エンジニア採用
2023.03.16

調査から読み解くエンジニア採用の最新トレンド|成功に欠かせないポイントは

「売り手市場」が続くエンジニア採用においては、トレンドを見極めた採用活動が人材獲得の鍵となります。

この記事では、各種調査からエンジニアのニーズや動向を洗い出していき、エンジニア採用の最新トレンドとポイントを探っていきます。
採用活動の指針を定める際、ぜひ参考にしてみてください。

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売り手市場が続くエンジニア採用

IT人材は将来にわたって人手不足が試算されており、エンジニア採用は「売り手市場」が続く見込みとなっています。
経済産業省が2019年に発表した「IT人材需給に関する調査」によれば、2030年には最大で78.7万人の人材不足に直面する可能性が指摘されており、今後もエンジニア人材の採用競争は続くと予想されます。

IT人材需給に関する調査

参考:「IT人材需給に関する調査(経済産業省)」

一時はコロナ禍で採用市場の冷え込みも見られましたが、すでに現在はコロナ禍前の水準にまで回復しています。

また厚生労働省の「一般職業紹介状況」によれば、2022年12月の「情報処理・通信技術者」の新規有効倍率は4.37倍(除パート)となっており、新型コロナウイルス感染拡大前(2019年12月)の4.75倍と比較しても遜色のない数値まで改善してきています。

参考:「一般職業紹介状況(令和4年12月分及び令和4年分)について」

エンジニア人材が求めているもの

現在、企業のなかで活躍しているエンジニアは何に不安を感じ、何を求めているのでしょうか。

パーソル総合研究所の調査をもとにエンジニア人材のニーズを解き明かしていき、採用活動のトレンドを探っていきましょう。

参考:「ITエンジニアの人的資源管理に関する定量調査」

エンジニアが抱えるキャリアへの不安

エンジニアは自身のキャリアについて、スキルへの不安を感じる傾向が見て取れます。
「エンジニアが抱えるキャリアへの不安」の上位3つは、以下のようになっています。

 

【エンジニアが抱えているキャリアへの不安ランキング】
「自分の技術やスキルがいつまで通用するか不安だ」46.5%
「今の会社でどこまで給与が上がるか不安だ」45.9%
「いつまで新しい技術やスキルを習得できるか不安だ」43.6%

 

上位3つのうち、「自身のスキルに対する不安」が2つを占めています。
さらに興味深いのは、スキルに対する不安は「その他の職種」に比べて約10%ほど高く表れていることがわかっています。

これはエンジニアという職種の顕著な特徴といえるでしょう。

エンジニアの年収と転職意向

エンジニアの年収は、転職意向率と直結する傾向が明らかとなっています。

参考:「ITエンジニアの人的資源管理に関する定量調査」

「その他の職種」では、年収と転職意向率はある程度の関係性を確認できつつも、まばらに変化しています。
これに対してエンジニアの場合は、年収が向上すると転職意向率が減少する、はっきりとした相関関係が見て取れます。

エンジニアが入社を決めるポイント

エンジニアが入社を決めるポイントは、安定性と成長意欲を満たす環境です。
「エンジニアが抱えるキャリアへの不安」の上位3つは、以下のようになっています。

 

【エンジニアの入社理由ランキング】
「安定して働けそうな環境だと感じたから」53.8%
「成長できる環境だと感じたから」40.4%
「技術を伸ばせる環境だと感じたから」38.3%

 

唯一過半数を超えた「安定して働けそうな環境」に目を奪われますが、注目すべきは自身の成長に繋がる項目が上位2つを占めていることでしょう。
エンジニアが抱えているキャリアへの不安が、入社理由に反映されていることが読みとれます。

エンジニア採用の最新トレンド3選

各種調査の結果から、現在のエンジニア採用のトレンドを探っていきます。

35歳以下を狙うポテンシャル採用

現在のエンジニア採用のトレンドは、ポテンシャル採用です。
35歳以下の人材をターゲットとして、育成を前提とした採用活動を行うべきでしょう。

転職サイト「type」の調査によれば、typeで転職活動を行っているITエンジニアは、20-24歳が27%、25-29歳が33%、30-34歳が14%と、35歳以下が大半を占めています。
※2023年1月1日~1月31日までの新規登録者から試算

また、2023年1月の20~30代の応募数は、2019年12月時と比較して1.5倍に増加していることもわかっており、エンジニア転職志望者は35歳以下が中心となっています。

採用ターゲットをミドル層に絞らざるえない特段の理由がない限り、ポテンシャル採用を実施するほうが採用活動は成功しやすいといえるでしょう。

外国人エンジニアの採用

少子高齢化による人口減に突入している現在、難航するエンジニア採用の数少ない打開策と言えるのが外国人エンジニア採用です。

ビズメイツ株式会社が発表している調査によれば、アンケートに参加した企業の約7割が「『外国籍ITエンジニア』採用に満足している」と回答しています。

参考:「外国籍ITエンジニアの採用に関する実態調査」

また同調査では、7割強の企業が今度も外国籍ITエンジニアの採用を前向きに検討していることがわかっています。

ただ逆に言えば、約3割の企業は「満足していない」と回答しているわけで、外国人エンジニア採用には多少なり課題・問題点があることも窺えます。

フリーランス人材の活用

エンジニアのなかにはフリーランス志向を持つ人材が多く存在します。
エンジニア採用で結果を出せていない企業は、フリーランス人材の活用も検討してみましょう。

ヒューマンリソシア株式会社が2021年に発表した調査によれば、日本のITエンジニア人口は122万人と試算されています。

参考:「2021版:データで見る世界のITエンジニアレポート」

そのうちフリーランスがどれくらいの割合を占めるかは、正確な統計がありません。

ただ、株式会社Brocanteが2022年に発表した調査によれば、ITフリーランス人口は23.1万人と試算されており、高い割合でフリーランスとして活躍するエンジニアが存在すると思われます。
※ITフリーランス人口のすべてがエンジニア人材を指すわけではありません

フリーランス人材の活用は「教育コストがかからない」「必要なときだけ仕事を頼める(人件費の削減)」といった労力・金銭面のコストカットが期待できるので、企業にとっても大きなメリットがあります。
エンジニアの正社員採用に行き詰まっている企業は、積極的に業務委託を検討してみるとよいでしょう。

エンジニア採用の成功に欠かせない2つのポイント

ここまで解説してきたエンジニア採用のトレンドと合わせて、エンジニア採用の成功に欠かせない2つのポイントをお伝えします。

成長意欲を満たす環境・機会の提供

エンジニア採用においては、スキル向上の機会を提供できる環境が重要となっています。

「エンジニアが抱えるキャリアへの不安」で解説したとおり、エンジニアは他の職種よりも顕著にスキルへの不安を感じています。
IT分野は技術革新が著しいため、スキル・知識の取得を行い続ける必要があるからです。

実際に「エンジニアが入社を決めるポイント」でも、「成長できる環境だと感じたから」が2番目に多い項目、「技術を伸ばせる環境だと感じたから」が3番目に多い項目として挙げられています。

企業はエンジニアの将来への不安を解消する環境を整備し、求職者の入社意欲向上に努めていきましょう。

市場価値に見合った報酬の提示

エンジニア採用で重要となるのが、市場価値の把握と、それに見合った報酬の提示です。

パーソル総合研究所「ITエンジニアの人的資源管理に関する定量調査」では、エンジニアのなかでも希望年収と現状の年収に強いギャップを感じている職種と、さほどギャップを感じていない職種があることが明らかとなっています。

もっともギャップを感じているのが「セキュリティエンジニア」で、現状の年収に約181万円の不足を感じています。
対して、もっともギャップが少ないのが「データベースエンジニア」で、希望年収との開きは約104万円にとどまっています。

同じエンジニアでも、職種によって約77万円も感じているギャップに差があるわけです。

さらに活用するプログラミング言語によっても、希望年収と現状の年収にギャップが生じています。

もっともギャップを感じているのが「TypeScript」を扱うエンジニアで、現状の年収に約226万円の不足を感じています。
対して、もっともギャップが少ないのが「JavaScript」を扱うエンジニアで、希望年収との開きは約134万円にとどまっています。

その差は約92万円と、職種による区分よりも感じているギャップ差は大きくなっています。

年収と転職意向率に相関関係があったことからも、条件提示の際に希望年収との乖離があった場合、入社辞退に至る可能性が高くなります。
まずは、職種やプログラミング言語ごとの市場価値をしっかりと把握する必要があるでしょう。

まとめ

現在のエンジニア採用のトレンドとして、動きが活発化している若手人材を狙った「ポテンシャル採用」が挙げられます。また、慢性的なエンジニア不足の対策として、「外国人エンジニア採用」と「フリーランス人材の活用」も検討すべきでしょう。

合わせて企業が行うべきなのは、エンジニアのニーズを捉えた環境作りです。
とくに「成長意欲を満たす環境・機会の提供」と「市場価値に見合った報酬の提示」に力を入れて、採用活動を進めていきましょう。

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野溝

野溝

前職で採用担当・コンテンツディレクターを経験後、株式会社ダイレクトソーシングのWebマーケティング担当に転職。 これまで数多くの採用関連コンテンツに携わり、特にエンジニア、スカウト関連のコンテンツに強みを持つ。

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