採用ノウハウ
2023.07.19

コロナ問題を受けて他の企業は採用活動をどうしているのか?

コロナによって企業の採用活動はどのような影響を受けているのでしょうか?
みなさんこんにちは!株式会社ダイレクトソーシングの小野です。

年末年始の頃はまさかこのような状況になるとは思っていなかった人が多いですよね。
春から始まる21年卒の新卒採用や新年度で一部の社員が退職するのを受け、新卒・中途問わず準備を進めていたのではないでしょうか。
しかし今回の新型コロナにより、採用活動だけでなく、企業の様々な活動が制限を受ける事態となってしまいました。
いち早い終息を願っています。
 
さて、新卒採用のスケジュールでは、3月から21卒のエントリーが始まり、6月から面接が解禁される予定でした。
4月5月は本来であれば企業説明会を開催し、エントリーシートや履歴書など書類選考を進めたり、面接の前に就活生に適性検査を受けてもらったり、と採用活動を進めているはずでしたが、非常事態宣言を受けて選考が一部止まってしまっている企業や、そもそも採用自体を一時中断する企業も出てきているようです。
今のところ選考を進めてはいるけれど、今後どうするか分からない、どうしたらいいのか分からないという企業は少なくないと思います。
そこで今回は、私個人の体感、各種報道や企業調査から、企業の採用活動がコロナによってどのような影響を受けているのか、まとめていきたいと思います。
情報元となる記事や資料などのリンクも載せておきますので、錯綜する情報で混乱してしまったときは、ぜひ情報整理のためにご覧いただければと思います。
 

1.コロナによる企業の採用活動への影響:私個人の体感

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まずは、企業のダイレクトリクルーティングを支援する弊社社員として、私個人の体感を述べさせていただきます。
 
大手企業はコロナの問題が出てくる前に、既に予算を確保しているため、基本的に採用は計画通り進める企業が多い傾向にあると感じます。
もちろん企業説明会などの就活イベントが開催できないため、web上で説明会を配信するなど方法は変えていますが、採用自体を止めるということはほとんどないようです。
やはりポストが空いたら採用し、仕事がなければ解雇するような欧米とは異なり、定年退職していなくなる人材の分、毎年決まった人数を採用している日本の大手企業では、採用をゼロにする・完全に止めてしまうということは少ないのだと思います。
ただし、景気次第では就職氷河期と呼ばれるような時代が再びやってくることになる可能性は十分にあるといえます。
また、今年はすでに計画・予算があるために、採用計画に変更は加えず進めていく企業でも、まだ予算が確定していない22年卒の新卒採用ではどうなるかわかりません。
大いに採用を絞る方向に進む可能性もあるでしょう。
 
一方で、ベンチャー・中小などの採用に掛ける費用が限られている会社では、コロナの影響を考慮して、一時中断や採用を絞る方向に進んでいる企業が大手企業に比べて多いように感じます
toC事業でコロナの影響を受けやすかったり、当座の運転資金の確保がぎりぎりで余裕のない企業では、採用に掛けられる余裕がないことは想像に難くありません。
ベンチャー企業の中には経営者が40前後で就職氷河期を経験している人も少なくないでしょうから、自身が就活生の時を思い出して、警戒して採用を絞る企業もいることでしょう。
コロナの影響を受けておらず余裕があったり、むしろコロナの影響で売り上げが伸びている業界でなければ、中小・ベンチャーの採用活動は縮小傾向にあると思います。
 

2.コロナによる企業の採用活動への影響:報道

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次に、ニュース・新聞などで報道されている情報をまとめていきます。
実際のところ、企業の採用活動はどのような影響を受けているのでしょうか。
 

2.1.ANAホールディングスが21年度入社の採用を一時中断

誰もが知る企業ですが、コロナの影響を非常に受けやすい事業である航空業界では、やはり採用活動に大きな影響が出ています。
ANAホールディングスではすでにエントリーを開始し、書類選考を進めている段階でしたが、6月以降の面接などを延期することになりました。
 
参考記事:
ANAグループ、21年度入社の採用活動を一時中断(日本経済新聞)
 
ANAホールディングスだけでなく、世界的に航空会社はコロナの影響が大きく経営に響いており、国有化の話が出てきている航空会社もあります。
飲食店がテイクアウトに対応したり、イベント会社がネット配信に切り替えたりなど、影響を受けている業種の中でも何とかして事業を続ける動きが見られます(もちろん、それでも飲食業もイベント業も苦しいことにはかわりありませんが)。
しかし航空会社は人を移動させることがお仕事ですから、人の動きを制限させるコロナ対策と真っ向からぶつかってしまい、サービスの提供方法を変えて対応するということが非常に困難です。
人の移動方法を提供する業界は、航空会社のように、今後採用自体を一時中断する会社が現れるかもしれません。
 

2.2.経団連は“弾力的採用”を企業に要請

経団連は1,400社の会員企業に対して、“弾力的採用”を企業に要請しました。
弾力的採用の例として、

  • エントリーシート提出の期限延長
  • 企業説明会や面接のオンライン化
  • 年間を通して複数回の選考機会を確保
  • 感染収束後に追加で採用イベントを開催

などが挙げられています。
 
参考記事:
経団連 弾力的採用を企業に要請 新型コロナウイルス(NHK)
 
経団連の会員企業は、入会資格を見れば基本的に体力がある企業であるはずなので、ANAホールディングスのようはダイレクトにコロナの影響を受けている企業でなければ、要請通りの柔軟な対応が可能なのではないでしょうか
もちろん、採用スケジュールの再構築や各種オンライン化による費用・工数が追加で掛かりますが、私の体感通り、計画は変えずに今年の採用を進めていく企業が多いと思います。
 
では、経団連の会員企業ではない企業はどうなるのでしょうか。
日本にある全企業のうち、経団連に属していない企業が圧倒的多数です。
恐らくそのような企業でも採用活動に余裕がある企業は、どのように対応していくのかを決める上で、上記のような弾力的採用を参考にして採用活動を進めていくと考えられます
スケジュールの調整とオンライン化の2つが基本の対応策となっていくでしょう。
 

3.コロナによる企業の採用活動への影響:企業調査

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私個人の体感や、各種報道を見ると、

  • コロナの影響をダイレクトに受ける企業は採用を中断しやすい
  • 大企業や体力のある企業は選考の実施方法を変更するも、採用活動は継続しやすい
  • 中小・ベンチャーで余裕がない企業は警戒して採用を絞る傾向にある

と、こんな感じかなと思います。
では実際のところどうなのか、就職支援サービスを提供する各企業が調査した結果を見てみましょう。
 

3.1.株式会社リクルートキャリアによる調査

まずは株式会社リクルートキャリアによる調査結果です。
対象は人事担当者で、1回目の調査が3月6~8日の母数が685、2回目の調査が3月27~29日の母数が820です。
新型コロナウイルスの影響による2021年卒採用課題として、各項目を選んだ企業の割合は下記のようになっています。
※()内の数字は割合から母数に対して数に直したもので小数点以下は四捨五入
 

  • 採用スケジュールの見直し
    1回目76.6%(525) 2回目76.0%(623)
  • 学生への採用情報の周知
    1回目41.9%(287) 2回目42.1%(345)
  • 採用活動で使用する施設等
    1回目43.8%(300) 2回目41.7%(342)
  • 採用に関わる人員の調整
    1回目38.5%(264) 2回目39.6%(325)
  • 採用数を確保できるかどうか
    1回目27.0%(185) 2回目31.3%(257)
  • 採用に費やす費用
    1回目29.1%(199) 2回目31.1%(255)
  • 大学への採用情報の周知
    1回目31.2%(214) 2回目30.7%(252)
  • 採用に関する労働時間
    1回目26.3%(180) 2回目27.7%(227)
  • その他
    1回目1.5%(10) 2回目1.1%(9)
  • 特に課題はない
    1回目2.8%(19) 2回目3.2%(26)

 
1回目の調査でも2回目の調査でも、最も多くの企業がコロナの影響として選んでいるのが「採用スケジュールの見直し」で、7割以上の企業が選択しています。
経団連の要請により採用スケジュールを見直す必要がありそうですが、要請に関係なくそもそも採用スケジュールを見直せざるを得ない企業が多いのではないでしょうか。
 
また、3月始めの1回目の調査と3月末の2回目の調査では、ほとんどの項目で割合に大きな変化はない(だいたい±1ポイント2ポイントの増減)ようですが、「採用数を確保できるかどうか」については+4.3ポイント、+72社の比較的大きな増加となっています。
他の項目が採用手段や人員・費用などの企業側の動きに関するものである一方、採用数を確保できるかは結果の部分になります。
ちょうど3月末には「4月から非常事態宣言が出されるのではないか」「ロックダウンされれるのではないか(海外におけるロックダウンには該当しない)」などの噂が駆け巡っていたことを考えると、今後に対する不安から、やれることはやっても結果が追いつかないのではないかという不安を抱える人事担当者が増えたのではないかと想像しています。
 

3.2.株式会社マイナビによる調査

次は株式会社マイナビによる調査です。
株式会社マイナビの調査は2月13日~3月6日までで、1,060社による回答となっています。
調査時期が広かったため、2月回答企業764社と3月回答企業296社を分けて集計、比較しています。
「エントリー受付」「ES結果通知」「面接」「内々定出し」のスタート時期と、「採用活動終了」のタイミングを調査した結果、2月回答の企業では前年に比べて前倒しスケジュールで採用活動を進める傾向が見られたが、3月回答の企業では「ES結果通知」「面接」「内々定出し」が1ヶ月後ろ倒しになる傾向が見られました。
1月末や2月始めのころでは、まだそこまで国内での流行が問題視されていなかったこともあり、3月になって流行が拡大する傾向を受けて採用活動にも影響が出始めたようですね。
恐らく2月に回答した企業でも、3月時点では3月回答の企業と同様に後ろ倒しの対応に変更した企業が多いのではないでしょうか。
 
また、採用手法への影響として、「今年から導入した採用手法」として「WEBセミナー」が大きく増加する結果となりました。
昨年7.3%だったのに対して、今回の調査では16.9%と、+9.6ポイントとなっており、やはりコロナの感染防止や地方学生への対応、学生との接触回数の増加などの点から採用のオンライン化が進む傾向にあるといえそうです。
 

3.3.株式会社ディスコによる調査

最後は株式会社ディスコによる調査です。
株式会社ディスコの調査は3月26~30日の間に行われ、864社の回答を得ています。
 
新型コロナウイルス感染拡大による採用活動への影響として「かなり影響がある」と答えた企業が46.3%、「やや影響がある」と答えた企業が42.2%と、9割近くの企業が影響を受けているという結果となっています。
採用活動の進捗状況については「基本的には進めているが、⼀部⾒合わせている」が最多の47.7%で、「当初予定通り進めている」が25.2%と、7割以上の企業が採用活動を止めることなく進めている状況です。
「21卒の採用を取りやめる」と回答したのは0.5%で、残りは一時的もしくは部分的に見合わせている企業となっています。
就活生の方々は、航空業界などのダイレクトに影響している業界以外の志望であれば、そこまで悲観的になる必要はなさそうです。
ただ選考方法が変わるため、情報をキャッチして対応してく力が問われることになるでしょう。
 
株式会社ディスコによる調査は、これ以外ににも細かく調査、集計しており、他企業の調査結果よりも情報が比較的多いので、ぜひ目を通してみてください。
 

4.他企業の動きも参考に乗り越えていきましょう!

現時点で分かっている企業の採用活動の動きについてまとめてみました。
今後も感染の状況によって動きに変化が見られるとは思いますが、他の企業の動きも参考にしながら、何とか乗り切っていきましょう。

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竹村 朋晃

竹村 朋晃

株式会社ダイレクトソーシング CEO (プロフィールはこちらをクリック) 2005年に野村総合研究所に入社。損害保険システムの構築に従事。2015年11月より株式会社ダイレクトソーシングを立ち上げ。エンジニア経験者中心にデータドリブンリクルーティングを中心としたサービスを展開。

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