エンジニア採用
2023.03.01

エンジニア採用の平均単価はどのくらい?採用手法ごとの相場とコストを抑えるポイント

こんにちは、ダイレクトソーシングの野溝です。

業界全体で人手不足が深刻化しているIT業界では、経験豊富なエンジニアの母数が少なく、需要は高止まりを続けているため、エンジニア採用の難易度は年々上昇しています。
採用難易度の上昇とともに高騰しているのが、エンジニア一人あたりの「採用単価」です。

本記事では、エンジニアの採用単価の平均や採用手法ごとの相場、そして採用コストを抑えるためのポイントについてご紹介します。
低コストで優秀なITエンジニアを獲得したいと考えている方は、ぜひ最後までご覧ください。

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採用単価とは?

採用単価は、企業が人材を確保するために発生した費用のことを言います。
正社員・契約社員・アルバイトなどを一人採用するために費やされた、人事担当者の人件費や求人広告費、人材紹介会社への報酬、採用代行サービスの委託費用などが含まれます。

職種や求めるスキルレベル、採用活動の時期によっても採用単価は変動しますが、ITエンジニアは全職種の中でも採用単価が高い部類とされています。

採用における内部コストと外部コスト

採用単価に含まれるコストには、企業の内部で発生するコストと、企業の外部で発生するコストの2種類が存在します。

内部コストに分類される費用として、採用活動に携わる社員の人件費や、応募者へ支給する交通費・祝い金、知り合いを紹介した社員へのインセンティブなどが挙げられます。
外部コストに含まれるのは、求人広告費や人材紹介会社への報酬、企業説明会の会場費などです。

採用単価の計算方法

採用単価の計算方法はシンプルで、「採用コスト ÷ 採用人数 = 一人あたりの採用単価」という計算式で表されます。
なお、採用コストは内部・外部のコストを合算した金額です。

たとえば、採用活動における内部コストが100万円、外部コストが400万円発生し、最終的に10人のエンジニアを採用した場合には、採用単価は50万円となります。

採用単価は低ければ低いほど費用対効果の高い採用活動を行えたことを意味し、低コストで人材を確保できたことを表します。
昨今では自社が費やした採用コストの総額ではなく、一人あたりの採用単価をどれだけ抑えられたかが重視される傾向があります。

ITエンジニアの求人広告費は平均40.5万円

株式会社マイナビが2022年4月に発表した「マイナビ中途採用状況調査2022年版」によれば、2021年のITエンジニア一人あたりの求人広告費は、平均40.5万円だったと報告されています。
2020年は51.3万円、2019年は63.9万円が平均とされており、コロナ禍が影響して広告費がやや低水準になっていることがうかがえます。

ただし上記の金額は、採用単価のうち外部コストに分類される求人広告費の相場です。
正確な採用単価を算出するためには、人材紹介会社への報酬や採用代行サービスの委託費用などの外部コストに加え、内部コストも考慮する必要があるためご注意ください。

全職種中5番目に高い採用コストに

平均40.5万円というITエンジニアの求人広告費は、別の業種と比較しても上位5番目に入る水準です。
ITエンジニアの求人広告費を上回るのは、「医薬・食品・化学・素材」「電気・電子・機械・半導体」などのより高度な専門性を要求される職種が中心。

エンジニアをめぐる人材獲得競争は今後も激化すると見込まれており、将来的にはさらに採用コストが上昇する可能性が充分考えられます。

引用:マイナビ中途採用状況調査2022年版

中途採用の年間採用コストは平均574.4万円

前述の調査では、業種ごとの中途採用の年間採用コストも報告されています。
それによると「IT・通信・インターネット」の中途採用の採用コストは、平均574.4万円となっています。

調査対象の企業全体の採用コストは平均484.3万円と報告されているため、平均を2割ほど上回る水準です。

別の業種を見ても、IT業界の採用コストを上回るのは「メーカー」の平均654.8万円、「金融・保険・コンサルティング」の平均638.0万円、「運輸・交通・物流・倉庫」の平均577.7万円の3つしか存在していません。
そのためITエンジニアの採用コストは、日本全体でもトップクラスの水準であると推測できます。

エンジニアの採用手法ごとの相場

続いて、前述のマイナビが実施した調査をもとに、IT業界における採用手法ごとの年間の採用コスト相場を表で示すと、次のようになります。

採用手法採用コスト相場(2021年実績・年間)
人材紹介393.3万円
求人広告115.4万円
合同企業説明会114.0万円
ダイレクトリクルーティング151.0万円
求人検索エンジン139.6万円

 

いずれの金額も企業ごとの採用コストの平均であり、採用手法ごとの相場の差を把握する際に役立ちますが、エンジニア一人あたりの採用単価とは限らない点にご注意ください。
それぞれの採用手法の特徴と相場について、詳しくご紹介します。

人材紹介

IT業界におけるエンジニア採用では、平均393.3万円と最も多くの採用コストが費やされているのが、人材紹介です。
人材紹介では採用活動を外部に委託できるため、人事担当者の人件費など内部コストを削減できる特徴があります。

ただし人材紹介会社への成功報酬は、採用するエンジニアの年収の30%が目安とされます。
そのため高いスキルを持った高年収のエンジニアを採用するほど、採用コストが高額になる点に注意が必要です。

求人広告

エンジニア採用で求人広告に費やされる採用コストは、平均115.4万円です。
転職サイトなどの求人プラットフォームに広告を掲載することで、非常に多くの求職者の目に触れることとなります。

そのためエンジニアを大量募集したい場合に相性が良く、採用人数が多くなるほど採用コストが割安となります。
ただし応募が集まらなくても広告費が発生するほか、自社にマッチしない人材が集まる可能性もある点に注意が必要です。

合同企業説明会

合同企業説明会などの転職イベントは、平均114.0万円の採用コストが相場です。
一人ひとりの求職者に直接会ってアプローチできる点が特徴で、エンジニア転職に特化したイベントであれば、自社にマッチした多数の人材に出会いやすいメリットがあります。

ただし、イベントに参加する担当者を確保する必要があるほか、イベント開催のための準備が必要になる点にご注意ください。

ダイレクトリクルーティング

ダイレクトリクルーティングの採用コストは平均151.0万円と、全体で2番目に高水準な結果となっています。

ダイレクトリクルーティングとは、企業側から求職者へ直接アプローチする手法のことを言います。
自社が求める人物像にマッチした人材をピックアップして個別にアプローチするため、ミスマッチを抑え、一人あたりの採用コストが抑えられる傾向にあります。

ただし、オーダーメイドのスカウトメールを作成する必要があるなど、人事担当者の工数が増えて内部コストが上昇する点がデメリットです。

ダイレクトリクルーティングにおすすめのメディア一覧資料はこちら

求人検索エンジン

求人検索エンジンに費やされる採用コストは139.6万円で、全体のうち3番目に高額という結果でした。
求人検索エンジンは、Web上の求人情報のみを検索できるサービスのことを指し、「Indeed(インディード)」などのサービスが代表的です。

求人情報は無料で掲載できるほか、幅広く求職者を集められるメリットがありますが、無料プランでは他社の求人に埋もれやすく、上位表示を狙うためにはノウハウが必要とされる点に注意が必要です。

エンジニアの採用単価が高額となる理由

ここまで解説してきた通り、エンジニアの採用コストはほかの職種・業種と比較しても高額になる傾向にあり、一人あたりの採用単価も高騰していると予想できます。
こうした状況の背景には、エンジニア採用の需要が上昇する一方で、エンジニアの母数が少ないことが挙げられます。

人材獲得競争が激しく、採用活動が長期化してしまうことが採用コストの増大にもつながっています。

ここでは具体的なデータをもとに、エンジニアの採用単価が高額となる理由を解説しましょう。

エンジニアの求人倍率が高止まりを続けているため

レバテック株式会社が実施した「ITエンジニア・クリエイター正社員転職・フリーランス市場動向 2022年12月」によれば、ITエンジニア・クリエイターの求人倍率が右肩上がりの傾向にあることがわかります。
2022年12月時点の求人倍率は15.8倍と報告されており、厚生労働省の「一般職業紹介状況」で公表されている同時期の有効求人倍率は1.35倍と、大きな開きがあることが判明しています。

引用:レバテック|エンジニア&クリエイターの採用情報サイト

コロナ禍においてもエンジニアの需要は低下することはなく、リモートワーク・テレワークとの相性が良いことから、2020年〜2021年にかけて求人倍率が急上昇していることも特筆すべき点です。

少数のエンジニアを数多くの企業が奪い合う構図が続いているため、企業側もさまざまな採用チャネルを駆使して優秀なエンジニアを獲得しようと動いています。
しかし採用チャネルが増えればそれだけ採用コストは増加し、一人あたりの採用単価も高額となるのです。

経験者採用を希望する企業が増えているため

専門性の高いエンジニアの育成には、多大なコストがかかります。
これまで新卒採用やポテンシャル採用で未経験エンジニアを採用してきた企業が、コロナ禍を経て経験者採用に切り替えるケースが増えている点も、エンジニアの採用単価上昇に拍車をかけています。

高いスキルを持ったエンジニアは特に企業間での取り合いが激しくなり、採用コストも非常に高額となります。
中でも人材紹介を利用して採用活動を行っている場合には、高年収になるに応じて支払う報酬も増大するため、採用単価が大きく膨らんでしまいます。

こうした傾向は今後も続くと予想されており、エンジニアの採用単価はさらに高まっていくと考えられます。

エンジニアの採用単価を抑えるためのポイント

続いて、エンジニア一人あたりの採用単価を抑え、低コストで優秀な人材を獲得するためのポイントについて、以下の5つをご紹介していきます。

 

  • 採用コストの内訳を分析する
  • 採用要件を見直す
  • 派遣社員やフリーランスを活用する
  • 既存社員の離職率を抑える
  • 新たな採用手法を取り入れる

 

それぞれ詳しく解説しますので、効率的な採用活動のために取り入れる施策の参考としてお役立てください。

採用コストの内訳を分析する

まずは採用活動においてどの工程でどれだけの採用コストが発生しているのか、その内訳を分析しましょう。

採用コストのうち内部コスト・外部コストがどれだけ発生しているのかを確認し、採用単価が高額化している原因をチェックします。
採用コストのうち大きな割合を占めている項目が判明したら、その費用を抑えるための施策を検討すると良いでしょう。

たとえば、採用担当者が手がける工数が多く人件費が内部コストの大きな割合を占めているのであれば、採用管理システムや採用代行サービス(RPO)を導入し、人件費を削減するなどの対策が効果的です。

採用要件を見直す

エンジニアに求める採用要件を見直すことも、採用単価の抑制につながります。
特に採用基準が高すぎることが原因で採用活動が長期化し、広告費や人件費が膨れ上がっている場合には、採用基準を下げることで大きく改善するケースもあります。

経営陣や人事担当者はできるだけ優秀な人材をじっくり見極めて採用したいと考えていたとしても、現場では未経験でもいいからとにかく人手が欲しいと考えているケースもあるでしょう。

そのため採用要件を見直す際には、現場の声も積極的に取り入れることをおすすめします。

派遣社員やフリーランスを活用する

派遣社員やフリーランスと業務委託契約を結んで業務の一部を委託し、社内リソースを再配分することで人手不足を解消する方法もあります。
業務委託であれば採用コストを抑えられるほか、正社員を新たに採用する場合と比べて社会保険料の負担を抑え、人件費を削減することも可能になります。

フリーランスエンジニアには高いスキルを持った人材も多く、人材育成のコストをかけることなく業務品質を担保できるのも魅力です。
業務委託から正社員へと契約形態を変更するケースも多く、事前に企業・エンジニアがお互いの相性を見極めてから採用に進むため、ミスマッチを防止できるメリットもあります。

既存社員の離職率を抑える

既存社員の離職率を抑え、エンジニアが長く自社で勤め続けてくれる環境を用意することで、採用活動の頻度を減らし、長期的に採用コストを抑えることが可能となります。
エンジニアの定着率を高めるためには、福利厚生の充実やハラスメント対策の導入、技術を磨きたいエンジニア向けの研修手当・資格取得支援などを整えることが効果的です。

定期的に面談を実施し、業務や職場に対する不満・不安を拾い上げて改善につなげることも有効です。
不満・不安が解消されれば企業との信頼関係も向上するほか、新たに採用するエンジニアにとっても働きやすい職場を実現できるでしょう。

新たな採用手法を取り入れる

現在活用している採用手法を見直し、より効率的な採用活動を実現できる新たな採用手法を取り入れることもおすすめです。
現在複数の採用手法を活用している場合には、それぞれの採用単価を算出し、最も費用対効果が高い採用手法にリソースを集中させるのも効果的です。

エンジニアの採用手法の中には、知名度のある大手企業には向いているが中小企業では効果が薄いといったケースもあり、自社に適した採用チャネルを見極めることも重要です。
自社の強みや魅力も踏まえ、最適な採用手法を選定しましょう。

無料・低コストでエンジニアを採用できる3つの手法

最後に、相場を下回るコストでエンジニア採用を実現できる採用手法として、次の3つをご紹介します。

 

  • SNS採用
  • リファラル採用
  • ダイレクトリクルーティング

 

既存の採用手法と併用したり、採用活動の支援サービスを活用したりすることで、従来よりも大幅に採用コストを削減できるケースもあります。
それぞれの特徴を踏まえ、ぜひ導入を検討してみてください。

SNS採用

SNS採用は「ソーシャルリクルーティング」とも呼ばれ、TwitterやFacebookといったSNSを通じて採用活動を行うことを言います。
SNS上で自身の価値観や仕事に対する向き合い方を発信しているエンジニアであれば、選考の判断材料も豊富で、自社にマッチした人材へ的確にアプローチできる可能性もあります。

SNSアカウントの作成・運用は無料ですが、ターゲットを絞ったSNS広告を利用することで、エンジニアの個人アカウントに対して効果的にアプローチすることも可能です。
SNS採用のために使用するSNSアカウントは、企業公式SNSアカウントとして認知拡大のためのツールとしても活用できるのもメリットです。

SNS採用では、今すぐの転職は考えていない潜在層へのアプローチも可能なため、日々の情報発信を続けながら長期的な視点で採用活動を行うのに向いています。

リファラル採用

リファラル採用は、既存の社員から知人・友人を紹介してもらうことで、新たな人材を採用する手法のことを言います。
人材紹介会社や求人媒体などを一切介することなく、社員の紹介から採用活動を行うため、採用コストがほぼ発生しないというメリットがあります。
紹介者である社員にインセンティブを支給するケースは多いですが、従来の手法と比較すれば大幅なコストカットが可能です。

また、自社の事業内容や企業風土をよく理解した社員がリクルーターを務めることから、ミスマッチが起こりにくく、入社後のエンゲージメントも高まるメリットもあります。
リファラル採用の活性化を促したい場合には、会食費用の補助制度やインセンティブの設定・周知を行い、問い合わせ先の担当者を明確化しておくなどの対策が有効です。

ダイレクトリクルーティング

企業側から自社にマッチした人材へアプローチを行うダイレクトリクルーティングは、候補者への個別対応が必要となるため人事担当者の工数が増加し、内部コストが上昇するケースもあります。
しかし転職潜在層へのアプローチが可能で、採用コストを安く抑えられるなどのメリットが多く、近年では多くの企業で導入され始めています。

人事担当者への業務負荷は大きくなりますが、ダイレクトリクルーティングの回数を重ねるごとにノウハウが蓄積され、優秀な人材の探し方や効果的なアプローチ方法に関する知見が溜まっていきます。
そうしたノウハウを活用することで自社の採用力が強化され、エンジニアの厳しい獲得競争が行われている中でも、着実に求める人材を確保できるのが最大のメリットです。

ダイレクトリクルーティングは、SNSやダイレクト採用媒体のデータベースをもとに候補者の選定からアプローチを進める流れが一般的です。
しかし導入直後でノウハウが不足する企業やリソースが足りない企業の中には、ダイレクト採用支援サービスを利用するケースも少なくありません。

私たち株式会社ダイレクトソーシングでも、エンジニア採用に強みを持つダイレクト採用の戦略提案・実行支援サービスを提供しています。
採用コスト削減を目的としたダイレクトリクルーティングに興味がある方は、ダイレクト採用に役立つ弊社のお役立ち資料もぜひご覧ください。

エンジニアの採用単価を抑えるには新たな手法の導入を

採用活動における採用単価は、内部コスト・外部コストの2種類から構成されており、外部コストの一部である求人広告費の相場は平均40.5万円というデータがあります。
ITエンジニアは他職種と比較しても高水準の採用コストが発生する職種であり、その背景には高い求人倍率や、企業の激しい人材獲得競争が挙げられます。

相場が高騰するエンジニアの採用単価を抑えて採用活動を進めるためには、コストの内訳を見直したり、採用要件のハードルを下げたりすることが効果的です。
業務委託契約の活用や、SNS採用・リファラル採用・ダイレクトリクルーティングといった新たな採用手法を取り入れることも、大幅なコスト削減につながる可能性があります。

低コストで優秀なエンジニアを確保するため、自社に合った採用手法を比較・検討しながら導入してみてください。

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野溝

野溝

前職で採用担当・コンテンツディレクターを経験後、株式会社ダイレクトソーシングのWebマーケティング担当に転職。 これまで数多くの採用関連コンテンツに携わり、特にエンジニア、スカウト関連のコンテンツに強みを持つ。

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