新卒採用イベントとは?メリット・デメリットや種類、実施手順を紹介
新卒採用イベントとは、企業が学生に自社の魅力を伝えて、志望度の向上を図るためのイベントです。
採用市場における人材獲得競争が激しさを増すなか、募集をかけるだけでは十分な応募が集まらないのが実状です。
ただ、これまで中途採用をメインで行っていた場合などは「新卒採用イベントはどのような種類があるのか分からない」「新卒採用イベントの実施手順を知りたい」と考えている企業も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では新卒採用イベントについて、基本情報からメリット・デメリット、種類、実施手順、重要ポイントまで紹介します。
目次
新卒採用イベントとは
合同会社説明会のように複数の企業が参加して開催されるタイプと、個別説明会のように自社が単独で開催するタイプがあります。
新卒採用活動は年間を通じて大まかなスケジュールが決まっているため、各企業とも同時期に同じ様な新卒採用イベントを実施することになります。
具体的には、夏や秋冬のインターンシップや説明会などです。
中途採用イベントとは
中途採用イベントとは、企業が新卒以外の求職者に自社の魅力を伝えて、志望度の向上につなげるためのイベントです。
新卒以外の求職者とは、就労経験者や既卒者、第二新卒者が該当します。
- 就労経験者:正規社員・契約社員・アルバイトなどの就労経験がある人
- 既卒者:学校を卒業して3年間、正規社員にならなかった人
- 第二新卒:新卒後に入社したが3年以以内に離職した人
また中途採用イベントは、各企業の採用計画にあわせて任意の時期に開催します。
新卒採用イベントと中途採用イベントの違い
新卒採用イベントと中途採用イベントの主な違いは、対象者と開催時期です。
まとめると下記の通りです。
新卒採用イベント | 中途採用イベント | |
対象者 | 新卒者(新卒の学生) | 就労経験者、既卒者、第二新卒者 |
開催時期 | 各企業とも近い時期に開催 | 各企業が任意の時期に開催 |
新卒採用イベントのメリット
学生と接点をもてる
新卒採用イベントを通じて、学生と接点をもつことができます。
新卒採用では、自社に対して関心を持つ学生を多く集める「母集団形成」が欠かせません。
ただ一方で、企業が学生との接点をもてる機会は決して多くないのが実状です。
そのため、学生との接点をもつことができる新卒採用イベントは、企業にとって貴重な機会といえるでしょう。
自社の魅力をアピールできる
新卒採用イベントは、学生に対して自社の魅力をアピールできる絶好の機会です。
新卒採用イベントに参加した学生は、自らに適した企業を見つけるために、企業が提供する情報に真剣に耳を傾けます。
しっかりと聞く姿勢をもった学生に対して、自社の魅力をアピールできる機会は、非常に貴重です。
ミスマッチの予防につながる
自社と学生間におけるミスマッチの予防につながる点も、新卒採用イベントのメリットです。
新卒採用イベントでは、自社の理念や事業内容、具体的な業務内容、社風などを伝えます。
そのため学生側は、自社に対する理解が深まり、マッチ度をより正確に測り知ることができるのです。
また、インターンシップのように各参加者の適性を見て取れる新卒採用イベントであれば、企業側がマッチ度を測ることも可能です。
新卒採用イベントのデメリット
準備の手間がかかる
準備に手間がかかる点は、新卒採用イベントのデメリットといえます。
例えば、自社で個別会社説明会を開催する際は、会場手配・人員手配・プロジェクターやスクリーンといった設備準備・開催告知および集客・資料作成・発表用スライド作成など、さまざまな準備が必要となります。
合同会社説明会のような自社が参加するタイプの新卒採用イベントであっても、割り当てられた個別ブースの整備や飾りつけ、資料作成などは同様に必要です。
相応の費用がかかる
新卒採用イベントの実施には、相応の費用がかかる点もデメリットといえるでしょう。
自社開催タイプの新卒採用イベントの場合は、先述したような準備物の費用や人件費などがかかります。
参加するタイプのイベントであっても、出展費用や参加費用が必要です。
イベント規模の大きさに応じて、相応の費用がかかる点は理解しておきましょう。
人員を要する
新卒採用イベント実施にあたっては、人員が必要です。
説明会であれば、司会や発表者を設定しなければなりません。
現場社員に登壇してもらうならば、他部署への依頼も必要となります。
また開催規模によっては、当日の受付や誘導といったサポート要員も求められます。
また、新卒採用イベントは開催時期が限られているため、繫忙期と重なってもスケジュールを調整しづらく、人員の確保が困難なケースもあります。
新卒採用イベントの種類
合同会社説明会
合同会社説明会とは、複数の企業が同一の場所に集まり、学生に対して総合的な企業説明や採用情報を提供するイベントです。
規模は、数十社ほどで開催されるものから、大きければ300〜500社も集まるものまであります。
多くの学生が来場しますが、認知度が低い企業は埋もれてしまわないように差別化を図る必要があります。
また昨今は、web会議システムを用いてオンライン上で開催されるケースも少なくありません。
以下のように、総合型、業界別、学部・学科別の3種類があります。
総合型
総合型の合同会社説明会は、業界や職種、対象を問わず多種多様な企業が出展するイベントです。
そのため、規模も大きくなりやすく、先述したように多数の企業のなかに埋もれないために、ブースの装飾で独自性をアピールしたり、学生を引き付ける採用キャッチコピーを掲げたりといった工夫が求められます。
業界別
業界別の合同会社説明会は、特定の業界に属する企業が出展し、業界特有の特徴や企業情報を提供するイベントです。
学生に対して、業界全体の動向やキャリアパスについて解説します。
出展企業は、自社の業界に関心をもっている学生と出会えるため、より効果的・効率的な母集団形成を期待できます。
学部・学科別
学部・学科別の合同会社説明会は、特定の学部や学科を対象に、関連する企業が集まって採用情報を提供するイベントです。
例えば、IT企業が情報工学科の学生を対象として、自社の技術職の求人情報を紹介するなど、学生の専門分野に合わせた情報提供が行われます。
学生は自身の専門分野に関連した企業から、将来のキャリア選択に向けて具体的な情報収集を行うことができます。
企業側としても、専門的な知識やスキルを有した学生との接点をもてるため、求める人材の採用につながりやすいでしょう。
学内説明会
学内説明会とは、大学内の会場で自社の企業説明や採用情報を提供するイベントです。
1社が単独で開催するパターンや、合同会社説明会のように複数社がキャンパス内の会場に集まって開催するパターンがあります。
学内で行われるため、学生は移動の時間や手間をかけることなく容易に参加できます。
企業としては、特定の大学に属する学生と接点をもつことが可能です。
自社と同地域内の大学であれば、関心や志望度の向上を狙いやすいといえるでしょう。
開催にあたっては、合同説明会形式の場合は大学が出展企業を募ります。
一方で、単独で開催したい場合は、企業の採用担当者が大学のキャリアセンターなどを訪問して、開催交渉や集客依頼を行います。
個別会社説明会
個別会社説明会は、企業が単独で主催して自社の企業説明や採用情報を提供するイベントです。
個別開催のため、当日のプログラムや時間などを自由に構成できます。
例えば、代表者挨拶、事業説明、理念やビジョンの紹介、求める人材像の説明、キャリアパスの解説、活躍社員への質疑応答など、学生の関心や自社がアピールしたいことに応じて多様なプログラムを行えます。
また、自社に一定の関心をもった学生が参加するため、魅力をアピールすることでさらに志望度を高められる点もメリットといえます。
ただし、告知や集客に注力しなければない点は、留意しましょう。
具体的には、合同会社説明会など他の新卒採用イベントで接点をもった学生を個別会社説明会へ誘導したり、送客サービスを利用したりといった方法があります。
就活生向けセミナー
就活生向けセミナーとは、学生に対して就職活動の支援につながる知識やノウハウを提供するイベントです。
例えば、業界研究や自己分析のサポート、エントリーシート作成支援、面接対策などが挙げられます。
このように就活を行う学生が関心をもちやすいテーマを取り上げるため、集客を行いやすくなる点がメリットです。
また、参加した学生に「自分たちのために有益な情報を提供してくれた企業」として認識してもらえてイメージや志望度の向上を期待できます。
以上のような背景から、就活生向けセミナーの場合は学生の就活支援に重きを置き、自社のアピールに時間を割き過ぎないようにすることが大切です。
ミートアップ・座談会
ミートアップや座談会は、社員と学生が小規模なグループ内で直接対話する機会を提供するイベントです。
参加学生と和やかな雰囲気の中で、自社の文化や価値観を伝えることができます。
また、学生との個別のやり取りを通じて、互いのニーズや期待を把握し合い、マッチ度の確認を行えます。
他の新卒採用イベントと比較して、よりリラックスした雰囲気で進行するため、学生の本音や関心事を引き出しやすいといえるでしょう。
インターンシップ
インターンシップとは、学生に自社の業務を体験および理解してもらうイベントです。
実施規模はさまざまで、1dayインターンシップのように半日や1日で実施するものから、長ければ1年に及ぶものまであります。
内容としては、実際の業務を体験するものがメインであり、中長期の場合は報酬を支払うケースもあります。
ただ昨今は、インターンシップの定義が曖昧になっているのが実状です。
例えば、「自社の説明会+座談会」や「グループディスカッション」をインターンシップと銘打って実施するケースも散見されます。
こうした状況を受けて、経団連と大学で構成される産学協議会は、インターンシップを再定義しています。
これによれば、企業が実施する採用イベントをタイプ別に分けており、「インターンシップ」と定義するためには、最低でも半日以上の就業体験が必要です。
とくに罰則などはありませんが、こうした動きがある点は理解しておきましょう。
新卒採用イベントの実施手順
新卒採用イベントの実施手順は、以下の通りです。
1.目的とターゲット層を明確にする
新卒採用イベントを成功させるためには、まず目的やターゲット層を明確にすることが重要です。
自社はどのような人材を求めているのか、どのようなポジションに興味を持つ学生を対象にするのかを明確にしましょう。
目的やターゲット層を明確にすることで、効果的なイベントの企画や実施が可能となります。
2.実施形式を選定する
新卒採用イベントの実施形式はさまざまです。
先述したような合同会社説明会や個別会社説明会、セミナー、インターンシップなど、選択肢は多岐にわたります。
自社のニーズやターゲット層に合わせて適切な実施形式を選定しましょう。
また、オンラインでの実施も考慮することが重要です。
3.集客と準備を行う
イベントの成功には十分な集客が欠かせません。
集客方法としては、大学や専門学校との連携、自社のホームページやSNSを活用した情報発信や告知、送客サービスの利用などが挙げられます。
また、イベントの準備も行いましょう。
実施形式や必要に応じて、会場やブースの準備、各部署への協力依頼、パンフレットや資料の作成など、綿密な準備が必要です。
4.実施する
イベント当日は、計画した通りにイベントを実施しましょう。
対象が「人」であるため、すべて計画どおりに進行できるとは限りません。
イレギュラーやトラブルが生じたとしても、自社のイメージを損なわないように冷静に対処することが大切です。
また、各種準備が整った状態での進行確認やシミュレーションも有効です。
5.参加者へのフォローを行う
イベントが終了した後も、参加者へのフォローアップを行うことが重要です。
定期的な採用情報の提供や質問への回答、イベントの感想やフィードバックの収集など、参加者とのコミュニケーションを継続します。
また、次のステップに関する情報を提供して、エントリーや応募へ結びつけることも重要です。
新卒採用イベントを実施する際の重要ポイント
採用要件を明確にしておく
採用要件とは、採用を行う際に自社が人材に求める各基準を定義したものです。
採用要件を明確にしておくことで、新卒採用イベントを実施する際、より適切なターゲット層を設定できます。
採用要件についての詳細は、こちらの記事をご覧ください。
参考:採用要件とは?作り方や注意点、具体例、フォーマットを紹介
自社に合った実施形式を選ぶ
新卒採用イベントの成功には、自社に合った実施形式を選ぶことが重要です。
先に紹介した通り、さまざまな種類の新卒採用イベントがありますが、ターゲット層、予算や人員などの社内リソース、集客見込みなどを勘案して自社に適したものを選択しましょう。
どういった形式が自社に合っているか分からない場合は、採用支援企業に相談してみるのも有効です。
オンラインイベントをうまく活用する
昨今はオンラインでの新卒採用イベントが増えています。
オンラインで開催することで、遠方の学生であっても参加が容易となります。
会場の手配や準備の手間も不要なため、実施ハードルが低い点もメリットです。
ただし、自社の雰囲気や社員の人となりといった要素は対面よりも伝わりづらくなるため、より丁寧な説明や工夫が必要となる点は留意しましょう。
エントリーや応募に向けたフォローを行う
新卒採用イベントに参加した学生に対しては、エントリーや応募に向けたフォローアップを行うことが重要です。
参加者に追加情報を提供し、学生の関心および志望度を維持・向上させます。
あわせて、採用プロセスに沿って次のステップについての案内情報も提供し、エントリーや応募に結びつけることまでを一連の流れとしましょう。
まとめ
新卒採用イベントとは、企業が新卒予定の学生に自社の魅力を伝えて、志望度の向上につなげるためのイベントです。
実施に向けて準備の手間や相応のコストは必要ですが、普段は接点をもちづらい学生に対して自社の魅力をアピールできる貴重な機会です。
新卒採用イベントには、合同会社説明会や学内説明会、個別会社説明会、就活生向けセミナーなどさまざまな種類があります。
自社のリソースを勘案した上で、最適なものを選択しましょう。
あわせて、紹介した実施手順と重要ポイントも、ぜひ参考にしてください。
また弊社は「採用支援専門企業」として、過去60万件・全40媒体以上の採用データを用いて、自社が求める人材の採用を最短ルートで成功に導くサポートを行っています。
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開催しています
竹村 朋晃
株式会社ダイレクトソーシング CEO (プロフィールはこちらをクリック) 2005年に野村総合研究所に入社。損害保険システムの構築に従事。2015年11月より株式会社ダイレクトソーシングを立ち上げ。エンジニア経験者中心にデータドリブンリクルーティングを中心としたサービスを展開。
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