募集要項で注意が必要な表現と効果的なアピール方法を解説|採用成果を高める書き方とは?
求人サイトやハローワーク、リクルートページで採用活動を実施する際に必ず必要になるのが、「募集要項」です。
募集要項は、業務内容や労働条件について求職者に伝える役割がありますが、企業の第一印象を左右し、応募するかどうかを決める重要な項目でもあります。
ある程度記載内容が決まっていることから、自社の魅力発信や差別化を図るのは難しいのではないかと感じる採用担当者の方も多いかもしれません。
しかし募集要項の表現を見直すだけでも、採用成果を大きく改善できる可能性を持っています。
そこで本記事では、募集要項を作成する際に注意が必要な応募制限・差別表現とともに、効果的な書き方のポイントについてご紹介します。
募集要項の具体例やテンプレートについても解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
募集要項とは?
募集要項とは、求人票や求人広告を作成する際に必要となる、応募条件や労働条件を記したものを指します。
求職者が企業へ応募する際の判断材料となる資料であり、企業側にとっては求める人物像や自社の魅力を発信するために欠かせない文書でもあります。
なお、募集要項の呼び方は求人サイトによって異なり、「応募概要」「応募要項」「募集要件」などと表記されることもありますが、いずれも役割・内容は同じものです。
ただし「職務記述書(ジョブディスクリプション)」とは異なる文書のため混同しないようご注意ください。
募集要項に記載する項目
募集要項に記載する項目には、「職業安定法」で定められた必須項目と、企業が任意で記載できる項目の2種類があります。
それぞれの代表例について詳しくご説明しましょう。
必ず記載する項目
募集要項で必ず記載しなければならない項目は、下記の通りです。
- 業務内容
- 契約期間・試用期間
- 就業場所
- 就業時間・休憩時間(裁量労働制の場合はその旨)
- 休日
- 時間外労働
- 賃金(固定残業代を支給する場合はその旨)
- 加入保険
- 募集者の氏名・名称
- 雇用形態(派遣労働者の場合はその旨)
- 受動喫煙防止のための取り組み
職業安定法の2018年1月の改正により、上記の項目はすべて募集要項に明示しなければならないと定められました。
また、2020年4月からは「受動喫煙防止のための取り組み」の記載も義務化されています。
参考:労働者を募集する企業の皆様へ~労働者の募集や求人申込みの制度が変わります~<職業安定法の改正>
いずれの項目も過不足なく記載しなければ、ハローワークや求人サイトに求人情報を掲載できないため注意が必要です。
特に「裁量労働制」や「固定残業代」を採用している場合にはその旨を明記する必要があるほか、「派遣労働者」として採用する場合にもその旨を記載するルールが追加されているためご注意ください。
記載すると有利になる項目
募集要項に記載する項目として、必須ではないもののあると有利になる情報として、以下のようなものが挙げられます。
- 求める人物像
- 企業独自の制度・福利厚生
- リモートワークの可否・テレワーク手当
- ワークライフバランスに関する記載
- 労働環境改善に向けた取り組み
他社の募集要項と差別化を図り応募者の興味を引くためには、応募者が気になるであろう情報や注目するであろう情報について意識的に盛り込むことが効果的です。
募集要項で注意が必要な表現・禁止表現
募集要項を作成する際には、法律で禁止されている表現や注意が必要な表現について押さえておく必要があります。
誤った理解のまま募集要項を作成し採用活動を始めてしまうと、思わぬトラブルを招く可能性もあります。
ここでは要注意の表現として挙げられる、以下の4つを解説します。
- 性別による応募制限
- 年齢による応募制限
- 国籍・居住地・容姿による差別表現
- 嘘・誇張した表現
それぞれの表現の注意点を詳しくご紹介しましょう。
性別による応募制限
職業安定法や男女雇用機会均等法により、性別を理由とした差別や応募制限は禁止されています。
「男性を募集」「女性歓迎」といった表現はNGとなるのはもちろん、「主婦歓迎」などの表現は「主婦(主夫)歓迎」と改める必要があります。
また、性別を固定する職種名を記載しないよう注意が必要で、「営業マン」は「営業」「営業スタッフ」、「生保レディ」は「保険外交員」「生命保険営業」などの表現に改めなければなりません。
ただし例外として、守衛・警備員などの防犯上の理由から男性のみ募集したり、女子更衣室の係員など風紀上の理由により女性のみ募集したりすることは認められています。
年齢による応募制限
職業対策法により、原則として年齢を理由とする差別や応募制限も禁止されています。
「20代の方歓迎」「40歳未満限定」といった表現はNGとなるため、「20代社員が活躍中」「30代スタッフが多く在籍」などの表現に改める必要があります。
ただし年齢制限に関しても例外が存在しており、「長期勤続によるキャリア形成」を理由として、35歳未満の若年層のみに制限することは可能となっています。
ただし職務経験を不問とする点や、新卒者と同等の待遇を用意する点などの要件も定められているため、年齢制限をかける場合にはご注意ください。
国籍・居住地・容姿による差別表現
性別や年齢のほかにも、国籍や居住地、容姿に関して応募制限したり差別したりする表現も、募集要項に記載することはできません。
違反した場合にはペナルティを受ける可能性もあるため注意が必要です。
一例として、「地元出身の方歓迎」「日本語を母国語とする方のみ」「元気で明るい方を募集」などの表現もNGとなります。
ハローワークや求人サイトを利用する場合には、掲載前にチェックが入る可能性が高いですが、SNSや自社リクルートページに掲載する際には十分に注意しましょう。
嘘・誇張した表現
求職者の興味を引きたいからと、実態とはかけ離れた募集要項を作成しないよう注意しましょう。
募集要項の表現についてトラブルになるケースが多いのが、記載されていた賃金と、実際の賃金に差があったというパターンです。
賃金をはじめ待遇面について重視する求職者は少なくないため、曖昧な表現や誇張した表現は避け、具体的かつ正確な情報を記載するよう努めましょう。
募集要項の効果的な書き方のポイント
募集要項で記載する項目の中には、面接などで応募者から質問されやすいポイントが存在します。
特に下記のような項目は応募者が疑問を抱きやすい傾向にあるため、書き方のコツを押さえておきましょう。
- 業務内容
- 応募要件
- 就業場所
- 試用期間
それぞれの項目について、効果的な書き方をご紹介します。
業務内容の書き方
業務内容を記載する時には、入社後にどのように働くのかを具体的にイメージしやすいよう意識しましょう。
箇条書きで簡潔に業務内容をまとめるのも一つの手段ですが、業務内容が曖昧に感じられて応募を控える求職者が出てくる可能性もあります。
たとえば「接客スタッフ」と記載するだけではなく、「レディース向けアパレル店舗での販売・接客スタッフ」と書いたほうが、業務内容をイメージしやすくなります。
その際には、1日の来客人数など業務内容を数字・データを使って紹介すると、入社後のミスマッチが起こりにくくなるでしょう。
応募要件の書き方
応募要件の項目では、業務上必要となるスキルや経験について記載します。
応募者の多くが気になるポイントでもあり、「未経験歓迎」など応募へのハードルを低く設定することで、より多くの応募者を集めやすくなります。
しかし低すぎるハードルを設定すれば、選考や面接の工数が増える結果になるため注意が必要です。
また必要なスキルは具体的に記載し、どのレベルのスキルが必要なのかがわかりやすいよう書くことも大切です。
たとえば「プログラミングスキル」を必須とする応募要件ではなく、「Pythonを使ったサーバーサイドの開発経験」を必須とする書き方のほうが、応募者にとって判断しやすくなるでしょう。
就業場所の書き方
就業場所について「東京都内」などと記載するだけでは、23区なのか23区外なのかわかりにくく、応募者が疑問を抱きやすくなるでしょう。
現在の自宅から通える範囲内なのか気になっている応募者も少なくありません。
募集要項の記載が曖昧だったことで、入社後の通勤が負担になり早期離職につながるケースもあるため、可能な限り具体的に就業場所を記しておきましょう。
転勤の有無や、時期によって就業場所が変わる可能性、複数の就業場所を移動する可能性がある場合なども、募集要項に記載しておくと親切です。
試用期間の書き方
試用期間の有無や期間については、間違った記述によってトラブルに発展するケースがあるため注意が必要です。
入社後に試用期間があることが発覚した場合などは、早期離職に至る可能性も高まるでしょう。
試用期間中の福利厚生や待遇が異なる場合には、その旨を忘れずに記載しましょう。
試用期間について記載がなければ、多くの応募者は「入社後すぐに正社員になれる求人だ」と判断します。
余計な混乱を招かないよう、募集要項の中に応募者にとっての不安要素をできるだけ作らないことが、採用成果を高めるコツです。
採用成果を高める募集要項を作成するコツ
優秀な人材を確保して採用成果を高めるためには、募集要項の書き方や表現を工夫することが効果的です。
ここでは求職者を引きつける魅力的な募集要項を作るコツについてご紹介します。
以下の5つについてそれぞれ解説するので、募集要項を作成する際に参考にしてください。
- 人材要件をはっきり定義しておく
- 自社の強み・魅力をPRする
- 同業他社の募集要項を参考にする
- 入社後のイメージが伝わる内容を意識する
- 読み手をイメージして専門用語を使う
順番にご説明しましょう。
人材要件をはっきり定義しておく
魅力的な募集要項を作るためには、企業が求める明確な人材要件が欠かせません。
どんな人物を採用したいのか定まっていなければ、募集要項でアピールすべき項目や、重視するスキル・経験が伝わりにくくなってしまいます。
そのため募集要項の作成に進む前に、どんな人材にどんな仕事を任せ、どのように活躍して欲しいのかをはっきりさせておきましょう。
たとえば、応募者に求める資格・経験のほか、性格・人柄・価値観などの適性などをまとめておくと、入社後のミスマッチを減らせるでしょう。
人材要件を考える際には、すでに自社で活躍している社員の人物像を参考にするのがおすすめです。
人材要件(採用要件)の作り方については、以下の記事を参考にしてみてください。
参考記事:採用要件とは?作り方や注意点、具体例、フォーマットを紹介
自社の強み・魅力をPRする
競合他社にはない自社独自の強み・魅力は、募集要項の随所で積極的にアピールしましょう。
休日・賃金・福利厚生といった待遇面だけではなく、リモート勤務や時短勤務に対応している点など、ワークライフバランスに焦点を当てた魅力発信も効果的です。
その際には、企業風土や組織文化についても発信しておくと良いでしょう。
社員のプライベートの写真やオフィス風景などの写真を掲載し、ビジュアル面でもアピールできるのが望ましいです。
入社後の働き方は求職者にとっても関心の高いテーマのため、実施している働きやすい仕組みづくりは募集要項にも盛り込むと良いでしょう。
同業他社の募集要項を参考にする
募集要項を作成する際には、事業内容や規模がよく似た同業他社の募集要項を参考にするのもおすすめです。
応募者にとって比較対象となる企業の募集要項をチェックしておくことで、自社が差別化できる点や強みとなる点を把握しやすくなるでしょう。
同業他社の賃金や休日を上回る労働条件を提示できれば、優秀な求職者に選ばれる可能性も高まります。
他社の募集要項のコピペとならないよう注意が必要ですが、自社の募集要項を作成する前に、まずは同業他社の求人やリクルートページを参照してみましょう。
入社後のイメージが伝わる内容を意識する
募集要項の中で「先輩社員の1日のスケジュール例」など、入社後のイメージが伝わる情報を記載しておくと、ミスマッチを防止して優秀な人材からの応募を集める効果が見込めます。
応募者が募集要項を読み、入社後に実際に働いている姿をシミュレーションできる内容が理想です。
そのため事務的な硬い表現だけではなく、応募者に語りかけるようなやさしい文章を心がけるのも効果的です。
具体的な数字やデータを記載し、曖昧な表現はできるだけ控えるようにしましょう。
読み手をイメージして専門用語を使う
募集要項を作成する前に決めた人材要件に合わせて、読み手がどのような知識レベルで募集要項を読むのかを想定しながら、言葉遣いや表現を改めてみましょう。
たとえば未経験者を募集する求人では、可能な限り専門用語を避けて噛み砕いた表現を使うことで、応募へのハードルを下げることができます。
一方で即戦力となる経験者採用を目指す求人の場合、丁寧すぎる表現はまわりくどい印象を与えてしまうため、応募者が理解しているであろう専門用語を使って簡潔に伝えると良いでしょう。
募集要項の記載例・テンプレート
最後に、私たち株式会社ダイレクトソーシングの採用活動で実際に使用している、募集要項の記載例についてご紹介しましょう。
株式会社ダイレクトソーシングでは、元エンジニア出身のメンバーが企業のダイレクト採用をサポートする戦略提案・実行支援を提供しています。
そんな弊社がエンジニア採用で使用している募集要項は、下記のページから確認することができます。
参考:
〈自社SaaSシステム開発〉フロントエンドエンジニア – 株式会社ダイレクトソーシング
〈自社SaaSシステム開発〉サーバーサイドエンジニア – 株式会社ダイレクトソーシング
前述した通り、事業内容や規模が似ている同業他社の募集要項を参考にすることも効果的なので、求人サイトやハローワーク検索も活用しながら、魅力的な募集要項を作成しましょう。
訴求力の高い書き方と要注意表現を押さえて募集要項を作成しよう
募集要項は求職者にとって応募するかどうかを判断する資料であり、企業にとっては求める人物像や自社の魅力を伝えるためのツールです。
職業安定法によって募集要項の必須項目が定められているため、抜け漏れがないように注意しながら作成する必要があります。
また、男女雇用機会均等法などの法律により、性別・年齢・国籍などを理由とした応募制限や差別は、原則として禁止されています。
求人サイトやハローワークへ掲載する際には、掲載前にチェックが入りますが、SNSやリクルートページで募集要項を発信する際には十分にご注意ください。
本記事でもご紹介した募集要項の書き方や、採用成果を高めるコツを参考に、自社の魅力が伝わる募集要項を作成しましょう。
また、弊社は企業様の課題感やご希望に合わせて、あらゆる採用の支援を行っております。
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竹村 朋晃
株式会社ダイレクトソーシング CEO (プロフィールはこちらをクリック) 2005年に野村総合研究所に入社。損害保険システムの構築に従事。2015年11月より株式会社ダイレクトソーシングを立ち上げ。エンジニア経験者中心にデータドリブンリクルーティングを中心としたサービスを展開。
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