スクラム採用のメリットとは?
スクラム採用を取り入れていますか?
みなさんこんにちは!株式会社ダイレクトソーシングの小野です。
「スクラム」といえば、去年のラグビーワールドカップで見られたラグビーのセットプレーを思い起こす人が多そうですね。
また、IT業界で働く方は「スクラム開発」のこと、と思う方のほうが多いかもしれません。
では、スクラム採用とは何でしょうか?
今回はスクラム採用とは何か、メリットやデメリット、取り組む際のポイントなどをご紹介したいと思います。
目次
1.スクラム採用とは?
スクラム採用とは、次の3つの条件を満たす採用活動のこととして、株式会社HERP代表取締役CEOの庄田一郎氏が定義しています。
“【1】権限移譲
採用活動のワークフローを分解し、各フローを社内の最適な担当者に権限移譲している。各職種ごとの最適な採用手法に関しても、現場主導でPDCAを回している。
【2】成果の可視化
採用活動によって得られた成果を全社員にFBしており(する土台があり)、採用担当を中心に定期的な振り返りが行われている。
【3】採用担当のPM化
採用担当が、採用活動における施策のオーナーではなく、全体のプロジェクトマネジメントやドメインプロフェッショナルとして機能。採用に関する知識を現場の社員へインプットする役割を担っている。
引用:スクラム採用を実践するための3つのポイント<開催イベント予告>”
目標を達成するために、社員一丸で採用活動に取り組んでいくのがスクラム採用です。
まるで、ラグビーワールドカップで日本チームのテーマとなり、2019年流行語大賞にも選ばれた「ONE TEAM」のようですよね。
しかし、スクラム採用の“スクラム”はラグビーのスクラムではなく、IT企業で取り入れられているスクラム開発の“スクラム”が語源だそうです。
そのため、スクラム開発で重要な「経験に基づくアプローチをベースに、課題に対して柔軟に対応していく」原則も、スクラム採用において欠かせないポイントだそうです。
つまり、人事や採用担当者に限らず、会社全体で採用を“自ら考え、実行していく”ことがスクラム採用ということです。
人事や採用担当者はあくまでも現場の社員たちが採用活動に積極的に参加できるよう、全体を見てサポートをしていく役割ですので、いかに社員全員が採用に能動的になれるかが重要です。
2.スクラム採用のメリット
スクラム採用がどのようなものかご紹介したところで、企業がスクラム採用を取り入れるメリットについて説明していきたいと思います。
2.1.採用力の向上
まず、なんといっても採用力が向上します。
そりゃあ採用力がアップしなければ、人事や採用担当者だけでなく、会社全体で採用に取り組もうとは考えないものですが、スクラム採用の場合はただ単に人員を増やして採用力を向上させているわけではありません。
例えば、採用担当者しか会社のリアルタイムの採用状況(どのポジションを何人程度、どのような人物を想定して募集しているのか)を把握していない会社では、非採用担当者の社員が自社に欲しいなと思えるような人材と接触したり、逆に入社を希望している人材に接触されたりしても、その場で判断ができません。
その場で判断ができないということは、対応スピードが遅くなるわけですから、先に競合他社に人材をとられてしまう可能性が高くなります。
しかし、スクラム採用によって採用担当者だけでなく、現場の社員も採用状況を把握し、能動的に動ける状況をつくることができれば、その場で面談や面接の案内をして次につなげることができます。
迅速な対応によって、採用のチャンスをつぶさずに済むのです。
また、面談や面接の対応を現場の社員に移譲できることで、人事や採用担当者の負担が軽くなり、頭を使う方に時間や労力をかけることができます。
プロジェクトマネージャーのような役割を担うことになるため、状況を把握し、今後の戦略を立てることに時間や労力を費やすことができれば、採用効率をより高めていくことができるでしょう。
2.2.社員の会社への愛着向上
採用に関わる以上、自社について理解し、自身の言葉で他者に説明できなくてはいけません。
社員が採用候補者に会社を紹介する中で、会社の魅力や強みなどを言語化し、しっかり認識する機会になります。
会社についての理解も浅く、会社の良さもあいまいにしか認識できていなかったときよりも、会社への愛着がアップします。
会社に愛着を持つ社員が採用候補者と接触することで、その候補者も会社への理解を深め、魅力的に思ってもらいやすくなり、採用効率が高まります。
さらに社員が会社へ愛着をもつことにより、離職率を下げることにもつながります。
3.スクラム採用のデメリット
スクラム採用にはメリットがありますが、もちろんデメリットがないわけではありません。
デメリットゆえに、いまだにスクラム採用に踏み切れない企業も存在します。
それではスクラム採用のデメリットについても説明していきたいと思います。
3.1.現場社員の負担は増える
まず、現場社員の負担増加です。
人事・採用担当者だけが採用活動にあたっているのであれば、他の社員は自分の担当する業務だけを担っていればいいわけです。
しかしスクラム採用ではすべての社員が採用に関わるため、時間も労力も採用活動に割かなくてはならず、本来の業務以外にやるべきことが増えてしまいます。
スクラム採用を取り入れる前と後で、社員の時間もエネルギーも増えるわけではありませんから、何とかしてそれぞれに時間と労力を割り振らなければいけません。
もしすでに業務過多になっている社員がいれば、スクラム採用はさらなる負担となってしまい、現場の社員は疲弊してしまうことでしょう。
社員が疲弊すればプレゼンティズムの原因となり、生産性の低下、離職率の向上につながりかねません。
また、社員がスクラム採用のメリットや必要性を理解していなければ、現場に負担を強いていると感じて不満を持つのも当然といえるでしょう。
例えば営業担当が面接を行う場合、その時間を営業に使っていれば、受注が増えるかもしれません。
そうすれば会社としても利益が増えますし、社員個人としても成績がアップして社内の評価が上がるはずです。
そう考える社員にとっては、スクラム採用によって自信の負担が増えることは会社への不信を招き、これもまた離職率の向上につながります。
3.2.スクラム採用を実行できる環境づくりが必要
新たな負担が増えるのは現場の社員だけではありません。
今まで採用を一手に担ってきた人事や採用担当者にとっても、新たな業務が発生し、負担となる可能性があります。
スクラム採用は会社が一丸となって採用と行う手法ですので、採用に関する方針や情報の共有が必要です。
その体制作りや環境構築が必要で、それが人事や採用担当者の新たな仕事となります。
人に仕事を任せることが得意な人もいますが、中には「自分でやった方が早い」と考えて他者に任せられないタイプの人もいます。
人事や採用担当者がそのようなタイプの場合、スクラム採用を取り入れるのは非常に困難となるでしょう。
また、自分で動くのが得意な一方で、体制作りや環境構築など全体を俯瞰してみる仕事が苦手なタイプにとっては、スクラム採用を始めるまでの準備が大きな負担となるはずです。
4.スクラム採用におけるポイント
スクラム採用について、長所と短所それぞれあることはお分かりいただけたかと思います。
それでは、どうすればデメリットを抑えつつ、スクラム採用の良さを引き出していけるのでしょうか。
いくつかポイントを挙げていきたいと思います。
4.1.スクラム採用のメリット、必要性を社内に浸透させる
その必要性やメリットを理解していなければ、人は新しいものを積極的に導入しようとは思いません。
キャッシュレス・消費者還元事業はその分かりやすい例といえるでしょう。
電子マネーで支払えば、支払の一部が還元させるという、分かりやすいメリットがあることで、多くの人が電子マネーを利用し、2019年10月1日~12月9日までの還元対象となる決済額は約2兆6,000億円となっています。
電子決済自体は以前から存在していたものの、それを利用するメリットを認識していない層では利用されず、一部の支払額が返ってくるという分かりやすいメリットが提示されてはじめて、電子決済を利用し始めた層がいるのです。
スクラム採用も、このように分かりやすいメリットや必要性を示すことができれば、社内に受け入れられていくはずです。
そのため、スクラム採用を始めるには、社内にメリットや必要性を分かりやすく伝えていく必要があります。
何の説明もなくスクラム採用を始めても、能動的に採用活動を行っていく社員は現れないと考えていいでしょう。
また、「自分は大きな利益を生み出しているから、利益を生み出せていない他の社員が採用を担当すればいい」という考え方で、社内に採用に積極的な層と消極的な層が生じる恐れがあります。
確かにAさんとBさんで、どちらが面接を担当しても結果が同じである採用候補者がいたとき、主業務で生み出す利益の低い方が面接を担当した方が効率が良いでしょう。
しかし、例えば非常に優秀で、バリバリと働き、多くの結果を出している社員に口説かれた方が入社に同意しやすいような採用候補者の面接を行うなら、逆に利益をより生み出している社員を担当にした方がいいはずです。
採用によって非常に優秀な人材が増えるわけですから、長期的な視点で見ればそちらの方が効率的ですよね。
今現在で短期的に見てどうするのが効率的か、ではなく、長期の視点を持って「最適なのは?」と考えてもらえるように、スクラム採用についての社内向けの説明を行っていく必要があります。
スクラム採用のメリットや必要性を説明する際には、他社事例などを交えて、具体的に伝えていくといいでしょう。
そのためにも、人事・採用担当者は他社の発信する情報・事例をチェックし、他社の人事・採用担当者と交流するなど、外から最新情報を集めてくるためのアンテナを高く持つべきです。
4.2.スクラム採用への積極性を評価対象に含める
スクラム採用のメリットや必要性を分かってもらう手段としても、スクラム採用への参加を評価対象に含めることは重要です。
スクラム採用に積極的になっても、主業務での結果だけが評価の対象になるのでは、多くの社員が納得できないはずです。
採用よりも主業務で結果を出そうとして、採用活動に消極的になってしまいます。
4.3.社内情報共有ツールなどを導入する
いくらスクラム採用のメリットや必要性を理解してもらっていても、採用の状況をリアルタイムで社内共有できる環境がなければ、スクラム採用を進めていくことは難しいでしょう。
そのためには、採用状況を可視化し、社内に共有するためのツールを導入しましょう。
会社の規模が小さく、採用人数が少ないのであれば、Googleスプレッドシートなどでも簡単に共有できるでしょう。
一方で規模が大きく、採用人数が多いのであれば、採用管理システム(ATS)などを利用すると良いでしょう。
関連記事:
ATS(採用管理システム)のメリットとは?今こそ使うべきATS(採用管理システム)
4.4.人事・採用担当者に優秀な人材を配置する
スクラム採用では、人事や採用担当者はプロジェクトマネージャーのような役割を担うことになりますので、全体を見て方向性や戦略を考えられる人材を配置する必要があります。
ついつい利益を生み出す部署(プロフィットセンター)により優秀な人材を配置しようとし、採用もそちらに力を入れがちですが、人事にもプロジェクトを回していけるような優秀な人材が必要です。
5.会社一丸となってスクラム採用に取り組んでみよう!
今回はスクラム採用についてご紹介しました。
現場の社員全員のスクラム採用についての理解を得るのは簡単なことではありませんが、理解を得て取り入れることができれば、大きな成果を出すことも可能です。
採用は企業にとって必要で非常に重要は活動です。
ぜひ会社一丸となってスクラム採用に挑戦してみましょう。
弊社(株式会社ダイレクトソーシング)では、LinkedInやBizreachなどを活用したダイレクト採用を支援するサービスを提供しています。
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竹村 朋晃
株式会社ダイレクトソーシング CEO (プロフィールはこちらをクリック) 2005年に野村総合研究所に入社。損害保険システムの構築に従事。2015年11月より株式会社ダイレクトソーシングを立ち上げ。エンジニア経験者中心にデータドリブンリクルーティングを中心としたサービスを展開。
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