新卒採用で面接官が担う役割|基本的な流れや質問例、注意点を紹介

新卒採用の面接を行うにあたり、「面接官が果たすべき役割は何か」「具体的にどのような質問をすべきか」「どのような点に注意すべきか」と悩む方も多いのではないでしょうか。
そこで新卒採用の面接について、面接官が担う役割、基本的な流れ、具体的な質問例としてはいけない質問、実施する上での注意点を紹介します。
新卒採用で面接官が担う役割

新卒採用で面接官が担う主な役割は、以下の5つです。
応募者の能力や適性の見極め
面接官の重要な役割のひとつは、応募者の持つ能力や適性を的確に見極めることです。
単に学歴や履歴書に記載された内容に頼るのではなく、応募者の発言や聞き出したエピソードからコミュニケーション力、問題解決力、リーダーシップなどのスキルを把握し、評価することが求められます。
また、自社の企業文化やチーム内でどのように適応できそうかの判断も重要です。質問を通して具体的な経験を掘り下げ、応募者の考え方や行動パターンを理解することで、応募者がその自社に適しているかどうかを見極めます。
本音で話しやすい雰囲気づくり
応募者が面接で自らの本音を話せるかどうかは、面接官がつくる雰囲気に大きく左右されます。
必要以上の緊張感が漂う面接では、応募者が本来の強みや本音を十分に語れず、正確な評価が難しくなる場合があります。面接官は、ある程度リラックスした環境を提供し、応募者が自然体で話せるように配慮することが求められます。
例えば、アイスブレイクとして軽い雑談を交えたり、応募者の発言に対して肯定的なフィードバックを与えたりすることで、応募者が安心して話せるようになるでしょう。こうした雰囲気づくりが、応募者の本音を引き出すために重要です。
面接の円滑な進行と時間管理
面接官は、面接がスムーズに進行するよう全体を取り仕切る役割も担います。応募者ごとに割り当てられる時間が限られるため、面接が時間内に終わるように采配・調整を行わなければなりません。
質問の順番や内容は事前に用意しておき、確認ポイントを押さえつつ、応募者の回答に応じて柔軟な対応を行います。その上で、面接の進行を妨げないよう不要な雑談や話題の脱線などは避け、要点を押さええたやり取りを展開して、時間を意識しながら質の高い面接を実現するバランスが求められます。
応募者の不安点や疑問点の解消
新卒応募者は、自社や業務に対して多くの不安や疑問を抱えているケースが少なくありません。面接官は、応募者が持つこうした不安点や疑問点を解消する役割を果たします。応募者が質問しやすい雰囲気を作り出すとともに、丁寧かつ具体的な回答を提供することが大切です。
また、制限時間に支障をきたさない範囲で、説明会などで伝えきれなかった詳細情報や、応募者が気になっている業務内容、キャリアパスについても説明し、応募者が入社後のイメージを持てるようにすることが重要です。
こうしたプロセスを通して、応募者に安心感を与えられれば、志望度の向上にもつながるでしょう。
応募者の入社意欲の喚起
応募者の入社意欲を高めることも面接官の重要な役割です。
学生優位の売り手市場が続く昨今においては、新卒採用の面接は「企業が学生を見極める場」であると同時に「学生が企業を見極める場」でもあります。面接官である自らの言動に注意しつつ、自社の魅力や成長機会を強調し、応募者が「この会社で働きたい」と思うようなポジティブな印象を与えることが求められます。
とくに、新卒応募者はキャリアのスタート地点に立つため、企業が提供する研修制度やキャリアサポート体制について具体的に伝えて、将来の展望を描いてもらうのが効果的です。
新卒採用の面接の基本的な流れ6ステップ

新卒採用の面接の基本的な流れを、6ステップで紹介します。
1. アイスブレイク・面接官の自己紹介
面接の最初に、アイスブレイクと面接官の自己紹介を行います。このステップの1番の目的は、応募者の緊張を和らげることです。
面接官は自分の名前、役職、所属部署、面接の流れを簡単に説明しながら、リラックスした雰囲気を作り出しましょう。
軽い雑談や応募者の当日の様子(天気や会場までの移動手段など)に触れることで、会話の糸口をつかみ、応募者が安心して話しやすい環境を整えることができます。ここでの雰囲気がその後の面接の進行にも大きな影響を与えます。
2. 学生による自己紹介・自己PR
次に、応募者に自己紹介や自己PRをしてもらいます。このステップでは、応募者の学歴や強みなど今後のやり取りの軸となる基本情報を把握します。手元にある履歴書やエントリーシートとの一貫性を確認しながら、次の展開に備えましょう。
とりわけ自己PRでは、自分の特技やスキル、これまでに達成した成果などをアピールし、自分が会社にどのように貢献できるかを示してもらいます。面接官は自己PRを通して、応募者の表現力やコミュニケーション能力、また準備の度合いを見極めることができます。ここで応募者が自己を的確にアピールできているか、ハキハキと話せているかなども、重要な指標となります。
3. 志望動機などの基本的な質問
自己PRの後には、志望動機や企業選びの基準、長所・短所など、基本的な質問を行います。このステップで、応募者がなぜその企業を選んだのか、どういった価値観を持っているのか、自己分析レベルの深さなどを把握します。
特に自社の企業文化にフィットするか、長期的に働けるかどうかを見極めるために、応募者の価値観と企業のビジョンや方針が一致しているかを確認することが重要です。質問の回答内容から、応募者の企業や業界に対する理解度および関心度も判断できます。
4. 能力や適性、性格を知るための質問
基本的な質問に続いて、応募者の能力や適性、性格を知るためのより具体的な質問を行います。
ここでは、過去の経験や実績に基づいた行動面接形式で質問することが一般的です。例えば、「困難な状況をどう乗り越えたか」「チームでの役割をどのように果たしたか」など、応募者の過去の行動や判断基準を基に、職場での適性を見極めます。あわせて、応募者の柔軟性や問題解決能力、対人スキルを把握することも目的です。
これらの質問を通じて、応募者が企業でどのような役割を果たせるかを予測します。
5. 応募者からの逆質問
面接の終盤では、応募者に対して逆質問の機会を設けましょう。
この逆質問の時間は、応募者にとっては、企業について知りたいことを確認できる貴重な機会です。面接官は、応募者の質問内容から、応募者がどの程度企業に興味を持っているか、また事前にどれだけのリサーチを行ったかを評価します。
具体的には、企業のビジョンや成長戦略に対する質問、部署や業務の具体的な内容に関する逆質問がなされます。逆質問を通じて、応募者の本音や価値観が見えてくることもあるため、面接官にとっても重要なフェーズであると理解しておきましょう。
6. 締めくくりと事務的な連絡
面接の最後に、面接官がまとめとして感謝の意を述べ、応募者に対して今後のプロセスについての事務的な連絡を行います。選考結果の連絡時期や方法、次の選考ステップの詳細などを説明し、応募者が安心して選考を待てる状態にしておくことが大切です。
そして応募者に最終的な質問がないかを確認し、問題がなければ面接を締めくくります。円滑なコミュニケーションで最後まで丁寧に対応することで、応募者に対して良い印象を残し、面接全体の流れをポジティブに終えることができます。
また、学生に面接に関するフィードバックを行う企業も増えています。例えば、「面接内で評価した能力や特性とそのエピソード」「それらが自社で役立つ理由、入社後にどう活かせるか」などを伝えます。志望度アップにも有効です。学生から面接官にフィードバックを求めるケースもあるため、面接官はその心づもりをしておきましょう。
新卒採用の面接における質問例
新卒採用の面接における質問例を、4つの分類別で紹介します。面接での質問を準備する際の参考としてお役立てください。
基本的な質問
基本的な質問では、応募者の動機や将来のビジョンを理解するために、一般的な内容を中心に確認します。
- 「自己紹介をお願いします」
- 「当社を志望した理由を教えてください」
- 「学生時代に最も力をいれたことは何ですか?」
- 「あなたの強みと弱みを教えてください」
- 「これまでのアルバイトやインターン経験で学んだことは何ですか?」
- 「今後のキャリアプランや目標について教えてください」
能力に関する質問
能力に関する質問では、応募者の実務におけるスキルや問題解決能力を評価するための質問を行います。
- 「チームでのプロジェクトでどのような役割を果たしましたか?」
- 「問題が発生した際にどのように対処しましたか?」
- 「ストレスの多い状況でどのように仕事を進めましたか?」
- 「学業や課外活動でどのように優先順位をつけて取り組んできましたか?」
- 「新しいスキルを習得した経験を教えてください」
- 「締め切りが迫っている中で複数のタスクをどう管理しましたか?」
自社への適性に関する質問
自社への適性を探るための質問では、企業文化や職場環境とのフィット感を確認するための質問が中心となります。
- 「当社のビジョンや事業内容についてどのように感じていますか?」
- 「あなたが当社で貢献できると思う点は何ですか?」
- 「当社の業務内容についてどの部分に興味を持ちましたか?」
- 「当社のどのような点に魅力を感じましたか?」
- 「当社での仕事で、あなたが最もやりがいを感じるのはどんな場面だと思いますか?」
- 「チームワークが求められる環境にどのように対応しますか?」
性格に関する質問
性格に関する質問では、応募者の個人としての特性やコミュニケーションスタイル、価値観などを深堀りします。
- 「あなたを一言で表現するとどうなりますか?」
- 「友人や同僚からどのような性格だと言われますか?」
- 「自分自身のモチベーションをどのように維持していますか?」
- 「困難な状況に直面した時、どのように乗り越えますか?」
- 「一番やりがいを感じた経験は何ですか?」
- 「周囲の人との関係性を築く上で、大切にしていることは何ですか?」
新卒採用の面接でしてはいけない質問集
新卒採用の面接で「してはいけない質問」について、具体的に紹介します。
採用過程における質問内容が不適切な場合、応募者に不快感を与え、企業のイメージにも悪影響を及ぼします。また、質問内容によっては、労働法や個人情報保護の観点から違法と見なされる可能性もあります。
そのため、以下のような質問は避けるべきです。
プライバシーに関する質問
- 「家族構成を教えてください」
- 「結婚の予定はありますか?」
- 「宗教や信仰はありますか?」
- 「恋人はいますか?」
- 「ご両親の職業は何ですか?」
性別や外見に関する質問
- 「男性(女性)だからこその強みはありますか?」
- 「その髪型は変える予定ですか?」
- 「体力的に男性(女性)の方が向いている職種ですが、どう思いますか?」
出身地や国籍に関する質問
- 「どこの県の出身ですか?」
- 「名前の由来は何ですか?」
- 「外国にルーツがあるようですが、両親はどこの国の出身ですか?」
生い立ちに関する質問
- 「幼少期にどんな問題を抱えていましたか?」
- 「どうして大学に遅れて入学したのですか?」
健康状態や障害に関する質問
- 「最近病気になったことはありますか?」
- 「持病やアレルギーなどがありますか?」
- 「長時間の仕事に耐えられそうですか?」
価値観を押し付ける質問
- 「飲み会が多いですが、参加できますか?」
- 「休日にも仕事ができる人が理想的ですが、どう思いますか?」
新卒採用の面接で注意すべきポイント
前項目で紹介した「してはいけない質問」以外にも、新卒採用の面接で注意すべきポイントがあります。具体的には、以下の通りです。
不信感を与える態度や言動をとらない
面接官の態度や言動は、応募者に大きな影響を与えます。応募者に不信感を抱かせないためには、敬意を持って接し、上から目線や威圧的な態度を避けることが重要です。
例えば、面接中に頻繁に時計を見たり、眉間にしわを寄せたり、無表情で対応したりすると、不快な印象を与える可能性があります。応募者の話をしっかり聞き、適切なリアクションを心がけることが大切です。
自社の採用要件に基づいた質問する
採用要件とは、採用を行う際に自社が人材に求める各基準を定義したものです。例えば、コミュニケーション能力やマネジメント能力の高さ、特定の資格・スキルの有無、積極性や協調性といった志向性などが挙げられます。
面接ではこの採用要件に基づいて、求める能力や適性を図るための質問をすることが求められます。仮に業務においてチームワークが重視されるなら、「チームで達成した成果やそのエピソード」について質問し、求める能力に対する評価を行います。
応募者の能力や志向性が自社にマッチするかどうかを見極めるためには、具体的な採用要件を基に質問を組み立てる必要があります。採用要件の設定方法について、より詳しく知りたい場合はこちらの記事もご覧ください。
採用要件とは?作り方や注意点、具体例、フォーマットを紹介 | 株式会社ダイレクトソーシング
エントリーシートや履歴書との一貫性を確認する
面接では、エントリーシートや履歴書に書かれた内容と応募者の話に一貫性があるかを確認することも大切です。
応募者が書面に記載した情報が正確であり、実際の経験やスキルが一致しているかを確かめることで、信頼性を判断できます。また、詳細な質問を通じて応募者の経験を深掘りし、本当に自社に適した人材であるかを見極めることが可能です。
誘導的な質問を避ける
面接での質問は、応募者の自発的な考えや意思を引き出すためのものであり、誘導的な質問を避けなければなりません。
例えば、「このように感じましたよね?」や「こうするのが当然だと思いますよね?」という質問は、応募者が自分の意見を述べる機会を奪ってしまいます。回答内容の偏りを誘発する質問を避け、応募者の考え方や価値観を正確に理解できるよう努めましょう。
言葉以外から学生の真意を読み取る
面接中は、応募者の言葉だけでなく、「表情」「仕草」「声のトーン」など非言語的な要素にも注意を払いましょう。特に面接のような緊張しやすい場面では、話の内容よりも表情や態度、しぐさなどが本音を読み取る重要なヒントとなります。
例えば、「目をあわせない」場合は自信の無さが表れている場合が多く、「声のトーンが一定で抑揚がない」場合は覚えた回答内容を淡々と述べている可能性があります。他にも「終始ソワソワしている」場合は緊張しやすい・集中力に欠けるなどが考えられます。
質問に対する応答が曖昧でも、非言語の領域を注視することで、応募者の真意を理解する手助けとなります。
まとめ
新卒採用の面接において、面接官は「応募者の能力や適性の見極め」「本音で話しやすい雰囲気づくり」「面接の円滑な進行と時間管理」「応募者の不安点や疑問点の解消」「応募者の入社意欲の喚起」など、重要な役割を担います。面接官を自らが担当する際や依頼する際には、これらの役割を果たせるように留意しましょう。
新卒採用面接は、「1.アイスブレイクと面接官の自己紹介」から始まり、「2.学生の自己紹介・自己PR」「3.志望動機などの基本的な質問」「4.能力や適性、性格を知るための質問」と進めていきます。そして「5.応募者からの逆質問」に答えた後、「6.締めくくりと事務的な連絡」で終了です。なお、質問の用意や逆質問の想定など、事前準備は欠かせません。
本文内では「新卒採用の面接のおける質問」と「してはいけない質問」をそれぞれ紹介しています。最後に紹介した「新卒採用の面接で注意すべき点」とあわせて、ぜひ参考にしてください。
また弊社は、過去60万件・全40媒体以上の採用データや支援実績を基に、人材獲得競争の激しい採用市場でも成果につなげやすいダイレクトリクルーティングの支援を行っています。
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竹村 朋晃
著者プロフィール 竹村 朋晃(Tomoaki Takemura)
株式会社ダイレクトソーシング 代表取締役CEO
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2005年に野村総合研究所に入社。大手損害保険会社のシステム設計・開発に従事し、エンジニアとしてのキャリアをスタート。 2015年、ダイレクトソーシングの可能性に着目し、株式会社ダイレクトソーシングを創業。データドリブンな採用を軸に、候補者データの構造化、スカウト改善、タレントプール構築などを通じて、累計500社以上の採用支援を行う。 2017年よりLinkedIn公式パートナーとして、日本企業へのLinkedIn活用を支援。2025年には「LinkedIn Student Career Week」を主催し、5,000名超の学生と40社超の企業をマッチングさせるなど、イベントプロデュースでも実績多数。 「Stand Alone Complex Society(個が独立し共創する社会)」の実現を掲げ、採用における価値創造を追求している。 趣味はウェイクボードとテニス。お台場在住。技術と営業を横断する“ハイブリッド人材”として、採用の進化に挑み続けている。
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