BPOとRPOの違い|HROなど類似用語の整理と共通する重要ポイント
BPOとRPOの違いは、対象とする業務の範囲のみです。
BPOは「ビジネス」に関するあらゆる業務を対象とした業務委託を指しており、対してRPOは「採用」に関する業務のみを対象とします。
業務委託は人材不足を背景に注目されており、BPOやRPOの他にも、HRO、ITO、KPOなど、さまざまな業務領域を対象としたものが登場しています。
ただ一方で、類似したものが多く、分かりにくいと感じる方も少なくありません。
そこで本記事では、業務委託のなかでも特に活用する企業の多いBPOとRPOの違いを中心に、その他の類似用語をまとめて整理します。
また、各業務委託に共通する重要ポイントも紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
BPOとRPOの違い
BPOとRPOの違いは、対象とする業務の範囲のみです。
どちらも業務委託を指す用語であることは共通しています。
より詳細は、以下の通りです。
BPOは「Business Process Outsourcing」であり、「Business :ビジネス」に関するあらゆる業務プロセスを対象とする業務委託です。
対して、RPOは「Recruitment Process Outsourcing」のため、「Recruitment:採用」に関する業務のみを対象とします。
このように、業務委託を示す用語には類似したものが多く、混同しがちです。
次の項目からは、両者を含んだ類似用語を整理します。
そもそも業務委託とアウトソーシングの違いはあるのか
ここまでの解説で、そもそも業務委託とアウトソーシングの違いが気になった方もいるのではないでしょうか。
結論からいうと、厳密には違いますが気にしなくてもほとんど支障ありません。
理由は2つです。
1つ目はこの違いを正確に使い分けているのは専門企業でも少ないため、2つ目は分けて考えようとすると返ってややこしくなるためです。
念のため、両者の違いは以下の通りです。
- 業務委託:業務を外部に任せること(意思決定は自社で行う)
- アウトソーシング:業務を外部にまかせること(意思決定を含めて任せる)
このように、違いはカッコ書きの中だけです。
業務委託は意思決定は自社で行い、アウトソーシングは業務に関する意思決定を含めて外部に任せます。
ただし、「用語の違い」によって意思決定の在りかをどちらか示すよりも、「具体的な打合せと取り決め」によって明確にする方が安全かつ確実といえます。
BPOとRPOを含む類似用語の整理
ここでは、BPOとRPOを含む類似用語を解説・整理していきます。
BPOとは
BPOとは「Business Process Outsourcing:ビジネス・プロセス・アウトソーシング」の略であり、企業が特定の業務プロセスの一部もしくは全体を外部の専門企業に委託することを指します。
「ビジネス」という表現の通り、人事や採用、経理、営業、ITなどあらゆる分野を対象とするため、以降で紹介する各アウトソーシングの総称と位置付けられます。
BPOを活用することで、「業務効率化」「ミスの低減」「トータルコストの削減」「よりコアな業務への注力」などを期待できます。
RPOとは
RPOとは「Recruitment Process Outsourcing:リクルートメント・プロセス・アウトソーシング」の略であり、企業が人材採用プロセスの一部もしくは全体を外部の専門企業に委託することを指します。
「採用代行」「採用アウトソーシング」と呼ばれることもあります。
例えば、採用計画の立案、求人広告の作成、自社の採用ページ作成と運営、母集団形成、応募者のスクリーニング、面接のスケジューリングや実施、内定者へのフォローなど、採用に関わるさまざまな業務を委託可能です。
ただ、企業によって委託可能な業務範囲や得意とする領域が異なるため、事前の確認が欠かせません。
RPOを活用することで、「採用担当者の負担軽減」「候補者や応募者に対するレスポンスの迅速化」「採用力の強化」「採用にかかるコストパフォーマンスの向上」などを期待できます。
RPOについては、こちらの記事で個別に詳しくまとめているため、ぜひあわせてご覧ください。
参考記事:RPOとは?採用代行が向いている企業と失敗しないための注意点 (directsourcing-lab.com)
HROとは
HROとは「Human Resources Outsourcing:ヒューマン・リソース・アウトソーシング」の略であり、企業が人事管理および育成・開発業務を外部の専門企業に委託することを指します。
人事領域の多岐にわたる業務が対象となり、給与計算、福利厚生の管理、研修プログラムの設計と実施、労働関連法の遵守などが挙げられます。
なお厳密には、採用に関する業務も対象となるため、先に挙げたRPOを包括した用語と位置づけられます。
とりわけ福利厚生や労働関連法に関しては、専門的な知識を要するため、専門知識やノウハウを有する外部企業を頼ることができる点は、非常に心強いといえるでしょう。
また、昨今課題とする企業の多い「早期離職の防止」「定着率の向上」「エンゲージメントの向上」「心理的安全性の醸成」などに対処する具体的な対策も期待できます。
ITOとは
ITOとは「Information Technology Outsourcing:インフォメーション・テクノロジー・アウトソーシング」の略であり、企業がIT関連の業務やプロジェクトを外部の専門企業に委託することを指します。
具体的には、ソフトウェア開発、システム管理、ネットワークインフラの構築・運用、データセンターの管理など、幅広いITサービスが含まれます。
企業によっては「ITに精通している社員がいない」「IT担当者だけでは業務過多に陥ってしまう」「現行のIT業務が効率化できているか不安」といった課題を抱えています。
こうした課題の解決策となるのがITOです。
ITOを活用することで、「自社のみでは成し得なかったIT業務効率化の実現」「最新のITトレンドを用いた業務改善」「関連業務にかかるトータルコストの低減」「本来のコア業務に専念できる」といったメリットを期待できるでしょう。
KPOとは
KPOとは「Knowledge Process Outsourcing:ナレッジ・プロセス・アウトソーシング」の略であり、企業が知識労働に関連する業務プロセスを外部の専門企業に委託することを指します。
KPOは、知識労働者の高度なスキルや専門知識が必要とされる業務を対象とします。
具体的には、市場調査、データ分析、金融モデリング、科学的研究、法律業務、医療診断支援など専門的な知識や技術が求められる業務が挙げられます。
KPOを活用することで、「委託領域におけるアウトプットの質向上」「業務の属人化防止」「コストパフォーマンスの視える化」などを図れます。
ただし、KPOに関しては機密性の高いデータを任せる場合も多いため、情報セキュリティ面には特に注意が必要です。
LPOとは
LPOとは「Legal Process Outsourcing:リーガル・プロセス・アウトソーシング」の略であり、法務業務や法に関連する業務プロセスを外部の専門業者に委託することを指します。
例えば、契約書の作成、法的調査、訴訟支援、知的財産権の管理、著作権などの知財やコンテンツの保護、広告の法的視点からのチェック、規制所管庁からの問合せ対応などが挙げられます。
この他にも、内部統制やガバナンス体制の強化、上場企業の開示業務、投棄処理なども委託可能です。
社内に各種法律に精通した人材がいない場合、必要に応じて特定の法務業をLPOでまかなうといった活用ができるでしょう。
CPOとは
CPOとは、「Customer Process Outsourcing:カスタマー・プロセス・アウトソーシング」の略であり、企業が顧客対応やサポート業務を外部の専門企業に委託することを指します。
同様の略し方をする別分野の用語が多く存在するため、注意しましょう。
具体的には、顧客サポートセンターの運営、顧客からの問合せやクレーム対応、注文処理や請求処理、顧客データ管理、顧客満足度調査などを委託できます。
また、委託先によっては、顧客対応に関する研修やトレーニング、顧客サポートセンターの対応品質の監視や改善提案を依頼できる場合があります。
CPOを活用することで、「顧客への対応品質向上」「コア業務への専念」「業務過多の解消」などを期待できます。
ただ、製品やサービスに関する詳細な問合せ等への直接対応は困難なため、こうした点における対応スピードは低下する可能性があります。
ESOとは
ESOとは「Engineering Services Outsourcing:エンジニアリング・サービス・アウトソーシング」の略であり、企業が製品開発や設計業務を外部の専門企業に委託するプロセスを指します。
製造業などが、製品開発や設計、試作品製作、製品のテストや検査、解析、CAD(Computer-Aided Design)などのエンジニアリング関連業務を委託するケースが一般的です。
自動車や建設、家電、半導体、製薬、通信などESOを活用する業界は多岐にわたります。
ESOによって、エンジニアリング専門家の豊富な知識とノウハウを活用できます。
また、設備投資や維持費、人件費などの固定費を削減し、変動費として必要な領域のみを委託できるのも利点です。
ただし、機密性の保持、コンセプトや細かな仕様の正確な共有などには注意が必要です。
各業務委託に共通する重要ポイント
ここまで、さまざまな業務委託を紹介してきました。
人手不足を課題とする企業が多いなか、必要に応じて労力や知識、ノウハウを活用できる業務委託に魅力を感じた方も多いのではないでしょうか。
そこで以下では、各業務委託に共通する重要ポイントを4つ紹介します。
業務委託の検討時や活用時には、それぞれのポイントに留意しましょう。
目的を明確化する
どの業務委託を検討する際においても、はじめに目的を明確化しておくことが不可欠です。
具体的にどのような業務を委託するのか、それによって最終的に何を達成したいのかを明確に定義します。
例えば、売上拡大、コスト削減、業務効率化、担当者の負担軽減など、自社の現状に応じて適切な目的を設定しましょう。
さらに目的を目標に落とし込み、数値や達成した状態を具体的に定義することで、成果を客観的に評価できるようになります。
明確化した目的を基に適切な委託先を選定し、求める成果を実現しましょう。
目的の分野を得意とする企業に委託する
業務委託先を選定する際には、その分野を得意とする企業に委託することが重要です。
特定の業界や分野に精通した企業であれば、より専門的なサービスや提案、アドバイスを提供することができます。
また、想定よりも高い成果やプラスアルファの成果を得られる可能性もあります。
そのため、業務委託先を検討する際には、対象企業の実績を確認し、自社が求める分野に関する知見やノウハウを十分に有しているかを確認しましょう。
その際、他社の事例紹介を求めると、実績をより把握しやすいでしょう。
進捗共有などコミュニケーションを重視する
業務委託を行う上では、委託先とのコミュニケーションを重視しましょう。
定期的な進捗報告や課題の共有、改善点の伝達など、委託後の円滑な業務遂行には綿密なコミュニケーションが欠かせません。
コミュニケーションを軽視してしまうと、委託した業務がブラックボックス化してしまい、問題や課題、認識のずれなどが生じても気づくことができません。
そのため、コミュニケーション手段や頻度を適切に設定し、業務遂行における透明性と効率性を維持することが必要です。
また、トラブル発生時の対処や機密情報の取り扱いに関するルールは、事前にすり合わせておくようにしましょう。
自社内にノウハウを蓄積しにくい点を理解しておく
業務委託は専門企業の知識や経験に頼ることができる反面、自社内にノウハウを蓄積しにくくなります。
そのため、以下のような工夫を行うと良いでしょう。
- 効率的な業務の進め方など委託先のノウハウを学び取る姿勢で活用する
- 重要な判断を要するコア業務は自社内で行い、その他の業務を委託する
- 定期的なコミュニケーション機会を設けて、好事例や効果的なやり方などを常に共有してもらう
まとめ
BPOとRPOの違いは、対象とする業務の範囲のみです。
BPOは「Business :ビジネス」に関するあらゆる業務プロセスを対象とする業務委託です。
対して、RPOは「Recruitment:採用」に関する業務のみを対象とします。
同様に本文では、昨今注目されている各業務委託を整理して紹介しています。
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竹村 朋晃
株式会社ダイレクトソーシング CEO (プロフィールはこちらをクリック) 2005年に野村総合研究所に入社。損害保険システムの構築に従事。2015年11月より株式会社ダイレクトソーシングを立ち上げ。エンジニア経験者中心にデータドリブンリクルーティングを中心としたサービスを展開。
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