人事ノウハウ
2024.03.22

相対評価と絶対評価とは?メリット・デメリットを人事向けにわかりやすく解説

相対評価とは、対象者を順位によってAランクやBランクのように格付けする評価手法です。

対して絶対評価とは、あらかじめ定めておいた基準に応じて対象者を格付けする評価手法です。

労働人口減少や人材の流動性アップなどを背景に人材の採用や定着が困難となるなか、人事評価の最適化を図る企業が増えています。

ただ一方で、以下のような悩みや疑問を抱くケースも少なくありません。

  • 「相対評価と絶対評価のメリット・デメリットを比較したい」
  • 「人材評価を見直したいが、そもそも相対評価と絶対評価の違いが分らない」
  • 「自社や各部署において、どちらの評価手法がより適しているかを知りたい」

そこで、相対評価と絶対評価それぞれについての定義から、メリット・デメリットまでをわかりやすく解説します。

さらに相対評価と絶対評価の違いをまとめた比較表も掲載していますので、ぜひご活用ください。

相対評価とは

相対評価

相対評価とは、対象者を順位によって各ランクに格付けする評価手法です。

例えば「対象者100人中、1〜20位はAランク、21〜50位はBランク、51〜80名はCランク、81〜100位はDランク」のように評価します。

「上位〇%はAランク」のように%で区分する場合もあります。

相対評価の具体例|ある営業部門のケース

相対評価の具体例について、ある営業部門のケースで解説します。

ある企業の営業部門には60名の営業社員が属しており、考課査定および部門の活性化のために、以下のような相対評価を導入しました。

  • 評価対象人数:60名
  • 評価対象値:各営業社員に課せられた営業目標達成率(年間)
  • ランクの内訳:1〜12位はAランク、13〜30位はBランク、31~48位はCランク、49~60位はDランク
  • 例1:目標達成率115%で他者と比較すると15位の場合、13~30位に含まれるため「Bランク」
  • 例2:目標達成率84%で他者と比較すると47位の場合、31~48位に含まれるため「Cランク」

この年は全社的に予想以上の上振れが生じて、多くの社員が目標100%以上を達成しました。

ただし、相対評価はあくまでも他者との比較によるため、目標達成度105%のAさんであっても「評価:良」に留まるのでした。

相対評価のメリット

メリット

相対評価のメリットについて解説します。相対評価のメリットは「他者との比較」や「順位付け」がベースとなっています。

具体的には以下の3つです。

無難な評価への偏りを防げる

相対評価を行えば、無難な評価への偏りを防げます。

後に紹介する絶対評価の場合は、どうしても中間あたりの評価に集中しがちです。

絶対評価を行う際は、一定の努力さえ行えば到達できるであろう難易度に標準ランクを設定するため避けがたいことなのです。

対して相対評価であれば被評価者同士の成績を比べるため、全く同じ成果でない限りは必ず順位がつき、始めに設定したランク通りに分けられます。

評価者が評価を行いやすい

評価者が評価を行いやすい点も、相対評価のメリットです。

相対評価であれば、対象となる成果を比較して上から順番に並べれば、自動的に評価(ランク)が決定します。

順位がそのまま評価基準となるため、評価基準は何にするか・基準値をいくつに設定するかといったことで悩む必要もありません。

こうしたメリットから、評価者の負担軽減を目的に相対評価を採用することも可能です。

競争を活性化できる

社員同士による競争を活性化できる点もメリットといえます。

相対評価は他者と比較して順位付けするため、被評価者は他者をライバルとして意識するようになります。

そのため、「周りが好成績を挙げているから自分ももっと頑張らねば」といった動機づけが起きやすくなるのです。

そのため、馴れ合いのような雰囲気が生じている場合や営業のように競争心が糧となりやすい場合などには、相対評価が有効に働くでしょう。

相対評価のデメリット

デメリット

相対評価のデメリットについて解説します。

相対評価のデメリットは「他者との比較」や「順位付け」がもつ負の要素に起因するものが並びます。具体的には以下の通りです。

評価理由を説明しにくい

評価理由を説明しにくい点は、相対評価のデメリットです。

例えば、本人としては一生懸命に頑張った結果で目標率100%を達成したとしても、周りがさらに高い目標率を達成していれば、相対的には低評価となります。

だからといって「周りと比べた結果だから仕方ない」「周りはもっと頑張ったんだ」と説明したのでは、納得を得にくいでしょう。

場合によっては「一人ひとりを見て評価してくれない」といった不満につながりかねません。

とくに課題や不足点についてフィードバックする際には注意が必要です。

「〇〇さんと比べて、この点が足りない」といった説明をしてしまうと、モチベーションを大きく損なう原因となってしまいます。

相対評価であっても評価理由を説明する際は、他者との比較を控えて「どうすれば改善できそうかを、被評価者と一緒に考える姿勢」を重視しましょう。

個々の成長を評価しづらい

相対評価では個々の成長を評価しづらい点も、デメリットといえます。

相対評価は他者との比較によってのみ評価が下されるため、個々の成長を反映できません。

例えば、成績下位だった社員が努力して成果を出せるようになったとしても、他の社員を超えるほどでなければ評価には反映されないのです。

そのため、安定した成果を出せるベテラン社員と成長途上の新人社員をあわせて評価する場合には、注意が必要です。

新人社員の成長を評価できず、モチベーションの低下につながるリスクがあります。

こうしたケースにおいては、ベテラン社員層と新人社員層の2階層に対して、相対評価を実施する方法もあります。

過度な競争意識をもつリスクがある

相対評価によって被評価者が、過度な競争意識をもつリスクがある点はデメリットです。

相対評価において、評価の良し悪しは他者との比較によって決まります。互いの健闘をたたえつつ切磋琢磨し合える健全な競争に発展すれば良いのですが、その反対も起こり得ます。例えば、過度な競争意識により周囲を敵視してしまうことで、他者が有利になりそうな情報は流さない、評価を下げるために互いの足を引っ張り合う、といった状態です。

こうしたリスクを避けるためには、別項目で「他者と協力度合い」や「チームやメンバーへの貢献度」などを評価すると良いでしょう。

絶対評価とは

絶対評価

絶対評価とは、あらかじめ定めておいた基準に応じて対象者を格付けする評価手法です。

例えば「目標達成率が101%以上でAランク、81〜100%でBランク、61%〜80%でCランク、60%以下はDランク」のように評価します。

絶対評価の具体例|ある営業部門のケース

絶対評価の具体例について、先と同様にある営業部門を例にして解説します。

ある企業の営業部門には60名の営業社員が属しており、考課査定と人材育成のために、以下のような絶対評価を導入しました。

  • 評価対象人数:60名
  • 評価対象値:各営業社員に課せられた営業目標達成率(年間)
  • ランクの内訳:目標達成率が101%以上でAランク/81〜100%でBランク/61%〜80%でCランク/60%以下はDランク
  • 例1:目標達成率110%の場合、101%以上に当たるため「Aランク」
  • 例2:目標達成率72%の場合、61%〜80%に当たるため「Cランク」

この年も外部要因によって全社的に予想以上の上振れが生じたため、多くの社員が目標100%以上を達成しました。

その結果、社員の約7割が最も評価の高い「Aランク」の評価を得ることになりました。

絶対評価のメリット

メリット

絶対評価のメリットについてです。

絶対評価のメリットは総じて「被評価者それぞれと向き合いやすい」ことによってもたらされています。

以下で具体的に解説します。

評価理由を説明しやすい

評価理由を説明しやすい点は、絶対評価のメリットです。

絶対評価の場合、「あらかじめ定めた基準」に「被評価者の成績」を照らし合わせることで評価が決定します。

そのため、評価者は「なぜこの評価なのか」を容易に説明できます。被評価者も「絶対的な基準」に対する「自らの成績」で決定された評価のため、納得を得やすいといえるでしょう。

個々の課題に向き合いやすい

個々の課題に向き合いやすい点も絶対評価のメリットといえます。

引き合いとして相対評価の場合は、他者と比較した結果であるため「自らの成績が悪いのではなく、周りが良すぎたのではないか」という思惑から、自らの課題と向き合いにくくなりがちです。

一方で絶対評価であれば、「絶対的な基準」に対して「自らの成績」のみで下された評価のため、「自分は何が足りないために低評価となったのか」といった視点で課題の模索にスムーズに移行できるのです。

個々の成長を評価しやすい

絶対評価には、個々の成長を評価しやすいというメリットもあります。

相対評価の場合はどうしても評価結果に他者の要素が入り込むため、個々の成長を純粋に測ることはできません。

一方で絶対評価であれば比較対象は常に過去の自分であるため、「前回の評価と比べて、今回の評価はどうだったか」「成長できたか」といった視点で、個々の成長を評価できるのです。

ただし、過去の評価と比較する場合には、評価基準は変わっていないことが前提となる点は注意しましょう

絶対評価のデメリット

デメリット

絶対評価のデメリットについて解説します。

絶対評価のデメリットは、評価者が苦労する面や被評価者の心理に影響するものなど多様です。具体的には以下をご覧ください。

無難な評価に偏りがち

中間あたりの無難な評価に偏りがちな点は、絶対評価のデメリットといえます。

絶対評価の場合、標準となる評価は一定の努力さえ行えば到達できるであろう難易度に標準ランクを設定します。

そのため、どうしても中間あたりの無難な評価に集中してしまいます。

また、「数値で表せない定性的な要素」を評価するケースでは、無難な評価にさらに偏りやすくなります。

例えば「業務への積極性」といった要素の場合、評価者は「1.とても良かった〜5.とても悪かった」のような選択式で評価することになります。

こうした場合、評価者は「他の評価者や被評価者からの自分に対する印象」を意識してしまい、最終的には「3.どちらともいえない」のような無難な評価を行いがちです。

ちょうど中間にあたる評価が無い4段階や6段階評価にすれば、若干の改善が見込めるでしょう。

評価基準の設定が難しい

評価基準の設定が難しい点も、絶対評価のデメリットです。

相対評価であれば、順位がそのまま評価基準となるため「どれくらい割合(人数)をどの評価にしたいか」といった考え方で決められるため比較的容易です。

しかし絶対評価の場合は、達成難易度を予測しながら妥当な評価基準を定めなければなりません。

定めた評価基準が低過ぎれば簡単に達成できてしまい、本来達成を見込めた組織としての成果を逃すことにつながります。先に挙げた「絶対評価の具体例」は正にそのパターンです。

反対に高過ぎれば、被評価者である社員のモチベーションは低下し、達成を諦めてしまいかねません。

以上から組織・評価者・被評価者それぞれにとって適切な評価基準を定めることは、非常に困難といえます。

さらに「業務への積極性」や「メンバーとの協調性」といった定性的な項目を取り入れる場合は、評価基準の設定時だけでなく実際に評価する際の難易度も高まる点についても留意しましょう。

競争意識が生まれにくい

競争意識が生まれにくい点も、絶対評価のデメリットといえます。

絶対評価の場合、あらかじめ定められた基準さえ達成すれば評価を得られます。

とくに最高評価を達成してしまうと、それ以上を目指すモチベーションは得られにくいでしょう。外部要因によって、最高評価の達成が容易であったとしてもです。

対して相対評価であれば、あくまで他者が比較対象のため、競争意識が持続しやすいのです。

このように絶対評価は相対評価に比べて、競争意識が生まれにくいと言わざるを得ません。

競争意識を高める手法としては、別途成果に応じたインセンティブや表彰を設けるといった手段があります。

営業成績のような一定の競争意識があった方が成果が高まりやすいケースにおいては、導入の検討をおすすめします。

相対評価と絶対評価の違い|比較表

相対評価と絶対評価の違いは、一言で表すと「順位で評価するか・基準で評価するか」です。

順位で評価するのが相対評価、基準で評価するのが絶対評価です。

以下に、相対評価と絶対評価の違いを一目で確認および比較できる表を作成しましたので、自社や各部署の人事評価にどちらが適しているかの参考にしてください。

相対評価絶対評価
定義対象者を順位によって各ランクに格付けする評価手法あらかじめ定めておいた基準に応じて対象者を格付けする評価手法で
営業社員の営業目標達成率

【達成率の順位による評価】
・1〜12位(20%):Aランク
・13〜30位(30%):Bランク
・31~48位(30%):Cランク
・49~60位(20%):Dランク

営業社員の営業目標達成率

【各個人の達成率による評価】
・101%以上:Aランク
・81〜100%:Bランク
・61%〜80%:Cランク
・60%以下:Dランク

メリット ・無難な評価への偏りを防げる
・評価者が評価を行いやすい
・競争を活性化できる
・評価理由を説明しやすい
・個々の課題に向き合いやすい
・個々の成長を評価しやすい
デメリット ・評価理由を説明しにくい
・個々の成長を評価しづらい
・過度な競争意識をもつリスクがある
・無難な評価に偏りがち
・評価基準の設定難易度が高い
・競争意識が生まれにくい

 

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まとめ

相対評価と絶対評価それぞれについて、定義、メリット・デメリット、違いを解説しました。

まず相対評価とは、対象者を順位によって各ランクに格付けする評価手法です。具体的には「対象者100人中、1〜20位はAランク、21〜50位はBランク、51〜80名はCランク、81〜100位はDランク」のように評価します。

相対評価のメリットは「無難な評価への偏りを防げる」「評価者が評価を行いやすい」「競争を活性化できる」の3つであり、他者との比較や順位付けがもつ特徴によるものが中心です。

反対にデメリットは「評価理由を説明しにくい」「個々の成長を評価しづらい」「過度な競争意識をもつリスクがある」の3つで、先に挙げた特徴がもつ負の要素が影響しています。

次に絶対評価とは、あらかじめ定めておいた基準に応じて対象者を格付けする評価手法です。具体的には「目標達成率が101%以上でAランク、81〜100%でBランク、61%〜80%でCランク、60%以下はDランク」のように評価します。

絶対評価のメリットは「評価理由を説明しやすい」「個々の課題に向き合いやすい」「個々の成長を評価しやすい」の3つであり、被評価者と個々に向き合いやすい特徴からもたらされるものです。

一方デメリットとしては「無難な評価に偏りがち」「評価基準の設定難易度が高い」「競争意識が生まれにくい」が挙げられます。評価前から活動中、そして評価を行う際に影響するため注意が必要です。

そして「相対評価と絶対評価の違い」は「順位で評価するか・基準で評価するか」です。順位で評価するのが相対評価、基準で評価するのが絶対評価と理解しておきましょう。

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竹村 朋晃

竹村 朋晃

株式会社ダイレクトソーシング CEO (プロフィールはこちらをクリック) 2005年に野村総合研究所に入社。損害保険システムの構築に従事。2015年11月より株式会社ダイレクトソーシングを立ち上げ。エンジニア経験者中心にデータドリブンリクルーティングを中心としたサービスを展開。