タレントプールとは?実際の構築方法や事例を解説

更新日:2022年6月23日(木)

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安井


株式会社ダイレクトソーシングの安井です。

近年採用シーンにおいて「タレントプール」「人材プール」「採用プール」「自社プール」という言葉が大きく普及してきています。
弊社でも、日々いただくご相談の中でタレントプールに関する話題が増えてきたように思います。

この記事ではダイレクトリクルーティング専門企業の立場から、タレントプールの「概要の紹介」「構築と運用」「事例」まで、網羅的かつ実践的な知識をまとめます。
弊社はダイレクトリクルーティングの専門企業ですが、タレントプール活用においてはダイレクトリクルーティングも重要なファクターであるため、ダイレクトリクルーティングとタレントプールの関係性や効果的な運用方法までを含めてお伝えできればと思います。

※記事内では「タレントプール」という表記に統一させていただきます。

採用全般の支援を行っています

弊社(株式会社ダイレクトソーシング)では、タレントプール構築も含め、ダイレクト採用を中心とした事業を展開しています。
過去35万件のソーシングデータに基づいた定量的な分析を行っています。
弊社のサービス内容にご興味がある方は以下フォームからお気軽にお問い合わせください。
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1.「タレントプールとは?」結論まとめ

はじめに、ざっくり概要を知りたい方のために記事の結論をまとめておきます。

タレントプールとは?

タレントプールとは「自社の採用ターゲットとなる人材の情報を蓄積するデータベース」です。

採用活動において過去接触した人材に再接触するための手法です。

どう構築し、どう運用するのか?

「接触」「プール管理」「再接触」の三つのサイクルをメインとして運用していきます。

■接触通常の採用経路も含め、採用可能性のあるターゲット人材と接触することで人材の情報を獲得する
■プール管理接触したすべての人材の情報を管理し、再接触につなげる
■再接触プールした人材と定期的に接点を作ることで、短期的または中長期的に応募につなげる

具体的に使う手法やサービスは?

■接触:
・スカウトメディア(LinkedIn・Bizreach・Openwork等)
・ビジネスSNS(LinkedIn・Wantedly・YOUTRUST等)
・プライベートSNS
・求人広告
・採用イベント
・採用以外のイベント

■プール管理:
・タレントプール活用サービス(TalentCloud,CaLin,HERP Nurture 等)
・ATS(参考記事)
・MAツール(Marketo,Hubspot 等)

■再接触:
・「接触」のアクティビティ全て
・メルマガ

以上結論をまとめましたが、これだけではわかりにくい部分も多いと思います。
次の章からもう少し詳細に解説していきます。

2. タレントプールの概要・市場感について

タレントプール

タレントプールを一文で表すと「自社の採用ターゲットとなる人材の情報を蓄積するデータベース」です。

上記画像に示したのは、さまざまな経路で獲得した「採用ターゲットとなり得る人材の情報」を「タレントプール」として一元的に管理することをイメージしたものです。

・一度選考を行ったが辞退or不採用になった人材
・自社で開催したイベントに参加したターゲット人材
・ダイレクトリクルーティングで一度スカウトを送信したが、選考フローに乗らなかった人材

このように「一度でも接触したことのある人材」の情報を一元的に管理し定期的な再接触を行うことで、中長期的な応募可能性を高めることが目的です。

元々「タレントプール」という言葉は、米マッキンゼー社メンバーより出版された「The War for Talent(著:Ed Michaels他)」という本の中で提唱された概念です。
この本は「リクルーティングから能力評価までを含めた人材育成プロセスを、人事部門だけでなくトップと組織全体の戦略として認識し実行する」という主張を軸として書かれています。
出版されたのは2001年ですが、当時から既に「優秀な人材を集めたデータベースの重要性」「データベース化した人材に対して継続的に接触し続けることの重要性」等を説いていました。
背景として、アメリカでは日本のように新卒一括採用の通例や解雇規制の縛りがないために、20年以上昔から上記のような概念を意識する必要があったのだと思われます。

一方、近年になってなぜ日本でタレントプールの概念が普及しつつあるのか。考えられる要因として、
まず日本特有だった生涯雇用の概念が無くなりつつあること。
それにより、人材の流動性が急激に高まっている(※1)こと。
そして同時に、各社が優秀人材の確保と保持に力を入れる必要性も強まっていること。また、各社が必要としているIT人材も益々需要が高まり続けている(※2)こと。

こうした状況の変化により、日本でも以前に比べ「中長期的な戦略性を意識した採用フローに切り替えていかなければならない」といった風潮が強まり、タレントプールの普及につながっていると考えられます。

※1 2016年から2021年の5年間で、日本における正社員の転職率は約2倍になっている(正社員の転職率7.0%、過去6年で最高 | 日本人材ニュースONLINE)
※2 2030年には約59万人のIT人材が不足すると見込まれている(IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果 | 経済産業省)

3. 具体的なタレントプール構築方法

では、具体的にタレントプールを構築するにはどのような手法を選択していけばよいか、以下に解説していきます。

①. 具体的な構築方法:接触

ターゲット人材との接触の方法は多岐にわたります。
通常の採用においてもよく使われる手法も多いですが、タレントプールの構築においては必ず次のステップ「プール管理」に繋げることを念頭に置きましょう。

①-A. スカウトメディア

LinkedIn
Bizreach
Openwork

ダイレクトリクルーティングでのスカウトによってターゲット人材へ接触します。
ほとんどのスカウトメディアにはターゲット人材をリスト化する機能があるため、例えば「半年後に再スカウト」「1年後に再スカウト」のようなリストを作成しておき、各スカウトメディア内でタレントプールとしての管理が可能です。
また、LinkedInには各人材のプロフィールページ上でリマインダー通知を設定することが可能なため、各人材に合わせて柔軟に再接触時期を管理することもできます。

ダイレクトリクルーティング、スカウトメディアの種類については以下の記事で詳しく解説していますのでご覧ください。

関連記事:中途採用向けダイレクトリクルーティングメディア20社徹底比較

①-B. ビジネスSNS

LinkedIn
Wantedly
YOUTRUST 等

ビジネスSNSでのつながりや声かけによってターゲット人材との接触・関係構築を行います。

上記3つのサービスにはそれぞれスカウト機能がありますが直接のスカウト送信を行うのではなく、あくまで各サービスのフォロー機能や投稿機能を利用します。
直接的に応募を促すだけではない自社の魅力的なコンテンツや、業界知識系の発信を行うことで、より多くの人材へ自社の情報を届けられる可能性があります。
また、SNS経由で後述のイベント参加者を募ったり、直接応募に繋げることも可能で、他のさまざまな「接触」への入口として利用することでタレントプールへの流入増加を図ることができます。

①-C. プライベートSNS

Twitter
Facebook 等

プライベートSNSでのつながりや声かけによってターゲット人材への接触・関係構築を図ります。

上記のようなビジネスSNSと比べると職歴やスキルが分かりにくく、採用のターゲットとするか否かの判断には迷うことも多いかもしれません。
しかし、一部の職種ではビジネスSNS的に利用している場合があり、ビジネスSNSでは見つかりにくいような人材が見つかる場合もあります。
例として、エンジニア界隈の方の一部はプライベートSNSにGithubのURLを載せていたり、エンジニアリングの情報交換目的で使っており、より詳細なスキルセットを知ることができる場合もあります。

①-D. 求人広告サイト

通常の求人広告による応募後、不採用や選考辞退となってしまった方をタレントプールで管理します。

一度は不採用・選考辞退になってしまった方でも、以下のような理由で再度自社に応募してもらえる可能性があります。

・選考途中で転職自体を考え直し現職に留まることを選んだが、再度転職先を探し始めた
・一度選考を辞退し別の会社を選んだものの、カルチャーアンマッチ等で再転職を考えている
・以前は自社の採用基準に合わなかったジュニアクラスの人材を受け入れる体制が出来た

重要なのは「いつでも」過去応募人材と接触できる状態を作っておくことです。
候補者側の状況変化のタイミングに合わせたアプローチを設計することが最善です。

①-E. 採用イベント

会社説明会やキャリア説明会等の採用に直結するイベントを開き、ターゲット人材との接触を図ります。

開催直後に自社求人に応募した方だけではなく、参加しただけの方でも更なる接点を作り続けることで応募してくれる可能性は高まります。
採用イベントに参加してもらえている時点で、ある程度自社に対しての興味喚起は成功しているので、自社の魅力を伝え続けて応募まで繋げる導線をしっかりと設計しましょう。

①-F. 採用以外のイベント

採用以外に、ターゲット人材が興味を持ちそうな題材のセミナーや勉強会を実施することで、直近の転職を考えていない人材に対して接触していきます。

例えば、エンジニア界隈であればconnpassなどを使って勉強会やLT(ライトニングトーク)会を開催するのもよいでしょう。

②. 具体的な構築方法:プール管理

続いて、上記「接触」で獲得した人材の情報を管理するための手法です。
ポイントはいくつかありますが、タレントプール管理において重要なのは以下の機能かと思いますので、自社がかけられるコスト等も鑑みて機能の取捨選択をしましょう。
・人材情報管理機能の豊富さ
・次のアプローチ時期のタイムライン管理
・人材のWeb上の動きを計測するツール

②-A. エクセル・スプレッドシート

Microsoft ExcelやGoogle スプレッドシートでもタレントプールの管理は行えます。
項目としては接触した人材の氏名・連絡先等最低限の情報を記録しておけば再接触も可能です。
しかし、より効率的な運用や更なる活用を目指す場合は以下のようなサービスを使用するとよいでしょう。

②-B. タレントプール活用サービス

TalentCloud
CaLin
HERP Nurture

タレントプールの概念が普及するにつれて、タレントプール管理のための専用サービスも複数生まれています。
機能としては、接触した人材の情報をインポートして管理する機能が基本です。
加えて、プールした人材が採用サイトに訪れた時に計測する機能や、ATSと呼ばれる採用管理システム(以下記事参考)の機能が使えるものもあります。

関連記事:ATS(採用管理システム)比較19選、選び方を解説

②-C. MA(マーケティングオートメーション)ツール

Marketo
Hubspot

マーケティング用の顧客情報管理・計測システムをタレントプールの管理に利用する場合もあります。
顧客の行動を計測・管理することに特化したサービスのため、一度接触した人材の行動データを蓄積・活用することに非常に長けています。

外部記事:マルケト、自社ツールMarketo×HRMOS採用管理×PR Tableを連携し、自社採用活動で「採用マーケティング」を実践 | Marketo

③. 具体的な構築方法:再接触

最後に「再接触」の手法です。
タレントプールの運用においてはここが最も重要なので、最も工数をかけてもいい段階とも言えます。
しかし、実際には使える工数も限られている上に、アクティビティが初めの「接触」と被る部分も多くあります。
効率的な方法として「接触」の各手法を行う際に、同時にタレントプール内の人材も対象に含めたアプローチに出来ないか?を常に考えることで「接触」と「再接触」を並行して効率的に進めることが出来ます。

③-A.「接触」のアプローチ全て

タレントプール運用のポイントは「一度接触した人材に定期的に再接触を重ねる」ことです。
そのために、上記「接触」で行うアプローチは全て再接触に転用することができます。

スカウトメディアの場合:直近の転職を考えていなかった人材への定期アプローチが基本です。新規接触のためのスカウトメールを作る際に、タレントプール内にいる人材に同じ情報を届けても有用な内容にすることで、「接触」「再接触」を並行して進めることが出来ます。

SNSの場合:気軽なリプライや、投稿による頻繁な発信によって再接触を図りやすい媒体です。直接的な求人のための発信ばかりになるのは避けたいところですが、求人募集をしている旨は認知されなければならないため、投稿頻度と求人系告知のバランスが大切です。

イベントの場合:採用感を出さないイベントの設計も重要です。しかし、タレントプール内の人材をメインターゲットとしたイベントを作る場合には、既に自社のことを認知している段階のため、自社の魅力を押し出す(多少採用感を強めた)イベントを設計することも応募増加への近道の可能性があります。

③-B. メルマガ

Eメールによる接触は、人材の情報を既に獲得している再接触時にしか取れない手法です。

全体配信で自社のコンテンツを配信するのもよいですが、直接応募を促すようなメールを送るのが効果的な場合もあります。
また、できれば個別に連絡を取ってやり取りの中で応募を促すのが最も応募率を引き上げられるので、工数を加味しつつできるだけ各人材に合わせた個別的なアプローチを取りましょう。
また、イベントを設計した際の流入経路としてメルマガを使用したり、SNSのフォローを促すことでSNS上での再接触に繋げる、といった他の再接触経路への誘導もしやすい媒体です。

4. 国内外のタレントプール事例

①. 国内:SmartHR社

国内企業の中で、タレントプール構築によって大きな成功を収めているのがSmartHR社です。
あらゆる採用チャネルでの施策打ち出しと並行したタレントプール管理により、約3700人ほどの人材情報を蓄積することが出来ているそうです。

ツールとしては採用管理ツール(ATS)であるTalentioと、マーケティング用ツールであるMarketoを併用しており、情報管理と計測・分析の両面からタレントプールの活用に成功しています。

使用サービス:Talentio,Marketo,SNS

外部記事:ナイル渡邉が気になる、あの会社の採用広報 #1 SmartHR瀧田成紗氏 | HirinGeek by Wantedly

②. 海外:Dell Technologies社
Dellタレントネットワーク

米最大級のコンピューターテクノロジー企業であるDell Technologies社では、公式HPの採用ページ上で「Join Our Talent Network」というフォームを設置しており、気軽にDell Technologies社の最新の求人情報を受け取ることができるようになっています。
登録自体はLinkedInやFacebook等の既存のSNSアカウントを使用してできるようで、再接触への導線が整っていることがわかります。

また、上記Talent Networkへの参加を各公式SNS等でも促しており、このようなTalent Networkがあること自体の知名度はかなり高いように思えます。
元々の社名の知名度が高いことも相まっての効果向上が狙えている面はあるものの、公式HP上から気軽に登録できるフォームを設置すること自体はすぐに実施可能な施策として参考になるかと思います。

自社HPの採用ページを更新次第、登録者に通知メールが届くような仕組みを自動化できれば、運用工数もかなり抑えられそうです。

使用サービス:自社HP,Facebook,他SNS
外部リンク:Join Our Talent Network | Dell Technologies

③. 海外:LUSH社
LUSHJobalert

自社HP上に求人の通知を受け取るためのフォームを設置している点では上記Dell Technologies社と同様ですが、LUSH社では人材の動きを計測するためにマーケティング用ツール「AppVault」を使用しているそうです。

マーケティングオートメーションを併用することで、「頻繁にサイトに訪れているユーザーに対して優先的に個別アプローチを行う」等、より応募確度の高いアプローチから工数をかけることが出来そうです。

使用サービス:自社HP,AppVault,Facebook,他SNS
外部リンク:Subscribe to job alerts | LUSH Careers
外部記事:海外タレントプール事例「LUSH」編 | TalentCloud

5. まとめ

以上、タレントプールについて解説してきました。
実際に使用するサービス・ツール等を挙げたため、実際にタレントプールの概念を導入する際や、効果的な運用を目指す際の参考になれば幸いです。

弊社では採用広告やブランディング、またダイレクトリクルーティング全般に関して支援を行っております。
タレントプール構築を含め、採用関連のお悩みやご相談事項がありましたら以下フォームからお気軽にお問い合わせください。
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この記事を書いた人

ブログ著者の顔写真

安井

飲食系ITベンチャーにてマーケティングを担当後、株式会社ダイレクトソーシングに転職。
カスタマーサクセスとしてコンサルティング業界やエンジニア業界を中心にダイレクトメディアを活用した調査・スカウトを実施。
現在は前職の経験とカスタマーサクセスにて顧客との対面で得た知見・市場感を元に、マーケティング業務全般を担当。