RPO(採用代行)
採用ノウハウ
2023.01.12

RPOとは?採用代行が向いている企業と失敗しないための注意点

働き方改革や労働人口の減少、SNSをはじめとする新たな採用チャネルが普及し始めたことを受け、近年では質の高い人材の確保が難しくなっています。
それに加え、リクルートサイトの制作や募集媒体の選定、内定者へのフォローなど人事担当者の工数は増加傾向にあり、人事の人手不足やコア業務への影響といった問題を抱える企業も少なくありません。

こうした採用活動の難化・複雑化が進む中で、「RPO(採用代行)」の導入により効率化を進める企業が増えてきています。
そこで本記事では、RPOの概要や注目される背景、メリット・デメリット、失敗しないRPOのために押さえておきたいポイントなどを解説します。

RPO(採用代行)とは?

RPOという言葉は、”Recruitment Process Outsourcing”の頭文字を取ったもので、国内では「採用代行」「採用アウトソーシング」と呼ばれることが一般的です。
人事担当者がこれまで行っていた採用業務の一部または全部を代行会社に委託し、企業は採用計画の策定や選考・面接といったコア業務にのみ集中できるようになる利点があります。

RPOは中途採用で取り入れられることが多いですが、新卒採用やアルバイト採用の代行を請け負う代行会社も多く、企業ニーズに合わせたさまざまなサービスを受けることが可能です。

RPOというサービス自体は、1980年代の米国で普及した事務代行サービスにルーツがあり、サービスの拡充が進むにつれて人事・採用分野でも代行サービスが発展してきたとされています。
国内では2000年代から導入する企業が増加し、現在では人材派遣会社・人材紹介会社を中心としてRPOのサービスを提供する代行会社が数多く誕生しています。

RPOが注目されている理由・背景

近年になってRPOが注目されている背景として、人事業務の増加・複雑化が挙げられます。
国内では長く続く売り手市場を原因として転職者数が増加、従業員の入れ替わりが激しくなっています。
これまでの採用活動では質の高い人材の確保が困難になり、さまざまな採用チャネル・媒体に対応せざるを得ない企業も少なくありません。

また、WebやSNSを通じた採用活動が普及し、企業がアプローチできる採用候補者が飛躍的に増加しています。
より多くの転職希望者との接点が持てることはメリットでもありますが、その中から自社にマッチする人物を選び、面談・面接を行わなければならない点は、人事担当者の負担増加の一因となっています。

このような状況の中で人事の人手不足が露呈し、効率的な採用活動のためにRPOの導入を進める企業が増える、といった結果となりました。

参考記事:いま、採用代行(RPO)を検討するべき3つの理由!

RPOで委託できる業務内容

人事担当者が手がける採用業務には、採用計画の立案から入社後のフォローまで、多岐にわたる内容が含まれます。RPOで委託するケースが多いのは、応募者の管理や面接日程の調整など、事務的な業務が多いですが、代行会社によっては面接・最終判断以外の採用活動をすべて丸投げできるところもあります。

ここではRPOで委託可能な業務内容と、それぞれのプロセスで代行会社から受けられるサービスに関して、以下の4つの領域について解説しましょう。

  • 採用計画の立案
  • 母集団形成
  • 選考・面接
  • 内定者へのフォロー

それぞれ詳しく解説します。

採用計画の立案

採用計画の立案は、採用活動において最も重要なコア業務と言えるでしょう。
選考フローや採用要件の策定、採用時期・人数のほか、使用する媒体や採用手法を決めることも採用計画に含まれます。

採用計画の立案をRPOですべて委託する企業ケースは少ないですが、自社の採用課題をヒヤリングした上で、課題解決のための採用活動について代行会社から提案を受けることが可能です。

外部の専門家の手を借りることにより、自社内で採用計画を策定する場合と比較して、より効果的な採用活動につながる可能性が高まります。
ただし企業活動の根幹にも影響する領域のため、委託を検討する際には採用コンサルティングに強みを持つ代行会社を選ぶことをおすすめします。

母集団形成

母集団形成もRPOで委託できる領域です。
RPOを専門とする代行会社は、採用市場のトレンドや企業に合う採用チャネルの選定ノウハウを持ち合わせているため、自社の求める人物像にマッチした母集団形成が期待できます。

具体的な業務内容として、採用計画に沿って求人媒体・ダイレクトソーシングサービスを選定し、予算管理や応募者管理を任せることが可能です。
求人広告やスカウトメールの作成も委託できるほか、エージェントへの依頼や企業説明会の企画・開催の代行に対応しているところもあります。

選考・面接

応募者の選考・面接といった業務も、RPOでカバーが可能です。
メール・電話での応募者対応から、面接の日程調整、書類管理、選考のためのスクリーニング作業なども委託することができます。
採用活動の規模が大きくなると、面接会場のセッティングや受付、Webテストの運営などを代行してもらうケースもあります。

なお、代行会社によっては面接官代行を依頼することも可能です。
ただし、面接官代行は人事の人手不足や面接の工数削減につながるメリットがある反面、自社の魅力や雰囲気が伝わりにくくなったり、応募者が受け取る面接官の印象が意図しないものになってしまう可能性もあります。
そのため面接官代行を依頼する際には、代行会社と充分にコミュニケーションを取るなどの工夫が必要です。

内定者へのフォロー

RPOの代行会社によっては、採用決定後の内定者フォローを行ってくれることもあります。
一人の応募者が複数の企業から内定を得ていることが珍しくない昨今では、内定後のフォローの有無が内定辞退のリスクを左右します。

しかし自社ですべての内定者へのフォローを継続的に実施するのは難しいため、RPOを活用するケースが少なくありません。

なお、内定者へのフォローは新卒採用において特に重要な意味を持っているため、新卒採用でRPOの活用を考えている場合には、新卒採用を得意とする代行会社を選ぶことも大切です。

RPOの活用で得られるメリット

次に、企業がRPOを導入して採用活動をアウトソーシングすることにより、期待できるメリットについて以下の3つをご紹介します。

 

  • 人事担当者の負担軽減
  • 採用力強化につながる
  • 費用対効果の数値化が可能

一つひとつ解説していきましょう。

人事担当者の負担軽減

RPO導入による最大のメリットは、人事担当者の負担を軽減できる点にあります。
RPOを活用して応募書類の管理や面接の日程調整などの煩雑な業務を外部へ委託し、自社の限られたリソースを採用計画の立案や選考・面接といったコア業務に集中させることで、業務効率化を図ることが可能です。

また、採用活動のために新たな人事担当者を雇用するよりもコストを抑えられるケースも多く、採用コストの削減にもつながります。
事務的なルーティンワークを中心に採用業務の一部を委託することもできるほか、繁忙期のみRPOを活用するといった使い方も可能なため、より柔軟に経営資源をコントロールできる点もメリットです。

採用力強化につながる

RPOの代行会社は、企業の採用活動のプロフェッショナルでもあります。長年採用業界に従事する中で蓄積したノウハウや、最新の業界トレンドを反映したRPOを実施することにより、質の高い人材の獲得につながる可能性も高まります。

また、採用計画の立案から代行会社のコンサルティングを受けることにより、自社の採用課題を視覚化して、会社の目指す方向性や事業計画を踏まえた採用活動を実現しやすくなるでしょう。
代行会社の知見を取り入れることにより、一時的な採用代行ではなく、中長期的な採用力強化につながることもメリットです。

費用対効果の数値化が可能

採用活動の外部の代行会社に依頼することで、採用にかかる費用対効果を数値化しやすくなるメリットも挙げられます。
社内ですべての採用活動を行う場合と比較して、かかった費用に対してどれだけのパフォーマンスが得られたのかを視覚化できるため、さらなる効率化を実現しやすくなります。

また、代行会社によっては採用活動に関するレポート作成や分析といったサービスを受けられることもあり、改善点や次のステップを検討する際に役立つでしょう。

RPOの活用で注意したいデメリット

RPOには自社の人事担当者の負担を減らし、採用力を強化できるなどのメリットがあります。
ただし、これらのメリットを享受できるのは、適切な代行会社を選び、充分なコミュニケーションを重ねた場合に限られます。

採用代行に関して理解不足のままRPOを進めてしまうと、次のようなデメリットが発生するためご注意ください。

  • 採用ノウハウの蓄積が困難
  • 早期離職が起こりやすくなる
  • コスト、工数が増えるケースも

それぞれ詳しくご紹介していきます。

採用ノウハウの蓄積が困難

RPOは外部の代行会社に採用活動を依頼するため、自社に採用ノウハウが蓄積しにくい傾向にあります。
特にコア業務を含む採用業務をすべて代行会社に丸投げしてしまうケースでは、代行会社の知見やアドバイスを充分に吸収できなくなる可能性もあります。

選考・面接をはじめとするコア業務の委託を考えている場合には、代行会社と密なコミュニケーションを図り、定期的に連絡を取りながらRPOを進めることが重要です。

なお、継続的に採用活動を検討しているケースや、事業計画の実現のために採用ノウハウの蓄積を行いたい場合には、人事担当者を新たに雇用して採用活動を進めた方が良いでしょう。

早期離職が起こりやすくなる

代行会社とのコミュニケーションが不足すると、自社が求める人物像とのミスマッチが起こり、新入社員の早期離職につながる可能性もあります。
企業説明会の開催や面接官代行など、応募者との接点を持つことができる業務を委託した場合には、自社の企業風土や魅力が伝わりにくくなるデメリットもあります。

そのためRPOを活用する際には、可能な限りコア業務を自社で実施できるよう調整したり、応募者に伝えたいメッセージや採用基準を明確に共有したりと、慎重に導入を進めることが重要です。

コスト・工数が増えるケースも

RPOの導入によりコスト削減ができるケースが多いですが、中にはコスト・工数の増加につながってしまうこともあります。
RPOでは代行会社が提供しているサービスが細かく分類されているため、自社にとって必要なサービスだけを導入しなければ、かえって費用が膨らむケースが少なくありません。

また、委託する業務と自社で行う業務の線引きが曖昧だったり、代行会社との認識の齟齬が発生したりすると、担当者同士のやり取りにかかる工数が増えて人事の負担が増加することも考えられます。
代行会社と綿密な連携を取ることで防止できるデメリットのため、委託先との情報共有や打ち合わせは入念に行うようにしましょう。

RPOが向いている企業の特徴

続いて、RPOが適している企業や、RPOが向いている企業の特徴についてご紹介しましょう。
RPOの導入をおすすめしたいのは、次のような特徴がある企業です。

  • 人事がリソース不足である
  • ノンコア業務にコア業務が圧迫されている
  • 自社の採用力に不安がある

一つひとつの特徴について詳しくご説明します。

人事がリソース不足である

単純に人事が人手不足に悩まされている場合には、RPOを導入を検討する価値があります。
人事の人手不足は新たな社員を雇用することで解消することもできますが、人件費の増加につながる側面もあります。

また、繁忙期のみリソース不足に陥るというケースでは、閑散期に人手が余り、余計な人件費が発生してしまう危険性もあります。

そのため一時的な人手不足を解消したいケースや、人件費の増加を抑えたいケースでは、RPOのメリットを最大限受けることが可能です。

ノンコア業務にコア業務が圧迫されている

RPOをはじめとするBPOサービスは、自社にとって重要度の低いノンコア業務を外注し、重要度の高いコア業務に集中させるために利用したいサービスです。
そのため採用活動において事務的な業務に多くのリソースが奪われ、選考・面接や最終判断といったコア業務が圧迫されているのであれば、RPOを導入する価値が非常に高くなります。

また、コア業務が圧迫されていることが原因で、採用計画の立案に手が回らなかったり、新たな採用チャネルを検討する余地がない場合にも、RPOを導入するメリットは大きいです。
代行会社の知見を活かしながら採用活動を進めることにより、自社ニーズに合った質の高い人材を確保しやすくなるでしょう。

自社の採用力に不安がある

応募から選考・内定へと進む歩留まり率が低いことに悩む企業や、内定辞退者が続出してしまうことに悩む企業にとっても、RPOは課題解消に有効な一手となります。
採用力の高い代行会社のノウハウを活用して採用活動を進めることで、競合他社に負けることなく優秀な人材を確保しやすくなります。

また、採用活動における自社のブランディングや企業風土のアピール方法など、自社の魅力を応募者へ効果的に伝えるためのアドバイスを受けることで、自社の採用力強化につなげることも可能です。

失敗しないRPOのために押さえておきたい注意点

最後に、失敗しないRPOを実現するための注意点として、次の2点を解説します。

  • 委託する業務内容を明確にする
  • 具体的な採用要件を定めておく

RPOを導入したことでかえってコスト・工数が増加してしまったり、代行会社との認識齟齬を起こしてしまったりする事態を防ぐために、ぜひ抑えておきましょう。

委託する業務内容を明確にする

RPOサービスを提供する代行会社は、きめ細かなサービスラインナップを用意していることが大半です。
そのため外部に委託したい業務内容が明確になっていないと、自社にとって本当に必要なサービスを見分けることが困難になってしまいます。

委託する業務内容をはっきりさせておけば、他社サービスとの比較・検討が進めやすくなるメリットもあるため、事前に取りまとめておきましょう。

また、自社の方針を人事担当者が理解できておらず、代行会社へ不要なサービスを発注してしまうケースも少なくないため、チーム全体でRPOの活用目的を共有しておくことも大切です。

具体的な採用要件を定めておく

質の高い母集団を形成し、自社にマッチした応募者を集めるためには、採用するポジションでどのような人材を求めているのかを明確にしておくことも重要です。
可能な限り具体的な採用要件を定めておくと、代行会社にも求める人物像が伝わりやすくなり、ミスマッチのリスク低減につながります。

その際には、採用したい人物像を細かく定めた「採用ペルソナ」を設定したり、代行会社からのアドバイスを受けながら採用要件を改善したりすると、さらにRPOの効果を高めることができるでしょう。

採用課題の解決のためRPOの活用を

RPOは「採用代行」「採用アウトソーシング」を意味する言葉で、企業の人事業務の一部または全部を代行会社に委託することを言います。
RPOをうまく活用することで人事担当者の負担軽減につながり、採用コストを抑えながら自社の採用力を強化することも可能です。

ただし、理解不足のままRPOを導入してしまうと、採用ノウハウが蓄積されなかったり、ミスマッチが増えたりする可能性もあるため注意しましょう。

自社の採用課題を解決して業務効率化を実現しつつ、代行会社の知見を取り入れた採用力強化を図りたい場合には、ぜひRPOの導入を検討してみてください。

参考記事:採用代行/支援サービス11社を比較、費用・メリットを解説

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野溝

野溝

前職で採用担当・コンテンツディレクターを経験後、株式会社ダイレクトソーシングのWebマーケティング担当に転職。 これまで数多くの採用関連コンテンツに携わり、特にエンジニア、スカウト関連のコンテンツに強みを持つ。

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