LinkedIn採用
2025.08.05

【2025年最新版】今後LinkedInは日本で広まるのか?

こんにちは。LinkedIn(リンクトイン)公式資格を持つリクルーターの高木です。

私は日々、1万人を超えるLinkedInプロフィールをチェックしていますが、最近特に日本国内でもLinkedInの活用が加速していると感じています。

「そもそもLinkedInって何?」「本当に日本で広まるの?」「ビジネスに役立つの?」そんな疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

このブログでは、個人・企業それぞれの視点からLinkedInの現在地と未来について、最新のデータや活用事例を交えてわかりやすく解説していきます。

人事・採用担当の方はもちろん、キャリア形成やビジネスネットワーキングに興味がある方も、ぜひ最後まで読んでみてください。

✅ この記事でわかること

✔️ LinkedInとは?
世界12億人が使うビジネスSNSの仕組みと特徴
✔️ 日本国内での利用状況
他SNSやスカウト媒体との比較、成長の兆し
✔️ 世界で伸びる国と日本の今
最新データで見る国別ユーザー増加と普及率
✔️ なぜ日本でLinkedInが広がらなかったのか
障壁と、それを超え始めている今の状況
✔️ 日本企業の成功事例と今後の可能性
採用・広報・グローバル化で活躍する実践例

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1. LinkedInは利用していますか?

1.1 LinkedInとは

LinkedIn(リンクトイン)は、FacebookやX(旧Twitter)と並ぶ世界的なソーシャルメディアの一つで、ビジネスに特化したSNSです。
全世界でのユーザー数は12億人を突破し、仕事やキャリアの場面で欠かせないインフラとなりつつあります。

現在、SNSは「プライベートで使うもの」と「ビジネスで使うもの」に明確に分かれつつあります。
たとえば、Facebookはプライベート中心のつながり、LinkedInはビジネス人脈やキャリア構築のためのつながり――というように、目的ごとの使い分けが進んでいます。

なお、LinkedInは2016年に米マイクロソフトによって約3兆円で買収されました。これは当時としても異例の規模であり、それだけグローバルでの影響力が大きいサービスであることを示しています。

LinkedInには大きく分けて2種類のユーザーが存在します。
一つは「個人ユーザー」、もう一つは「企業ユーザー」。この章では、まず個人としてLinkedInを使うメリットから解説していきます。

1.1.1 個人ユーザーとしてLinkedInを使うメリット

✔️ ビジネス用の自己紹介メディアとして

海外では日本のような名刺交換の文化が一般的ではありません。
ビジネスの場では「LinkedInでつながりましょう」という一言が、自己紹介の代わりになります。

また、転職活動やキャリアチェンジにおいても、LinkedInのプロフィールを充実させておけば、履歴書や職務経歴書をその都度作成する手間を減らせるというメリットがあります。

✔️ ビジネスネットワークを広げる手段として

異業種・異職種の人とも気軽につながることができ、業界を超えた情報交換や協業のきっかけを得られるのがLinkedInの強みです。

特にフリーランスや副業を考える人にとっては、実績やスキルをアピールすることで仕事の依頼につながる可能性も広がります。

✔️ キャリアに役立つ情報収集ツールとして

LinkedInのフィードでは、つながっている人やフォローしている企業の最新投稿をタイムライン形式でチェックできます。
業界動向、転職情報、スキルアップのヒントなど、仕事に直結する情報が得られる場として活用できます。

実際、私も通勤時間などのスキマ時間で、業界トレンドや人事ニュース、イベント情報をLinkedInでチェックするのが日課になっています。

1.1.2 採用担当者としてLinkedInを使うメリット

✔️ 世界中の優秀な人材にアプローチできる

採用の現場では今、「守りの採用」から「攻めの採用」へと大きなシフトが起きています。
求人を出して応募を待つだけではなく、企業側から積極的にアプローチするダイレクトリクルーティングが主流となってきました。

LinkedInでは、世界12億人超のユーザーの中から自社に合った人材を検索し、スカウトを直接送ることができます。
これはグローバルではすでに一般的な採用手法であり、日本でも導入企業が急速に増えています。

✔️ 採用ブランディングを強化できる

近年では、人事にもマーケティングの視点が求められるようになっています。
LinkedInの会社ページや発信機能を活用すれば、候補者との接点を増やしながら、自社の魅力を自然に伝えることができます

その結果、応募者の質と量を同時に向上させ、ミスマッチの防止や採用コストの削減にもつながります。
詳しくは、採用活動に欠かせないマーケティングの視点 もぜひ参考にしてみてください。

1.2 LinkedInの日本での利用状況

LinkedInはグローバルで12億人以上が利用する巨大なビジネスSNSですが、日本における認知度や利用率はまだ発展途上と言えます。

「LinkedInってあまり聞かない」「周囲で使っている人が少ない」と感じる方も多いかもしれません。
実際、他のSNSと比べても日本ではLinkedInの存在感は控えめに見えることもあります。

しかし、ここ数年で日本でも着実にユーザー数が増加しており、企業・個人ともにその価値を再評価する動きが加速しています。

ここからは、国内でのLinkedInの利用状況を、他の主要SNSやスカウト媒体との比較データを交えて詳しく見ていきましょう。

1.2.1 主要SNS国内ユーザー数比較

日本国内におけるSNS利用の実態を把握するため、主要なサービスのユーザー数を比較してみましょう。
多くの人が日常的に使っているLINEやYouTubeを筆頭に、各SNSはそれぞれ異なる層に広く浸透しています。

その中で、LinkedInはまだ日本ではニッチな存在に見えるかもしれませんが、実はビジネス特化型SNSとして、ビズリーチやWantedlyを上回るユーザー数を持っています。
以下の表では、それぞれのSNSの最新ユーザー数をカラー付きで比較しています。

SNS媒体名国内ユーザー数更新日
LINE(ライン)9,800万人以上2025年3月
YouTube(ユーチューブ)7,370万人以上2024年5月
X(Twitter)6,800万人以上2025年5月
Instagram(インスタグラム)6,600万人以上2023年11月
TikTok(ティックトック)3,300万人以上2024年11月
Facebook(フェイスブック)2,600万人以上2019年3月
LinkedIn(リンクトイン)400万人以上2025年8月

1.2.2 主要SNS全ユーザー数比較

国内だけでなく、グローバルでどれほどのユーザーが使っているかを見ることで、各SNSの世界的な立ち位置がより明確になります。

LinkedInは、FacebookやInstagramと比べるとやや地味な存在に見えるかもしれませんが、実はすでに12億人以上のビジネスユーザーを擁しており、世界的には非常に大きな影響力を持っています。

SNS媒体名世界ユーザー数更新日
Facebook30億人以上2025年1月
YouTube25億人以上2025年1月
WhatsApp20億人以上2025年1月
Instagram20億人以上2025年1月
WeChat13億人以上2025年1月
TikTok12億人以上2025年8月
Telegram9億人以上2025年1月
Snapchat7億人以上2025年1月
X(Twitter)6億人以上2025年1月
LinkedIn12億人以上2025年8月

1.2.3 主要スカウト媒体国内ユーザー数比較

日本国内で使われている主要なSNSを比較すると、それぞれに得意な利用シーンがあります。
LINEはほぼ日本限定、YouTubeは世界規模、X(旧Twitter)は意外にも日本が主要マーケットのひとつです。

特に注目したいのがLinkedIn。世界では12億人が利用するビジネスSNSですが、日本でのユーザーはまだわずか400万人
この数値は、まだまだ「伸びしろ」が大きいことを意味しています。以下に主要SNSの国内・世界ユーザー数と、日本における比率をまとめました。

SNS媒体名国内ユーザー数世界ユーザー数国内比率
LINE9,800万人1億9,900万人49.2%
YouTube7,370万人20億人3.7%
X(旧Twitter)6,700万人5億7,000万人11.8%
Instagram6,600万人10億人6.6%
TikTok3,300万人15億6,000万人2.1%
Facebook2,600万人30億7,000万人0.8%
LinkedIn400万人12億人0.3%

1.2.4 主要スカウト媒体国内ユーザー数比較

グローバル視点で見ると、LinkedInの日本におけるユーザー比率はわずか0.3%程度と、他国と比べて低いのが現状です。

しかし「スカウト媒体」としての視点で見ると、実はLinkedInの国内ユーザー数はすでに400万人を突破しており、これはビズリーチやWantedlyといった国内主要サービスに匹敵、もしくはそれ以上です。

LinkedInはまだ「ビジネスSNS」や「外資向け」というイメージが強いですが、ダイレクトリクルーティングのプラットフォームとしても今後のプレゼンス拡大が十分に期待されるポジションにあります。

以下に、主要スカウト媒体の国内ユーザー数と属性を比較した一覧をまとめました。

サービスユーザータイプ登録数(国内)属性
LinkedIn潜在層400万人以上(世界12億人)グローバル・全方位
ビズリーチ顕在層270万人以上全方位型
Wantedly潜在層300万人以上20〜30代の若手
OpenWork潜在層390万人以上20〜30代の若手
リクルートダイレクトスカウト顕在層非公開全方位型
doda Recruiters顕在層237万人以上全方位型
Eight Career Design潜在層300万人以上全方位型

2. LinkedInの国別ユーザー数とグローバル普及状況

LinkedInは2025年8月時点で、世界12億人を超えるユーザーに利用されており、その影響力は年々拡大しています。

中でも、アメリカやインド、ブラジルといった国々では、LinkedInがすでに就職活動・ビジネス・人材採用における基盤的インフラとなっており、圧倒的なユーザー数を誇っています。

一方で、日本におけるLinkedInのユーザー数は約400万人。人口に対する普及率はわずか3%未満であり、他国と比較してまだ大きな差があります。

これは裏を返せば、日本はLinkedInにおける「最大の未開拓市場」であり、企業・個人の活用次第で今後の伸びしろが非常に大きいとも言えます。

以下に、主要国のLinkedInユーザー数・人口・普及率を一覧でまとめました。

順位国名ユーザー数人口普及率
🥇 1位アラブ首長国連邦(UAE)900万人1,000万人90.0%
🥈 2位アメリカ2.43億人3.39億人71.7%
🥉 3位カナダ2,700万人3,900万人69.2%
4位シンガポール400万人600万人66.7%
5位オランダ1,200万人1,800万人66.7%
6位イギリス4,400万人6,800万人64.7%
7位オーストラリア1,600万人2,700万人59.3%
8位ニュージーランド300万人520万人57.7%
9位アイルランド300万人530万人56.6%
10位フランス3,500万人6,500万人53.8%
11位デンマーク300万人600万人50.0%
12位ポルトガル500万人1,000万人50.0%
13位スウェーデン500万人1,000万人50.0%
14位チリ900万人1,900万人47.4%
15位スペイン2,200万人4,800万人45.8%
16位ベルギー500万人1,200万人41.7%
17位ブラジル8,900万人2.14億人41.6%
18位イタリア2,400万人5,900万人40.7%
19位香港300万人750万人40.0%
20位フィンランド200万人550万人36.4%
21位ノルウェー200万人550万人36.4%
22位アルゼンチン1,600万人4,600万人34.8%
23位コロンビア1,600万人5,200万人30.8%
24位サウジアラビア1,100万人3,800万人28.9%
25位ドイツ語圏(DACH)2,800万人1.0億人28.0%
26位マレーシア900万人3,300万人27.3%
27位南アフリカ1,600万人6,000万人26.7%
28位トルコ1,900万人8,500万人22.4%
29位メキシコ2,800万人1.28億人21.9%
30位ポーランド800万人3,800万人21.1%
31位ルーマニア400万人1,900万人21.1%
32位イスラエル200万人960万人20.8%
33位チェコ200万人1,100万人18.2%
34位フィリピン1,800万人1.13億人15.9%
35位モロッコ600万人3,800万人15.8%
36位台湾300万人2,300万人13.0%
37位インドネシア3,400万人2.76億人12.3%
38位エジプト1,300万人1.12億人11.6%
39位インド1.61億人14.0億人11.5%
40位ケニア500万人5,500万人9.1%
41位韓国400万人5,100万人7.8%
42位ナイジェリア1,000万人2.23億人4.5%
日本400万人1億2,000万人3.3%

LinkedIn普及率から見える国別傾向と日本のポジション

上記のランキングから明らかなように、LinkedInの普及率が高い国は、欧米・英語圏・小規模な先進国が中心です。
シンガポールやオランダ、カナダ、イギリスなど、人口規模が比較的小さく、グローバル人材の交流が活発な国ほど普及率が高い傾向にあります。

一方で、人口が多い国(インド・インドネシア・フィリピン・ブラジルなど)では、ユーザー数は多いものの、普及率としては中位〜下位にとどまっています。
この背景には、若年層の多さやモバイル中心のSNS文化、地域ごとの経済格差などがあると考えられます。

そして注目すべきは日本の位置づけです。
登録ユーザーは400万人を超えているにもかかわらず、人口比で見ると普及率はまだ約3.3%。これは42か国中でも下位のポジションにあります。

ただしこれは、「LinkedInが日本で通用しない」ということを示しているのではなく、むしろグローバル基準で見て、まだ十分に開拓されていないマーケットであることを意味しています。

実際、日本企業でも外資系を中心にLinkedInの導入が進んでおり、新卒・中途採用、広報、営業、ラーニングなど幅広い分野で活用が加速しています。
普及率がまだ低い今だからこそ、早期に取り組むことで先行者優位を築けるチャンスがあると言えるでしょう。

次章では、こうした“変化の兆し”を裏付けるデータとして、直近3ヶ月で100万人以上ユーザーが増加した国ランキングをご紹介します。

2.2 直近3ヶ月で100万人以上の増加を記録した国ランキング

2025年4〜6月期(FY25 Q4)において、LinkedInの世界的な成長が再び注目を集めています。
特に新興国やデジタル経済が加速している国々では、短期間で数百万人単位のユーザーが増加しました。

この伸びの背景には、リモートワークの拡大・生成AIの普及・グローバルキャリア志向の高まりなどが複雑に絡んでいます。
すでに高い普及率を持つアメリカやイギリス、フランスでも増加が続いており、LinkedInの成長は飽和していないことがわかります。

以下は、2025年4〜6月の3ヶ月間で100万人以上ユーザーを増やした国のランキングです。

順位国名最新メンバー数増加数(2025年4〜6月)増加率
🥇 1位ポーランド800万人100万人+14.3%
🥈 2位エジプト1,300万人100万人+8.3%
🥉 3位南アフリカ1,600万人100万人+6.7%
4位フィリピン1,800万人100万人+5.9%
5位イタリア2,400万人100万人+4.3%
6位インド1億6,100万人600万人+3.9%
7位カナダ2,700万人100万人+3.8%
8位ドイツ語圏(DACH)2,800万人100万人+3.7%
9位メキシコ2,800万人100万人+3.7%
10位インドネシア3,400万人100万人+3.0%
11位フランス3,500万人100万人+2.9%
12位イギリス4,400万人100万人+2.3%
13位ブラジル8,900万人300万人+3.5%
14位アメリカ2億4,300万人400万人+1.7%

※データ引用元:LinkedIn公式「About Us」ページ

2章まとめ:国別ユーザー分布と成長動向から見るLinkedInの現在地と未来

第2章では、LinkedInの国別ユーザー数、人口、普及率、そして2025年4〜6月におけるユーザー増加数・増加率のデータをもとに、世界におけるLinkedInの現状と勢いを可視化しました。

アメリカやカナダ、イギリスなど、もともとビジネスSNS文化が浸透している国では高い普及率を維持しつつ、インドやブラジル、フィリピンなどの新興国では爆発的な増加が見られました。

また、ポーランド・エジプト・南アフリカなど、これまであまり注目されてこなかった国々で2桁台の成長率を記録している点も非常に興味深い結果です。
これは、LinkedInが単なるハイエンド層向けのツールにとどまらず、キャリア・スキル構築インフラとして普及し始めている証拠と言えるでしょう。

日本においては、依然としてユーザー数や普及率では出遅れている状況にありますが、逆に言えば最も大きな成長余地を持つ市場の一つです。
グローバル採用、ダイレクトソーシング、ビジネスブランディングに関心のある企業や個人にとって、今こそLinkedInを活用する好機だと言えるでしょう。

次章では、実際に日本企業がLinkedInをどのように活用し成果を上げているのか、導入事例とユースケースをご紹介していきます。

3. LinkedIn Japan(リンクトイン・ジャパン)の動きが活発に

世界12億人が活用するビジネスSNS「LinkedIn」は、ここ数年で日本国内でも明らかに変化の兆しを見せ始めています。
一昔前までは「外資系向けの転職SNS」という認識が強かったLinkedInですが、現在はその枠を超え、スキルの可視化・キャリアのブランディング・ラーニング・ビジネスネットワークの構築といった用途へと広がりを見せています。

この変化を牽引しているのが、LinkedIn Japan(リンクトイン・ジャパン)による戦略的な国内展開です。
2017年の村上臣氏による代表就任から、2023年には田中若菜氏が2代目代表に就任し、現在では本社オフィスの移転やAI機能の強化、法人・大学との連携など、プロダクトとブランドの両面で日本市場への本格参入が進行中です。

また、国内の大手企業による導入や、学生向けのキャリア支援活動、YouTube・ビジネスメディアでの露出も急増。
もはや「LinkedInは日本に合わない」という過去の固定観念は通用しなくなりつつあります。

この章では、LinkedIn Japanが現在どのような動きを見せているのか、また過去の普及課題とそれを超える今の「追い風」について、体系的に整理していきます。

3.1 日本でLinkedInがこれまで普及しなかった理由

世界中で拡大してきたLinkedInですが、日本では長らく“浸透しにくい市場”とされてきました。
その背景には、文化的・制度的な要因が複数存在します。以下にその代表的な5つを図解形式で整理します。

① 終身雇用文化が根強く、転職活動が“表に出しづらい”

「転職活動していると思われたくない」という意識から、職務経歴の公開に消極的な傾向がありました。

② オフライン重視の人脈文化(名刺・飲み会)

「名刺交換」や「飲み会」を通じて人脈を築く文化が根強く、SNS上のつながりに馴染みにくい風土でした。

③ 英語UI・外資的デザインが障壁に

かつてのLinkedInは英語メインで、日本の一般ユーザーにとっては“とっつきにくい”印象が強かった。

④ 「外資系・ハイクラス向け転職SNS」という誤認

「LinkedIn=外資系エリートのもの」という先入観が強く、広く浸透しにくかった。

⑤ ジョブ型でなく“メンバーシップ型”採用が主流

日本の採用は職務記述なしで「総合職」を採る方式が主流で、経歴を明示するLinkedInと相性が悪かった。

上記のような文化的・制度的な壁が、日本でのLinkedInの浸透を妨げてきました。
しかし今、その常識が大きく変わり始めています。次章では、「なぜ今LinkedInが広がり始めたのか」を見ていきましょう。

3.2 いよいよキャズムを超えるこれだけの理由

長年「広まらない」と言われてきたLinkedInですが、2025年の今、日本でも本格的にキャズム(普及の壁)を超えつつあります
それを裏付けるように、2025年4〜6月の3ヶ月間だけで日本の登録者数は急増し、国内での注目度が大きく高まっています。

以下は、日本におけるLinkedIn普及が加速している背景として、特に大きな5つの要因です。

① 海外売上志向の企業が増加(円安・国内市場の限界)

外需を狙う日本企業が増えたことで、海外顧客・グローバル人材との接点としてLinkedInが“使わざるを得ないツール”になりつつある。

② 生成AI・DXの波で英語ソースの情報収集が常識化

最先端の技術情報や実践知はLinkedIn経由で得る時代に。IT・製薬・コンサル業界を中心に情報収集・発信ツールとして定着。

③ Z世代のキャリア観の変化(初めから転職前提)

新卒で“終身雇用前提”ではなく、キャリアの選択肢を広げたい若者がLinkedInでグローバル情報や企業を先読み。

④ キャリアオーナーシップ/パーパスドリブン経営の浸透

企業も個人も「自分は何者か」「どんな影響を与えたいか」を発信する時代へ。パーパスを可視化するツールとしてLinkedInがマッチ。

⑤ LinkedIn導入企業が一気に増加(社員のプロフィール推進)

NTT東西、富士通、資生堂などが全社でLinkedIn導入。社員プロフィール更新が義務化され、企業発信と人材可視化が加速。

上記のような複合的な「追い風」により、今後日本市場でもLinkedInが本格普及フェーズに入ると予測されます。
キャズムを越えたその先には、“学び・発信・つながり・採用”がひとつにつながる新しいビジネスインフラとしての可能性が広がっています。

出典:石坂誠「速報!2025年4-6月でLinkedInメンバー数が最も増えた国と日本の今後を考える」

3.3 最近の事業展開とプロダクト強化

日本法人としての本格展開が進む中で、LinkedInは採用、教育、営業、マーケティングなど多方面において存在感を高めています。
以下は、その主な展開を時系列に整理した一覧です。

時期内容出典
2023年〜 採用・営業・学習の3領域でプロダクトを統合展開。日本語対応も改善し、日系企業での本格利用が拡大中。
Business Insider
2024年〜 富士通・NTT・資生堂・日立・マツダなどがLinkedInラーニングを導入し、社員のリスキリングに活用。
Business Insider
2024年6月 本社オフィスを東京ミッドタウンタワーに移転(旧オフィスの5倍以上の広さ)。APAC初のスタジオも併設予定。
PR TIMES
2024年10月 NTT西日本と京都先端科学大学が連携し、LinkedIn活用による「実践力可視化」の教育プログラムを実施。
PR TIMES
2025年2月 日本語対応の「LinkedInラーニングAIコーチ」機能を正式導入。キャリアや学習相談が生成AIで可能に。
PR TIMES

3.4 メディア露出と発信の強化

日本におけるLinkedInの認知・活用が高まってきた背景には、代表者による一貫したビジョン発信と、メディア露出の積極化があります。

📌 村上 臣 氏:日本初代代表として“土壌づくり”を担う

元ヤフーCMOの村上氏は2017年にLinkedIn日本代表に就任。
「飲み会中心の人脈ではなく、データドリブンなネットワーキング」をテーマに、日本市場へのローカライズや言語対応、利用文化の啓蒙を推進しました。

▶️ 「とりあえず飲み会」の人脈づくりに物申す
▶️ キャリアの築き方|dodaインタビュー

📌 田中 若菜 氏:国内発信・共感型ブランディングを強化

2023年、田中氏がLinkedIn Japanの2代目代表に就任。P&GやGoogleなどのグローバル企業での経験を活かし、
「リスキリング」「人的資本経営」「キャリアオーナーシップ」といった文脈でのLinkedIn活用を、ビジネスリーダー・学生双方に訴求しています。

📣 発信の中身も「転職SNS」から「自己実現のプラットフォーム」へ

かつてのLinkedInは「外資系ハイクラス転職」のイメージが強かったものの、現在では:

  • ✅ スキルやパーパスの可視化
  • ✅ キャリア教育と学び(LinkedInラーニング)
  • ✅ Z世代のネットワーク形成
  • ✅ 企業のカルチャーや人材像の発信

といった多面的な活用が進み、「仕事に関するあらゆる発信が集まるSNS」へと変貌しつつあります。

4. LinkedInを使った日本での採用

LinkedInは「外資系企業向けのSNS」というイメージが長らく定着していましたが、今やその状況は大きく変わりつつあります。
日本企業もまた、採用競争力を高めるための手段としてLinkedInを本格活用するフェーズに入りました。

とくに人材獲得競争が激化する中、企業が「攻めの採用=ダイレクトリクルーティング」へとシフトする動きが加速しています。
それに伴い、LinkedInを単なる情報発信の場ではなく、ターゲット人材に直接アプローチする採用チャネルとして導入する事例が増えています。

本章では、実際にLinkedInを導入し成果を上げている日本企業の事例として、メルカリオムロンの2社を取り上げ、具体的な活用方法や導入背景、得られた効果をご紹介します。

4.1.1 採用事例(株式会社メルカリ)

メルカリのLinkedIn活用事例

メルカリのLinkedIn活用事例

CtoCフリマアプリで知られる、日本初のユニコーン企業「メルカリ」では、採用活動においてもLinkedInを積極活用しています。

同社が直面していた課題と、その解決に向けたLinkedInの活用法をご紹介します。

◆ 課題

  • 事業への共感・専門スキルの両方が揃った候補者との出会いを増やしたい
  • 転職市場に出てこないハイクラス人材への新たな接点を模索していた

◆ 結果

  • 半年間の運用で複数名の内定獲得に成功

🔗 詳細な事例ダウンロードはこちら:

メルカリのLinkedIn採用事例(外部リンク)

4.1.2 採用事例(オムロン株式会社)

オムロンのLinkedIn活用事例

オムロンのLinkedIn活用事例

産業用制御機器・ヘルスケア製品などを展開する大手電気機器メーカー「オムロン」でも、LinkedInを活用した採用活動が進んでいます。

特に高度スキルを持つ専門人材へのアプローチにおいて、LinkedInが有効に機能しました。

◆ 課題

  • AI・ロボティクス分野など、希少な高度技術者の採用が困難
  • 転職潜在層へのアプローチと、魅力付けによる入社動機形成が必要だった

◆ 結果

  • 求めるスキルとカルチャーに合致した優秀人材の採用に成功
  • 潜在層とのスムーズなコミュニケーション機会を確保

🔗 詳細な事例ダウンロードはこちら:

オムロンのLinkedIn採用事例(外部リンク)

5. 今後のLinkedIn Japanに期待!

ここまで見てきたように、LinkedInは日本市場でも着実に浸透の兆しを見せています。
Z世代のキャリア観やグローバル市場への志向性、企業の人的資本経営の高まりなど、追い風は揃い始めました。

そして今、LinkedInを活用し始めた企業や個人は、この大きな波を先取りする先行者となり得ます。
本章では、その「先行者ならではのメリット」について整理します。

5.1 LinkedInスタートに先行者利益がある理由

まだ競合が活用しきれていない今だからこそ、LinkedInを早期に使いこなすことで得られる恩恵があります。
企業にとっても個人にとっても、このタイミングは「遅すぎず、早すぎない」絶好のスタート時期です。

✅ 今、LinkedInを始めるべき理由(先行者メリット)

  • 採用コストを下げられる構造
    フォロワーが多い企業は求人投稿だけで応募が集まる仕組み。会社ページを早期に育てることで採用単価を大幅に削減。
  • グローバル企業としてのブランド価値が上がる
    世界中のビジネスパーソンから見られることで、採用だけでなくプロダクト・企業PRの場としても大きな武器になる。
  • 採用担当者の信頼を「つながりの数」で可視化できる
    LinkedIn上のネットワークは、キャリアの信頼性そのもの。特にHR職種は、つながり数=実績として評価されやすい。
  • 社員の発信力が“採用ブランディング”を担う
    社員全員がプロフィールを整備し、定期的に投稿するだけで企業の魅力が拡散。結果的にカルチャーへの共感採用が実現。
  • キャズムを越える前の今が最大のチャンス
    まだ日本国内では本格活用している企業・個人はごく一部。先に動いた者だけが、確実に「発信力」と「信頼」を獲得できる。

今後、LinkedInが採用・広報・営業の“当たり前のツール”になる未来を見据えるなら、
今始めることが、最大のレバレッジになるかもしれません。

よくある質問(FAQ)

Q. LinkedInはなぜ日本であまり知られていなかったのですか?
日本では終身雇用や年功序列の文化が根強く、職務経歴をオープンにするLinkedInの概念が定着しづらかったためです。
また、名刺交換・飲み会文化などオフラインでの人脈形成が主流だったことも影響しています。
Q. LinkedInを使うメリットは何ですか?
ビジネス人脈の形成、スカウト採用、情報発信、キャリア構築、学習(LinkedInラーニング)など、キャリア全体に関わるあらゆる価値が得られます。
特に採用や営業、グローバル展開には非常に有効です。
Q. 採用で活用するには何から始めればいいですか?
まずは企業ページを開設し、社員のプロフィールを整備・投稿促進しましょう。
次に、LinkedIn Recruiter や 求人掲載機能などを活用し、ターゲット人材へのアプローチを始めるのが基本ステップです。
Q. 他の採用媒体と何が違うのですか?
登録者の多くがビジネスプロフェッショナルで、職務経歴が詳細に記載されている点が特徴です。
また、潜在層へのスカウトや海外人材へのリーチも可能で、企業ブランディングの場としても活用できます。
Q. 中小企業やスタートアップでも効果はありますか?
むしろ発信力で差別化できるのがLinkedInの強みです。
規模の小さな企業こそ、代表や社員の声がダイレクトに届きやすく、コスト効率の良い採用・営業・ブランディングに繋がります。

LinkedIn活用をさらに深めたい方へ

本記事では、LinkedInの日本での広がりや活用事例、先行者メリットまでをご紹介しました。
しかし、LinkedInのポテンシャルはまだまだ広く、採用・営業・ブランディング・学びなど、多方面で活用が可能です。

  • 自社の採用力をLinkedInで高めたい方
  • 社員の発信をブランディングに活かしたい方
  • グローバル採用・営業に興味のある方
  • プロフィールや投稿の改善ポイントを知りたい方

そういった企業・個人の方向けに、無料相談や事例資料のご案内も行っております。
下記よりお気軽にお問い合わせください。

まずは無料で、LinkedIn導入のご相談を承ります。

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日本初のLinkedInパートナーで200社以上のLinkedIn運用実績がある株式会社ダイレクトソーシングが、LinkedInの機能とLinkedInを用いた採用事例をまとめています。

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高木

高木

SIerから転職し株式会社ダイレクトソーシングへ入社。 前職では、会計システムの開発エンジニアとして、設計・開発・テスト・保守を製造業の顧客向けに担当。 現職ではソーシングスペシャリストとして、IT領域含む様々な採用要件に合致する候補者に向け、累計数万通のダイレクトスカウト業務を実施。 また、自社のマーケティング施策のディレクションやMAツールの導入など、マーケティング的な動きも兼任。

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