リファラル採用
2023.02.03

リファラル採用とは?目的や効果的な採用方法、コツまで完全網羅

近年、注目を集めているリファラル採用。そんなリファラル採用は、自社をよく理解している社員からの紹介なので、ミスマッチが起きにくいことに加えて、コストを抑えた採用ができるのがメリットです。

しかし、リファラル採用にはメリットだけでなく、いくつか気をつけなければならない点もあるので、リファラル採用を検討しているなら、事前に注意点を抑えておくことも大切。

そこでこの記事では、リファラル採用を行うメリットやコツ、注意点まで解説します。
本記事を読めば、リファラル採用を通じて、自社に合った人材をコストを抑えて採用できるようになります。

リファラル採用は社内外からの人脈の紹介による採用活動

リファラル採用とは、英語のReferral(委託、推薦、紹介)と、Recruiting(採用、求人)を合わせた、社内外の信頼できる人脈を介した採用手法のことです。

リファラル採用は、企業を熟知した社員からの紹介になるため、企業とのマッチング率や定着率が高いです。また、求人媒体や人材紹介会社を利用するより、採用コストを抑えられるのも特徴の一つ。

現在、アメリカでは人材採用で重要な役割を果たしている採用手法で、最近は日本でもベンチャー企業や中小企業を中心に多くの企業で導入が進んでいます。

リファラル採用で重要なことは、いかに社員に友人や知人を紹介してもらいたいと思ってもらえるかどうかが、成功の鍵を握ります。そのためには、採用活動だけでなく、採用広報や認知を広げて社内の協力を仰ぎ、周りを巻き込んでいくこともポイントです。

縁故採用とリファラル採用の違い

リファラル採用と似た採用手法に縁故採用がありますが、リファラル採用との大きな違いは、選考要素があるか否かです。

縁故採用とリファラル採用は、社員からの紹介で採用する点は共通していますが、大きな違いは以下の通りです。
 

縁故採用(コネ採用):
経営者や幹部層の肉親、またはその繋がりによる裏口入社的な採用手法

 

リファラル採用:
自社で働く社員からの人材の紹介や、推薦を経て採用基準を満たした人材のみを採用する手法

 
縁故採用の場合、応募者のスキルや経験などで採用の可否を判断できず、紹介者の顔を立てる必要があるため、必ずしも自社にマッチしているとは限りません。

一方、リファラル採用も紹介してもらう点では同じものの、応募者のスキル、経験、人間性だけでなく、企業のことも理解してもらったうえで、採用の可否を決めます。

このように縁故採用とリファラル採用は、得て非なる採用手法なのです。

参考記事:リファラル採用とコネ採用(縁故採用)の違いを徹底解説!

リファラル採用が注目を浴びている背景や理由

では、なぜ今リファラル採用が注目を浴びているのでしょうか。

リファラル採用が注目を浴びている背景や理由には、主に自社の採用力の強化」と「既存社員の定着率向上」の2つが考えられます。

それぞれ解説していきます。

1.自社の採用力の強化のため

1つ目は、自社の採用力の強化のためです。

現在、テクノロジーの進化などの外的要因の影響で、個人の働き方やビジネスモデルが変化、多様化しています。また、少子高齢化などの理由や背景もあり、日本の労働人口は年々減っていく傾向にあります。

パーソル研究所によると、2030年には約644万人の労働人口が不足するといわれており、特にITエンジニアなどの需要の高い職種では、10倍を超えることもあります。


参考:労働市場の未来推測2030|パーソル研究所

現在の日本の採用市場は、レッドオーシャン化していて優秀な人材を採用していくには、既存の採用手法だけでは、十分とは言えません。
今後は、ますますただ応募を待っているだけでは優秀な人材に出会えにくくなるため、採用の考え方や手法を見直す必要があるでしょう。

2.既存社員の定着率向上のため

また、優秀な人材の採用だけでなく、既存社員の定着率向上やエンゲージメントを高める目的で、リファラル採用を行う企業も増えています。

2020年に始まった新型コロナウイルスの影響で、日本でもリモートワークを行う企業や個人が増え、従業員同士のコミュニケーションを取る機会が減ってきました。
「個人対個人」や、「企業対個人」のコミュニケーションが気薄化しています。

このような状況から、各企業で社員のエンゲージメントの低下や帰属意識の低下が起きており、採用の場面でもオンライン化が進んでいます。
これにより、選考で企業の魅力を正しく伝えるハードルが上がっていて、対策が必要になってきました。

リファラル採用では、現場で働く社員から生の声を聞けるので、企業理念やカルチャーなどがマッチしてるかの擦り合わせが可能です。
応募者もそれらを理解したうえで選考に臨めるため、ミスマッチが起きにくく、入社後の離職率の低下に繋がる採用手法として注目されています。

リファラル採用を行うメリット

リファラル採用をうまく活用できると、自社に合った人材採用に繋がります。
リファラル採用には、主に以下のようなさまざまなメリットがあります。

 

  • 採用コストを抑えて採用できる
  • 採用のミスマッチが減り、定着率が向上する
  • 紹介者のキャリアの棚卸しにつながる
  • 転職潜在層にもアプローチが可能になる
  • 採用プロセスを簡略化して、採用活動の効率化につながる

 
特に、リファラル採用をうまく活用できれば、自社に合った人材をコストを抑えて採用できるのが、一番のメリットです。

メリットを最大限に活かすためにも、次章で説明する効果的にリファラル採用を行う方法やコツをしっかり理解して進めましょう。

効果的にリファラル採用を行う方法とコツ

リファラル採用で成果を出すには、いくつかコツを抑えておくと進めやすくなり、成功の可能性も高まります。

具体的には主に、以下の4つが挙げられます。
 

  • 採用制度・運用ルールを決める
  • 社内の協力を仰ぐ
  • 専用ツールを利用する
  • 社員にリクルーター教育をする

 
中でも採用制度や運用ルールを決めてから、他の採用手法と並行して採用活動を進めること大切です。

それぞれ紹介していきます。

1.採用制度・運用ルールを決める

リファラル採用を実施する前に、採用の制度作りと運用ルールを決めることが大切です。
例えば、以下のような内容を事前に社内で決めておくといいでしょう。
 

  • 募集要項
  • 採用基準
  • 会食費の補助の有無や内容・条件
  • 報酬金額(インセンティブ)
  • 支払い条件
  • 問い合わせ先

 
採用設計では、社員が紹介したいと思えるような仕組みをしっかり考えて、設計することが重要です。
そのうえで、実際の運用を行っていくと円滑に採用活動が進められるでしょう。

2.社内の協力を仰ぐ

社内の社員からの協力を仰ぐことも、リファラル採用をするうえでは大切です。

採用担当者だけでなく、ポジションによっては現場社員に面談に同席してもらうなどの協力も必要になってきます。
リファラル採用を推し進めるうえでは、リファラル採用を行なっていることを社内に周知し、社内広報を行うことも重要です。

社内にリファラル採用を認知させ、社員が協力したいと思える状態ができれば、社員からの協力も得られやすくなるでしょう。

3.専用ツールを利用する

リファラル採用を進めるうえでは、リファラル採用向けの専用ツールを利用するのも効果的です。

サービスによって費用は違いますが、採用予算に余裕があるなら専用ツールを使うのも一つの手段です。

専用ツールには、MyReferRefcomeをはじめとしたさまざまなサービスがあるので、比較して自社の目的や課題に応じて選ぶといいでしょう。

4.社員にリクルーター教育をする

リファラル採用では、リクルーターを教育することも成功の鍵を握ります。
現場社員は採用には疎いことがほとんどなので、事前に面談の流れや必ず聞くべきことなどをレクチャーし、リクルーターを教育しましょう。

例えば、以下のような内容があります。
 

  • 社員が説明しやすいように紹介方法のレクチャーをする
  • 簡潔に会社の魅力を説明できる動画やパンフレットを用意する

 
また、面談の日程調整や合否連絡などの業務は人事が行うようにし、社員は人材の紹介や面談にのみ注力できるように配慮することも大切です。

リファラル採用を促進するためのポイント

リファラル採用を促進していくためには、いくつかポイントがあります。

 

  • 社員のエンゲージメント向上にも力を入れる
  • 社員からの紹介のハードルを下げる
  • 協力してくれた社員に感謝と賞賛をする

 
中でも社員のエンゲージメント向上は見落としがちなので、リファラル採用では忘れずに取り組むことが大切です。

それぞれ見ていきましょう。

1.社員のエンゲージメント向上にも力を入れる

リファラル採用を実施にあたり、社員のエンゲージメント向上に力を入れることもポイントです。
そもそもリファラル採用では、社員のエンゲージメントが高くないと成り立たないことを念頭に置いて、採用活動を進めましょう。

採用というと、どうしても集客や費用などに目が向きがちです。
しかし、特にリファラル採用の場合、社員のエンゲージメントが高くないと紹介されにくいので、社員のエンゲージメント向上にも力を入れることが大切です。

2.社員からの紹介のハードルを下げる

社員からの紹介ハードルを下げる方法として有効なのが、いきなりを面接をするのではなく、カジュアル面談や社内見学から始めることです。

初めから面接だと、紹介する社員の心理的ハードルが上がってしまい、なかなか紹介まで結びつきません。また、紹介した社員がミスマッチしていないか、気にしてしまう社員も中にはいるでしょう。

このような機会損失を避けるために、面談や勉強会を実施するなどして紹介ハードルを下げる工夫をする必要があります。

3.協力してくれた社員に感謝と賞賛をする

リファラル採用に協力してくれた社員に感謝を示す方法は、ロイヤリティだけではありません。
例えば、以下のような感謝の伝え方もあります。
 

  • 年に一度の全社会などの場で紹介者を表彰を行う
  • リファラル採用で入社決定した社員へインタビューを行い、社内報などで記事化する

 
報酬制度だけが社員の協力への対価ではないので、自社に合ったやり方で社員に感謝を伝えるといいでしょう。

参考記事:リファラル採用の報酬相場と設定方法を解説!注意点や違法にならないポイントも紹介

リファラル採用に向いているケース

具体的にどのような企業が、リファラル採用で成果が出やすいのでしょうか。
リファラル採用に向いているケースは以下の2つです。

・社員のエンゲージメントを高めたい場合
・中長期的な視点で採用費用を抑えたい場合

自社の採用課題や状況に応じて、リファラル採用を行うかどうか検討してみてください。

ここでは、リファラル採用に向いているケースについて解説します。

1.社員のエンゲージメントを高めたい場合

リファラル採用は、社員のエンゲージメントを高めたい場合に向いています。

リファラル採用の特性上、社員と似たような考え方や価値観を持った応募者が多くなるので、採用のミスマッチが起きにくいのが特徴です。

また、社員にしても友人や知人に自社の魅力を伝える活動自体が、エンゲージメント向上に繋がるので、さらなる社員の定着率向上が見込めると考えられます。
このようにリファラル採用では、紹介者と紹介された者の両者のエンゲージメント向上が期待できます。

今後、さらにビジネスを軌道に乗せたいスタートアップ・ベンチャー企業や、従業員の定着率を高めたい中小企業におすすめです。

2.中長期的な視点で採用費用を抑えたい場合

中長期的な視点で採用費用を抑えたいと考えている中小・スタートアップ企業にも、リファラル採用は適しています。

採用活動が長引けば、その分採用コストが膨らみやすくなります。
しかし、リファラル採用で定期的に人材を採用できれば、求人媒体や人材紹介にかかる費用が発生しないため、一人当たりの採用単価を抑えることが可能です。

ただし、リファラル採用で成果が出るには時間がかかるので、他の採用手法と並行して採用活動を進めることも視野に入れましょう。

リファラル採用にかかる費用

リファラル採用で人材を採用できれば、費用を抑えられますが、具体的にどのような費用がかかるか分からない採用担当者の方もいるかもしれません。

リファラル採用にかかる費用には、主に以下の3つあります。
 

  • 紹介報酬制度(インセンティブ)
  • 会食費用
  • 専用ツール利用料金

 
費用がかかると言っても、ここで紹介する費用を全て合わせても、求人媒体や人材紹介よりは抑えることが可能です。

では、それぞれの費用について詳しく見ていきます。

1.紹介報酬制度(インセンティブ)

リファラル採用で採用に至った場合、紹介者に10〜30万円ほどインセンティブを支給するケースが多いです。
この報酬額は、職種や採用ポジション、スキルによっても変わるため、一概にいくらとは言えません。

また、企業によっては採用決定後の報酬ではなく、人事評価の加点にしたり、有休を付与したり、自社サービスの割引を与えたりなどさまざまです。
紹介報酬に関しては、正解がないので自社に合ったやり方で決めるといいでしょう。

注意点として、報酬目的の紹介が増えないように、適切な報酬設定を設けるようにしましょう。

2.採用活動費

リファラル採用にも、他の採用手法と同様に採用活動費が発生します。
採用活動費用には、例えば以下のようなものが挙げられます。
 

  • 交通費
  • 会食費
  • ランチ代やカフェ代

 
企業がリファラル採用に関する費用を負担することで、社員は採用に協力しやすくなるメリットがあります。
しかし、会食は明確な基準を設けないと目的が採用活動ではなく、会食に変わってしまう恐れがあるので、その点には注意が必要です。

例えば、会食費を申請時は、以下のように明確な成果に繋がるルールを設定をすることが大切です。

・応募者をタレントプールすることをルールに設ける
・経費を申請するときは、誰といつ会食をしたのか必ずエビデンスを残す

あらかじめルールを設定すれば、あとはルールに沿って運用を行っていくだけです。

3.採用ツール費

リファラル採用を実施するにあたって外部ツールを利用する場合、利用料金が発生します。
外部ツールには、SNSのプラットフォームやリファラル採用専用のツールなどがあります。

各種サービスは利用料がかかりますが、自社の採用目的や課題解決に応じてプラットフォームを選べば、リファラル採用の効率化や活性化が期待できます。

さまざまなツールがあるので、自社の目的や採用課題に沿って解決策が可能なツールを選ぶようにしましょう。

リファラル採用で見るべき指標

リファラル採用を実施するためには、いくつか見るべき重要な指標があります。
リファラル採用で主に見るべき指標には、以下の3つが挙げられます。
 

  • 社員の協力数や協力率
  • 社員一人あたりの紹介数
  • 応募決定率

 
上記の指標を管理し、数字が悪いときには振り返りを行い、何が原因なのか考えるといいでしょう。

それぞれ解説していきます。

1.社員の協力数や協力率

まずは、社員が何人くらいリファラル採用に協力してくれているのかという、協力数や協力率を見ることが大切です。特に、以下の内容を見るようにしてください。

・そもそも社員がリファラル採用の制度自体を知っているのか?
・社員が友人や知人を紹介したくなるようなコミュニケーションができているのか?

このような確認や施策の見直しをすることで、協力数や協力率を改善していきましょう。

リファラル採用の制度が認知されていなければ、社内広報活動を行い定期的に発信し、まずは認知を拡大することが重要です。ただし、ただ採用制度を広報するだけでは忘れ去られる可能性も高く、大きな成果を得るのは難しいでしょう。

そうならないためにも、新規求人が出たときの情報公開や社内イベントに関する情報共有など、定期的に情報発信することが大切です。

また、社員にリファラル採用の目的や意義を伝えて、理解してもらうこともポイントになってきます。

2.社員一人当たりの紹介数

また、社員がどのくらい人を紹介してくれたという、一人当たりの紹介数を見ることも大切です。ここでは、以下の内容を確認してみてください。

・社員が気軽に紹介できるように制度や仕組みがしっかり作れているか?
・友人や知人紹介時にマイナスな印象を与えていないか?

社員は、求人内容が紹介する人に本当にマッチしているのかと考え過ぎてしまい、それが紹介の心理的ハードルに繋がっていることもあります。

このような社員の心理的ハードルを下げるには、カジュアル面談や説明会、勉強会を取り入れて、社員が紹介しやすい仕組みを作ることが大切です。

また、友人や知人紹介後にネガティブな体験を与えてしまうと、次の紹介をする気持ちが湧かなくなってしまいます。リファラル採用の体験を良いものにできるように、紹介に対して社員への賞賛や明確な合否基準、NG事項やルールを事前に周知するなどがポイントです。
そうすれば、社員から継続的な紹介をしたくなる状態ができるでしょう。

3.応募決定率

最後に、応募から内定まで至った応募決定率がどれくらいなのかを見るようにしましょう。
紹介のハードルは下がっても、明らかにマッチしてない紹介が増えただけでは、採用に繋がらないため本末転倒です。

ここでは、社員が募集内容や採用基準を正しく認識しているのか、自社で活躍する人材の具体的なイメージができるかが重要です。

社員に積極的に求人内容の発信や明確な採用基準、入社事例を共有することで、どんな人材が採用に至るのかが理解できるようになるでしょう。ただ、数回共有しただけでは理解は難しいので、発信の頻度や質も工夫していくことも大切です。

リファラル採用は長期的に見て取り組むことが重要

リファラル採用は、制度が定着するまでに時間がかかるので、中期的に見て取り組むことが重要です。
即効性がある採用手法ではないため、求人媒体や人材紹介など他の採用手法と並行して進めましょう。

また、初めてリファラル採用に取り組む場合、経営陣に理解してもらったり、社員へ協力を仰いだり、社内認知や広報活動にも注力する必要がかかります。
それから採用制度を設計し、実際に運用を行っていくのですぐ成果を求めるのではなく、長い目で見て採用活動を行うことが成功のポイントです。

この記事では、リファラル採用を行う目的や採用方法、コツについて解説してきました。

リファラル採用をうまくできれば、費用を抑えて採用できるのが大きなメリットですが、社内への認知が十分でなければ、社員から協力してもらうことは難しいでしょう。
社内からの協力を得るためには、事前に採用制度や運用ルールを作り、社内広報にも力を入れていくことが重要です。

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野溝

野溝

前職で採用担当・コンテンツディレクターを経験後、株式会社ダイレクトソーシングのWebマーケティング担当に転職。 これまで数多くの採用関連コンテンツに携わり、特にエンジニア、スカウト関連のコンテンツに強みを持つ。