新卒採用の課題|重要課題6つと有効な対策を紹介

新卒採用に対して課題を抱える企業は多いのではないでしょうか。
学生優位の売り手市場、人材獲得競争の激化、採用スケジュールの早期化など、採用担当者の悩みはつきません。
そこで本記事では、新卒採用において特に重要とされる課題を6つ取り上げ、各課題を整理した上で、課題解決に有効な対策まで紹介します。
多岐にわたる新卒採用の課題を整理し、有効な対策を検討するために役立つ内容ですので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
新卒採用の課題1:応募者数の確保

新卒採用において企業がまず直面するのは、いかにして十分な応募者を集めて母集団形成を行うかという課題です。
具体的には、以下2つの要素に細分化されます。
知名度不足による応募者数の少なさ
有名企業はほんの一部であり、ほとんどの企業は学生に対して十分な知名度を有していません。
たとえ規模が大きく、業界内で大きなシェアを誇っていたとしても「学生」に認知されている企業となると限られます。
とりわけ、中小企業や特定地域に限られた企業は、学生の視野に入らず、応募を考慮する機会さえ得られないのが実状です。
採用市場の競争が激化するなか、知名度不足の課題を解消するためには、SNSや自社のwebサイトを活用した採用ブランディングの強化、大学や学校と連携した企業説明会の開催、オープンカンパニーやインターンシップなどを通じて「学生との接点」を積極的に創出していくほかありません。
自社の魅力を広く発信する努力が、応募者数の増加につながるのです。
業界イメージによる応募者数の偏り
業界に対する一般的なイメージや先入観によって、特定の業界は応募が集まりやすい一方で、一部の業界は集まりにくい点も新卒採用の課題です。
例えば、ある業界は、成長性や高い給与水準、身近に感じやすい事業内容などが評価され、多くの学生から人気を集めます。
その一方で別の業界は、「業務がきつい」「将来性が不安」「ブラック企業が多そう」などネガティブなイメージが先行し、学生から敬遠される傾向にあります。
その結果、応募者数が著しく少なくなり、新卒人材の確保が困難な状況に陥ることもあります。
この課題に対処するためには、業界全体のイメージを刷新することが求められます。
イメージに誤解がある場合には、実態・実状を学生に正しく伝える広報活動が必要です。
また、ネガティブな要素が事実であり、即改善が難しい場合には、働き方改革など改善への取り組み姿勢や具体的な改善計画を明示することでイメージ向上につなげましょう。
あわせて自社事業の「社会的な価値」を再認識させる取り組みを行うと効果的です。
もしくは、自らの業界に対する一般的なイメージが悪いのは自覚していることを示した上で、「ただし、自社は異なる」というスタンスで、それを裏づける具体例を明示するという方法もあります。
このように、情報社会の現代においてはネガティブな情報やイメージに触れないよりも、それを前提にアピールを行う方が、課題の解消を期待できるでしょう。
新卒採用の課題2:採用コストの管理

採用活動には多大なコストを要するため、コスト管理は新卒採用における重要な課題のひとつです。
以下2つの要素で具体的に掘り下げます。
採用活動にかかる費用の増大
「新卒採用市場の競争激化」「学生優位の売り手市場の継続」を背景に、新卒採用にかかる費用は年々増加傾向にあり、予算の増大化が企業にとって大きな負担となっています。
新卒採用には、採用サイトへの求人広告掲載、合同説明会の参加費用、インターンシップなど各採用イベントの運営費など、さまざまな経費が発生します。
また、オンラインツールの活用が進むなか、web広告やSNSマーケティングの費用も加算されるため、適切なコスト管理が不可欠です。
採用効率を高めるために、企業は現行の採用チャネルの見直しや、自社の採用ターゲット層に合わせた施策を打ち出し、費用対効果の高い採用活動を目指さなければなりません。
人的リソースの確保と配分
採用活動には多くの人的リソースが必要となります。具体的には、採用担当者をはじめ、面接官、説明会の登壇者、座談会など採用イベントの参加者、インターンシップを行う場合には受け入れ先の担当者など多岐にわたります。
特に中小企業や人的リソースが限られた企業では、採用活動に割ける時間やスタッフが限られるため、効率的なリソース配分が課題となります。
外部の採用支援サービスの活用や、AI・自動化ツールの導入によって、業務負担を軽減し、限られたリソースで効果的な採用活動を行う方法を模索することが有効です。
新卒採用の課題3:早期化への適応

新卒採用スケジュールは、以下2つを背景に市場全体で早期化の傾向が強まっています。
一方、この流れに対応できない企業も多く、早期化への適応は大きな課題となっています。
就活ルールの形骸化
以前は就職活動には経団連によって定められたルールがあり、企業と学生の双方にとって負担が少ない一定のペースで活動が進んでいました。
しかし、昨今は就活ルールが形骸化しており、多くの企業がルールで定められた時期より早く採用活動を開始しているのが実状です。
企業間の人材獲得競争が激しさを増すなか、早期の採用活動が当たり前となり、学生の奪い合いが生じています。
これにより、新卒採用活動の開始時期を見誤ると、優秀な学生を他社に取られてしまうリスクが高まるのです。
優秀な学生を囲い込むためのスケジュール前倒し
優秀な学生および自社が求める人材を確保するためには、他社よりも早く接点を持ち、関係性を築くことが重要です。
そのため、企業は新卒採用のスケジュール(例えば、インターンシップ実施や内定を出すタイミング)を前倒しする傾向にあります。
早期から学生との関係を構築して他社への関心を相対的に低下させ、内定を提示することで、他社に奪われる前に囲い込む戦略をとる企業が増えているのです。
ただし、新卒採用スケジュールの前倒しは企業にとって負担が大きく、採用プロセスの迅速化だけでなく、質の維持を両立させることが課題となっています。
新卒採用の課題4:ミスマッチの予防

新卒採用におけるミスマッチは企業側と学生側の双方に不利益を与えるため、非常に重要な課題です。
以下で具体的に解説します。
ミスマッチは選考辞退と内定辞退の主な原因
採用プロセスのなかで生じるミスマッチは、選考辞退や内定辞退の直接的な原因となります。
自社の働き方や社風が正しく伝わった上で、学生に「自分には合わない」と判断されるケースは仕方ありませんが、採用プロセス上で自社側の対応に問題がある可能性があります。
例えば、「説明会で伝える内容と実態に差がある」「説明会や面接での社員の態度や言動に問題がある」といったケースが散見されます。
「選考辞退や内定辞退が多い・増えた」と感じる場合には、その要因を見直しましょう。
企業の発信内容に起因するミスマッチ
採用競合との差別化を図りたいあまり「過剰に良いイメージを伝える」「実際の仕事内容や待遇よりも良くみせる」などを講じた場合、学生は誤った期待を抱きます。
その結果、学生から「採用サイトや説明会で聞いていた内容と実際の職場環境が違う」という評価を受けて、ミスマッチが生じてしまうのです。
企業としては、魅力をアピールして関心を惹くことも大切ですが、働く環境や業務内容の現実を正確に伝えることで、ミスマッチを未然に防ぐ必要があります。
入社後に潜む早期離職リスク
ミスマッチによる悪影響は新卒採用プロセスに留まらず、入社後の「早期離職リスク」を高めます。
以前よりも第二新卒に対する間口が広まった昨今においては、入社して業務内容や職場の雰囲気が自分の期待とは異なると感じた場合、新卒社員は短期間で離職する傾向があります。
こうなると、採用コストや人材育成にかけたリソースは無駄になってしまいます。
早期離職を防ぐためにも、採用段階から正確な情報提供と相互のコミュニケーションを十分に行うことが重要です。
新卒採用の課題5:オンライン採用の導入

オンライン採用を導入する企業が増えており、学生も参加しやすさからオンライン採用を行う企業と優先的に接点をもつ傾向がみられます。
オンライン採用が一気に普及
かつてのコロナ禍に経て、オンライン採用が急速に広まりました。
オンライン説明会やweb面接は、全国各地から学生が参加できるため、距離などの物理的な制約をなくし、企業は広範囲な人材にアプローチできるようになりました。
また、移動にかかる費用や時間の負担が軽減が不要となり、学生にとっても参加しやすい環境が整ったといえるでしょう。
こうした背景から、オンライン採用は今後も新卒採用の一環としてさらに広まり、定着していくと考えられています。
オンライン採用の注意点
オンライン採用には利便性がある一方で、企業側が注意すべき点も多くあります。
例えば、対面でのコミュニケーションと比べて、学生の人柄や雰囲気、細かな反応を正確に把握するのが難しくなります。
また、画面越しでは社員の雰囲気や職場環境を十分に伝えることも難しく、社風および企業文化が学生に伝わりにくいことも課題です。
また、技術的なトラブルやインターネット環境の差によって、選考の公平性に差が生じる可能性も否定できません。
こうした課題を解消するためには、技術・設備面を整えることはもちろん、面接官向けにweb面接の研修やロープレを実施したり、社員や職場の様子を撮影した動画を用いたり、といった工夫が求められます。
新卒採用の課題6:多様性の確保

多様性を重視することで、さまざまな視点やアイデアが集まり、組織全体の活性化や革新につながるため、今や企業にとって欠かせない課題といえるでしょう。
ダイバーシティ採用の重要性
ダイバーシティ採用とは、性別や年齢、人種、障がいの有無、価値観、働き方など、さまざまな人材を積極的に受け入れる採用活動のことです。
多様な視点を持つ人材が集まることで、製品やサービスの改善が図られ、顧客のニーズにより的確に応えられるようになります。組織の活性化や労働力不足の解消も期待できます。
また、ダイバーシティは自社のブランドイメージにも良い影響を与え、多様性を重視する企業文化は学生にとって魅力的に映ります。
このように、ダイバーシティ採用は自社が持続的な成長をするためはもちろん、新卒採用で成果を得るためにも重要な課題といえるのです。
柔軟な働き方の実現
多様性を確保するためには、柔軟な働き方を実現することも重要な課題です。
昨今、リモートワークやフレックスタイム制度など、働き方の選択肢が増えています。
これにより、育児や介護などのライフイベントに合わせて働くことができ、より多様な人材が企業に参画しやすくなります。
特に「プライベートと仕事を両立させたい」「地理的な制約に縛られず働きたい」と考える学生にとって柔軟な働き方は魅力的な条件であり、それが可能な企業に関心が向きやすいのが実状です
新卒採用の課題に有効な対策

新卒採用の課題に対して有効な施策について、ここまでもいくつか簡潔に紹介しましたが、以下にまとめます。
採用マーケティングの実施
採用マーケティングとは、自社が求める人材を獲得するために、自社や採用ターゲット層などを分析して、より効率的な採用活動を実現することです。
主に製品やサービスの売上アップに用いられているマーケティングの考え方を採用活動に応用します。
具体的なメリットは、以下の通りです。
- 採用における自社の強み・弱みを理解できる
- 自社の採用ターゲットをより明確に理解できる
- 適切な採用手法を選択できる
- 応募数を増やせる
- ミスマッチを予防できる
- 採用コストの低減につながる
採用マーケティングについてはこちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。
採用要件の見直し
採用要件とは、採用を行う際に自社が人材に求める各基準を定義したものです。
例えば、コミュニケーション能力やマネジメント能力の高さ、特定の資格・スキルの有無、積極性や協調性といった志向性などが挙げられます。
採用要件を見直すことで、以下を期待できます。
- 相性の見極めや選考の精度向上によるミスマッチ防止
- 採用ターゲットへのアプローチ手法の検討
- 入社後の定着率向上
採用要件について詳しく知りたい場合は、ぜひこちらの記事もご覧ください。
採用スケジュールの見直し
新卒採用の早期化や就活ルールの形骸化を受けて、採用スケジュールの見直しを検討する一方で、「結局、新卒採用はいつからいつまで?」と悩む方も多いのではないでしょうか。昨今の傾向を踏まえた場合、新卒採用の開始と収量の目安は下記の通りです。
■新卒採用の開始時期と終了時期の目安
- 開始時期:対象者が卒業・修了する前年度の5〜7月頃
- 終了時期(内定出しの時期):対象者が卒業・修了する年度の10〜11月頃
期間としては、1年半以上を要することになります。
ただし、あくまで「目安」であり、業界や採用競合によって異なる点には留意してください。
採用スケジュールについてより詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
【人事向け】新卒採用はいつから?いつまで?検討と判断の重要ポイントを紹介
採用ブランディングへの注力
採用ブランディングとは、企業理念やビジョン、会社の雰囲気、そこで働く魅力・メリットなどを外部に発信することで、採用において企業をブランド化することです。
採用ブランディングのメリットとしては、以下が挙げられます。
- 自社の認知度アップ
- ミスマッチの防止
- 採用コストの低減
- 既存社員のモチベーションアップ
- 理念の浸透や組織力アップ
また、昨今は採用ブランディングの一環として「社員インタビュー動画」を用いる企業も増えています。
こちらの記事では、具体的な制作手順や作成例を紹介していますので、あわせてご覧ください。
【採用向け】社員インタビュー動画|種類と制作手順、質問例を紹介
ダイレクトリクルーティング(スカウト採用)の活用
ダイレクトリクルーティングとは、企業が候補者へスカウトメッセージを送り、直接アプローチする採用手法です。スカウト採用とも呼ばれることもあります。
欲しい人材に対して企業側から直接本人にアプローチをかけられるため、人材獲得競争が激しい昨今、特に注目されています。効率の良さも強みであり、採用コストの低減も期待できます。
中途採用に用いるイメージをもたれがちですが、昨今はターゲット層に確実にアプローチできるメリットから新卒採用においても積極的に活用されています。
以下の記事では、メリット・デメリットを含めて解説していますので、ぜひ参考にしてください。
スカウト型採用とは?メリット・デメリットと手順、重要ポイントを紹介
カジュアル面談の導入
カジュアル面談とは、企業と主に候補者がお互いをより理解するために、リラックスした雰囲気で行う面談のことです。
カジュアル面談のメリットは、以下の通りです。
- 候補者の本音を把握しやすくなる
- 候補者との関係構築を行いやすくなる
- 優秀な潜在層にアプローチしやすくなる
採用プロセスにおいて、通常の面接と併用したり、内定後のフォローとして用いたりします。
【企業側】カジュアル面談とは?目的や面接との違いから流れまで解説
インターンシップの導入
インターンシップとは、学生に企業や業務内容を実際に体験してもらうことで、相互理解を深める機会のことです。
学生にとっては、職場の雰囲気や仕事のやりがいを理解できる機会であり、企業にとっては、実際に働く様子を観察することでミスマッチのリスクを低減できます。
また、インターンシップを通じて、学生は企業に親近感を抱きやすくなり、志望度アップにもつながります。インターンシップを導入・活用することで、長期的な採用活動の基盤を強化できるでしょう。
まとめ
新卒採用において特に重要とされる課題を6つ取り上げて、それぞれの背景を含めて解説しました。具体的には「1.応募者数の確保」「2.採用コストの管理」「3.早期化への適応」「4.ミスマッチの予防」「5.オンライン採用の導入」「6.多様性の確保」です。
本文では、こうした課題の解決に有効な対策として「採用マーケティングの導入」「採用要件の見直し」「採用スケジュールの見直し」「採用ブランディングへの注力」などを紹介しています。
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竹村 朋晃
著者プロフィール 竹村 朋晃(Tomoaki Takemura)
株式会社ダイレクトソーシング 代表取締役CEO
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2005年に野村総合研究所に入社。大手損害保険会社のシステム設計・開発に従事し、エンジニアとしてのキャリアをスタート。 2015年、ダイレクトソーシングの可能性に着目し、株式会社ダイレクトソーシングを創業。データドリブンな採用を軸に、候補者データの構造化、スカウト改善、タレントプール構築などを通じて、累計500社以上の採用支援を行う。 2017年よりLinkedIn公式パートナーとして、日本企業へのLinkedIn活用を支援。2025年には「LinkedIn Student Career Week」を主催し、5,000名超の学生と40社超の企業をマッチングさせるなど、イベントプロデュースでも実績多数。 「Stand Alone Complex Society(個が独立し共創する社会)」の実現を掲げ、採用における価値創造を追求している。 趣味はウェイクボードとテニス。お台場在住。技術と営業を横断する“ハイブリッド人材”として、採用の進化に挑み続けている。
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