採用ノウハウ
2023.11.13

採用分析とは?用いるデータ一覧や重要ポイントを紹介

採用分析とは、自社の各採用プロセスを評価し、より効果的かつ効率的な採用を行えるよう改善するための手法です。

採用市場における人材獲得競争が激しさを増すなか、採用担当者の経験則や感覚のみで十分な成果をあげることは容易ではありません。
そのため、多くの企業が自社の採用活動を顧みて分析を行い、より効率的かつ効果的な採用を実現しようと試みています。

ただ一方で、「採用分析といっても何をすれば良いか分からない」「具体的にどのようなデータが必要なのか分からない」といった悩みを抱える方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では採用分析について、用いるデータ一覧、3つの基本原則、よくある課題別の具体的な手法、重要ポイントを紹介します。

採用分析とは

採用分析とは、自社の各採用プロセスを評価し、より効果的かつ効率的な採用を行えるよう改善するための手法です。

より具体的には、母集団形成から入社にいたるまでの各プロセスにおいて、人数・コスト・期間や時間等に関するデータを収集・分析し、費用対効果の向上や内定辞退者の低減などに活かします。

採用分析を行うことで、「採用市場における競争力の向上」「採用担当者の負担軽減」「求める人材の獲得による組織強化」につながります。

採用分析で用いるデータ一覧

採用分析で用いるデータを紹介します。採用分析を行うためには、分析の素材として以下のようなデータを正確に収集する必要があります。

人数に関するデータ

採用において中心的要素である人数に関するデータは、とくに重要です。
採用活動を進めるなかで、必要に応じて以下のデータを収集しておくようにしましょう。

  • 全体の応募者数:
  • 自社の求人に対する応募者の合計数

  • 媒体別の応募者数:
  • 就職ナビサイトやハローワークなど媒体別の応募者数

  • 説明会の参加者数:
  • 個別説明会や合同説明会など説明会ごとの参加者数

  • 各採用イベントの参加者数:
  • 求職者向けセミナーなど採用イベントごとの参加者数

  • 各選考の通過者数:
  • 応募から書類選考、各種試験、各種面接など選考ごとの通過者数

  • 各選考の辞退者数:
  • 応募から書類選考、各種試験、各種面接など選考ごとの辞退者数

  • 内定者数:
  • 自社が内定を出した人数

  • 内定承諾者数:
  • 内定を承諾した人数

  • 内定辞退者数:
  • 内定を辞退した人数(内定承諾前後に分けた集計を推奨)

  • 入社人数:
  • 最終的に入社した人数

コストに関するデータ

採用活動には、採用関連のサービス利用費や人件費、準備物の費用など、さまざまなコストがかかります。
費用対効果の高い採用を実現するためにも、まずは何にいくらかかっているのかを正確に把握しておきましょう。

  • 採用全体にかかった費用:
  • 母集団形成から入社まで当期の採用にかかった費用の合計値

  • 媒体ごとにかかった費用:
  • 就職ナビサイトやダイレクトリクルーティングなど媒体別にかかった費用

  • 採用関連の広告費用:
  • Web広告・SNS広告・新聞折り込みなど、採用への効果を目的として行った各種広告費用

  • 採用パンフレットやチラシにかかった費用:
  • 説明会などで配布用の採用パンフレットやチラシの制作費用

  • 説明会にかかった費用:
  • 合同説明会の参加費や、個別説明会の会場や物品などのレンタル費用

  • 各採用イベントにかかった費用:
  • 求職者向けセミナーなど採用イベントごとにかかった費用

  • 内定者のフォローにかかった費用:
  • 内定者懇親会などのフォローイベントや、eラーニングなどフォローツールにかかった費用

  • 採用担当者の人件費:
  • 当期の採用活動で要した採用担当者の人件費(時給換算などによる概算でOK)

  • 面接官の人件費:
  • 当期の採用活動で要した面接官の人件費(時給換算などによる概算でOK)

  • 採用業務に協力した社員の人件費:
  • 当期の採用活動に協力した社員の人件費(時給換算などによる概算でOK)

  • 採用1人当たりにかかった費用:
  • 当期における「採用全体にかかった費用」を「入社人数」で割った数値

期間・時間に関するデータ

各採用プロセスに要した期間・時間も、採用分析を行う上で重要なデータです。
とくに効率化を図るためには、欠かせない要素といえるでしょう。

  • 採用活動全体にかかった日数:
  • 準備から母集団形成、募集開始、各選考、内定、入社まで、採用活動の開始から終了までにかかった合計日数

  • 選考にかかった日数:
  • 自社の募集開始から内定までの選考に要した合計日数

  • 各採用プロセス間の日数:
  • 各種準備→母集団形成→募集開始→書類選考→筆記試験→一次面接→二次面接・・・など各プロセス間の日数

  • 各採用業務にかかった時間:
  • 採用人数・採用要件・採用スケジュールの設定などの計画立案、採用サイトの運用、説明会の準備と実施、書類選考や面接など、各採用業務にかかった時間

ただし、とりわけ4点目の「各採用業務にかかった時間」の計測は労力を要します。
そのため、分析材料として判断した場合にのみ計測を行うことを推奨します。

その他のデータ

ここまで紹介したデータ以外にも、分析に有用なデータがあります。具体的には、以下の通りです。

  • 入社3年以内の離職者数:
  • いわゆる「早期離職者」の人数

  • 採用要件のクリア数:
  • 採用した人材が自社が求める条件(採用要件)をいくつクリアしていたか

  • スカウトメール送信数※:
  • 候補者へ送信したスカウトメールの通数

  • スカウトメール返信数※:
  • スカウトメールを送信した候補者から返信があった通数

  • 各種アンケート:
  • 説明会参加者に感想や現時点での志望度などを訊ねる「説明会アンケート」、入社後に採用プロセスの感想や内定承諾の決め手となった点などを訊ねる「入社後アンケート」など

※ダイレクトリクルーティング(スカウト採用)を行っている企業のみ

採用分析の基本原則3つ

採用分析には3つの基本原則があります。
具体的には、「比較する」「時系列でみる」「要因を探る」であり、これらはデータ分析の3原則に基づいています。

また、そもそも採用「分析」といっても、具体的に何をすれば良いのかが曖昧という方も多いのではないでしょうか。
材料(各種データ)は手元にあるものの、価値ある知見を得るための調理方法(分析方法)が分からないといった状態です。

そこで、以下で紹介する基本原則3つを踏まえた意義のある採用分析を行うことで、自社にとって有益な知見を得られるようになるのです。

基本原則1.比較する

集計したデータを「比較」することで、新たな知見が得られます。
例えば、前年と当年の比較・新卒採用と中途採用の比較・採用手法ごとの比較といった視点です。

基本原則2.時系列でみる

「時系列」でデータの変化を見ることで、傾向やパターンを理解することができます。
例えば、数年にわたる応募者数や内定者数、早期離職者数の変化などが挙げられます。
また、通年で採用を行う中途採用であれば、季節性による変化や傾向も把握可能です。

基本原則3.要因を探る

集計したデータにみられる傾向や課題に対する「要因」を探ることも、有益な知見をもたらします。
例えば、当年の応募者数が明らかに減少している場合であれば、「どこに要因があるのか」を探ります。
具体的には、「自社が利用する採用媒体ごとに応募数の差を見る」「当年の母集団の人数が少なかったのではと考え、昨年の母集団の人数を確認する」などの切り口が考えられます。

採用分析の具体的な手法|よくある課題別

採用分析の具体的な手法を、よくある課題別で紹介します。
前項目で紹介した「採用分析の基本3原則」さえ理解すれば、各社の目的に応じたさまざまな分析を行えます。

ただ、より具体的な場面で役立つ分析手法を知りたいという方もいるのではないでしょうか。
そこで、ここでは採用活動において生じがちな課題別に、どのような採用分析を行えばよいかを具体的に紹介します。

費用対効果の高い採用媒体を見極めたい

採用活動には多額のコストがかかるため、多くの企業が「費用対効果の高い採用媒体に集中的に投資したい」と考えています。
こうしたケースに役立つのが、以下の分析手法です。

■採用媒体の費用対効果(コストパフォーマンス)をもとめる計算式
「採用媒体Aにかかった費用」÷「採用媒体A経由で入社に至った人数」=「採用媒体Aの費用対効果の高さ」

    例:

    採用媒体Aにかかった費用が100万円で、採用媒体A経由で入社に至った人数が2名だった場合は、100万円÷2名=50万円。

    採用媒体Bにかかった費用が200万円で、採用媒体B経由で入社に至った人数が5名だった場合は、200万円÷5名=40万円。

    つまり、採用媒体Bの方が「費用対効果は高い」といえる。

ダイレクトリクルーティング(スカウト採用)におけるメディア選定も、費用対効果を高めるためには重要なポイントです。
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選考辞退者や内定辞退者を減らしたい

自社へ応募してくれたにも関わらず選考過程や内定後に辞退されてしまうようなケースは、避けたいものです。
もし、辞退者が相次いでいる場合は、選考にあたる各プロセスの「歩留まり率」を見直してみましょう。
どの過程に問題があるのかを発見できる可能性があります。

採用における「歩留まり率」とは、「母集団→応募→書類選考→筆記試験→一次面接→二次面接→最終面接→内定→入社」といった採用における各プロセスで次へ進んだ人数の割合を指します。
各プロセスの合格率ではない点に注意しましょう。
ポイントは「選考に合格したにも関わらず、次のプロセスに進むのを断った者は人数に含まないこと」です。

具体的な計算式は以下の通りです。

■採用プロセスの歩留まり率をもとめる計算式
歩留まり率=「次のプロセスBへ実際に進んだ人数」÷「プロセスAを受けた全体の人数」×100
※参考:選考の合格率をもとめる計算式
各選考過程の合格率=「選考Aに合格した人数」÷「選考Aを受けた全体の人数」×100

    例:

    一次面接を受けた人数は80名、そのうち実際に二次面接へ進んだ人数は20名だった。

    「一次面接に合格した人数20名」÷「一次面接を受けた全体の人数80名」×100=歩留まり率25%

    前年度の一次面接の歩留まり率は40%で「-15%」だった。他の過程も比較したが、明らかに一次面接における歩留まり率の低下が著しい。

    1次面接の選考基準や面接官の対応について見直す必要がある。

上記の例は前年比での分析でしたが、プロセスごとでの比較などでも分析できます。

早期離職者を減らしたい

概ね入社3年以内に離職してしまう「早期離職者」に悩む企業も少なくありません。
早期離職者を減らしたい場合は、採用分析の基本原則3である「要因を探る」ことに注力すべきでしょう。

具体的には、離職者へのヒアリングで「離職に至った要因」、従業員への無記名アンケートによって「離職に至りそうな要因」を探ります。

なお、早期離職に至る主な要因(理由)は以下の通りです。ヒアリングやアンケート作成時の参考としてください。

■早期理由に至る主な理由

  • 労働時間が長い(残業など)
  • 休日が少ない
  • 給与面に不満や不安がある
  • 人間関係に悩んでいる
  • 社員の雰囲気が合わない
  • 業務内容に不満がある
  • 他に進みたい道がある

採用活動の効率を高めたい

採用市場の競争激化や採用手法や採用媒体の多様化などにより、採用活動における業務負担は増しています。
そのため、採用活動の効率化を図りたいと願う企業がほとんどではないでしょうか。

効率化に向けたアプローチは複数ありますが、ここでは「効率を高めて中途採用を短期化したい」という課題を設定します。
そこで、まずは下記のように自社の採用プロセスを順に並べて、「各プロセス間の日数」を探ります。

■中途採用のプロセス(例)

母集団形成→応募→書類選考→適性試験→一次面接→二次面接→最終面接→内定→入社

その結果、例えば「適性試験と一次面接の間が10日間であり、全体で最も長い期間を要している」と判明したとします。
さらにその要因を探ると「応募者と面接官の日程調整」に時間を要していることが分かりました。

このように効率を下げている要因を究明できれば、解消に向けて日程調整ツールや採用管理システムの導入といった具体的な手段を検討することが可能となります。

採用分析を効果的に行うための重要ポイント

採用分析を効率的に行うための重要ポイントを紹介します。

目的を明確にしてからデータを収集する

採用分析を行う目的を明確にしてからデータ収集を行うことで、必要最低限のリソースでデータを集めるようにしましょう。

データ収集にも労力と時間を要します。そのため、先述の「採用で用いるデータ一覧」で紹介した各種データを初めからすべて収集しようとするのは推奨しません。
場合によっては、採用活動の効率を低下させてしまう原因にもなりかねないでしょう。

そこで、採用プロセスにおいて解消したい課題や目指したい状態など「目的」を明確にした上で取り組むことにより、効果的かつ効率的な採用分析を行うことが可能です。

量的データだけでなく質的データも活用する

採用分析は、量的なデータに意識が向きがちですが、質的なデータに着目することも大切です。

量的データとは、全体の応募者数や各採用媒体にかかった費用のように数値で観測できるようなデータです。
対して、質的データとは、アンケートの「そう思う〜思わない」の選択式や自由回答のような分類や区別のためのデータです。

例えば、選考辞退や内定辞退、早期離職といった企業が避けたい事象についても「理由」があります。
それぞれの理由は決断を下した本人にしか分からず、量的データのように客観的な観測でうかがい知ることはできません。
そのため、ヒアリングやアンケートといった手段を用いて、質的データを収集・活用する必要があるのです。

量的データと質的データを上手く組み合わせて、有益な結論を得られる採用分析を行いましょう。

まとめ

採用分析とは、自社の各採用プロセスを評価し、より効果的かつ効率的な採用を行えるよう改善するための手法です。

採用分析に用いるデータは4つに分類されます。
具体的には、応募者数などの「人数に関するデータ」、各媒体や広告にかけた費用などの「コストに関するデータ」、各採用プロセスに要した時間を示す「期間・時間に関するデータ」、それ以外の「その他のデータ」です。

また、採用分析の基本原則は「比較する」「時系列でみる」「要因を探る」の3つであり、それぞれの切り口で分析を行うことで、効果的な分析を行うことができます。
その上で、よくある課題別に具体的な分析手法を紹介しました。費用対効果の高い採用媒体の見極め、選考辞退者・内定辞退者の低減などいずれも生じがちな課題ですので、ぜひ参考にしてください。

最後に採用分析を行う上での重要ポイントを2つ紹介しています。
採用分析を行う際は、「データ収集は目的を明確にしてから行うこと」「量的データだけでなく、アンケートなどで得られる質的データも活用すること」を意識しましょう。

また、弊社は「ダイレクトリクルーティング支援専門企業」として、各社に最適な媒体を通じて求める人材の採用を成功に導くためのサポートを行っています。

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竹村 朋晃

竹村 朋晃

株式会社ダイレクトソーシング CEO (プロフィールはこちらをクリック) 2005年に野村総合研究所に入社。損害保険システムの構築に従事。2015年11月より株式会社ダイレクトソーシングを立ち上げ。エンジニア経験者中心にデータドリブンリクルーティングを中心としたサービスを展開。

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