エンジニア採用
2023.06.14

制御系エンジニアのダイレクト採用について

概要

近年、日本の少子高齢化により、製造業における人手不足が問題視されてきています。そこで人の手によって行われていた作業を機械に置き換えて自動化することで、生産効率化、品質の安定供給、人件費削減などを実現できる工場の自動化(ファクトリーオートメーション)が注目を浴びています。そこで今回は、工場の自動化における機械の自動運転といった場面で大きな仕事を果たすPLC(後に説明)の概要や特徴を紹介します。また、開発に関わる制御系エンジニアをご紹介し、そのエンジニアを採用するにあたってのターゲットを明確にしていきます。

PLC(シーケンサ)業界について

PLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ、Programmable Logic Controller)は、産業機械や装置の自動制御に必要となるプログラムが書き込まれているコンピュータのことです。別名として、シーケンサと呼ぶこともあります。PLC(シーケンサ)は、Sequenceという言葉の通り、「連続する順序」を制御する装置です。例えば、自動ドアに人が近づくと開くとします。すると以下の手順のような動作が行われます。

①人を感知する

②ドアを開ける

③5秒間開き続ける

④人を感知してから5秒経過したら閉じる

こうした連続した動作は、PLC(シーケンサ)はその信号を数値や条件として認識し、事前に書き込まれていたプログラムに従い判断した結果です。このような複雑な動作を自動で実行できるのがPLC(シーケンサ)です。

PLC(シーケンサ)の国内市場については、IoT化や工場自動化に伴い、高付加価値化が進んでおり単価は増加傾向にあります。長期にわたりPLC市場は拡大傾向を維持しています。主要メーカーについては、日本国内では三菱電機のシーケンサが大きなシェアを獲得しています。また、三菱電機に次いでオムロンがシェアを獲得しており、特にセンサーやモーター関連のシェアが高いです。国外に関して欧州では、ドイツ企業のSiemensがシェアを持っており、製造業と関わりのあるPLC(シーケンサ)はその地域産業に密接に関わる地元の企業が大きなシェアを持つ傾向にあります。

画像出典: 「プログラマブルコントローラ(PLC)とは(2019年版)」一般社団法人日本電気制御機器工業会

 

三菱電機:国内外で圧倒的なシェアを誇るPLCメーカー。シーケンサMELSECシリーズ製品は信頼性・技術力共に確保されており、一定のシェアを世界的に獲得しています。PLC(シーケンサ)の仕様自体は三菱電機の独自規格が用いられているものの、他社製品との相性が良く、広く普及していることから、プログラミングに慣れている技術者も多いです。日本産業を支えてきた実績を有し、日本企業のニーズを捉えたサポートが行える点も三菱電機のPLC(シーケンサ)の強みになっています。

三菱電機株式会社(MELSECシリーズ):https://www.mitsubishielectric.co.jp/fa/products/cnt/plc/index.html

 

オムロン:PLC(シーケンサ)に関連するセンサーやモーターのシェアが高いことが特徴のメーカー。センサー類のIoT化も進んでおり、PLC(シーケンサ)を生かしたIoTプラットフォームの標準化など、新しい施策を積極的に取り組んでいるのも特徴です。また国際規格に適合させた製品なども市場に投入するようになっており、海外展開する場合には互換性や使用に関するトラブルが減少するかもしれません。

オムロン株式会社(プログラマブルコントローラシリーズ):https://www.fa.omron.co.jp/products/category/automation-systems/programmable-controllers/

 

シーメンス:欧州のPLCメーカーといえば、ドイツのシーメンスです。欧州ではトップシェア、米国でもシェアを誇っています。世界のあらゆるニーズに応えたPLC(シーケンサ)の「SIMATICシリーズ」は日本国内でも存在感を発揮しています。世界中で製品展開していることから海外規格に対応した製品なども多数そろえており、支店からの直接サポートも受けやすくスピーディーな対応ができるメーカーです。他のメーカーでは対応できないような状況であっても、多種多様な用途に合ったPLC(シーケンサ)を提供できるのは他社と差別化できるポイントと言えます。

シーメンス株式会社(SIMATICコントローラーシリーズ):https://www.siemens.com/jp/ja/products/automation/systems/industrial/plc.html

機能や仕組みについて

PLC(シーケンサ)の機能や仕組みについて解説していきます。

PLC(シーケンサ)は以下の5つの項目で構成されています。

・入力部(INPUT):外部機器から情報を取り込む部分

・出力部(OUTPUT):外部機器に情報を送る部分

・メモリー部:さまざまな情報を記憶する部分

・電源部:PLCが稼働するために必要な電力を供給する部分

・CPU:さまざまな論理演算や制御をする部分

画像出典: 「プログラマブルコントローラ(PLC)とは(2019年版)」一般社団法人日本電気制御機器工業会

PLC(シーケンサ)は単体で動くことができません。なのでラダーというプログラムで指令する必要があります。ラダーはPLC上で入力するのではなく、専用のソフトを使ってパソコン上でプログラムします。PLC(シーケンサ)にプログラムを入力する際は、USBケーブル端子などでパソコンと接続し、プログラムを読み込ませて使用します。入力部**(INPUT)から外部信号(ボタンの入力やスイッチの入り切りなど)を受け取り、入力のリレーがON・OFFに切り替わることで、CPU内でシーケンスプログラムが動きます。シーケンスプログラムがCPUによって動くことで、出力リレーがON・OFFされ、出力部(OUTPUT)**に信号(表示灯やモーター駆動など)として指令が出される仕組みです。

参考:PLCの「ラダー図」基礎から分かる種類・読み方・長所短所

押しボタンスイッチかセンサーONでT1が起動後、モーターとランプがON、非常停止押すと切れる仕組みのラダープログラム

PLC(シーケンサ)を使用するメリットとして、非常に簡単なプログラム(ラダープログラム)で複雑な制御が可能、制御プログラムの修正が容易、製品のライフサイクルが長い、豊富な自己判断機能による異常箇所の追跡機能ができる、工場で使われるほどの耐性を兼ね備えることが挙げられます。リレー回路やリレー制御で実現するためには、複雑な仕様変更や回路の再設計が必要になることが多く、余計な工数がかかり不良発生率が高いため、圧倒的にPLC(シーケンサ)が秀でていることが理解できます。対して、デメリットとしては、近年のPLC(シーケンサ)は高価であるケースが多く、その性能にも関わらず、企業にとって導入が難しいという現状があります。

ソーシングターゲット

業界
PLC(シーケンサ)をはじめとした産業機器を扱っている製造業界がメインターゲットであり、次いで実際に製品が使われてる業界もターゲットになり得ます。

  • プラント(上水道・水処理・ゴミ処理)
  • 設備監視、ライン制御
  • 輸送設備、運搬機械
  • 半導体製造装置
  • 繊維機械、印刷機械

企業
産業機器メーカー:三菱電機株式会社、オムロン株式会社、シーメンス株式会社、キーエンス株式会社、横河電機株式会社、株式会社ジェイテクト、パナソニック株式会社、株式会社安川電機、富士電機株式会社、株式会社日立産機システム株式会社、Rockwell Automation, Inc.

 

職種
制御ソフトウェア設計:主にPLCプログラムやタッチパネルプログラムの設計、実装、現地試運転調整などを行う職種です。プログラムを書くだけでなく、制御盤設計や動力回路・制御回路設計、MATLAB/Simulink業務使用経験、組み込み制御ソフトウェア制御設計・検証業務経験、インバーターの設計経験なども求められます。PLCプログラムを中心とした設計業務に従事することが多く、現場において高度な制御が求められるため、技術力とコミュニケーション能力が必要とされます。

キーワード:MATLAB/Simulink、PLCラダープログラム、ST言語、FBD言語、SFC言語、IL言語、モーター制御、インバーター制御、制御工学等々

 

電子制御システム設計:電気信号を使って機械やシステム制御する電子制御システムを開発・設計する仕事です。主にマイクロコントローラやPLC(シーケンサ)を使用して、電気的な信号とデジタル信号を相互に変換し、それを使って機械の動作を制御します。電子制御によって、より高度な制御が可能になり、自動化や省力化などを考慮した技術力が必要となります。

キーワード:デジタル回路、自動回路、制御回路、動力回路、警報回路、タイマー回路、論理演算、データトラッキング、Verilog、VHDL、ASIC、FPGA、PCI-e、制御工学等々

まとめ

最近のPLC(シーケンサ)市場は、引き続き世界各国での自動化・省力化に対する設備投資や、国内の公共投資、設備更新需要などにより今後市場が大きく推移していくと考えています。AIやIoT関連技術の進化により、世界産業を取り巻く環境は変わっていく中でPLC(シーケンサ)の技術者の需要も増えてくるでしょう。国内のPLC(シーケンサ)は他社との差別化を図るべく、機能安全性の向上、メンテナンスフリーといったコントローラとしての機能向上とともに、さまざまな機器と接続できるためのネットワーク対応や、それと合わせて制御システムセキュリティの強化、ワイヤレス化、標準化などのニーズが求められてきます。いわゆる高付加価値化の傾向が拡大・発展してゆくものと期待されています。PLC(シーケンサ)の進化に伴って、常に新しい技術が必要とされるエンジニアのソーシング人材像も移り変わっていくと確信しています。

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須田 遼

須田 遼

米国州立アーカンソー大学工学部卒業後、新卒で安川電機に入社。産業用ロボットの制御コントローラーの回路設計開発業務を経て、ダイレクトソーシングへカスタマーサクセスとしてジョイン。主な支援経験のある業界は、メーカー業界(主に技術職)、SaaS業界、コンサルティング業界など

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