海外の採用事情
2023.08.09

アメリカの採用単価は日本の10分の1!理由を解説します

最近、人材業界の調査をしていた際にリクルートワークス研究所が、アメリカの人材ビジネスに関して、非常に面白い資料を出しておりました。
今回は、アメリカの人材ビジネスについて自分が気になった5つのデータをまとめてみました。




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1.アメリカの採用のうち59%の企業がRPO(Recruitment Process Outsourcing)を活用している

RPOとは2,000年代半ば以降拡大した人材ビジネスで、「採用プロセスをアウトソーシングすること」という意味です。
最近ではRPOを活用する企業が増えており、59%もの企業が採用プロセスの一部または全てをアウトソーシングしております。

新たに採用担当を雇い、教育して習得してもらうよりも、餅は餅屋で採用プロセスのプロにお金を払って、外注化した方が良いという考えになっているということの現れだと捉えることができます。
弊社もRPOビジネスを行っているのですが、弊社にご契約いただく際に、派遣社員の方を雇うか、うちのサービスを使うかで迷われた末に弊社のご契約する企業様がほとんどです。

2.アメリカではダイレクトソーシングによる採用が大幅に増加している

2013年はダイレクトソーシングによる採用が12.1%と前年の6.8%から大幅に増加し、当時の過去最高値となっていました。
ダイレクトソーシングによる採用が、2012年~2013年からの1年間で2倍増加しているということです。
さらには、2015年には27%まで上がっております

この流れは、日本にも当然のごとく到達しており、LinkedInやビズリーチ、Wantedlyといったダイレクトメディアを導入している企業は徐々に増えつつあります。
理由としては、有効求人倍率が過去最高値の2.87倍まで増えている日本において、今までの採用経路(エージェント、採用メディア等)では、質の高い候補者を採用できなくなったということが大きいです。
日本でも、さらに急速にダイレクトソーシングを用いて採用する企業が増えていくことが想定されます。

【出典】”リクルートワークス研究所”
https://www.works-i.com/research/university_business/usa/

 

3.アメリカの企業の52.9%がLinkedInを利用する社内のリクルーターの数を増やすと答えている

アメリカの企業の半数以上はエージェントといった第三者に頼った採用をやめ、自社内でLinkedInによる採用を強めようということの現れです。
ダイレクトソーシングはコストパフォーマンス高く採用できる反面、工数がかなり発生します。

具体的には、候補者を検索する、メッセージを送信する、面談するといった作業が必要です。
ただ、第三者に頼っていては、求人要件に合った質の高い候補者をコストパフォーマンス高く
採用できないということで、採用の部分に関しては自社内で強化したいという企業が多くなっております。

 

4.2014年の採用計画では、成功報酬型人材紹介会社や求職サイトの利用を抑え、LinkedInの活用を増やすという回答が多数

こちらはかなりストレートなデータですが、要するにエージェントや求職サイトからLinkedInでの採用にシフトしていきたいという考えをもった企業が多くなっていることを示すデータです。

LinkedInは全世界で9億人以上のユーザーが登録しているビジネス専用のSNSです。
そのため世界中のビジネス人材の多くが登録しており、データベース内に質の高い候補者が豊富におります。
エージェントやその他の採用メディアが持っているデータベースが圧倒的に多いため、
LinkedInの採用を増やしたいという意向が現れているのではないかと思います。

 

5.2014年の採用計画では、ソーシャルメディア/LinkedInを活用し、リファラル採用を増やすことが大きな焦点

LinkedInをダイレクトソーシングや求人掲載のみならず、リファラル採用にも活用していこうというのが広まっているようです。
日本ではまだまだ導入している企業が少ないですが、ワークウィズアスという機能がLinkedInにはあり、リファラル採用の強化に効果的です。
さらに言うと、リファラル採用はコストが最も安価でかつ、類は友を呼ぶということでカルチャーフィットしやすいです。
採用に関して先進的なアメリカではワークウィズアスといった機能までしっかり使い、採用を効率的に行っていこうという訳ですね。

まとめ

1のデータにより、アメリカではRPOという新たな概念を持ったビジネスが多くなっているということを感じたと同時に、餅は餅屋で採用プロセスを効率化しようという先進的な考えを学びました。

2のデータにより、アメリカにおいてダイレクトソーシングという採用手法はかなりの大部分を占め、今後より一層広まっていくということを示唆していると思います。

3~5のデータにより、アメリカでは、LinkedInありきでの採用をしていく考えが強まっているのだと感じました。
これらのデータは、RPOやダイレクトソーシング、そしてLinkedInに関わるビジネスを行っている私からしても非常に衝撃的なデータで、今後の成長がさらに期待できることを感じております。

アメリカの文化が約10年遅れでやってくると言われる日本において、RPOビジネスやダイレクトソーシング、LinkedInが全盛になっていく未来はもう遠くはないのではないでしょうか。

【出典】
株式会社リクルートホールディングス リクルートワークス研究所(2010)
「アメリカの人材ビジネス2010~2015」
03.人材ビジネスの事業領域、商品サービスと新領域サービス(1)」
http://www.works-i.com/pdf/r_000158.pdf

株式会社リクルートホールディングス リクルートワークス研究所(2010)
「アメリカの人材ビジネス2010~2015
08.米国の採用経路調査2014」
http://www.works-i.com/pdf/r_140404.pdf

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竹村 朋晃

竹村 朋晃

株式会社ダイレクトソーシング CEO (プロフィールはこちらをクリック) 2005年に野村総合研究所に入社。損害保険システムの構築に従事。2015年11月より株式会社ダイレクトソーシングを立ち上げ。エンジニア経験者中心にデータドリブンリクルーティングを中心としたサービスを展開。