実践企業が語る「ダイレクトソーシング施策」 とは? ー採用担当meetup開催レポートー
3月9日(木)、3年ぶりとなるオフラインイベント、「採用meetup@Wework日比谷FORTTOWER」を開催致しました。
採用担当者だけに絞ったイベントにも関わらず、当日はダイレクトソーシング社社員も含め80人以上が集まる大盛況となりました。
この記事では、採用担当者の様々なお悩みを共有できる場となった、イベント当日の様子をまとめます。
目次
当日のプログラム
当日は以下のプログラムで進みました。(当日資料より抜粋)
イベント前半は、外部ゲストもお呼びして「ダイレクトリクルーティングの施策」についてのライトニングトークが行われます。
イベント後半は交流会。実際に参加者様同士で採用の知見交換やお悩みの共有を行う場です。
カジュアルな交流の場にするため、開始時からアルコールも解禁。
会場であるWeWork日比谷 FORTTOWERには備え付けのビールサーバーがあるため、参加者様の半分以上がビールを片手に参加していました。
株式会社ダイレクトソーシング:大出
対話を通じて解像度アップと業務効率化
はじめに登壇したのはダイレクトソーシング社の採用担当、大出友里恵さんです。
3年前からダイレクトソーシング者の採用担当として働いており、2年間で約80名の採用を一人でこなしたスーパーマンです。
大出さんからは、2年間で約80人を採用した工夫としての「対話」と「効率化」のお話がありました。
まずは「対話」の事例1つめ、「候補者との対話」。
短期的に応募、内定受諾を行わなかった候補者に対しても、定期的に接触を続けることで長期的な採用につながる、という経験をお話していました。
具体的には、一度内定辞退されてしまった候補者に対しその後もLinkedInでつながりを持ち細かくコミュニケーションを取ったり、LinkedInの企業ページの更新を行ったりして「ダイレクトソーシング」という企業の存在を忘れないようにという地味な施策をやり続けたそうです。
その結果、面談から半年後に選考に参加してくれたり、選考参加後に辞退となったのに再度転職のタイミングで候補者自ら声をかけてきてくれて、入社に繋がったとのこと。
「対話」の2つ目の事例は「現場や事業部長との対話」。
大出からの「現場からのリクエストって抽象的すぎてよくわからないことが多くないですか?」という投げかけに対し、多くの参加者様も笑い声混じりに頷いていました。
具体的な事例として、大出さんは「地頭がいい人」というリクエストを受けることが非常に多いとのこと。
これに対し、現場との対話を繰り返していくことで「地頭がいい人」の解像度を上げていく作業が必要だ、というお話をされていました。
大出:
「リアルに100回くらいは「地頭とは?」という話をしました(笑)
会話の展開として、「地頭がいい=学歴ですか?」という質問をすると、大体は「学歴ではない」と答えます。では地頭とは何かの問いを続けると今度は「コミュニケーション能力が高い人」と返ってきたりします。
では「コミュニケーション能力が高い人と地頭って何がイコールなんですか?」と聞いてやっと「会話をする時に数字ベースで話せる人」や「自分の行っている業務の上流から下流までを説明できる人(業務の全体感を把握できている人)」という具体的な答えが返ってきたりします。」
次に「効率化」の事例として「スカウトメディアの攻略」を挙げました。
大出さんはスカウトメディアごとの性質を捉え「攻略法」を見つけることで、スカウトメディアの返信率を高めているそうです。
一例として「スカウトメディアに元々入っているテンプレートと違う表現を使う」というものを挙げていました。
元々のテンプレートが「お世話になります」から始まる文章の場合は、それを別の表現に変えることで返信率が実際に向上したとのこと。
他の企業と同じ表現を使っていないか?そのメディアの中での量産スカウトになっていないか?をまず確認し、メディアの特徴とテンプレや傾向が何かを掴みスカウトをかんがえることで成果につながる、という知見をお話していました。
「効率化」のもう一つの事例として挙げたのは「日程調整ツールの社内開発」。
以前のダイレクトソーシング社の採用では、日程調整業務がかなり作業を圧迫していたと言います。それを課題に感じ、社内のエンジニアに相談したところ、人事の日程調整業務用の機能を盛り込んだツールを開発してくれたとのこと。
ダイレクトソーシング社で開発した日程調整ツールについては、実際に開発を行ったエンジニアへのインタビュー記事を公開しておりますので、ぜひご覧ください。
harmo株式会社:佐野さん
知名度向上で土台を整え、スカウト文面のPDCAに取り組む
2人めの登壇者は、harmo株式会社事業推進支援人事の佐野 瑛士さん。
harmo株式会社は新薬開発を手がけるCMIC Groupのグループ会社で、ソニーから事業承継したお薬手帳アプリを手がけるために2021年に設立された企業です。
現在業務委託を含めるとメンバーは60人ほど、そのうち正社員の約8割をダイレクトリクルーティングで確保したといいます。
ダイレクトリクルーティングで安定して採用できる様になるまでは沢山のステップがありました。
最初の一歩目はエンジニア採用への挑戦です。事業承継当時、SONYからの出向エンジニアが来てくれていたのですが、2年ほどで帰任してしまう予定でした。
そのため、自分たちでゼロから新しくエンジニアを採用することになったのですが、初期チームメンバーを集めるとなると採用要件は厳しくしないといけない。さらに、技術力の高い市場には少ないエンジニアを採用する必要がありました。
しかし最初はエージェント紹介に頼り切りの体制だったうえに、エンジニアの採用経験は皆無だったとのこと。
その状態から、ダイレクトリクルーティングでの採用を成功させるために取り組んだのは2つ。「自社の知名度向上」と「スカウト文面のPDCA運用」。
ダイレクトリクルーティングでの返信率を上げる土台を整えるため、最初に取り組んだのは、自社の認知度向上施策だったといいます。
記事作成とSNS拡散といった基本的な採用広報に加えて、エンジニアイベントだけではなく、人事登壇など様々な外部イベントへの登壇機会を増やしていきました。日々スカウトを行いながら上記のような採用広報施策を行うことで、「harmo」という社名や佐野さん自身の認知度が徐々に上がった影響か、返信率が上がるようになりました。さらには、登壇レポートや制作コンテンツをスカウト文に織り込むことで、情報量の豊富なスカウト文を送れるようになったとのことでした。
「スカウト文面のPDCA運用」も非常に効果的だったといいます。
少しでも反応が悪ければ、文面をアップデート。
エンジニア向けに開発環境がわかるようなページや、直接面談の予約ができる日程調整ツールへのリンクも記載。
文面はできるだけシンプルに、かつ採用の一連の流れがスカウトメール内で完結するように工夫したそうです。
また、返信率アップに一番効果的だったのは動画コンテンツだったといいます。
社員インタビュー、アプリの使用シーンや社内の議論風景を撮影し、スカウト内にリンクを設置したそう。
「人の顔が映ったものを載せるとものすごい返信率があがった。見てくれているんだな」とおっしゃっていました。
会場からは「スカウト文面の修正を効果検証する際の目安は?」という質問が出ましたが、佐野さんは「返信率が下がったら黄色信号。すぐに文面を修正し、媒体も変える場合もあります」と回答されていました。
株式会社ブレインパッド:島崎さん
スカウト返信率向上のための「武器づくり」と組織理解の重要性
3人目の登壇者は株式会社ブレインパッド人事部 HRBPグループの島崎葵さん。
株式会社ブレインパッドは2004年創業以来、「データ活用の促進を通じて持続可能な未来をつくる」をミッションに、データ領域のリーディングカンパニーとして幅広いサービス・ソリューションを展開しています。
社員数は500名程度で、そのうち200人はデータサイエンティストが在籍。データ活用の老舗企業として、データサイエンティスト職からの知名度は比較的高いそう。
ブレインパッドの年間採用人数は中途100名、新卒40-50名程度だそうですが、島崎さんはそのうち中途採用のデータエンジニア・機械学習システムエンジニアを中心に毎年20-30名ほど採用しています。
採用にあたって、データサイエンティスト職以外の認知度が低いという課題があったそうです。
島崎さんはスカウトサービスを運営する企業からブレインパッドに転職したため、スカウトに関しては特に問題ないと考えていたところ、入社時のスカウト返信率は1%未満。
加えて、エージェント経由で内定を出しても半数近くに辞退される状況だったそう。
そこで島崎さんは、社員インタビュー記事を年間10本ほど制作し、自社メディアに掲載。制作に関しては、インタビューから原稿の作成、広報レビューの依頼まで一貫して対応したとのこと。
制作したインタビュー記事のURLをスカウト文面に追加する、選考の前後で面接官の紹介としてURLを候補者に共有するなど「組織の魅力を知ってもらうための武器作り」を強化したそうです。
(引用:Platinum Data Blog by BrainPad)
コンテンツ制作の中で、社員の仕事内容や興味関心の持ち方も細かくヒアリングしていったところ、島崎さん自身も自分の担当する組織や働く人、ポジションへの理解度が大きく上がったそう。
スカウトを送る際も、候補者のキャリアを考えた上で、よりマッチしたポジションやブレインパッドでのキャリアを提案できるようになり、結果としてスカウト返信率は最大20%、平均5%アップ。
スカウト経由でのカジュアル面談では、実施後ほとんどの候補者に選考に進んでもらえるようになったとのこと。
会場からは「データサイエンティストの採用に適したチャネルは?」という質問も出ましたが、島崎さんは「データサイエンティストは市場に少ないため、網を広げてスカウト媒体もエージェントもたくさん使う必要がある」と回答されていました。
また、「内定辞退率を下げる秘訣は」という質問に対しては、入社後の活躍イメージを具体的に持ってもらえるようなオファー資料の改善、面接官のレベルアップを目的としたレクチャー会や情報共有会の開催、内定承諾や辞退理由のデータから要因を考察し、新たな施策に繋げた事例もお話されていました。
PwC Japan合同会社:水木さん・山崎さん
専任者を配置 毎月のオンラインイベントでタレントプール確保
最後の登壇者はPwC Japan合同会社人事部ディレクターの水木 和幸さんと、人事部アソシエイトの山崎 佳子さん。
PwC Japanグループでは、中途だけでも年間で千名以上の採用を行っています。
そのうち約7割がエージェント経由、約3割が社員からの紹介とダイレクトリクルーティングでの採用だとのこと。
水木さんは、PwC Japanグループ全体の採用をリードする立場ですが、グループ内のコンサルティングの現場でのご経験もあるそう。
山崎さんは、PwC Japanグループ全体のダイレクトリクルーティングプロジェクト立ち上げ時から参画されているそうです。
非常に大規模な採用を行っているものの、「ハイヤリングマネージャーとのコミュニケーション」「エージェントとのコミュニケーション」「選考プロセスの管理」「母集団形成のためのイベント」など、あらゆることを数十名のリクルーターそれぞれが担当しているそう。
加えてダイレクトリクルーティングも各リクルーターが行っていますが、それだけではダイレクトリクルーティングに力を入れることは難しいため、ダイレクトリクルーティングを推進する専任者を配置したそうです。
その専任者、山崎さんの仕事も多岐にわたっています。
社外のベンダーコントロールはもちろん、社内向けにレポートの配信や勉強会の実施、新規ダイレクトメディアの検討や契約継続の判断など、ダイレクトリクルーティングに関すること全般を担っているそう。
上記のような業務のほかに、中長期的なブランディングやタレントプール構築のため、カジュアルなオンラインイベントを毎月ランチタイムに開催。毎回登壇者を変えてこれまでに18回開催し、累積視聴回数は2万回に達したとのこと。
実際、中長期的な採用につながるタレントプールを構築でき、既に複数人名の採用決定者も出はじめているそうです。
会場からは「ダイレクトリクルーティングにおけるKPIを教えて下さい」という質問が出ましたが、水木さんは「もちろんスカウト送信数や返信率もKPIに置いてはいるが、どちらかというと実際に部門の書類選考を通過する方が何人いるか、という点を重視している。」と回答されていました。
交流会
ライトニングトークが終わると、軽食が用意され、立食パーティのような形式で交流会が行われました。
ダイレクトソーシング社員も含めると会場は80名以上が参加する大盛況となりました。
採用担当者同士でお話している場合は、同じポジションの採用を担っている方だとお悩みや知見の共有がしやすいようでした。
業界が似た会社の採用担当者同士よりも、エンジニア採用を担当している方同士、マーケター採用担当している方同士のほうがお話がしやすかったという声も多くありました。
また、LinkedIn社の社員も来場していたため、LinkedInの活用方法について直接LinkedIn社員へ相談している方も。
開催後のアンケートでも「LinkedInの方と繋がれたことが良かった」という回答が寄せられており、このようなカジュアルな場でのつながりの重要性を感じることが出来ました。
採用meetupまとめ
ダイレクトソーシング社主催でのオフラインイベントは実に3年ぶり。
準備するべきことがウェビナーよりも圧倒的に多かったですが、参加者様にとっても非常に有益なイベントに出来たようでなによりでした。
今後も多くのオフラインイベントを主催し、採用に関わる皆様にとって良き場を作れるよう努めてまいりますので、是非今後もご注目ください。
また、ダイレクトソーシング社の採用成功要因となった施策をすべてまとめたシートを公開しましたので、是非以下フォームからご覧ください。
こちらの資料には下記の内容が含まれています。
1.採用心得 | |
2.業務内容 | |
3.採用タスク一覧 | |
4.面接チェックシート | |
5.カジュアル面談チェックシート |
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安井
飲食系ITベンチャーにてマーケティングを担当後、株式会社ダイレクトソーシングに転職。 カスタマーサクセスとしてコンサルティング業界やエンジニア業界を中心にダイレクトメディアを活用した調査・スカウトを実施。 現在は前職の経験とカスタマーサクセスにて顧客との対面で得た知見・市場感を元に、マーケティング業務全般を担当。
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