スタートアップが採用を成功させるポイント|おすすめの採用手法などを紹介

スタートアップ企業が採用を成功させるためには、独自の工夫と戦略が欠かせません。大企業と比べて知名度や予算面での制約が多いなか、優秀な人材をいかに確保するかが、事業成長の鍵となります。
そこで本記事では、スタートアップの採用について、難しいとされる理由を示した上で、注力するメリットや成功させるためのポイント、おすすめの採用手法を紹介します。
スタートアップの採用が難しいとされる理由
スタートアップの採用が難しいとされる主な理由は、以下の4つです。
知名度不足により応募者を確保しにくいため
スタートアップは、設立から間もない企業が多いため、大企業のようなブランド力や知名度を持つことが難しいのが実状です。そのため、求人を出しても応募者の数が限られるケースが多く、特に未経験者や若手を除けば、スタートアップを志望する候補者の母数自体が少ない傾向があります。
また、スタートアップに関する情報は取り上げられることも少なく、取得しづらい点も要因の1つです。候補者が企業の実績や成長性を判断しづらいため、応募に至らないケースも少なくありません。
不安定な事業基盤に求職者が不安を抱きやすいため
スタートアップは事業の成長スピードが早い反面、収益の安定性や将来性に不透明な部分を抱えていることがあります。
特に、資金調達に依存している企業や黒字化していない企業に対しては、求職者が「倒産のリスク」や「給与の支払い能力」に対する不安を抱きがちです。
また、スタートアップの事業モデル自体が新しい場合、求職者がその成功確率を判断する材料を持ち合わせていないことも、不安材料として挙げられます。
採用にかけられる予算が限られがちなため
スタートアップは大企業のように採用専任チームや多額の採用予算を確保できないことが一般的です。そのため、大規模な採用イベントへの出展や、費用のかかる求人広告の掲載、リクルーティングエージェントの利用が難しい場合が多いでしょう。
限られたリソースで採用活動を行う必要があり、効率的かつターゲットを絞った採用手法を求められます。こうした制約のなかで、必要な人材を確保するのは容易ではありません。
急成長に可能な人材を見極めなければならないため
スタートアップは、事業が急成長するにつれて、業務内容や組織の規模が短期間で大きく変化することがあります。そのため採用時には、現状の業務に適したスキルを持つだけでなく、将来的な変化にも柔軟に対応できるポテンシャルを持った人材を見極める必要があります。
しかし、この「成長に対応できるかどうか」を選考プロセスで見極めるのは簡単ではなく、採用の難易度を高める要因の1つとなります。また、スタートアップ特有のスピード感や、未整備のプロセスに対応できる適応力も求められるため、適切な人材を採用することが一層難しくなるのです。
スタートアップが採用に注力するメリット
スタートアップが採用に注力するメリットを、4つ紹介します。
今後の成長に対応できる組織体制の構築
スタートアップは、事業の拡大や市場の変化に迅速に対応する柔軟な組織体制が求められます。そのため、早い段階から成長を支えられる優秀な人材を採用することが重要です。採用に注力すれば、成長に必要なスキルや専門性を持つ人材を揃え、チームとしてのパフォーマンスを高められます。
また、事業が拡大してもスムーズに対応できるよう、将来のリーダー候補を育てる体制を整えることができます。このように、採用活動を通じて、企業の成長を支える基盤を築けるのです。
企業文化の早期確立
スタートアップにとって、企業文化の形成は事業の方向性や働き方に直結する重要な要素です。採用活動に注力し、価値観やビジョンを共有できる人材を集めることで、早期に企業文化を確立できます。明確な企業文化があると、社員間の結束力が高まり、共通の目標に向けた協力体制が強化されます。
特に、設立初期の段階で採用されたメンバーは、後の新規メンバーに大きな影響を与えるため、企業文化を定着させるうえで重要な役割を果たします。
投資家からの信頼獲得
優秀な人材を採用し、強力なチームを形成することは、投資家にとって企業の信頼性を測る重要なポイントです。スタートアップが採用に注力する企業姿勢は、事業の成長性や長期的な戦略性を示す証拠となります。
また、適切な人材が揃っているかは、プロジェクト成功率の高さを示し、投資家からの資金調達をスムーズに進める上で有利に働きます。特に、採用活動を通じて経営陣や専門分野の人材が強化されると、事業計画の実現性に対する信頼が高まります。
若手人材の育成による将来的な経営基盤の強化
スタートアップが成長を続けるためには、若手人材を育成し、将来的な経営を支えるリーダーを育てることが不可欠です。採用に注力すれば、ポテンシャルの高い若手を早期に採用し、育成の機会を提供できます。
若手人材が成長すると、組織の中核となるメンバーが増え、経営基盤が強化されます。また、新しいアイデアや柔軟な発想が生まれやすくなり、事業の革新性を高める効果も期待できるでしょう。
スタートアップが採用を成功させるポイント
スタートアップが採用を成功させるポイントを、6つ紹介します。
早期かつ迅速な採用活動で優秀な人材を確保する
スタートアップが採用を成功させるためには、スピード感が非常に重要です。競争が激しい市場では、優秀な人材は複数の企業からオファーを受けている場合が多く、採用プロセスを迅速に進めることで他社に先んじて人材を確保することができます。
特に新卒採用では、採用活動の早期化が進行しており、各企業が対応を求められています。具体的には、求人開始のタイミングを早め、選考過程をスムーズかつ効率的に進めるのがポイントです。また、早期からインターンシップや説明会を開催し、候補者と接点を増やすことで採用成功率を高められます。
以下の記事では、新卒採用について具体的にいつから活動を始めるべきかなどを解説していますので、ぜひ参考にしてください。
【人事向け】新卒採用はいつから?いつまで?検討と判断の重要ポイントを紹介 | 株式会社ダイレクトソーシング
明確なビジョンとミッションを打ち出す
スタートアップに応募する候補者は、企業の成長性や事業の将来性を重視する傾向があります。そのため、企業のビジョンやミッションを明確にし、それらをより魅力的に伝えることが重要です。
候補者に「この会社で働くことで社会的意義がある」「自身のキャリアにとって価値がある」と感じてもらえるようにすると、応募者の関心を引きつけられるでしょう。また、企業理念を採用プロセス全体に反映し、スタートアップらしい一貫性をアピールするのも効果的です。
働き方や条件などで柔軟性をアピールする
スタートアップでは、働き方や待遇面での柔軟性をアピールすると、他社との差別化を図れます。
例えば、リモートワークやフレックスタイム制、スキルや成果に応じた報酬体系など、採用ターゲット層のライフスタイルや価値観に寄り添った制度を整えることで、候補者の関心を引きやすくなります。
また、業務内容やキャリアパスについても、個人の裁量や成長機会を強調することで、スタートアップならではの魅力を訴求できるでしょう。
採用ブランディングを強化して差別化を図る
スタートアップが知名度を上げ、優秀な人材を引きつけるためには、採用ブランディングの強化が欠かせません。具体的には、SNSや企業ブログを活用して、自社の事業内容や社員の働き方を積極的に発信することが有効です。
また、求人広告や採用ページのデザインやメッセージに統一感を持たせれば、企業の個性や魅力を伝えやすくなります。特にスタートアップは、挑戦的で革新的なイメージを打ち出せば、採用競合との差別化が可能です。
採用後の定着にも注力する
採用はゴールではなく、優秀な人材を長期的に活躍させるためのスタート地点です。スタートアップでは、教育体制が十分に整っていないケースも考えられますが、採用後のオンボーディングやフォローアップに注力し、社員の定着化を図ることは不可欠です。
例えば、入社直後の研修や定期的なフィードバック機会の提供、柔軟なキャリアサポートなど、社員が安心して働ける環境を整えれば、早期離職のリスクを低減できます。また、社員が組織に貢献していると実感できる仕組みを構築するのも大切です。
スタートアップに適した採用手法を選ぶ
スタートアップでは、大企業とは異なる採用手法が求められる側面があります。例えば、求める人材にピンポイントでアプローチするダイレクトリクルーティング(スカウト採用)や、潜在的な優秀人材を発掘するリファラル採用などが挙げられます。
また、インターンシップを通じて企業との相性を見極める方法も有効です。採用手法を工夫することで、スタートアップの特性に合った効率的な人材確保が可能となります。
スタートアップにおすすめの採用手法
スタートアップにおすすめの採用手法を、4つ紹介します。
リファラル採用
リファラル採用とは、既存社員からの推薦を通じて新たな人材を採用する手法です。スタートアップでは、知名度不足が課題となる場合が多いため、社員のネットワークを活用して優秀な人材を確保する方法が効果的です。
この手法では、信頼できる人物を紹介してもらえるため、採用後の定着率が高い点がメリットです。また、紹介者が企業文化を理解していることにより、自社に合った人材を引き込める可能性も高いといえます。リファラル採用を活性化するためには紹介制度を整えて、紹介者へのインセンティブを設定するのが有効です。
ダイレクトリクルーティング(スカウト採用)
ダイレクトリクルーティングは、企業側が候補者に直接アプローチする採用手法です。スタートアップでは、即戦力や特定のスキルを持つ人材が求められるケースが多く、スカウトを通じて条件に合った人材を見つけやすい点が魅力です。
例えばLinkedInなどのビジネス人材向けプラットフォームを活用することで、候補者のプロフィールや経歴を確認しながらピンポイントでアプローチが可能です。効率的かつターゲット層に直接リーチできるため、短期間で採用活動を進めたい企業に最適な方法といえるでしょう。
人材紹介サービス
人材紹介サービスは、専門エージェントを介して採用活動を行う方法です。スタートアップでは、採用に十分なリソースを割けない場合が多いため、経験豊富なエージェントの力を借りることで効率的に人材確保を進められます。
この手法は、特定のスキルや経験を持つプロフェッショナルを探す際に特に効果的です。また、エージェントが事前に候補者のスクリーニングを行うため、企業側は最終選考に集中できる点がメリットです。ただし、成功報酬などにより料金が高額になりがちなため、予算をしっかりと確保する必要があります。
採用直結型インターンシップ
採用直結型インターンシップは、実際の業務を通じて候補者のスキルや適性を見極める方法です。スタートアップにとっては、コストを抑えながら将来のコア人材を確保する手段として非常に有効です。
この手法では、インターン生が実際の職場で働くことで、企業文化や業務内容を深く理解してもらえるだけでなく、企業側も候補者の実績や行動を直接評価できます。
また、インターン中に双方のマッチングを確認できるため、入社後の定着率が高い傾向があります。特に若手の採用に力を入れる場合に有効な選択肢です。
まとめ
難しいとされるスタートアップが採用を成功させるためには、企業のビジョンやミッションを明確にし、候補者の共感を得ることが重要です。また、柔軟な働き方や条件を提示しつつ、採用ブランディングを強化して知名度を高めれば、より優秀な人材を引きつけやすくなるでしょう。
さらに、スピード感のある採用活動やインターンシップの活用は、競争が激しい市場で他社との差別化を図るうえで効果的です。
スタートアップ特有の制約や課題を乗り越えるには、限られたリソースを最大限活用し、採用活動を効率的かつ戦略的に進めることが求められます。本記事で紹介したポイントを取り入れ、採用活動を成功に導くことで、企業の成長と発展につなげましょう。
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著者プロフィール 竹村 朋晃(Tomoaki Takemura)
株式会社ダイレクトソーシング 代表取締役CEO
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2005年に野村総合研究所に入社。大手損害保険会社のシステム設計・開発に従事し、エンジニアとしてのキャリアをスタート。 2015年、ダイレクトソーシングの可能性に着目し、株式会社ダイレクトソーシングを創業。データドリブンな採用を軸に、候補者データの構造化、スカウト改善、タレントプール構築などを通じて、累計500社以上の採用支援を行う。 2017年よりLinkedIn公式パートナーとして、日本企業へのLinkedIn活用を支援。2025年には「LinkedIn Student Career Week」を主催し、5,000名超の学生と40社超の企業をマッチングさせるなど、イベントプロデュースでも実績多数。 「Stand Alone Complex Society(個が独立し共創する社会)」の実現を掲げ、採用における価値創造を追求している。 趣味はウェイクボードとテニス。お台場在住。技術と営業を横断する“ハイブリッド人材”として、採用の進化に挑み続けている。
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