採用ノウハウ
2023.03.10

中途採用の母集団形成とは?有効な方法と使い方を解説

中途採用の母集団形成とは「自社の中途採用求人に関心をもつ求職者を多く集めること」です。
中途採用市場での競争が激しさを増すなか、新卒採用と同様に中途採用における母集団形成の必要性および有効性が注目されています。

ただ一方で次のような悩みや疑問を抱く企業も多いのではないでしょうか。

「そもそも中途採用の母集団形成とは何をすべきなのか」
「新卒採用の母集団形成との違いはあるのか」
「具体的な方法や進め方を知りたい」

そこで本記事では中途採用の母集団形成について、そもそもの定義から、新卒採用との違い、注目される理由、具体的な9つの方法と使い方、進め方までを解説します。

中途採用の母集団形成とは

中途採用の母集団形成とは、「自社の中途採用の求人に関心をもつ求職者を多く集めること」です。
より具体的には、既卒者や第二新卒者、転職希望者などを対象に、自社が募集するポジションの魅力を伝えて自社に関心をもつ集団をつくることと表現できます。

そもそも、なぜ母集団形成を行うのかについて簡単に説明します。
自社が求める人材を採用するには、まずはより多くの人数を集めた上でマッチ度の高い人材に絞っていく方法が有効なためです。

また、母集団すなわち「自社に関心をもっている集団」を形成しておけば、採用に関するアプローチ(広報や募集案内など)も効率的に行えます。

もちろん、母集団の「数」を多くすれば良いわけではなく、どのくらい自社とのマッチ度が高いかという「質」も重視しなければなりません。

母集団形成における中途採用と新卒採用の違い

中途採用の母集団形成について正しく理解するためには、新卒採用の母集団形成との違いを知ることが大切です。
以下で表にまとめます。

項目中途採用新卒採用
対象転職希望者・第二新卒新卒の学生
重視すること即戦力になるか、自社にない知識やノウハウを得られるか等ポテンシャルの高さ、自社の将来を担えそうか等
実施時期通年新卒採用スケジュールに準ずる
実施期間数週間~数か月半年~1年以上

 

中途採用の母集団形成が注目される理由

中途採用の母集団形成が注目される理由は、主に以下の3つです。

中途採用市場の競争が激化しているため

1つ目の理由は、中途採用市場の競争が激化しているためです。

昨今、労働者人口の減少や働き方の多様化などのあおりを受けて、多くの企業が人材不足・労働力不足に陥っています。
その不足を補うために、各社が中途採用市場での激しい人材獲得競争を繰り返しています。

こうした状況下では、自社にマッチする人材を欲しい人数だけピンポイントで見つけて、そのまま採用するのは容易ではありません。
そのため中途採用においても、まずは関心をもってくれる求職者を集める「母集団形成」を行った上で、アプローチをかけていくのが望ましいといえるのです。

人材の比較検討を行いやすいため

2つ目の理由は、人材の比較検討を行いやすいためです。
母集団形成により候補者を一元化して管理・把握することで、自社とのマッチ度が高い人材を見定めやすくなります。

また、データベース化によって候補者をカテゴライズすることで、特定の層に適したアピールを行ったり、マッチする募集ポジションを提案したりという施策を講じることも可能となるのです。

中途採用をより計画的に進行できるため

3つ目の理由は、中途採用をより計画的に進行できるためです。

中途採用は新卒採用と比べると、実施時期の推奨ルールもなく手法もより多様化しているため、計画性をもった実施が困難といえます。
そこで、中途採用においても母集団形成を行うことで、母集団形成からアプローチ、選考、採用までの流れをより計画的に行いやすくなるのです。

中途採用の母集団形成に有効な方法と使い方

中途採用の母集団形成に有効な方法と使い方について紹介します。

求人サイト

いわゆる就職ナビサイト・転職ナビサイトです。
各求人サイトは、就職・転職等を考える際には登録して閲覧するケースが一般的であるため、多くの求職者に閲覧してもらえる可能性があります。

サイト内での「エントリー」というかたちで求職者からの意思表示を、比較的容易に得られるのも利点といえるでしょう。

ただし、大手ナビサイトであれば他社との競争率も高いため、募集ページの内容充実や採用メッセージの工夫、サイト内で上位表示させるための取り組み等が必要です。

また、基本的には対象を絞らず登録者全員の目に触れるため、自社とのマッチ度が低い求職者からの応募も含まれることになります。
その分、選定および選考の手間をかける必要がある点は踏まえておきましょう。

ダイレクトリクルーティング(スカウト採用)

ダイレクトリクルーティングとは、企業が求職者へ直接アプローチをする採用手法のことです。
事前登録されている求職者一覧から、自社とマッチする人材を探してスカウトメールを送信して、カジュアル面談や選考などにつないでいきます。

ダイレクトリクルーティングにおいては、自社からのスカウトに対して何らかの返信をえられた候補者層を母集団と捉えるのが良いでしょう。

事前登録によって一覧で閲覧できる求職者のなかから、自社が求める人材をピックアップしてアプローチを行えるため、必然的に母集団の質は高まります。
母集団の数より質を重視する際に有効な手段です。

参考記事:ダイレクトリクルーティングとは?新卒・中途採用サービスを比較解説!

人材紹介(転職エージェント)

人材紹介は、自社が提示した採用要件にあった人材を紹介してもらえるサービスです。

基本的に成功報酬型のため、コストの掛け捨てがないのが利点といえます。
自社の採用要件にあった人材を紹介してもらい、採用に至るまでは料金がかかりません。
ただし、採用に至った際は、想定年収の約35%を成功報酬(料金)として支払うことになるため、採用単価は比較的高くなります。

また、せっかく採用した社員が早期に離職してしまった場合は、返金保証があるのも特徴です。
例えば、30日以内なら80%、90日以内なら50%のように設定されており、サービスによって異なるため事前に確認しておく必要があります。

なお、母集団形成の観点からすれば、数より質を重視した方法といえるでしょう。

自社サイトへの活用

自社のサイトに採用情報を記載、もしくは採用ページを掲載して母集団形成につなげます。

自社管理のため、掲載内容・掲載画像・レイアウトなどを自由に設定して、自社の魅力や特色を表現できる点はメリットです。

注意したい点として、母集団形成につながるかは、自社サイトを閲覧するユーザー層や閲覧数に左右されることが挙げられます。
自社サイトを見てくれているユーザー層に自社が採用したい層が含まれているか、十分な人数が閲覧しているかといった観点から考える必要があるのです。

この2つを満たさない場合は、効果を得にくいといわざるを得ません。

ただ、他媒体をきっかけに自社に興味をもったほとんどの求職者は、企業サイトを確認するのも事実です。
その際の受け皿として、自社サイト内に採用ページを設けておくのは有効といえるでしょう。

SNSの活用

FacebookやTwitter、Instagram、YouTubeなどを活用して母集団形成を行う方法です。

SNSは無料や低コストで利用できるものが多く、比較的低コストで運用できるのが利点です。
SNS利用者は非常に多く拡散力も強いため、注目されれば広く認知してもらえることを期待できます。

ただし、いわゆる炎上リスクがある点、求めていない層からの関心も集まる可能性がある点、更新や投稿など一定の工数がかかる点などは留意しましょう。

以上からSNS活用は、質より数を重視した母集団形成といえます。

リファラル採用

リファラル採用とは、候補者として自社の社員から知人を紹介してもらう方法です。
紹介してくれた社員にはインセンティブを与えるケースが多いでしょう。

自社のことを理解した社員からの推薦のため、低コストで済む点や、一定以上のマッチ度や志望度を期待できる点はメリットです。

母集団形成としては「質」寄りのため、「数」も確保したい場合は他手法との併用が欠かせません。

合同説明会などのイベント

転職者向けの合同説明会、転職フェア、転職セミナーなど各種イベントへの参加・出展も、母集団形成には有効な方法です。

会場開催であれば、ブースに訪れた求職者に対して、プレゼンテーションやパンフレット配布を通じて自社の魅力を直接アピールできます。

様々な企業が出展しているため、もともとは他企業を目当てに参加した求職者との接点を持てる可能性があるのも利点といえるでしょう。

ハローワーク

ハローワークに求人を掲載することも、母集団形成につながります。

ハローワーク(公共職業安定所)は厚生労働省が設置する機関のため、企業も求職者も無料で利用可能です。
ハローワーク経由で求人を出すことで、中途採用等支援助成金、トライアル雇用助成金など各助成金を利用できる点もメリットです。

ただし、ハローワークの求人票にある項目にそった情報しか掲載できない点、幅広い層が閲覧するため自社の採用要件にマッチしない求職者からの応募があり得る点などはデメリットといえます。

求人情報誌(フリーペーパー)などの紙媒体

コンビニ等で見かける求人情報誌(フリーペーパー)や新聞の折り込みチラシなど、紙媒体を用いる方法です。

求人サイトなどの場合は条件であらかじめ絞ってから検索をかけるため、たまたま目に留まる確率は高くありません。
一方で紙媒体であれば、一度手に取れば目を通すため視認性が高くなります。

ただし、紙幅の関係であまり多くの情報は掲載できない点や、幅広い層が手に取るため自社とマッチしない層からの応募があり得る点は留意しましょう。

中途採用の母集団形成の進め方6ステップ

中途採用の母集団形成の進め方を6ステップで解説します。

ステップ1:中途採用の目的と目標を明確化する

まずは、中途採用の目的を明確化します。
何のために中途採用を行うのか、なぜ新たな人材が必要なのかを明確にしておくことで、ステップ2の求める人材像をブレなく設定することが可能です。

例えば、以下のような目的が挙げられます。

 

  • 即戦力を得て欠員を補うため
  • 特定の部署における人手不足を補うため
  • 新たなプロジェクトに必要なノウハウをもった人材を採用するため
  • 自社の将来に向けて幹部候補を確保したいため

 

その上で、何名をいつまでに採用するかまでを定めることで、中途採用の「目標」まで明確化しておきましょう。

ステップ2:求める人材像を定める

次にステップ1で明確化した目的にそって、自社が求める人材像を定めましょう。
採用要件として、面接官など採用に関わる社員に共有できるかたちでまとめることを推奨します。

例えば、即戦力を得て欠員を補うことを中途採用の目的とする場合、補うべきポジションに求められる知識やスキル、経験を洗い出して採用要件としてまとめます。
自社の将来に向けた幹部候補を確保したいためであれば、自社の理念や企業文化・風土への理解とマッチ度なども採用要件となるでしょう。

ステップ3:母集団の目標値を決める

採用における目標値は最終的な採用人数に限りません。
前段階にあたる母集団の目標値を決めておくことも大切です。

母集団の目標値は、採用目標から逆算して考えます。

例えば「5か月後までに、営業部に6名を中途採用する」という採用目標であれば、「9名に内定を出す」「30名と面接を行う」「50名から応募を得る」と逆算していき、そのために「150名の母集団を形成する」というようにして目標値を定めます。

ステップ4:スケジュールを決める

母集団形成についてのスケジュールを決めます。
これまでのステップで定めた「いつまでに、どのような人材を、何名採用するのか」という目標を基に、ステップ3でも用いた「逆算」の考え方で、いつまでに母集団形成を完了すべきかを決定しましょう。

ステップ5:母集団形成の方法を選定する

次に母集団形成の方法を、前項目で紹介したなかからいくつか選定します。
選定の際に考えるべき項目は以下の通りです。

 

  • 採用にかかるコストは予算内に収まるか
  • 求める人材へのアプローチを行えるか
  • 現状の人員や労力で運用可能か
  • スケジュール通りに進行できるか

 

ステップ6:実行と見直し

ステップ5まで完了したら、あとはスケジュールにそって実行するのみです。
ただし、対象は「人」であるため、すべてが計画どおりに推移するとは限りません。

ここまでのステップで定めた各目標値やスケジュールを基に、実行状況の管理および定期的な見直しを行いましょう。

中途採用の母集団形成における重要ポイント

中途採用の母集団形成における重要ポイントを5つ紹介します。

自社にあった方法を選択する

前項目にて様々な手法を紹介しましたが、自社にあった母集団形成の方法を選択することが重要です。
具体的には、自社が求める人材へアプローチできるのか、費用面や規模感は自社にあっているかなどを勘案する必要があります。

また、母集団形成の「質」と「数」どちらを重視するかによっても、選択すべき母集団形成の方法は異なります。

ひとつの方法に限定しない

中途採用の母集団形成の方法は、ひとつに限定しないことが重要です。
各方法でアプローチできる層は異なるため、幅広い人材を含む母集団を形成する上では複数の方法を用いることをおすすめします。

例えば「質向きの方法」と「数向きの方法」を組み合わせて、質と数のどちらも担保するというやり方もあります。
また、ダイレクトリクルーティングなどは、採用の進行ペースにおける主導権を自社が握りやすいため、他の方法と組み合わせやすいといえるでしょう。

母集団の時点で絞り込み過ぎないようにする

母集団形成の時点で候補者を絞り込み過ぎないように注意しましょう。
母集団形成を用いた採用においては、一定数を集めた上で徐々に絞り込んでいくというプロセスであることが大切です。

母集団を形成する段階では細かな選定は行わず、時間を費やさないようにしましょう。

新卒採用よりも短期決戦であることを意識する

中途採用の母集団形成は、新卒採用に比べて短期間で行う必要があります。
理由としては、新卒採用は各企業ともある程度は同様の採用スケジュールで推移するのに対して、中途採用は通年でいつでも採用活動が可能なためです。

母集団形成にあまり時間をかけ過ぎると採用競合に先を越されてしまいかねません。

求職者との接点を重視する

中途採用の母集団形成においても、求人サイトや自社サイト、ダイレクトリクルーティングのスカウトメール、SNSの発信内容など、求職者との接点となる部分は重視する必要があります。

求職者の興味・関心を喚起して、まずは母集団に加わってもらうためには、魅力的な採用メッセージ、分かりやすい募集要項など魅せ方の工夫も欠かせません。

まとめ

中途採用の母集団形成とは「中途採用の求人に関心をもつ求職者を多く集めること」です。
自社とのマッチ度がより高い人材を採用するためには、まずは多くの人数を集めた上でマッチ度の高い人材に絞っていくやり方が有効なのです。

母集団形成における中途採用と新卒採用の違いは、実施時期と実施期間です。中途採用は通年かつ短期間で実施する必要があります。

また、中途採用の母集団形成を進め上では、下記の重要ポイントは必ずおさえておきましょう。

 

  • 自社にあった方法を選択すると
  • ひとつの方法に限定しない
  • 母集団の時点で絞り込まないようにする
  • 新卒よりも短期決戦であることを意識する
  • 求職者との接点を重視する

 

なかでも「ひとつの方法に限定しない」ために、併用しやすいダイレクトリクルーティングを導入する企業が増えています。
ただ一方で「どのサービス媒体が自社に最適か分からない」「運用ノウハウがなくて不安」「導入したが期待した成果が出ていない」といった悩みをもつ企業が多いのも実状です。

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野溝

野溝

前職で採用担当・コンテンツディレクターを経験後、株式会社ダイレクトソーシングのWebマーケティング担当に転職。 これまで数多くの採用関連コンテンツに携わり、特にエンジニア、スカウト関連のコンテンツに強みを持つ。

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