ダイレクトリクルーティング
2023.03.17

ダイレクトリクルーティングの市場規模とは?新卒・中途のマーケット展望を解説

こんにちは、ダイレクトソーシングの竹村です。

求人媒体や人材紹介を使うことなく、企業が求職者個人にアプローチする「ダイレクトリクルーティング」は、近年急速に市場規模を拡大しています。
中途採用ではもちろん、新卒採用においてもダイレクトリクルーティングが定着しつつあり、企業の採用人数の上位を占めることも珍しくありません。

しかしダイレクトリクルーティングには、導入にあたっての課題が存在しており、明確な目的がないまま導入しても期待した成果は得られないでしょう。
そこで本記事では、新卒・中途採用におけるダイレクトリクルーティングの市場規模と、課題を解消して優秀な人材を獲得するためのコツについてご紹介します。

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ダイレクトリクルーティングとは?新卒・中途採用サービスを比較解説!
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ダイレクトリクルーティングとは?

ダイレクトリクルーティングとは、企業が候補者個人に対して直接アプローチを取り、求める人材をスカウトする採用手法のことを言います。
従来の採用手法と比べて、求人媒体や人材紹介などを介さずに、企業が全ての採用活動を手掛ける点が特徴です。

候補者に対してはオーダーメイドのスカウトメールを送信し、綿密にコミュニケーションを取りながら入社意欲を高めていきます。
そのため採用工数が多くなる傾向にありますが、欲しい人材をピンポイントで採用するには最適な手法として、海外では多くの企業で用いられています。

ちなみに「ダイレクトリクルーティング(Direct Recruiting)」という言葉は和製英語で、海外では「ダイレクトソーシング(Direct Sourcing)」と呼ばれることが一般的です。
また、求人媒体や人材紹介などの手法を「待ちの採用」、ダイレクトリクルーティングは「攻めの採用」と呼び区別されることもあります。

なお、ダイレクトリクルーティングと従来の手法との違いやおすすめサービスは、下記の記事でもまとめているので併せて参考にしてください。

参考:ダイレクトリクルーティングとは?新卒・中途採用サービスを比較解説!

新卒向けダイレクトリクルーティングの市場規模

ダイレクトリクルーティングの市場規模について、まずは新卒採用の領域からご紹介していきましょう。
新卒採用におけるダイレクトリクルーティングの市場規模について、成長率や学生側の統計、企業の導入割合などをデータをもとに解説します。

5年間で58.1%の成長率を記録

株式会社i-plugが2022年に発表した資料によれば、新卒採用向けのダイレクトリクルーティングサービスの市場規模は、2016〜2022年度の成長予測として、58.1%のCAGR(年平均成長率)を記録する見込みであると報告されています。

引用:事業計画及び成長可能性に関する事項|株式会社i-plug

また、株式会社矢野経済研究所が行った「新卒採用支援サービス市場に関する調査(2021年)」でも、新卒採用支援サービスの市場規模が拡大傾向にあることが報告されています。

中でもダイレクトリクルーティングサービスは顕著な成長を見せており、主要7分野のうちプラス成長が見込まれる市場の一つに挙げられています。
その背景には、コロナ禍での就職活動・採用活動のオンライン化や、採用工程の変化があるようです。

22年卒の94%がスカウトを受け取る

学生側の統計を参照してみると、2022年1月にウォンテッドリー株式会社が発表した「就職活動に関する調査」にて、22年卒の学生の94%が企業からのスカウトを受け取った経験があると回答しています。

23年卒では86%、24年卒ではすでに66%の学生がスカウトメッセージを受け取っています。

引用:22卒〜24卒の就職活動に関する調査結果を発表 | Wantedly, Inc.

中でも24年卒では、就職活動を始めているのは46%にとどまっているにも関わらず、66%の学生がスカウトメッセージを受け取っているという状況です。
新卒採用を予定している企業は、学生が就職活動を始める以前からスカウトメッセージを送り、母集団形成やダイレクトリクルーティングを図っていることがうかがえます。

23年卒では10%以上の企業が実施

株式会社マイナビが実施した「マイナビ2023年卒 企業新卒採用予定調査」では、新卒採用を行う企業が実践している採用手法が紹介されています。

複数回答可のアンケート調査で、「オファー・スカウト型採用」を実施したと回答したのは全体で10.0%という結果となっています。
上場企業で23.6%、非上場企業で7.8%の割合で、上場企業が積極的に活用していることがわかります。

また、「SNSの活用(Facebook、Twitter等)」を実践したのは全体で15.7%、「リファラル採用」を実施したのは7.1%です。これらをダイレクトリクルーティングに含めて考えた場合には、32.8%もの企業が新卒採用でダイレクトリクルーティングを活用していると言えます。

中途向けダイレクトリクルーティングの市場規模

次に、中途採用におけるダイレクトリクルーティングの市場規模について、企業の採用実績や年間予算といった統計データをもとにご紹介します。

平均採用人数では第4位の実績

株式会社マイナビによる「中途採用状況調査2022年版(2021年実績)」では、1,400名の人事担当者を対象とした、中途採用状況のデータが紹介されています。

こちらのレポートを参照すると、平均採用人数のTOP4(7.0人)に「ダイレクトリクルーティング」がランクインしています。

引用:中途採用状況調査2022年版(2021年実績)

中途採用では、「転職サイト」「企業ホームページ」「合同企業説明会」が現在も主要チャネルとして使われていますが、それらに次いでダイレクトリクルーティングが活用されていることがわかります。

採用手法の評価として、ダイレクトリクルーティングに満足している企業の割合も66.2%と高水準です。
これらの結果を見るとダイレクトリクルーティングは、すでに中途採用におけるごく一般的な手法として定着していると言えるでしょう。

年間予算は163.2万円|IT系・関東圏で主に活用

同調査では、採用手法ごとに企業が設定している年間予算も紹介されています。
ダイレクトリクルーティングの項目では、2021年の企業全体で平均163.2万円の年間予算が組まれていました。

引用:中途採用状況調査2022年版(2021年実績)

従業員別に見ると、「1001名以上」の平均278.0万円の予算が最多で、業種別では「IT・通信・インターネット」の平均218.1万円の予算が際立っています。
エリア別では「首都圏」の平均207.9万円が最も高額であることから、中途採用におけるダイレクトリクルーティングは「首都圏に拠点を置くIT系の大企業」において最も活発であると言えるでしょう。

エンジニア採用では32%の企業が実施

IT企業におけるダイレクトリクルーティングの実施状況について、より詳しく調査してみましょう。エンジニア採用に強みを持つ転職サイトtype(タイプ)が実施した「中途採用活動状況に関するアンケート調査」を参照すると、2022年度に採用活動を実施・実施予定の企業の中で、ダイレクトリクルーティングを活用しているのは32%と報告されています。

引用:【2022年度最新版】各企業の中途採用活動状況アンケート調査結果

「リファラル(知人紹介)」の33%や、「SNS」の18%を含めて考えた場合には、合計で83%もの企業が何らかの形でダイレクトリクルーティングを実施していると言えます。
もちろん単純に比較できるものではありませんが、見方によっては求人サイトや人材紹介を上回る規模で、エンジニア採用ではダイレクトリクルーティングを活用していると考えられます。

ダイレクトリクルーティング市場規模が伸び続ける理由

ここまでさまざまな統計をもとにダイレクトリクルーティングの市場規模をご紹介してきましたが、新卒・中途ともに非常に多くの企業がダイレクトリクルーティングを導入していることを理解していただけたと思います。

ダイレクトリクルーティングを活用することで、転職市場に現れていない転職潜在層にアプローチできるほか、知名度の低い企業や予算が限られている企業でも効果的に優秀な人材を集めることが可能です。
昨今の売り手市場や働き方改革が進む限り、今後もダイレクトリクルーティングを導入する企業は増え続けることが予想されます。

もちろんダイレクトリクルーティングには後述するような課題もありますが、課題を解決してダイレクトリクルーティングを成功に導く専用ツールや支援サービスも充実しつつあります。
ツールや支援サービスの力を借りることでダイレクトリクルーティングのデメリットが克服されれば、ますます市場は拡大していくことでしょう。

そのためダイレクトリクルーティングの導入を検討している方は、可能な限り早めに採用チャネルに取り入れ、採用ノウハウを蓄積していくことをおすすめします。

ダイレクトリクルーティングの課題と解決方法

続いて、ダイレクトリクルーティングが抱える課題・デメリットと、その解決方法についてご紹介しましょう。
私たち株式会社ダイレクトソーシングは、2015年の設立よりダイレクト採用の支援事業を手掛けてきました。その知見とノウハウをもとに、ダイレクトリクルーティングのマイナス面とその克服方法について、正直にお伝えします。

ノウハウの蓄積が必要

ダイレクトリクルーティングは即効性が期待できる採用手法とは言えず、中長期的にPDCAサイクルを回しながら、ノウハウを蓄積していくことで最大限の効果を発揮します。
そのため深刻な人手不足に直面している企業にとっては最適なソリューションとは言えず、人事部門がリソース不足の企業にとっても不向きな手法です。

大量採用には適していない

候補者個人に対して綿密なコミュニケーションを図りながら採用活動を進めることから、ダイレクトリクルーティングは数百名規模の大量採用には向いていない手法でもあります。
高いスキルや豊富な経験が求められる上流ポジションでダイレクトリクルーティングを実施し、それ以外の採用活動では従来の採用チャネルを併用するなど、メリハリをつけた運用が求められます。

採用工数が多く担当者に負担がかかる

ダイレクトリクルーティングは他の採用手法と比べて、大幅に採用工数がかかることが、導入を見送る理由の最たるものとなっています。
たとえば、候補者一人ひとりに合わせた独自のスカウトメールを作成したり、候補者との間で面接の日程調整や入社意欲の喚起を行ったりといった業務が発生します。

候補者が複数の場合には、その分だけ人事担当者の負担が増えることとなります。

人事担当者の負担を減らすためにスカウトメールを使い回したり、候補者とのメッセージのやり取りを減らしたりすれば、どれだけコストをかけても優秀な人材を獲得するには至らないでしょう。
正しいノウハウと工数をかけて実施すれば、ダイレクトリクルーティングは最小限のコストで質の高い人材を確保することができますが、そのためのマンパワーが不足してしまうのが大きな課題でした。

しかしこうした課題も、ダイレクトリクルーティングの代行・支援サービスの登場によって解消されつつあります。
ダイレクトリクルーティングサービスを利用することで、専門家のアドバイスをもとに戦略立案を進め、ITを駆使した実行支援・サポートを受けることが可能です。

人事担当者の負担を減らすための運用代行・スカウトメール文例などを提供しているサービスもあり、うまく活用すれば大幅な工数削減も可能となるでしょう。

弊社でも新卒・中途向けのダイレクト採用支援をご提供しているので、相談・代行を依頼したい方はお気軽にお問い合わせください。

→ダイレクト採用の相談窓口はこちら

ダイレクトリクルーティングの市場規模は今後も拡大へ

ダイレクトリクルーティングの市場規模は、新卒・中途いずれの場合も拡大傾向にあり、高い成長率や実施割合を記録しているほか、企業によっては高額な予算が組まれています。

近年ではダイレクトリクルーティングの課題を解決する専用ツール・支援サービスの登場により、ますます需要が拡大しています。
この傾向は今後も続くと予想されるため、ダイレクトリクルーティングを検討している企業は、いち早く導入を進めてノウハウを蓄積していくことをおすすめします。

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竹村 朋晃

竹村 朋晃

株式会社ダイレクトソーシング CEO (プロフィールはこちらをクリック) 2005年に野村総合研究所に入社。損害保険システムの構築に従事。2015年11月より株式会社ダイレクトソーシングを立ち上げ。エンジニア経験者中心にデータドリブンリクルーティングを中心としたサービスを展開。