RPOのメリットとデメリットを徹底解説|成功に導くポイントも紹介
採用市場の競争激化や人員不足などを背景に、人事担当者の業務負担や責任は増す一方です。
こうしたなか、採用業務を外部の専門企業に委託する「RPO」が注目されており、導入を検討する企業も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、RPOのメリットとデメリットを徹底解説します。
その上で、デメリットを補い成功に導くためのポイントを紹介します。
なお、すぐに具体的なRPOの委託先を比較・検討したい場合は、こちらをご覧ください。
参考記事:【徹底比較】おすすめ採用代行(RPO)/支援サービス11社!費用や選び方も解説 | 株式会社ダイレクトソーシング (directsourcing-lab.com)
目次
そもそもRPOとは
そもそもRPOとは、人材採用に関する業務の一部もしくは全体を外部の専門企業に委託することです。
「Recruitment Process Outsourcing:リクルートメント・プロセス・アウトソーシング」の略であり、日本国内では「採用代行」「採用アウトソーシング」とも呼ばれています。
具体的には、以下のような業務を委託可能です。
- 採用計画の立案
- 求人広告の作成
- 自社の採用ページ作成と運営
- 採用イベントの設計・運営・集客
- 応募者のスクリーニング
- 面接のスケジューリングや実施
- 候補者のフォロー
- 内定者のフォロー
- 採用プロセスの管理・改善
ただし、委託先の企業によって、対応できる業務範囲・得意とする領域は異なります。
RPOに期待できるメリット
RPOに期待できるメリットを、5つ紹介します。
人事担当者の負担を軽減できる
RPOを活用することで、人事担当者の負担を軽減できます。
とくに昨今は、採用市場の競争激化、新卒採用の早期化、採用手法の多様化、法規制の改定、働き方や労働環境の変化などを背景に、人事担当者の業務負担は増す一方です。
ただ、急な人員の補充は困難なため、負担軽減は容易ではありません。
こうした状況に対して、RPOを活用すれば、求人広告の作成や掲載、応募者のスクリーニング、面接のスケジュール管理など、時間と労力を要する作業を委託でき、人事担当者の負担を軽減できます。
業務に余裕が生まれれば、より戦略的な業務に集中できるようになり、生産性の向上を期待できるでしょう。
採用にかかるコストを低減できる
RPOを活用することで、採用コストの低減を期待できます。
例えば、応募者のスクリーニングや面接のスケジュール管理など比較的シンプルな業務は、社内の人事担当者に任せた時に発生する人件費よりも、委託した時の費用の方がより低く済む可能性があります。
また、自社に採用に関する経験やノウハウが不足している場合には、とくに高い費用対効果を期待できます。
具体的には、RPOでは採用に関して専門的な知識と経験、ノウハウをもった外部担当者が自社に代わって採用業務を担います。
そのため、採用活動の経験が乏しい企業の場合、自分たちで一から取り組みはじめるよりも、RPOに任せた方がより効率的に採用プロセスを進めることができ、より高い確度で成果を得られるでしょう。
これは、中途採用のみを行ってきた企業がはじめてや数年ぶりに新卒採用に挑戦する際や、その反対のパターンなどの際にも当てはまります。
専門的なノウハウを有した委託先を頼れる
RPOの提供元は、専門的なノウハウを有したプロフェッショナルです。
市場動向や採用戦略に精通したプロに頼れるのは、企業としては非常に心強いことといえます。
採用業務のプロとして、多数の企業を支援した実績と経験から、自社が採用業務で抱える課題に対する適切な支援策を期待できます。
必要に応じて、他社の改善事例や好事例などを共有してもらうこともできるでしょう。
またRPOを通じてプロの視点が入ったからこそ、自社のみでは気づくことはできなかったであろう効率化策や、盲点となっていたリスクポイントなどを発見できる可能性があります。
さらに、RPOを通じて効率化が図れたことで、再び社内に内包化できるようになるケースもあります。
費用対効果を評価しやすくなる
RPOは固定料金や成功報酬型の契約形態が一般的です。
事前に予算を設定しやすく、採用プロセスの効果を定量的に評価することができます。
そのため、費用対効果の分析が容易になり、経営陣や人事部門が適切な意思決定を行うことができます。
また、企業によっては委託業務に関する定期レポートや分析といったサービスを提供しているため、委託後も更なる費用対効果アップに向けた改善策を取りやすいでしょう。
このように、RPOは特定の採用業務を外部に委託するため、「かかった委託費用に対して、どれ程の成果を得られたか」をシンプルに把握しやすくなるのです。
自社のイメージアップにつながる
RPOの活用を通じて、自社のイメージアップを期待できます。
例えば、採用にかかる作業を委託することで、自社は候補者とのコミュニケーションにより注力できるようになります。
委託先が採用プロセスの複雑な作業を担ってくれることで、自社の人事担当者は候補者との対話や関係構築に専念できるのです。
こうした候補者を重視した対応は、企業が人材に対して真剣に向き合っている姿勢を示し、良好な印象を与えます。
また、採用に関する問合せ対応や応募受付け、内定者フォローなど、採用活動に伴うコミュニケーションをプロに委託すれば、丁寧かつスムーズな対応を行ってもらえます。
これにより、各候補者の企業に対する信頼が深まり、イメージひいては志望度のアップまで期待できるでしょう。
RPOで注意すべきデメリット
RPOに関して注意すべきデメリットを、5つ紹介します。
ここで、デメリットを把握しておくことで、活用時のリスクを軽減できます。
自社内にノウハウを蓄積しにくい
RPOの性質上、採用に関する経験やノウハウの獲得が外部の委託先に偏り、自社内に蓄積しにくくなります。
その結果、自社内の人事担当者および関係者は、採用プロセスの詳細やアプローチ方法などについての洞察を失う傾向があります。
また、ノウハウが委託先に偏ると、自社内での採用に関する知識やスキルの成長がストップしてしまう可能性もあります。
今後も割り切ってRPOを活用し続ける場合を除いて、このデメリットを低減・回避するためには、以下のような工夫を行うと良いでしょう。
- 採用業務の効率的な進め方など委託先のノウハウを学び取る姿勢をもつ
- 判断を要する採用業務は自社内で行い、その他のシンプルな業務を委託する
- コミュニケーションを密に取り、採用業務の進捗状況や取り組み内容、改善点などを共有してもらう
委託業務の選定と引継ぎに手間を要する
RPOを導入する場合、委託業務の切り分けと引継ぎに手間を要することになります。
具体的には、下記を行う必要が生じます。
■委託業務の選定時
- 現状や目的を踏まえて、具体的にどの業務を任せるかを検討する
- 機密保持や情報セキュリティの観点から、任せて良いかを判断する
- 一連の業務プロセスうち、任せたい部分を切り分ける
■委託業務の引継ぎ時
- 委託先にRPOを活用する背景や目的を伝える
- 委託後の進捗共有などコミュニケーション頻度を決定する
- 委託業務の詳細を説明して引継ぐ
- トラブルやイレギュラーが発生した際の対応方法を決めておく
こうした点を委託前にクリアしなければならず、一次的ではあるものの多くの手間を要してしまうのです。
コストパフォーマンス低下のリスクがある
場合によっては、委託した業務のコストパフォーマンスが低下してしまうリスクがあります。
具体的には、委託先の業務に対する専門性や理解が不足していることが原因で、自社で行うよりも時間や費用が余計にかかってしまったり、成果が不十分だったりするようなケースです。
例えば、候補者のスクリーニングが不十分な場合、採用要件に適さない候補者が選ばれたり、採用までのプロセスが遅延する可能性があります。
そのため、委託先の見極めおよび選定は慎重に行う必要があります。
認識の齟齬が生じるリスクがある
RPOを導入する場合、自社と委託先の間で認識の齟齬が生じるリスクがあります。
これは、双方が業務の目的や方針について異なる理解を持っていたり、コミュニケーションが不十分だったりすることから生じます。
例えば、求める人材像や採用要件の優先順位についての認識が一致していない場合、委託先が採用プロセスを進めるなかで問題が生じる可能性があります。
また、業務の進捗状況や成果物の期待値についても、双方の間で十分な認識がなければ、適切なアウトプットが得られないことがあるでしょう。
採用課題の本質が見えづらくなる
RPOで委託先に業務を任せたことで、採用課題の本質が見えづらくなる点もデメリットといえるでしょう。
これには2つの側面があります。
1つ目は、業務が自社の手元を離れて委託先で遂行されることに起因するものです。
これまで社内および目の前で行われた業務が社外で行われるため、詳細や進捗のリアルタイムの把握は難しくなるため、課題自体に気づきにくくなります。
2つ目は、上手くいかなかった原因が委託先にあると決めつけてしまうケースです。
例えば、母集団形成に関する一連のケースをRPOで委託先に任せたものの、自社が設定した「給与面や福利厚生面などの条件面」がネックとなり、目標に達さなかったとします。
しかし、その際に振り返りや分析をせず「委託先が悪かった」と判断してしまうと、課題の本質に行き着くことができなくなるのです。
RPOのデメリットを補って成功に導くためのポイント
RPOのデメリットを補って成功に導くためのポイントを、以下で解説します。
委託先のノウハウを取り入れる
RPOを活用するデメリットとして、自社内にノウハウを蓄積しにくい点を挙げましたが、委託先から新たなノウハウを取り入れることも可能です。
委託先は採用業務のプロフェッショナルです。
そのため、専門的な知識やスキル、これまでの経験と実績に裏づけられた「効果的かつ効率的なノウハウ」を有していることが多いと考えられます。
自社が手間取っていた業務を委託することで、自社では気付けなかったより効率的な方法の発見や、ネックポイントの洗い出しと改善などを期待できます。
これによって、より短時間で高い成果を得られるような業務プロセスが確立されるでしょう。
このように当該の業務プロセスをより少ないリソースで効率的に行えるようになれば、再び自社に内包化することも検討できるようになります。
目的と委託内容を明確化した上で委託する
RPOを成功に導くためには、事前に目的と委託内容を明確化しておくことが重要です。
具体的な目的や期待する成果を明確に定義することで、委託先とのコミュニケーションが円滑になります。
また、委託する業務の範囲や内容を明確にすることで、双方の期待がズレることを防ぎ、効果的な業務委託を実現できます。
明確な目標設定に基づいた委託は、委託先がより適切なサービスを提供し、期待通りの成果を得るための基盤となるでしょう。
さらに目的と委託内容を明確化しておけば、業務委託の進捗や成果を適切に評価し、必要に応じて修正や改善を行うことが可能です。
委託業務に対する専門性が高い企業を選定する
より高いコストパフォーマンスを実現するためにも、委託業務に対する専門性が高い企業を選定しましょう。
委託先が対象業務に関する専門的な知見やノウハウを豊富に持っているかは、採用プロセスの円滑な運営や成果に直結します。
なお、業務委託サービスを提供する企業は多く存在しますが、得意とする分野はさまざまです。
採用業務を委託する場合は、RPOに精通した企業を選定する必要があります。
さらに、候補者や内定者のフォローが得意だったり、選考支援が得意だったりと、採用業務のなかでも得意とする領域も異なります。
そのため、選定時には対象企業の実績を参考にし、自社が求める業務領域について知見やノウハウを十分にもっているかを確認します。
過去の成功事例や顧客の声などを判断材料とすると良いでしょう。
委託先との密なコミュニケーションを欠かさない
RPOにおける認識の齟齬を予防して成果につなげるためには、委託先との密なコミュニケーションが欠かせません。
具体的には、あらかじめRPOを活用する目的や期待する成果を明確にしておき、委託前の打ち合わせにおいて自社の要件・要望を正確に伝達しましょう。
委託後も、定期的な打合せや進捗報告を通じて委託先との間で情報を共有し、目的や方向性がズレないようにすることが大切です。
採用活動全体の最終的な分析・評価は自社で行う
採用活動全体に対する最終的な分析と評価は、自社で行うようにしましょう。
これにより、デメリットで挙げた「採用課題の本質が分からなくなる」といった事態を回避できます。
採用活動の成果に影響を与える要素は多岐にわたります。
具体的には、給与や福利厚生などの条件面、企業の雰囲気、面接官の印象など実にさまざまです。
こうしたなか、RPOを活用すると委託した部分の詳細が見えづらくなりがちです。
その状態では、思うような成果が挙がらなかった際の要因を特定できず、改善策を講じることもままならなくなってしまいます。
そのため、採用活動全体の最終的な分析・評価は自社で行うというスタンスをもっておき、見えにくい委託部分の詳細は委託先に分析レポートを求めるなどして補うようにしましょう。
これにより、対処すべき採用課題を見失うことなく、委託業務も適切に評価することが可能となるのです。
メリットを最大化できる最適なRPOを選定するために
ここまでの解説を踏まえて、メリットを最大化できる自社に最適なRPOを知りたいとお考えの方も多いのではないでしょうか。
下記の記事では、RPOを得意とするおすすめの企業11社を確認・比較できます。
具体的な委託先の候補を知ることで、RPOを活用した採用課題の解決に一歩前進できますので、ぜひご覧ください。
参考記事:【徹底比較】おすすめ採用代行(RPO)/支援サービス11社!費用や選び方も解説 | 株式会社ダイレクトソーシング (directsourcing-lab.com)
まとめ
RPOのメリットは、「人事担当者の負担を軽減できる」「採用にかかるコストを低減できる」「専門的なノウハウを有した委託先を頼れる」「費用対効果を評価しやすくなる」「自社のイメージアップにつながる」の5つです。
対してデメリットは、「自社内にノウハウを蓄積しにくい」「委託業務の選定と引継ぎに手間を要する」「コストパフォーマンス低下のリスクがある」「認識の齟齬が生じるリスクがある」「採用課題の本質が見えづらくなる」の5つです。
ただし、デメリットは続けて紹介している「RPOのデメリットを補って成功に導くためのポイント」で対処可能ですので、ぜひ参考にしてください。
また、弊社はダイレクトリクルーティング支援企業として、過去70万件・全40媒体以上のソーシングデータを用いて、自社が求める人材の採用を最短ルートで成功に導くサポートを行っています。
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開催しています
竹村 朋晃
株式会社ダイレクトソーシング CEO (プロフィールはこちらをクリック) 2005年に野村総合研究所に入社。損害保険システムの構築に従事。2015年11月より株式会社ダイレクトソーシングを立ち上げ。エンジニア経験者中心にデータドリブンリクルーティングを中心としたサービスを展開。
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