製薬業界のダイレクトリクルーティング | 株式会社ダイレクトソーシング
ダイレクトリクルーティング
2026.07.24

製薬業界のダイレクトリクルーティング

製薬業界のダイレクトリクルーティングとは、メディカルアフェアーズ・臨床開発・薬事・デジタルなどの専門人材に対し、企業が求人応募を待たずにLinkedInやビズリーチなどのスカウト媒体で直接アプローチする採用手法です。MRは10年以上減少傾向が続き、営業中心からメディカルアフェアーズ・デジタル・データサイエンスへと人材ポートフォリオの転換が進む今、製薬企業が必要とする専門人材ほど転職市場に出てきません。だからこそ、転職潜在層に直接届くダイレクトリクルーティングは、製薬・ヘルスケア企業の採用戦略において「あれば良い施策」ではなく必須手段になっています。本記事では、製薬特有の採用課題、狙う人材プール、スカウトメディアの使い分け、文面のコツ、支援サービスの活用法まで実務目線で整理します。

「メディカルアフェアーズの求人を出しても応募がほぼ来ない」「データサイエンティストを募集するとIT企業と比較されて負けてしまう」「外資製薬はスカウトでどんどん採っているのに、自社はエージェント頼みのまま」——。製薬会社・ヘルスケア企業の人事責任者やタレントアクイジション担当者から、当社にはこうしたご相談が年々増えています。

背景にあるのは、業界全体の構造変化です。営業体制のスリム化でMRからのキャリア転換が進む一方、メディカルアフェアーズ(MSL)・薬事・ファーマコヴィジランス(PV)・デジタルといった職種の需要は高まり続けています。母数が少なく、現職に在籍したまま動かない専門人材を採るには、「待ちの採用」から「攻めの採用」への切り替えが避けて通れません。製薬 中途採用の主戦場は、求人媒体から候補者データベースへと移っています。

本記事は、日本初のLinkedIn公式パートナーとして300社以上を支援し、60万件超のスカウト運用データを持つ株式会社ダイレクトソーシングが執筆しています。当社は外資大手製薬のアッヴィ社のダイレクトリクルーティング支援事例をはじめ、製薬・ヘルスケア領域の採用支援経験をもとに、業界特化の実務ノウハウをまとめました。

製薬業界のダイレクトリクルーティング完全ガイド2026 メディカルアフェアーズ・デジタル・開発人材を直接採用する方法

✅ この記事でわかること

✔️ 製薬特有の採用課題4つ 専門人材の希少性・IT業界との競合・内資と外資の違い・情報発信の制約
✔️ 人材プールマップ 同業・CRO/CDMO・アカデミア・IT/コンサル・LinkedIn英語圏人材のどこを狙うか
✔️ スカウトメディアの使い分け LinkedIn・ビズリーチ・業界特化媒体を用途別に組み合わせる方法
✔️ 文面5つのコツ 疾患領域・パイプライン・キャリアパス・英語文面で返信率を高める書き方
✔️ 90日立ち上げロードマップ 設計→パイロット→拡大の3フェーズと支援サービスの活用法

📌 この記事はこんな方におすすめです

  • メディカルアフェアーズ・薬事・PV・臨床開発の採用に苦戦している製薬会社の人事責任者の方
  • デジタル・データサイエンス人材の採用でIT業界との競合に悩むタレントアクイジション担当者の方
  • 外資製薬 採用の動きに学び、自社でもダイレクトリクルーティングを立ち上げたい内資製薬の方
  • ヘルスケア 採用戦略を「エージェント依存」から「自社採用力」へ転換したい経営・人事の方
⚡ 5行で読む結論

  • 製薬の採用は人材ポートフォリオ転換期:MR中心からメディカルアフェアーズ・デジタル・開発へ。必要な人材ほど転職市場に出てこない
  • 狙う人材プールは5つ:同業他社・CRO/CDMO・アカデミア・IT/コンサル、そしてLinkedIn上の英語圏メディカル人材
  • 媒体は用途で使い分ける:LinkedIn=外資系・英語・グローバル、ビズリーチ=管理職・スペシャリスト、業界特化媒体=MR・薬剤師系(順位付けではありません)
  • 文面は「疾患領域×パイプライン×キャリアパス」:候補者の専門性に寄り添う具体性が返信率を左右する
  • 立ち上げは90日計画:設計→パイロット→拡大。工数と専門性が足りなければアッヴィ社の事例のように支援サービスの活用が近道

製薬業界でダイレクトリクルーティングが必要になった3つの背景

結論から言うと、「人材ポートフォリオの転換」「専門人材の構造的な希少性」「外資系製薬の先行」という3つの業界変化が、製薬企業にダイレクトリクルーティングへの移行を迫っています。ダイレクトリクルーティング市場全体も、矢野経済研究所の調査で2023年度1,074億円(前年度比23.2%増)、2024年度見込1,275億円(同18.7%増)と拡大を続けており、製薬・ヘルスケアはその中でも活用が進む業界のひとつです。

背景1:MR中心からメディカル・デジタルへの人材ポートフォリオ転換

MRは10年以上減少傾向が続き、デジタルチャネルによる情報提供や営業体制の再編が進んでいます。一方で、エビデンスに基づく医科学的対話を担うメディカルアフェアーズ(MSL)、リアルワールドデータやAI創薬を扱うデータサイエンス、DX推進などの職種は需要が拡大し続けています。つまり製薬の中途採用は、「同じ職種の欠員補充」から「これまで社内にいなかった職種の新規獲得」へと質が変わりました。社内に前例のない職種は要件定義も母集団形成も難しく、従来の求人広告・エージェント頼みでは埋まりにくいのです。

背景2:専門人材は「転職市場に出てこない」構造

メディカルアフェアーズ・薬事・PV・臨床開発などの専門職は、業界内でも母数が限られるうえ、多くが現職で処遇されており転職サイトに登録しません。この転職潜在層に届く手段は、データベース上で見つけて直接声をかけるスカウト型採用が実質的に唯一の選択肢です。「良いオファーがあれば話を聞く」層は、応募は来ないがスカウトには反応する——これが製薬業界でダイレクトリクルーティングが機能する構造的な理由です。

背景3:外資系製薬はダイレクトリクルーティング活用の先行者

外資系製薬は、グローバル本社の採用文化としてLinkedInを軸にしたタレントアクイジション体制を早くから整えており、日本法人でもソーサーやリクルーターが候補者へ直接アプローチする運用が標準化しています。同じ候補者プールを奪い合う内資製薬が「求人を出して待つ」ままでは、接点の段階で不利になります。当社が支援した外資大手製薬のアッヴィ社の事例のように、先行企業は外部支援も活用しながらスカウト運用を仕組み化しています。この動きに学ぶことが、内資・ヘルスケア企業の採用戦略の出発点になります。

製薬業界に特有の採用課題4つ

製薬業界のダイレクトリクルーティングには、「専門人材の希少性」「デジタル人材のIT業界との競合」「内資と外資の見られ方の違い」「情報発信の制約」という4つの特有課題があります。この4つを前提に設計しないと、他業界の成功パターンをそのまま持ち込んでも機能しません。

製薬業界に特有の採用課題4つ メディカルアフェアーズ等専門人材の希少性 デジタル人材のIT業界との競合 内資と外資の違い 情報発信の制約

課題1:メディカルアフェアーズ・薬事・PVなどの専門人材が市場に少ない——職種自体の母数が希少で、経験者の多くは現職に在籍したまま。メディカルアフェアーズ 採用では「応募を待つ」設計そのものが成立せず、転職潜在層への直接アプローチが前提になります。
課題2:デジタル・データ人材はIT業界と比較される——データサイエンティストやDX人材にとって、比較対象は他の製薬会社ではなくIT企業やコンサルファーム。処遇・開発環境・技術的裁量が同じ土俵で評価されるため、「ヘルスケアデータでしかできない仕事の面白さ」を言語化して訴求する必要があります。
課題3:内資と外資で処遇・カルチャーの見られ方が違う——外資製薬は裁量と報酬、内資は安定性と長期育成という期待値で見られがちです。候補者がどちらの出身かで刺さる訴求は変わるため、同じスカウト文面を全員に送る運用では返信率が伸びません。
課題4:コンプライアンス・薬機法など情報発信の制約——医薬品の広告規制やコンプライアンス文化から、採用広報の発信が慎重になりがちです。製品効能の宣伝と誤解されうる表現を避けつつ、パイプラインや疾患領域への貢献など「事実ベースの魅力」をどう伝えるかの設計力が問われます。

これらの課題は、裏を返せば設計次第で差がつくポイントでもあります。多くの製薬企業がまだスカウト運用を体系化できていない今こそ、先に仕組みを作った企業が専門人材プールへの接点を握ります。ダイレクトリクルーティングが伸び悩む典型原因と対処はダイレクトリクルーティング停滞の記事でも解説しています。

狙う人材はどこにいるか|製薬業界の人材プールマップ

製薬業界が狙うべき人材プールは、「同業・製薬他社」「CRO・CDMO」「アカデミア・医療機関」「IT・コンサル業界」の4つに、「LinkedIn上の英語圏メディカル人材」を加えた5つで整理できます。職種ごとに主戦場となるプールが異なるため、採りたい職種→いるプール→使う媒体の順で設計するのが正解です。

製薬業界が狙う人材プールマップ 同業製薬他社 CRO・CDMO アカデミア医療機関 ITコンサル業界 LinkedInの英語圏メディカル人材

プール1:同業・製薬他社——MA・薬事・PV・開発の経験者層

即戦力の経験者が最も厚いのは、当然ながら内資・外資の製薬他社です。在籍中の転職潜在層が大半のため、求人ではなくスカウトでしか接点を作れません。外資出身者に内資の魅力を、内資出身者に外資的な裁量を訴求するなど、出身企業タイプ別の文面設計が返信率の鍵になります。また、営業体制の再編が続く中で、MRから
メディカルアフェアーズやデジタル職種へのキャリア転換を志向する層も有力なターゲットです。MRのキャリアの受け皿を用意できる企業は、ポテンシャル採用の母集団を大きく広げられます。

プール2:CRO・CDMO——事業会社志向の即戦力

臨床開発モニター(CRA)やデータマネジメント、品質・製造技術の経験者は、CRO(開発受託)・CDMO(製造受託)に多く在籍しています。「受託側から事業会社側へ」というキャリア志向を持つ層は、スカウトへの反応が比較的良いのが特徴です。プロジェクト単位の経験の幅広さを評価し、自社パイプラインに腰を据えて関われる魅力を伝えると刺さります。

プール3:アカデミア・医療機関——MSL候補・研究人材の供給源

MSLやリサーチ系ポジションでは、大学・研究機関の博士人材、医療機関の薬剤師・研究医が重要な供給源です。この層は転職サイトにほぼ登録していない一方、研究者ネットワークやLinkedInにはプロフィールが存在することが多く、ダイレクトリクルーティングとの相性が良いプールです。アカデミアから企業への転身に対する不安(研究の自由度・キャリアの可逆性)に先回りして答える文面が有効です。

プール4:IT・コンサル業界——デジタル・データ人材の主戦場

データサイエンティスト・エンジニア・DX推進人材は、IT企業・コンサルファームから採ることになります。「ヘルスケアという社会的意義×大規模リアルワールドデータ」は、IT業界からの転身動機として実際に機能する訴求軸です。ただし選考スピードや処遇レンジがIT業界標準とずれていると、興味を持たれても決まりません。採用プロセス自体を競合業界に合わせて設計し直す覚悟が必要です。

プール5:LinkedInの英語圏メディカル人材——世界13億人のプール

世界13億人・日本500万人のユーザーを持つLinkedInには、英語圏のメディカル・デジタル人材、外資系経験者、海外在住の日本人研究者まで、国内媒体では出会えないグローバル人材のプールが広がっています。グローバル開発体制やメディカル部門の英語ポジションでは、最初からLinkedInを軸に設計するのが近道です。LinkedInの基礎と活用法はLinkedInとは?の記事で詳しく解説しています。

スカウトメディアの使い分け|LinkedIn・ビズリーチ・業界特化媒体

スカウトメディアは「どれが一番良いか」ではなく「どの人材プールに届くか」で使い分けます。LinkedInは外資系・英語・グローバルメディカル人材、ビズリーチは国内の管理職・スペシャリスト、業界特化媒体はMR・薬剤師系というのが基本の整理です(用途の違いによる整理であり、順位付けではありません)。

媒体タイプ主に届く人材プール製薬での代表的な用途
LinkedIn外資系経験者・英語人材・海外在住者・グローバルメディカル/デジタル人材MSL・メディカルディレクター・グローバル開発・データサイエンスの英語ポジション
ビズリーチなど国内ハイクラス媒体国内の管理職・スペシャリスト・ミドル〜ハイクラス転職顕在層薬事・PV・臨床開発のマネージャー、経営企画・事業開発ポジション
業界特化媒体MR・薬剤師・医療系資格保有者など業界内の顕在・準顕在層MR経験者のキャリア転換採用、薬剤師系ポジション、営業組織の補強

※ 各媒体タイプの特徴は用途の違いを整理したもので、優劣や順位付けではありません。募集職種・ターゲットにより最適な組み合わせは変わります。

実務上のポイントは、1媒体に絞らず「職種×プール」で2〜3媒体を併用し、返信率・面談化率のデータで配分を見直していくことです。当社は40種以上の採用メディアに対応しており、60万件超のスカウト運用データから職種ごとの相性を踏まえた媒体設計をご提案しています。媒体を横断した運用管理の方法はスカウト一元管理の記事をご参照ください。

製薬向けスカウト文面5つのコツ

製薬業界のスカウト文面は、「疾患領域を件名に入れる」「パイプラインの魅力を具体的に語る」「キャリアパスの透明性」「英語文面の使い分け」「事実ベースで誠実に語る」の5つで返信率が大きく変わります。専門人材ほど「自分の専門性を理解した上での連絡か」を瞬時に見分けるため、テンプレート感のある文面は開封されても返信されません。

製薬業界向けスカウト文面5つのコツ 疾患領域を件名に パイプラインの魅力 キャリアパスの透明性 英語文面の使い分け 事実ベースの訴求

コツ1:候補者の疾患領域を件名に入れて「自分宛て」と伝える

「オンコロジー領域のメディカル経験をお持ちのあなたへ」のように、候補者が積み上げてきた疾患領域・モダリティを件名と冒頭に明示するだけで、開封後の読了率が変わります。プロフィールの学会発表・論文・担当領域に触れられれば、「大量送信ではない」ことが一目で伝わります。

コツ2:パイプライン・注力領域の魅力を具体的に語る

製薬人材の転職動機の中心は「どの領域の、どんな開発に関われるか」です。公表されている開発パイプラインや注力疾患領域を根拠に、「入社したら何に携われるか」を具体的に書くことが最大の訴求になります。「成長中の会社です」といった抽象的な言葉より、事実としてのパイプラインが専門人材には響きます。

コツ3:キャリアパスの透明性を示す

MRからメディカルアフェアーズへ、CRAから開発リーダーへ、アカデミアからMSLへ——「この会社に移ったら自分のキャリアがどう広がるか」の道筋を、役割の変化と時間軸で示すことが、在籍中の潜在層を動かします。特にキャリア転換を伴うポジションでは、育成体制や先行者の存在に触れると不安が下がります。

コツ4:英語文面と日本語文面を使い分ける

LinkedInで外資出身者・海外在住者・英語圏メディカル人材にアプローチする場合、最初から英語文面(または日英併記)で送る方が自然に届きます。グローバルポジションなのに日本語のみの文面では、働く言語環境が伝わらず機会損失になります。逆に国内媒体の日本語ネイティブ層には、丁寧な日本語文面が基本です。ターゲットごとのテンプレートを分けて管理しましょう。

コツ5:誇大表現を避け、事実ベースで誠実に語る

コンプライアンス意識の高い製薬人材には、誇大な表現はむしろ逆効果です。公表情報・事実・データで語る文面は、それ自体が「この会社はコンプライアンスがしっかりしている」というメッセージになります。薬機法・広告規制の観点からも、製品の効能効果を宣伝するような表現は避け、事業・組織・役割の事実を伝える構成にしてください。文面改善の一般論はスカウト返信率の記事で詳しく解説しています。

支援サービスの活用法|アッヴィ社の事例に学ぶ

製薬のダイレクトリクルーティングは「専門職種の理解×スカウト運用の技術」の掛け算が必要なため、立ち上げ期は外部支援を活用して型を作り、内製化していくのが現実的な進め方です。支援サービスは「RPO(採用代行)=実行リソース」「運用支援=成果の質」「ATS(採用管理ツール)=データ基盤」の3タイプに整理でき、役割の違いで組み合わせます。

当社ダイレクトソーシングは、外資大手製薬のアッヴィ社のダイレクトリクルーティング支援事例をはじめ、製薬・ヘルスケア領域でのスカウト運用支援の実績があります。外資製薬のタレントアクイジション体制の中で外部パートナーがどう機能するかは、この事例が具体的なイメージになるはずです。

支援タイプ担う役割費用相場製薬での使いどころ
RPO(採用代行)検索・送信・日程調整の実行代行月額30万〜100万円TA専任者が足りない立ち上げ期の実行力補強
運用支援(LinkedIn運用支援など)媒体戦略・文面設計・返信率改善月額20万〜80万円英語文面・グローバル人材・専門職種の訴求設計
ATS(採用管理ツール)候補者・選考データの一元管理月額数万〜数十万円複数媒体・複数部門のタレントプール管理

人材紹介の手数料相場が理論年収の35〜40%/名であることを考えると、年収800万円のメディカル人材を数名採るだけで、ダイレクトリクルーティング体制の年間運用費を上回る紹介手数料が発生します。エージェントを否定するのではなく、エグゼクティブや超急募はエージェント、継続採用ポジションは自社スカウトという使い分けが、ヘルスケア企業の採用戦略として費用対効果に優れます。3タイプの詳しい使い分けは採用代行3タイプの記事大企業のダイレクト採用支援選び方の記事をご覧ください。

90日立ち上げロードマップ|設計→パイロット→拡大

製薬企業のダイレクトリクルーティングは、「Day 1-30 設計・準備」「Day 31-60 パイロット運用」「Day 61-90 拡大・定着」の90日計画で立ち上げるのが標準です。最初から全職種で始めず、1〜2職種のパイロットで返信率の実測値を作ってから広げると、社内の合意形成も現場定着も進めやすくなります。

製薬業界のダイレクトリクルーティング90日立ち上げロードマップ 設計準備 パイロット運用 拡大定着

Day 1-30:設計・準備——職種・媒体・発信ルールを固める

ターゲット職種の要件定義(ペルソナ・必須/歓迎条件・想定プール)、媒体選定とライセンス契約、そして製薬ならではの重要タスクとして、法務・コンプライアンス部門と連携した情報発信ルールの整備をこの期間に済ませます。スカウト文面の初期テンプレート(日本語・英語)もここで用意します。

Day 31-60:パイロット運用——1〜2職種で実測値を作る

メディカルアフェアーズとデータサイエンスなど、緊急度と学習効果の高い1〜2職種に絞って送信を開始します。返信率・面談化率を週次で計測し、疾患領域の書き方や日英文面のABテストで「自社に効く型」を見つけるのがこのフェーズの目的です。返信があった候補者・なかった候補者の属性分析も、次の30日の精度を上げる材料になります。

Day 61-90:拡大・定着——タレントプールとKPI運用を仕組みに

パイロットで検証した型を他職種・他部門へ展開し、「今すぐ転職しないが接点を持てた候補者」をタレントプールとして継続管理する仕組みを作ります。KPIレポートを定例化し、外部支援を使っている場合は内製化する範囲と継続を依頼する範囲をここで見直します。90日サイクルの運用詳細は採用90日運用の記事を、支援会社を選定する場合の要件整理はベンダー選定RFPの記事をご参照ください。

製薬企業がやりがちな失敗パターン4つと対策

製薬業界のダイレクトリクルーティングの失敗は、「全職種同じ文面」「IT人材への業界内基準の適用」「コンプライアンスを理由に発信ゼロ」「担当者の片手間運用」の4パターンに集約されます。いずれも立ち上げ時の設計で回避できます。

❌ 失敗1:全職種に同じスカウト文面

MSLにもデータサイエンティストにも同じ会社紹介文面を送り、専門人材に「大量送信」と見抜かれて返信されない。

✅ 対策:職種×出身プール(内資/外資/CRO/アカデミア/IT)ごとに訴求軸と文面テンプレートを分けて管理する。
❌ 失敗2:デジタル人材に業界内の常識を適用

選考に1ヶ月以上かけ、処遇も業界内基準のままで、IT企業と並行して受けている候補者を逃し続ける。

✅ 対策:デジタル職種は選考スピード・処遇レンジ・技術環境の説明を競合するIT業界の水準に合わせて再設計する。
❌ 失敗3:コンプライアンスを理由に発信ゼロ

「薬機法があるから」と採用広報を止めてしまい、候補者が企業を調べても働く姿を想像できる情報が何もない。

✅ 対策:法務・コンプライアンスと発信ガイドラインを先に合意し、「製品宣伝ではなく組織・人・仕事の発信」を継続する。
❌ 失敗4:担当者の片手間運用で止まる

媒体契約はしたものの、検索・文面作成・追客の工数を確保できず、送信数もデータ蓄積も中途半端なまま停滞する。

✅ 対策:専任工数を確保するか、立ち上げ期はRPO・運用支援で実行力を補い、型ができてから内製化する。

まとめ|人材ポートフォリオ転換期こそ「攻めの採用」への投資を

製薬業界のダイレクトリクルーティングは、MR中心からメディカル・デジタルへの人材ポートフォリオ転換を進める企業にとって、転職市場に出てこない専門人材へ届く実質唯一の手段です。「特有課題4つを前提に設計する」「職種ごとに人材プールと媒体を対応させる」「疾患領域×パイプライン×キャリアパスで文面を書く」「90日計画でパイロットから立ち上げる」——この4点を押さえれば、外資製薬が先行してきたスカウト型採用は内資・ヘルスケア企業でも確実に機能します。

当社ダイレクトソーシングは、日本初のLinkedIn公式パートナーとして、300社以上の支援実績と60万件超のスカウト運用データをもとに、アッヴィ社の支援事例のような外資製薬から、これから立ち上げる内資企業まで、製薬・ヘルスケアのダイレクトリクルーティングを媒体選定から文面設計・運用・内製化まで一気通貫で支援しています。40種以上の採用メディアに対応しているため、LinkedInに限らず貴社の職種構成に合う設計からご相談いただけます。

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  • 日本初のLinkedIn公式パートナー——英語人材・グローバルメディカル人材の採用に強い
  • 300社以上の支援実績——アッヴィ社など製薬・ヘルスケア領域の支援経験
  • 40種以上の採用メディア対応——媒体に中立な立場で最適な組み合わせを設計

よくある質問(FAQ)

Q製薬業界でダイレクトリクルーティングは有効ですか?
A

有効です。メディカルアフェアーズ・薬事・PV・臨床開発などの専門人材は母数が少なく、多くが現職に在籍したまま転職サイトに登録しないため、求人応募を待つ採用では接点を作れません。転職潜在層にデータベース上で直接アプローチできるダイレクトリクルーティングは、こうした職種に届く実質的に唯一の手段であり、外資系製薬では既に標準的な採用手法になっています。
Qメディカルアフェアーズ(MSL)人材はどうやって採用すればいいですか?
A

同業他社の経験者に加え、大学・研究機関の博士人材や医療機関の薬剤師・研究医といったアカデミア層まで人材プールを広げるのが基本戦略です。この層はLinkedInや研究者ネットワーク上で見つけやすく、スカウト文面では候補者の疾患領域・研究テーマへの言及と、企業でのキャリアパスの透明性を示すことが返信率を左右します。
QMR経験者はダイレクトリクルーティングの採用対象になりますか?
A

なります。MRは10年以上減少傾向が続き、メディカルアフェアーズ・デジタル・カスタマーエンゲージメントなどへのキャリア転換を志向する層が増えています。疾患知識と医療現場との対話経験を持つMR経験者は、キャリアパスと育成体制を明示できる企業にとって有力なポテンシャル採用の母集団です。業界特化媒体とスカウトの組み合わせが有効です。
Q内資製薬と外資製薬でスカウトのやり方は変わりますか?
A

変わります。外資製薬はLinkedInを軸としたグローバル標準のタレントアクイジション運用が浸透しており、英語文面や海外人材へのアプローチも一般的です。内資企業が外資出身者を狙う場合は裁量やスピード感を、外資が内資出身者を狙う場合はグローバルなキャリア機会を訴求するなど、候補者の出身タイプに合わせて文面と訴求軸を変えることが重要です。
Q薬機法・コンプライアンスの観点でスカウト文面に注意点はありますか?
A

採用文面は医薬品広告ではありませんが、製品の効能効果を宣伝するような表現は誤解を招くため避けるべきです。公表済みのパイプライン・注力領域・組織や役割の事実を根拠に語る構成にし、法務・コンプライアンス部門と発信ガイドラインを事前に合意しておくと運用が安定します。事実ベースの誠実な文面は、コンプライアンス意識の高い製薬人材への信頼形成にもつながります。
Q立ち上げにはどれくらいの期間と費用がかかりますか?
A

設計・準備30日→パイロット運用30日→拡大・定着30日の90日計画が標準です。費用は媒体ライセンス費に加え、外部支援を使う場合はRPOが月額30万〜100万円、LinkedIn運用支援などの運用支援が月額20万〜80万円、ATSが月額数万〜数十万円が相場です。人材紹介手数料(理論年収の35〜40%/名)との比較で投資対効果を試算するのが実務的です。

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竹村 朋晃

竹村 朋晃

著者プロフィール 竹村 朋晃(Tomoaki Takemura)
株式会社ダイレクトソーシング 代表取締役CEO
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2005年に野村総合研究所に入社。大手損害保険会社のシステム設計・開発に従事し、エンジニアとしてのキャリアをスタート。 2015年、ダイレクトソーシングの可能性に着目し、株式会社ダイレクトソーシングを創業。データドリブンな採用を軸に、候補者データの構造化、スカウト改善、タレントプール構築などを通じて、累計500社以上の採用支援を行う。 2017年よりLinkedIn公式パートナーとして、日本企業へのLinkedIn活用を支援。2025年には「LinkedIn Student Career Week」を主催し、5,000名超の学生と40社超の企業をマッチングさせるなど、イベントプロデュースでも実績多数。 「Stand Alone Complex Society(個が独立し共創する社会)」の実現を掲げ、採用における価値創造を追求している。 趣味はウェイクボードとテニス。お台場在住。技術と営業を横断する“ハイブリッド人材”として、採用の進化に挑み続けている。

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