リファラル採用
2023.03.23

リファラル採用とコネ採用(縁故採用)の違いを徹底解説!

「リファラル採用」と「コネ採用」はどちらも採用方法の名称として知られていますが、混同されることがあります。

それぞれ簡潔に説明すると、リファラル採用は既存社員の人脈経由、コネ採用(縁故採用)は役員などの血縁関係や知人関係を活用した採用手法です。
この記事では、リファラル採用とコネ採用の違い、両者のメリット・デメリットについて詳しく説明します。

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リファラル採用とコネ採用

リファラル採用とコネ採用について両者の定義を踏まえ、共通点と違いについて整理しておきましょう。

リファラル採用とは

リファラル(Referral)とは英語で「紹介」を意味します。
したがって、既存社員から友人や知人を紹介してもらい、選考・採用をおこなうのが「リファラル採用」です。

信頼できる社員によって推薦された人材は企業文化や働き方にマッチする可能性が高く、制度として機能すれば採用効率を大幅に高められます。

リファラル採用を導入するには、既存社員が紹介したいと思える企業運営や組織づくりができていることが前提です。
社員からの評価が低いままでは紹介が発生しないため、先に従業員満足度を向上させる必要があります。したがって、リファラル採用を進めていけば自然と企業を良くする取り組みにつながりやすいです。

参考記事:リファラル採用を促進する6つの方法|施策の注意点も解説

生産年齢人口の減少や新型コロナウイルスの感染拡大防止などにより、2010年頃までに比べて人材採用が困難な状況となっています。
各企業は採用機会を増やす新しい手法を模索しており、その中でリファラル採用は有力な採用難対策といえます。

コネ採用とは

コネとはコネクション(Connection)の省略で「つながり、縁故」という意味です。
一般的に、個人的なつながりや縁による採用を「コネ採用」あるいは「縁故採用」と呼んでいます。

「経営層・役員クラスが自身の親族や関係者をほぼ無条件で組織に招き入れる」といった解釈をしている人も多いのではないでしょうか。
そこから、コネ採用は不正な採用手法だというネガティブイメージを持たれるのかもしれません。

現在の日本ではコネ採用に対して批判的な見方が多いですが、昭和時代の初期あたりまで大手企業に入社するにはコネが必要でした。
世界的に見れば現代であってもコネ採用は珍しいことではなく、たとえばアメリカやイギリスにおける就職活動では「推薦人(reference)」を尋ねられるケースがよくあります。

応募者の能力や人間性などを推薦人が担保するという点で、有効な仕組みといえます。

中国では2014年に、JPモルガン・チェース銀行にコネ採用で入社した政府高官の子女が汚職の疑いで逮捕されるニュースも出ています。
コネ採用が悪用されれば組織の腐敗につながることも認識しておくべきでしょう。

リファラル採用とコネ採用の共通点

リファラル採用とコネ採用の共通点は次のとおりです。

 

  • 個人の人脈や社会的関係を活用する
    どちらの採用手法でも、企業で働く人や企業と関係を持つ人が候補者を紹介します。
  • 応募者がいない場合にも人材を登用できる
    求人に対して応募がゼロだとしても、人材確保を可能にします。
  • 求人広告などの採用経費が削減できる
    安定的に人材が紹介されるのなら、求人広告にかける費用を抑えられます。
  • 紹介者によってスキルや人間性が担保される場合がある
    エンゲージメントの高い社員による紹介なら、価値が高い人材を期待できます。
  • 採用効率を高められる
    リファラル採用では企業の求める人材が紹介されやすく、一般応募よりも採用率が高いといえます。
    また、コネ採用は選考自体をおこなわないため、採用が確定している方法です。

 
リファラル採用とコネ採用は共通点が多く、同一視しているビジネスパーソンも少なくありません。
しかし、選考のしかたは完全に異なるため、人材領域では両者を分けて考えています。

リファラル採用とコネ採用の違い

リファラル採用とコネ採用では以下に挙げるような相違点があります。

 

  • 推薦人と候補者
    リファラル採用では全社員が友人や知人を推薦します。
    コネ採用は社長や役員のような組織内で一定の立場にある人物が、身内・親戚を引き入れるケースが多いです。
  • 選考プロセス
    リファラル採用の選考プロセスは通常の応募者の場合と同様です。
    コネ採用では基本的に選考プロセスがありません。仮にあったとしても形式上のものです。
  • 選考基準
    リファラル採用の選考基準も通常の応募者と変わらず、業務に求められるスキルセットや能力などを評価します。
    そもそも選考がないコネ採用においては、個人的な人脈や社会的関係があるかどうかが重要です。
  • 紹介する動機
    リファラル採用では「自社に必要な人材だから」「一緒に働きたいから」といった組織にとってポジティブな動機で紹介します。
    コネ採用の動機は「身内の救済」「派閥づくり」という個人的な思惑によるものが多く、ネガティブな印象を持たれやすいです。

 

以上のような違いから、リファラル採用のほうがコネ採用よりも公正な採用手法といえるでしょう。

リファラル採用のメリット・デメリット

企業にとってリファラル採用のメリットとデメリットはどのようなものでしょうか。
以下で解説します。

リファラル採用のメリット

リファラル採用の核心部分は「社員の紹介」です。
これにより、さまざまなメリットが得られます。

社員は職場と候補者の両方を理解した上で紹介してくれるため、自然とマッチする可能性が高くなります。
従来の方法に比べて採用効率が良くなるだけでなく、離職率の低下も見込めるでしょう。

結果として、採用コストを大幅に削減できます。
リファラル採用では紹介社員にインセンティブを支払いますが、求人サイトや人材紹介会社の利用料と比較すれば安上がりです。

転職市場に現れないようなレアな人材と巡り会えることもあります。

リファラル採用のデメリット

リファラル採用を導入する際には、インセンティブに起因するデメリットに注意しましょう。
ひとつは、リファラル採用の報酬制度が違法となるケースです。

就業規則や賃金規程に不備があったりインセンティブが高額であったりすると、労働基準法や職業安定法に抵触するおそれがあります。

もうひとつはインセンティブ目当てで、マッチ度の低い紹介が乱発されるケースです。
不必要に採用担当者のリソースを消費しますし、職場への定着率も下がります。

リファラル採用には選考があるため不採用になる場合もあります。
紹介した社員が採用担当者に不満を持ったり、紹介社員と候補者の関係が損なわれたりすることがないよう、不採用時には何らかのフォローをすることが必要です。

また、リファラル採用の制度がうまく機能しているからといって、従来の求人・採用方法を完全になくすことはおすすめしません。
社員の紹介に頼った採用ばかりを続けていると、価値観や考え方が近いスタッフが集まっていくためです。

人材の多様性が失われた組織にはイノベーションが生まれにくく、企業の成長も頭打ちになってしまうでしょう。

コネ採用のメリット・デメリット

企業から見た、コネ採用のメリットとデメリットは次のとおりです。

コネ採用のメリット

コネ採用には選考プロセスがなく、求人サイトや人材紹介会社のような外部サービスも不要です。
そのため、採用にかかるリソースやコストを最大限に抑えることができます。

さらに基本的に紹介者は社長や役員などの経営層です。
最初から地位や役職を与えられたり、詳しい情報を事前に知らされたり、仕事でつまずいてもフォローしてもらえたりするため、早期退職も起こりません。

最も安定して人材確保ができる採用手法といえるでしょう。

コネ採用のデメリット

コネ採用には選考プロセスがないため、スキルや経験がまったく考慮されずに採用されてしまいます。
さらに経営層の関係者であるという理由で、入社後に特別扱いを受けることがあるかもしれません。

通常の選考を乗り越えて採用された社員からすれば、不公平感や不満感を持たずにはいられないでしょう。

コネ採用の社員にスキルや経験が不足している場合、どこに配置するかは難しい問題です。
チームの生産性を下げることになっても、何らかの業務を任せるほかありません。
かといって、コネ採用社員の扱いを間違えれば紹介者を怒らせるケースもあるため、上司や人事担当者にとっては悩みの種になりがちです。

新卒のコネ採用を明確に禁止する企業もある

現代の日本では、不公平感のあるコネ採用に対して良い印象を持たない人も多いです。

しかし、「コネ転職に関する意識調査」では、コネ採用による転職経験者の77.9%が満足しているという結果が出ています。「採用のスムーズさ」や「待遇の良さ」などが主な理由で、親や友人、親戚のコネを利用するケースが多いようです。

新卒採用では公平・公正な採用活動の観点から、コネ採用を禁止する旨を募集要項で明確に定めている企業があります。
「企業イメージが悪化するリスクをなくす」「前時代的な企業体質からの脱却を図る」といったねらいも見えます。

以下、2023年度の新卒向け募集要項でコネ採用禁止をうたっている企業名と、実際に記載されている文言(引用)を紹介します。

 

三井住友海上火災保険株式会社
『2親等以内の親族が当社社員である方は応募できません』

 

三菱UFJ信託銀行株式会社
『2親等以内の親族が当社社員である方は応募できません。』

 

AGC株式会社
『公平・公正な採用活動の観点から、2親等以内の親族が当社社員である方は、ご応募いただけません。』

 

株式会社キーエンス
『公平・公正の観点から、キーエンスの役員・社員と三親等以内(子女、兄弟 姉妹、甥姪等)の方はご応募いただけません。』

 

伊藤忠商事株式会社
『当社の現役役員・社員の子女・兄弟姉妹でないこと。』

 

リファラル採用とコネ採用の違いを理解しよう

リファラル採用とコネ採用は、「推薦人と候補者」「選考プロセス」「選考基準」「紹介する動機」という4つの観点で異なっています。
また、両者のメリット・デメリットを比較してみると、大きな違いがあることをさらに理解できるでしょう。

コネ採用は公平性や公正性を著しく損なうため、新卒採用の際には禁止をうたう企業も見受けられます。
採用難の状況ではコネ採用で人材確保を図ることも考えられますが、よりリスクが抑えられるリファラル採用がおすすめです。

既存社員の従業員満足度やエンゲージメントを高めて、優れた人材を紹介してもらえるような組織づくりを目指しましょう。

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竹村 朋晃

竹村 朋晃

株式会社ダイレクトソーシング CEO (プロフィールはこちらをクリック) 2005年に野村総合研究所に入社。損害保険システムの構築に従事。2015年11月より株式会社ダイレクトソーシングを立ち上げ。エンジニア経験者中心にデータドリブンリクルーティングを中心としたサービスを展開。