向にあり、政府が定める就活ルールに基づけば、本来の「広報解禁日」は「新卒予定者が大学3年生の3月1日」です。ただ、就活ルールは形骸化しており、定められた解禁日よりも早く新卒採用活動を開始する企業が多く存在します。

これは、採用競合よりも先に優秀な学生との接点を持って囲い込むことで、採用活動をより優位に進めたいという企業側の思惑です。一方で、「早く内定を得たい」と考える学生も少なくないため、結果として採用活動の早期化が進行しているのです。

3. 学生の価値観が変化しているため

学生のキャリア観や就職先に求める条件などが変化しています。従来のように安定した収入や有名企業への就職を重視する傾向から、自己実現やワークライフバランスを重視する学生が増えています。

また、企業の社会的責任(CSR)や持続可能な成長を求める声も高まり、企業のブランドイメージや価値観の共有が採用活動において重要視されるようになりました。これらの変化に企業が対応できていない場合、採用の難易度が上がる要因となるのです。

4. 新卒採用に関するルール変更が相次ぐため

近年はとくに新卒採用に関するルールの変更が相次いでいます。例えば、21年卒から経団連に代わり就活ルールを主導することになった政府は、26年卒以降は専門性の高い人材の採用選考活動を前倒しできる新ルールを発表しています。

また、インターンシップに関する定義も変更され、従来「インターンシップ」と呼ばれていた短期プログラムや体験型プログラムが公式にはインターンシップとして認められなくなりました。

例えば、実際の職場での就業体験を少なくとも5日間行われなければ、インターンシップと呼ぶことはできません。これを受けて、多くの企業がインターンシップと称していた企画の名称変更や、内容の再調整を実施しています。

その一方で、政府は「採用直結型インターンシップ」を認め、25卒から実質的にインターンシップと本選考を一連の採用プロセスとしてつなげられるようになりました。

こうした相次ぐルール変更に翻弄され、ルール内容の理解に苦しんだり、どう対応すべきかを迷ったりした結果、「新卒採用は難しい」と感じてしまう企業も少なくないのです。

新卒採用が難しい理由:内的要因

内適要因

新卒採用が難しい理由について、「内的要因」によるものを6つ紹介します。

1. 新卒採用のノウハウが不足しているため

新卒採用には特有のプロセスやアプローチが求められますが、経験やノウハウが不足している企業では、効果的な採用戦略を立てることが難しくなります。

とりわけ中小企業やベンチャー企業、スタートアップ企業では、新卒採用のノウハウが乏しいことも多く、ターゲット学生へのリーチや適切な選考プロセスの構築に苦労しがちです。その結果、母集団形成や必要とする人材の選考が上手くいかず、新卒採用が難航するケースが散見されます。

2. 新卒採用にかけられる予算が限られるため

新卒採用には、広告費、合同説明会などへの参加費、選考の運営費など、さまざまな費用が発生します。大手企業のように豊富な予算を準備できるのであればブランド力を高め、広範囲にわたる採用活動を展開できますが、必要な費用を確保することが難しい企業も少なくありません。

限られた予算では思うような採用活動を展開できず、学生へのアピールが不足し、結果として優秀な人材の確保が困難になってしまうのが実状です。

3. 新卒採用に充てられる人員が不足しているため

新卒採用活動には、広報から選考、内定者フォローまで多くの業務が必要です。ただ、採用に充てられる人員が不足している場合、それら全てをスムーズに遂行するのは容易ではありません。

特にリソースの限られた企業では、採用担当者が他の業務と兼任している場合も多く、採用活動に十分な時間や労力を割けないケースも見受けられます。その結果、採用活動を展開できず、優秀な人材を確保するのが困難となります。

4. 学生への知名度が不足しているため

知名度が高い企業は、自然と学生からの注目を集めやすく、新卒採用市場において有利な立場に立てます。一方で、学生への知名度が低い企業は、そもそもエントリー先の候補として挙がりづらく、採用活動に苦戦しがちです。

特に、地方に拠点を置く企業や業界外での認知度が低い企業は、学生に魅力を伝えるための戦略や工夫が不可欠ですが、十分な施策が取れない場合は採用活動が難航する要因となります。

5. 理想とする人材像や採用要件が曖昧なため

新卒採用では、企業が求める人材像や採用要件が曖昧な場合、採用プロセス全体に混乱が生じやすくなります。「どのようなスキルや資質を求めるのか」が定まらないまま採用活動を進めると、選考基準のブレや面接官の迷いが生じてしまい、最終的に採用する人材が企業にマッチしないケースが多発します。

また、選考基準が曖昧だと学生側も何を基準に評価されているか分かりにくく、ミスマッチが生まれやすくなります。このような状態では、企業が求める成果につながりづらく「新卒採用は難しい」と感じてしまうのです。

6. 面接官のスキルが不足しているため

面接は採用の成否を左右する重要なプロセスですが、面接官のスキル不足が原因で優秀な人材を見逃してしまうことがあります。

経験の浅い面接官や、適切な面接トレーニングを受けていない面接官は、候補者の本質を見極める質問ができず、主観や感覚的な判断に頼る場面が多くなります。その結果、企業にマッチした学生を採用できないケースが増え、採用活動全体の効率が低下するため、新卒採用が一層難しくなってしまいます。

新卒採用の「難しい」を解消するための具体策

解消 具体策

新卒採用の「難しい」を解消するための具体策を、7つ紹介します。

1. 自社の採用課題を整理する

新卒採用の成功には、自社が直面する具体的な採用課題の整理が必要です。これにより、どの部分に問題があるのかを正確に把握し、改善策を導入しやすくなります。

例えば、「十分な応募者数を集められない」「選考プロセスに時間がかかりすぎる」「採用後にミスマッチが生じやすい」といった問題が挙げられます。それぞれの課題に対して有効な解決策を導入するためには、まずは過去の実績データやフィードバックをもとに現状を分析し、具体的な改善ポイントを洗い出す必要があります。

また、関係部署とのコミュニケーションも欠かせません。課題が整理されることで、採用プロセス全体がスムーズに進行しやすくなり、無駄のない採用活動が実現します。

こちらの記事では、新卒採用で抱えがちな課題を整理した上で、有効な対策まで紹介しますので、ぜひあわせてご覧ください。
新卒採用の課題|重要課題6つと有効な対策を紹介

2. 理想とする人材像を明確にする

新卒採用を成功させるためには、理想とする人材像を明確にすることが欠かせません。企業が求めるスキルや性格、文化的な適合性を言語化して定義することで、自社がターゲットとすべき人材像がはっきりと浮かび上がります。

まずは、あらためて「そもそも自社には、どのような人材が必要なのか」を考えてみましょう。その上で、次で紹介する「採用要件」としてより具体的に落とし込みます。

3. 採用要件を設定して共有する

採用要件とは、採用を行う際に自社が人材に求める各基準を定義したものです。例えば、コミュニケーション能力やマネジメント能力の高さ、特定の資格・スキルの有無、積極性や協調性といった志向性などが挙げられます。

採用要件を具体的に設定して全社に共有することは、求める人材を採用するため、採用活動を円滑に進めるために重要なステップです。採用要件が不明確なままでは、面接官ごとに基準が異なり、評価の一貫性が損なわれるリスクがあります。

必要なスキルや経験、学歴、資格などの基準を具体的に定め、それを採用担当者だけでなく、面接官や関連部署にも周知することが重要です。これにより、全員が同じ基準で候補者を評価でき、結果として選考プロセスがスムーズに進行します。

前項目の「理想とする人材像の明確化」を行った上で「採用要件の設定・共有」を行うようにしましょう。

採用要件の設定方法について、より詳しく知りたい場合はこちらの記事もご覧ください。
採用要件とは?作り方や注意点、具体例、フォーマットを紹介 | 株式会社ダイレクトソーシング

4. オンライン採用を導入する

昨今、採用活動のデジタル化が進んでおり、とくにコロナ禍を経てオンライン採用は一気に普及しました。

オンライン説明会、web面接、エントリーシートや履歴書のデータ提出など、オンラインツールを活用することで効率および利便性がアップし、学生との接点や応募者数の増加を期待できます。

とくに地方に住む学生や海外の留学生に対しても、物理的な制約を取り除くことができ、より広範囲の人材にアプローチすることが利点です。

さらにオンライン採用は、コスト削減や時間短縮にもつながり、リソース面での課題解消も期待できます。オンライン採用の導入は、これからの採用活動において欠かせない要素となるでしょう。

5. オープンカンパニーやインターンシップを導入する

学生との接点を、より多く・早くもつために、オープンカンパニーやインターンシップの導入は効果的です。

オープンカンパニーは、学生に企業の内部を紹介したり、業務を体験してもらったりすることで、自社の事業や業務、雰囲気を直接感じてもらう機会を提供します。大学が行うオープンキャンパスの企業版と捉えると理解しやすいでしょう。これにより、自社への関心アップはもちろん、学生の理解が深まることで採用後のミスマッチを防ぐ効果があります。

一方のインターンシップは、より長期的に学生と関わり、実際の業務に携わってもらうことで、企業との相性を確認する手段です。先述したように、25卒以降は「採用直結型インターンシップ」が認められるようになったため、注目されています。

いずれも説明会よりも深い関わりを持つため、学生の企業理解を高めつつ採用のミスマッチを減少させる効果があります。

6. 第二新卒者や既卒者の採用を検討する

新卒採用が難しいと感じる場合、第二新卒者や既卒者の採用を検討するのも有効です。

第二新卒者は一般的に、入社後1〜3年程度の社会人経験がありながら、転職を考える若手層です。このため、社会人としての基本的なマナーや業務遂行能力を備えており、即戦力として企業に貢献できることが期待されます。

既卒者には大学卒業後に就職せずアルバイトやフリーランスで経験を積んでいる人もいますし、社会人経験がない場合もあります。こうした既卒者は新卒同様に育成を前提とした採用となりますが、自己分析をしっかり行い、自分に合ったキャリアを模索しているケースも多く、企業とのミスマッチが起こりにくい側面もあります。

このように、第二新卒者や既卒者は新卒市場とは異なるターゲット層であり、柔軟な採用戦略のひとつとして捉えることで、より幅広い人材の確保が可能になります。特に新卒採用市場の競争が激化している昨今においては、有効な採用手段といえるでしょう。

7. 面接官向けの研修を行う

面接官のスキル向上は、採用活動の成功に直結する重要な要素です。面接は、候補者の適性や能力を判断する場であり、面接官の質問力や評価力が企業に合った人材を見つけるカギとなります。

そこで、面接官向けの研修を実施し、効果的な質問方法や評価基準の統一を学ぶことが求められます。例えば、学生の本音を引き出す質問技術や、適性を見極めるための非言語コミュニケーションの読み取り方などを研修することで、面接の精度が高まります。

また、面接は候補者を見極める場であると同時に、企業が見極められる場でもあります。学生優位の売り手市場である昨今は、その傾向がとくに色濃くなっています。そのため「控えるべき態度や言動」や「志望度の向上につながる対応」について学ぶことも欠かせません。

まとめ

新卒採用が難しい理由を、外的要因と内的要因に整理して紹介しました。

外的要因としては、「新卒採用市場の競争が激化」「新卒採用スケジュールの早期化」「学生の価値観の変化」「新卒採用に関するルール変更」が挙げられます。

一方の内的要因は、「新卒採用のノウハウ不足」「予算不足」「知名度不足」「理想とする人材像や採用要件の不明確さ」「面接官のスキル不足」です。

その上で、本文では新卒採用の「難しい」を解消するための具体策を7つ紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

また、新卒採用の競争が激化するなか有効な手段として「ダイレクトリクルーティング」が注目されているのはご存知でしょうか。自社が良いと思った人材に対して直接本人にアプローチをかけられるため、「待ちの採用」では応募が集まりにくい今の採用市場において特に注目されています。

弊社はダイレクトリクルーティング支援企業として、過去60万件・全40媒体以上のソーシングデータを用いて、自社が求める人材の採用を最短ルートで成功に導くサポートを行っています。

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竹村 朋晃

竹村 朋晃

著者プロフィール 竹村 朋晃(Tomoaki Takemura)
株式会社ダイレクトソーシング 代表取締役CEO
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2005年に野村総合研究所に入社。大手損害保険会社のシステム設計・開発に従事し、エンジニアとしてのキャリアをスタート。 2015年、ダイレクトソーシングの可能性に着目し、株式会社ダイレクトソーシングを創業。データドリブンな採用を軸に、候補者データの構造化、スカウト改善、タレントプール構築などを通じて、累計500社以上の採用支援を行う。 2017年よりLinkedIn公式パートナーとして、日本企業へのLinkedIn活用を支援。2025年には「LinkedIn Student Career Week」を主催し、5,000名超の学生と40社超の企業をマッチングさせるなど、イベントプロデュースでも実績多数。 「Stand Alone Complex Society(個が独立し共創する社会)」の実現を掲げ、採用における価値創造を追求している。 趣味はウェイクボードとテニス。お台場在住。技術と営業を横断する“ハイブリッド人材”として、採用の進化に挑み続けている。

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