中国の採用事情を解説します
中国の採用事情について、どのような採用の仕方をしているかご存知ですか?
みなさんこんにちは!株式会社ダイレクトソーシングの小野です。
前回はアメリカの採用事情について調査してみなさんにお届けしてみました。
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アメリカの採用事情を解説します
日本の企業や個人が「〇〇って海外ではどうなっているのだろう?」と疑問に思うとき、大体最初に調べるのはアメリカが多いのではないかと個人的に思います。
やはり世界第一の経済大国としてのイメージが強く、GoogleやAppleなどの世界的に有名な企業の生まれた国であるアメリカは、1番最初に思い浮かべる“海外”なのではないでしょうか。
しかし現在、その大国アメリカの肩に並ぼうと急成長している国があります。
そうです、中国です。
そのため最近ではアメリカと中国の間はどうもきな臭くなってきており、経済戦争だなんて言葉も耳にします。
中国の人口は14億弱で世界一、国内総生産(GDP)は13兆ドルを超えて、今やアメリカに次ぐ第2位の経済大国です。
ではそんな急成長を遂げる中国の採用活動、就活・転職活動はどのようなものなのでしょうか。
今回は中国の採用事情について調べてみました。
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目次
1.中国では採用時に何をみている?
中国では採用時に候補者の何を重視しているのでしょうか。
実力社会、弱肉強食社会と言われる中国は、次の点を採用の際にみているようです。
1.1.即戦力
中国では即戦力のない人材はなかなか雇ってもらえません。
日本の新卒採用ではアピールポイントとして、運動部のキャプテンやサークル活動などの経験が面接で話題になることが多いです。
そのエピソードを通して、リーダーシップや協調性、課題解決能力などがあるのかを面接担当者が推し量るのです。
しかし中国ではそのようなエピソードはアピールポイントになりません。
「その経験が会社での仕事にどう活きるのか」と、即戦力に繋がらないと判断される傾向にあります。
中国の企業が求めるのは即戦力ですから、その企業での仕事に関する実務経験の有無が評価の対象になります。
日本では中途採用であれば即戦力を求める傾向にありますが、新卒採用や第二新卒くらいまでは即戦力はそこまで求められません
経験がないことを前提に採用しています。
しかし中国では新卒採用においても即戦力が求められます。
1.2.学歴、スキル
次に見られるのが、学歴やスキルです。
どこの大学か、仕事に関連する学部学科か、英語が話せるか、などの面が重視されます。
これは前項の即戦力に通じる部分があります。
仕事に関わる学部学科で学び、その上レベルの高い教育を受けている上位大学出身者であればあるほど、即戦力の面で優位になることは想像に難くないでしょう。
そのため、中国では大学選び、学部学科選びが大切なのです。
その後の人生を決めると言っても過言ではありません。
中国の大学卒業者は年々増加傾向にありますが、ホワイトカラーの求人倍率は1.0を切っています。
つまり大学を卒業しても、ホワイトカラーの仕事に就けない人材が増えていく状態にあるということです。
一方でブルーカラーの求人倍率は1.0を超えています。
しかし「大卒はホワイトカラー以外の道はない」というような面子やプライドがあるため、卒業後に無職のままの人も珍しくなくなってきているのです。
さらに海外の大学に留学して中国に帰って就職する人も、以前に比べて増えてきています。
以前であれば、そのまま雇用条件や給与の良い留学先で就職する人が多かったのが、成長著しい中国で良い仕事に就こうと戻ってくるのです。
そうなれば英語のスキルの高い人材が中国国内の採用市場に流入してくるわけですから、自ずと競争が激しくなります。
つまり中国の大学の中でも、清華大、北京大などの上位大を卒業しており、かつ仕事に関連する学部学科の出身で、英語のスキルが高い人材かどうか、が中国の採用市場で重視されるのです。
1.3.最近では芝麻信用(セサミクレジット)も!?
即戦力や学歴、スキルを重視する点は前回ご紹介したアメリカの採用市場に似ていますね。
日本のように適性検査や面接を通して人柄を見る採用とは、中国の採用は異なるのです。
しかし最近では、ある意味、人柄に近い面を見られるようになってきています。
それが「芝麻信用(セサミクレジット)」です。
芝麻信用(セサミクレジット)とは、アリババグループのサービス使用履歴から、個人や法人の信用度を評価し数値化するサービスです。
例えばローンを返済しない人がいたとして、それは貸している人と借りている人の間でしかローンを返していないという事実は知りようがありません。
その人をどれだけ信用していいのか、周りからは判断ができないのです。
そこで芝麻信用(セサミクレジット)では、返済履歴や支払能力、素行などの項目に対してAIが自動で点数をつけて定量化します。
この芝麻信用(セサミクレジット)の値が高いと、様々なメリットを受けることができます。
例えば、一部の国に入国する際にビザ申請が不要になったり、無担保ローンが利用できたり、ある一定のスコア以上でなければ顧客になれないサービスの顧客になれたりなどです。
そして最近ではこの芝麻信用(セサミクレジット)のスコアが、就活・転職の際に企業から求められることが増えているそうです。
従来の中国の採用活動では、候補者のビジネス上の実力や経歴を重視してきたのに対し、信用に値する人物であるか、素行に問題のある人物ではないか、という点も見られるようになってきたのです。
これはアメリカにはない中国特有の採用事情ではないでしょうか。
2.中国の採用活動の特徴
以上のような点を中国では採用の際に企業が見ています。
では採用活動の形にはどのような特徴があるのでしょうか。
2.1.そもそも起業を積極的に推進している
中国では政府が新卒の若者へ積極的に起業を勧めています。
そのため、実際に起業した人、起業する予定のある人が多い傾向にあります。
行動力があったり、積極性・自立心のある人材にとっては起業という道があります。
つまり、企業にとってはそのような人材を採用したくても、そもそものパイが少なくなってしまっているという現実があります。
余計に企業の人材獲得競争は激しくなります。
2.2.転職が当たり前、短期~数年の契約更新
企業に勤める道を選んだ人材も、中国ではスキルアップや待遇アップのための転職が当たり前であるため、人材の移動が活発です。
せっかく会社勤めを選択した人材を採用しても、短期間でやめてしまうため、中国企業では常に積極的に優秀な人材を獲得しにいく必要があります。
そして転職ありきでの採用であるため、大抵は短期~数年の契約で更新制としている会社が一般的です。
2.3.多くの大卒者が薄給インターンから
前述したように、中国は圧倒的な実力主義・学歴主義社会です。
即戦力がなければ採用されません。
そこで、アメリカと同様に、大抵の大卒者は薄給インターンから始めます。
インターンで経験を積んで本採用に臨みます。
そのため、企業はインターン採用し、そこで優秀な人材がいれば本採用を提案します。
2.4.リファラル採用が盛ん
中国では転職が当たり前ですが、そのきっかけがリファラル採用である事も多いようです。
転職しやすい環境であることから、声を掛けやすいという環境なのでしょう。
家族や友人を通して転職するのは珍しくありません。
企業は一般の採用ももちろんしていますが、リファラル採用も積極的に活用できる土壌が中国にはあるのです。
3.アメリカで活用されているLinkedIn(リンクトイン)。中国では?
アメリカの採用事情についてお伝えした記事で、アメリカでは積極的に活用されているビジネスSNS「LinkedIn(リンクトイン)」をご紹介しました。
LinkedIn(リンクトイン)を使って、企業はユーザーにスカウトを送ることができ、その他にも採用向けの様々な機能があります。
では中国ではどうでしょうか。
中国のLinkedIn(リンクトイン)ユーザーは4,400万人存在します。
アメリカの1億5,400万人に比べたらおよそ3分の1しかありませんし、中国の全人口と比較すればほんの少しです。
しかし国ごとに見たLinkedIn(リンクトイン)ユーザー数は、中国はインドの5,300万人に次ぐ第3位の国です(1位はアメリカ)。
中国は、比較的、LinkedIn(リンクトイン)を積極的に活用している国の1つなのです。
働く側はスキルアップ・待遇アップのために転職したい、企業側は優秀な人材を積極的に獲得していきたい、と思っていることを考えれば、LinkedIn(リンクトイン)が中国で活用されるのは自然なことではないでしょうか。
LinkedIn(リンクトイン)では企業が求人を掲載したり、条件に合うLinkedIn(リンクトイン)ユーザーにスカウトを送ったりする機能があります。
さらにビジネス上の関係性を構築するSNSであることから、中国で盛んなリファラル採用をするための環境としてぴったりです。
アメリカ、中国の採用の特徴を見てみると、優秀で即戦力のある人材を望む企業が多く、そして求職者も激しい競争の中で仕事を探したり転職したりする国では、LinkedIn(リンクトイン)が非常にマッチしているのかもしれませんね。
日本も以前に比べれば転職が一般的になってきていますが、今後さらに転職者や転職回数が増えていけば、中国のように、チャンスをつかみたい企業や求職者によるLinkedIn(リンクトイン)の利用が増えていくかもしれません。
4.中国の採用事情を知って、日本の採用現場に活かそう!
経済成長著しい中国。 弊社(株式会社ダイレクトソーシング)では、海外採用チャネルも含めたダイレクト採用手法の構築・運用支援に特化した事業を展開しています。
その中国での採用事情や特徴について、日本の人事・採用担当者は定期的にチェックしておくといいでしょう。
日本の採用現場に活かせる点がきっとあるはずです。
今回は中国の採用についてご紹介しました。
次もまた他の国・地域の採用についてお届けします。
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竹村 朋晃
株式会社ダイレクトソーシング CEO (プロフィールはこちらをクリック) 2005年に野村総合研究所に入社。損害保険システムの構築に従事。2015年11月より株式会社ダイレクトソーシングを立ち上げ。エンジニア経験者中心にデータドリブンリクルーティングを中心としたサービスを展開。
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