新卒採用ノウハウ
2025.06.26

【企業側】インターンシップのやり方|計画・募集・実施の手順を解説

「インターンシップのやり方が分からない」と悩む企業は多いのではないでしょうか。
採用競争が激化の一途をたどる昨今において、学生と早期に接点を持ち、志望度を高められるインターンシップの有効性はますます注目されています。

そこで本記事では、インターンシップの定義やそもそもの目的を明示した上で、インターンシップのやり方を計画・募集・実施の3編に分けて、ステップごとに分かりやすく解説します。

注意すべきインターンシップの定義

インターンシップの定義

「文部科学省・厚生労働省・経済産業省」の三省合意(2023年)により、インターンシップの定義が見直されました。

この改定により、従来「インターンシップ」と呼ばれていた様々な取り組みが下記4タイプに分類されており、それぞれの特徴や目的が明確化しています。

  • タイプ1:オープン・カンパニー
    主に企業理解を目的としたプログラム。
    学生が企業の業務内容や職場環境を知るための説明会や短期プログラムが該当します。
  • タイプ2:キャリア教育
    学生のキャリア観や就業意識を高めるための教育プログラム。
    就活アドバイスセミナーや産学協働プログラムなどが挙げられます。
  • タイプ3:汎用的能力・専門活用型インターンシップ
    汎用的能力活用型は5日間以上、専門活用型は2週間以上で実施するプログラム。
    実施期間の半分以上は、実際の就業体験を行います。
    従来のインターンシップのイメージに最も近いといえるでしょう。
  • タイプ4:高度専門型インターンシップ
    修士や博士課程を主な対象として、長期(2か月以上)で実施するプログラム。
    ただし、政府の定義においても「試行中」とされています。

特に注意すべきは、「インターンシップと呼べるのは、タイプ3とタイプ4のみ」という点です。
インターンシップと称するためには「少なくとも5日間以上の実施期間」が必要であり、尚且つ「実施期間の半分以上は、職場での就業体験」でなければなりません。

これにより、多くの企業が実施していた「1dayインターンシップ」は成り立たなくなっており、タイプ1の「オープン・カンパニー」などに名称を変更する必要があります。

企業がインターンシップを実施する目的

企業がインターンシップを実施する主な目的を、3つ紹介します。

早い時期に学生との接点をもつため

インターンシップは、就職活動が本格化する前に学生との接点をもつ重要な手段です。
採用競争が激化する昨今では、早い段階で学生にアプローチし、自社を知ってもらう「早期接点」の確保が重視されています。

インターンシップにより、学生が企業について理解を深める期間を長く持てるほか、他社との差別化も図りやすくなります。

また、早い時期から学生に関心をもってもらえば、自社を優先的に志望してくれる可能性も高まります。
インターンシップは、こうした早期の関係構築を可能にし、採用活動の土台を築く重要な役割を果たします。

自社が求める人材を見つけるため

インターンシップは、学生が実際の業務を体験する様子を観察し、自社に適した人材を見極める場としても有効です。
履歴書や面接だけでは見えにくい学生の能力や特性、仕事への意欲、業務に対する適性などを、実際の業務を通じて把握できます。

ミスマッチを防ぐため

採用後に起こりがちな「入社してみたら思っていた仕事と違う」というミスマッチは、企業にも学生にも大きな負担となります。

インターンシップはこのミスマッチを未然に防ぐ手段として有効であり、学生が実際に業務を体験することで、実際の業務内容や職場環境、企業文化をより深く理解する機会を提供します。
結果的にインターンシップは入社後の定着率を高め、長期的に見て企業の人材戦略を安定させる手助けとなるのです。

インターンシップのやり方1:計画編

インターンシップのやり方

インターンシップを成功させるためには、初期段階の計画が非常に重要です。
計画段階では、以下の手順に従って進めることで、効果的なインターンシップを実現できます。

1.目的と目標の設定

インターンシップを計画する最初のステップとして、目的と数値目標を明確にします。
目的は、「優秀な人材を採用候補として確保する」「学生に自社の企業文化を理解してもらう」「業界特有のマイナスイメージを払しょくする」など、インターンシップを通じて達成したい方向性を設定します。

あわせて、具体的な数値目標を立てましょう。

例えば「応募者数を〇名以上集める」「プログラム参加者数を〇名にする」といった明確な目標を設定することで、成果を測定および達成しやすくなります。
数値目標は現実的で達成可能な範囲で設定し、プログラム設計や広報活動の指針として活用します。

2.実施時期と期間の決定

目的と目標が決まったら、インターンシップを実施する適切な時期と期間を決定します。
一般的に、大学生向けのインターンシップは夏休みや春休みの期間が人気です。
自社がターゲットとする学生の都合に合わせた日程を検討しましょう。

また、プログラムの期間についても短期(5日間)から長期(1か月間以上)までさまざまな選択肢があります。

ただ先述した通り、新定義においてインターンシップと称するためには、「少なくとも5日間以上の実施期間」が必要であり、尚且つ「実施期間の半分以上は、職場での就業体験」でならない点には留意しましょう。

もし設定した目的が1日〜2日程のプログラムで達成できそうな場合には、新定義のタイプ1にあたる「オープン・カンパニー」として開催するのも手です。

3.受入れ部署と担当者の選定

次に、インターンシップを受け入れる部署と担当者を選定します。

まず自社のどの部署がインターンシップを通じて効果的な学生との接点を持つべきかを検討します。
例えば、営業職をアピールしたい場合は営業部署、ITスキルを求めるならエンジニアリング部署が候補になります。

また、インターンシップ時に学生へ指導・アドバイスを行う担当者も重要です。
担当者の印象が自社の印象とその後の志望度を大きく左右します。

良い印象を与えるのはもちろん、的確なフィードバックを行えるスキルを持つ人物を選びましょう。

この段階で、関係部署および担当者にプログラムの目的や期待する役割を共有し、協力体制を整えておくことが求められます。

4.プログラム内容の企画

学生が参加したくなる魅力的なプログラム内容を企画しましょう。
インターンシップで達成したい成果を基に、学生が学ぶべき内容や体験すべき業務をリストアップします。

例えば、「職場での就業体験」や「課題解決型のプロジェクト」をメインとしつつ、「業界理解を深めるための講義」「社員との座談会や懇親会」などをあわせて実施すると、学生にとってより魅力的なプログラムになるでしょう。

また、プログラム全体の流れを整理し、時間配分や進行スケジュールを作成します。
この際、学生にとって過度な負担にならないよう配慮しながら、バランスの取れた内容に仕上げることが大切です。

インターンシップのやり方2:募集編

インターンシップの計画が整ったら、次は参加者を募集する段階に進みます。
ここでは、学生に効果的にアプローチし、適切な参加者を選ぶためのステップを解説します。

1.募集チャネルの選定

まずは、インターンシップの募集を行うためのチャネルを選定します。
具体的には下記の通りです。

  • 大学のキャリアセンターに募集情報を提供
    地域や特定の大学にターゲットを絞りやすい。
  • 求人サイトの利用
    各プラットフォームを活用して、広く募集を告知。
  • ターゲット層に特化したメディアの活用
    技術系学生向けや特定分野の専門サイトに掲載。
  • 自社ホームページの募集ページ設置
    応募フォームを設け、企業情報と合わせて魅力を伝える。
  • SNSを活用した告知
    XやInstagramなどによるターゲット層に合わせた発信。
  • リファラル募集
    社員から学生を紹介してもらう仕組み。
  • 合同説明会やイベントへの出展
    インターンシップ情報を直接学生に伝える場として活用。
  • メールマーケティングやDM送付
    大学や就職情報サイトを通じたメールリストで直接アプローチ。
  • 学内イベントの開催
    学内セミナーやワークショップを開催して告知。

募集チャネルをひとつに絞る必要はありません。
自社がターゲットとする学生層や予算、工数を考慮しながら、適切に組み合わせましょう。

2.募集要項の作成

学生にインターンシップの魅力を伝えるためには、具体的で分かりやすい募集要項を作成することが必要です。
インターンシップの目的やプログラム内容を詳細に記載し、実施期間や場所、対象となる学生像などの基本情報も明確に伝えます。

さらに、応募方法や締切を明記するとともに、交通費の支給や修了証の発行といった参加特典を盛り込むことで、学生の興味を引きやすくなります。
視覚的なデザインや表現も工夫し、企業の個性を感じられる要項に仕上げると、応募をより集めやすくなるでしょう。

3.インターンシップへのエントリー受付

募集開始後は、学生が応募しやすい受付体制を整えます。
求人サイトに専用フォームを設置したり、自社のホームページやSNSを活用したりすることで、多様な応募窓口を用意できます。

エントリーフォームの入力項目は必要最低限に抑えることで、応募のハードルを下げましょう。
動作確認を徹底し、応募後には確認メールを自動送信する仕組みを導入することで、応募者に安心感を与えられます。

4.インターンシップ応募者の選考

エントリーが集まったら、選考を開始します。
応募書類を確認して、候補者の適性を見極めます。

必要に応じてオンライン面接や適性テストを行い、参加者を選定しましょう。

選考基準を明示して透明性を確保すると、自社の印象が高まります。
公平かつ迅速な選考プロセスは、学生の信頼を得る鍵です。

5.インターンシップ参加者への連絡と事前ガイダンス

選考が終わったら、合否の連絡を速やかに行います。
合格者には、インターンシップの日程や実施場所、必要な持ち物、服装について詳しい案内を送ります。
事前課題や準備が必要な場合は、その詳細も明確に伝えます。

学生の立場に立ち、「どういった情報があれば不安なくインターンシップに臨めるか」という視点で案内を考えると効果的です。

さらに、オンラインや対面形式で事前ガイダンスを行えば、より安心してプログラムに参加できます。
インターンシップ前の対応においても自社の印象が左右されるため、丁寧な対応を心がけることは欠かせません。

インターンシップのやり方3:実施編

募集と選考の結果、インターンシップ参加者が決定したら、いよいよ本番です。
ここでは、実施時における具体的な手順を解説します。

1.オリエンテーションの実施

インターンシップの初日は、オリエンテーションを行い、参加者がプログラムの全体像を理解できるようにします。
企業概要や事業内容を紹介し、会社のビジョンや価値観を伝えることで、参加者のモチベーションを高めます。

その後、インターンシップの目的、スケジュール、ルールを説明し、期待される役割を明確にします。
加えて、職場の設備案内やチームメンバーとの自己紹介を行い、参加者が安心してプログラムに取り組める雰囲気を作りましょう。

2.業務体験や課題解決プロジェクトの開始

オリエンテーション後は、いよいよ就業体験や課題解決プロジェクトを開始します。
具体的な業務を担当させる場合は、最初に簡単な作業から始め、段階的に難易度を上げることでスムーズに進行できます。

課題解決型プロジェクトの場合は、目的や背景、期待される成果を説明し、進行方法を共有します。

また、定期的なチェックポイントを設け、参加者が進捗状況を報告できる機会を与えると、困難な場面でも適切なサポートを提供できます。

3.成果発表会の開催

インターンシップの終盤には、成果発表会を実施します。
参加者がプログラムを通じて得た知識や成果を共有する場です。

各参加者には就業体験やプロジェクトを通じて学んだことを発表してもらい、担当者や他の社員から質問等を受ける機会を作ります。

こうした発表会を通じて、参加者はプレゼンテーションスキルや達成感を得ることができ、企業側も学生の能力や意欲を深く理解できるのです。

4.終了時の評価とフィードバック

インターンシップ終了時には、参加者への評価とフィードバックを行います。
評価では、業務やプロジェクトへの取り組み姿勢、成果、チームワークの貢献度を具体的に伝えます。

フィードバックでは、良かった点と今後の課題をバランスよく伝えることが重要です。
褒めるだけでなく的確なアドバイスを行うことで、「自らを見ていてくれた信頼感」や「社会人としての尊敬や憧れ」につながり、志望度も向上します。

また、参加者からもプログラムの感想や改善案をヒアリングし、今後のインターンシップ運営に役立てます。
終了後には、修了証の授与などを行い参加者の努力を労うと、より良い雰囲気でインターンシップを終えられるでしょう。

まとめ

インターンシップは政府によって新たな定義が示されており、インターンシップと称するためには「実施期間は5日間以上、尚且つその半分以上は職場での就業体験」でなければなりません。
条件を満たせない場合は、あわせて定義される「オープン・カンパニー」に名称を変更するといった対応が求められます。

本記事では、インターンシップのやり方を「計画編・募集編・実施編」の3編構成で紹介しました。
インターンシップの目的・目標の設定から終了時のフィードバックまでを、3編に分けて手順ごとに解説していますので、ぜひ参考にしてください。

また、弊社はダイレクトリクルーティング支援企業として、過去60万件・全40媒体以上のソーシングデータを用いて、自社が求める人材の採用を最短ルートで成功に導くサポートを行っています。
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竹村 朋晃

竹村 朋晃

著者プロフィール 竹村 朋晃(Tomoaki Takemura)
株式会社ダイレクトソーシング 代表取締役CEO
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2005年に野村総合研究所に入社。大手損害保険会社のシステム設計・開発に従事し、エンジニアとしてのキャリアをスタート。 2015年、ダイレクトソーシングの可能性に着目し、株式会社ダイレクトソーシングを創業。データドリブンな採用を軸に、候補者データの構造化、スカウト改善、タレントプール構築などを通じて、累計500社以上の採用支援を行う。 2017年よりLinkedIn公式パートナーとして、日本企業へのLinkedIn活用を支援。2025年には「LinkedIn Student Career Week」を主催し、5,000名超の学生と40社超の企業をマッチングさせるなど、イベントプロデュースでも実績多数。 「Stand Alone Complex Society(個が独立し共創する社会)」の実現を掲げ、採用における価値創造を追求している。 趣味はウェイクボードとテニス。お台場在住。技術と営業を横断する“ハイブリッド人材”として、採用の進化に挑み続けている。