タレントプールとは?-メリットや活用するポイントについて紹介-
「攻めの採用」とも呼ばれているダイレクトリクルーティング。
実践している企業も徐々に増えていく一方で、こんな言葉もよくお聞きします。
「費用と工数の割に採用まで至らない」「優秀な人材が見つからない」「スカウトを打ち切ってしまい配信できる候補者がいなくなった」
そんな悩みを解決する一つの手法が「タレントプール」です。
この記事ではダイレクトリクルーティング専門企業の立場から、タレントプールの概要から活用した場合の例について記載します。
そもそもダイレクトリクルーティングについてよくわからない、という方は下記参考記事をご覧ください!
参考記事:「スカウト型採用とは?メリット・デメリットと手順、重要ポイントを紹介」
目次
タレントプールとは
タレントプールとは「自社の採用ターゲットとなる人材の情報を蓄積するデータベース」です。
採用活動において過去にアプローチした人材に再接触するための手法です。
参考記事:「タレントプールとは?実際の構築方法や事例を解説」
タレントプールが注目されている背景
近年、タレントプールが注目される理由として以下のポイントが挙げられます。
人材獲得競争の激化
総務省の調査では、15歳から64歳の生産年齢人口が2017年の7,596万人(総人口に占める割合は60.0%)から2040年には5,978万人(53.9%)まで減少することが推計されており、労働力不足は今後ますます深刻化すると考えられます。企業は限られた労働人口の中で採用してかなければならないため、今後も継続して人材不足の状態が続いていくものと思います。
出典元『総務省』第1部 特集 データ主導経済と社会変革
ハイスキル人材の需要増大
転職市場ではハイスキル人材と言われる人材層があります。業界や職種によって定義は異なりますが、いわゆるひとつまたは複数の業界・職種で豊富な経験を持ち、第一線で活躍する人材のことを指します。例えば、昨今ではIT技術の進歩は凄まじく、それに伴いAI技術者やIoTにまつわるスキル等、レベルの高い人材を求める企業が増えてきています。しかし、下のグラフに示すように、IT人材の需要と供給が釣り合っておらず、慢性的な人材不足であることがわかります。このような状況でITスキルを有する人材をすぐに採用することは難しいため、いつでも採用できるようなコネクションを持っておく必要があります。
出典元:経済産業省 商務情報政策局 情報処理振興課
働き方の多様化
日本政府が打ち出している働き方改革に基づき、働き方の多様化が進んでいます。具体的には副業・業務委託、フリーランスなど、企業に属さず自身のスキルを活かした働き方が注目を集めています。このような人材は自分自身のやりたいことや、タイミングに応じて仕事を選択するため、いつでもアプローチできるような仕組みを整えておくことが重要です。
出典元:株式会社第一生命研究所 急増する「副業者数」の分析
タレントプールのメリット
タレントプールを活用するメリットとしては以下のポイントが挙げられます。
優秀人材へ再アプローチ
タレントプールを構築しておくことで、優秀人材への再アプローチを簡単に実施することができます。また、再アプローチの際にはターゲットに訴求できるような文面が望ましく、候補者に対してタグ付けやコメントが残せるようなタレントプールの仕組みにしておくと良いでしょう。
ミスマッチの削減
タレントプールを活用して、再アプローチを継続的に実施することで、自社の情報を全面にお伝えすることができます。候補者は配信された情報を閲覧した上で、納得感を持って反応してもらえる可能性が高いため、ミスマッチの削減に繋がります。
採用工数削減
これまでの採用活動を通してストックされてきたタレントプールを活用することで、効率良くアプローチすることができます。ある程度採用活動を続けてきて、母集団が減ってきたポジションに対しては有効なアプローチとなります。また、ターゲットが似ている新規ポジションの募集を開始した場合には、過去のタレントプールから配信することで、効率的に採用活動を進めることができます。
採用コストの削減
採用が中々決定しないポジションに対しては、広告を打ち出したり、新しくメディアを追加したり等、コストをかけるケースが増えてきます。しかし、タレントプールを用意しておけば、あらかじめ採用候補になっている人材のなかからアプローチできるため、コスト削減に繋がります。
どんな人がタレントプールになるのか?
タレントプールに明確な定義はありません。採用の可能性がある全ての候補者が対象となります。例えば、ダイレクトリクルーティングの手法に絞って考えてみても、返信があった方やカジュアル面談した候補者だけでなく、未反応だった層もスカウト対象に入れておくと良いでしょう。これは、未反応だった候補者が返信したくなる内容ではなかったり、転職検討タイミングではなかった可能性があるためです。
出典元:採用市場研究所 「未反応層」に複数回スカウト送信する「ナーチャリングスカウト」の可能性
タレントプールを活用した場合の具体的な例
ここからは具体的にダイレクトリクルーティングにおけるタレントプールがない場合/ある場合の具体例を考えてみましょう。
仮設定として、ダイレクトリクルーティングにおいて下記に示すような運用数値の企業で考えます。
- 新規候補者に対して年間1200通のスカウト配信
- 新規候補者からの返信率:10%
- 再アプローチした候補者からの返信率:5%
この場合、年間で1200通のスカウト配信をしているため、新規候補者からは120通(1200通×10%)の返信が得られ、返信がもらえなかったスカウト通数は1080通(1200通-120通)となります。
タレントプールがない場合はこの数値を毎年繰り返すことになります。
タレントプールがある場合は、返信が貰えなかった1080人の候補者に対して再アプローチが可能です。再アプローチした人からの返信率が5%とすると、返信数の期待値は54通(1080通×5%)となります。そのため、1年後の返信数の期待値は174通(120通+54通)となります。この54人はプールから引っ張ってくるので新規候補者を探す程、工数はかかりません。また、このプールからの人数は下図に示すように、採用活動を続ければ続ける程ストックされていくため、徐々にタレントプールからの応募者が増えてきます。ビジネスにもフロー型/ストック型とありますが、採用担当者が夢見るフロー型からストック型の採用手法にシフトすることができます。
まとめ
タレントプールとは「自社の採用ターゲットとなる人材の情報を蓄積するデータベース」です。採用活動において過去にアプローチした人材に再接触するための手法です。特にダイレクトリクルーティングでは、ある程度スカウト配信をしてしまい、ターゲットとなる人材がメディア上で見つからなくなることがよくあると思います。その場合はターゲットとなる人材に対しての継続的なアプローチが有効的であるため、タレントプールを活用して採用成功を実現しましょう。
また、タレントプールは活動量に比例して人材情報がデータベースに蓄積されていくため、早めに始めれば始めるほど効果的です。一方で、効果を実感するためには時間がかかるため、中長期的な観点で継続的に実施することが大切です。
タレントプールに関して「どうやって構築したら良いかわからない」「タレントプールがうまく活用できない」「活用しているもののうまく成果が出ない」といった方は、ぜひ以下の「問い合わせフォーム:無料」から気軽にお問い合わせください。
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大戸井 慶人
青山学院大学大学院卒業後、株式会社リコーにエレキ設計者として入社。主に産業機器の電気回路設計・開発を担当。その後、株式会社ダイレクトソーシングにカスタマーサクセスとして参加。前職で培ったエンジニア知見を武器に、クライアントのダイレクト採用支援に従事。
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