企業が直面する採用課題とは?課題の調査・分析方法と優秀な人材を獲得するコツ
人手不足により採用活動の必要性に迫られているにも関わらず、うまく成果につながらず課題を感じている企業は少なくありません。
企業の採用課題の中には、応募数が集まらないケースから内定辞退が頻発するケース、そして早期離職に至ってしまうケースなどさまざまなパターンが存在します。
これらの採用課題を解決し、自社で長く活躍してくれる優秀な人材を確保するためには、課題に合わせた適切な対策を施すことが重要です。
本記事では、企業が抱える採用課題の調査・分析方法と解決策について解説します。採用課題を乗り越え、採用活動を成功に導く参考としてご覧ください。
➡︎資料の無料ダウンロードはこちら
目次
採用課題とは?
「採用課題」とは、企業の採用活動の成果や効率を低下させている要因のことを指します。
採用活動を成功させる上でのネックとなっている部分であり、解消できなければ優秀な人材の確保は困難となるでしょう。
採用課題は、採用活動の段階別に以下の3つの課題に大別されます。
- 母集団形成についての採用課題
- 選考についての採用課題
- 入社後の採用課題
たとえば、求人広告を出したにも関わらず応募が集まらないケースや、選考中の面接辞退や内定辞退が起こるケース、入社後の社員が定着しないケースなどが挙げられます。
いずれも企業の採用業務の効率を低下させ、採用活動の長期化や高コスト化にもつながる要素です。
そのため採用に関してうまくいっていないと感じている企業は、一刻も早く採用課題を特定して解決する必要があります。
採用課題の原因となる環境要因・市場トレンド
採用課題が発生する背景として、企業側の採用戦略や採用手法などに問題があるケースもありますが、市場トレンドや時代の流れによって採用課題に直面する例も少なくありません。
ここでは採用課題を特定するにあたって押さえておきたい、近年の採用市場の動向やトレンドについてご紹介します。
2023年以降の採用市場トレンド
2020年以降のコロナ禍が落ち着きつつある2023年以降は、これまでの選考活動において定着したオンラインでの採用活動が主流になってきています。
新卒・中途いずれの場合でもオンライン面接を実施する企業は増加しており、若い求職者ほど費用面や時間面でのメリットを感じ、積極的にオンライン面接を受けているという調査結果も出ています。
2023年以降の採用市場トレンド
新卒採用におけるトレンドとしては、「ナビサイト離れ」が進んでいるというデータがあります。
就活中の学生は、ナビサイトの規格化された求人情報ではなく、個別企業のホームページや説明会を重視する傾向にあり、ナビサイトを利用するだけでは優秀な人材が獲得しにくい状況となっています。
企業側も一人ひとりの学生に直接アプローチするダイレクトリクルーティングなどの手法を取り入れるケースが増えており、母集団の量よりも質を重視する傾向がみられます。
旧来の「マス型採用」から「個別採用」へのシフトが起こりつつあるのが、2023年の最新動向です。
参考:HR総研:2021年&2022年新卒採用動向調査 結果報告
中途採用におけるトレンド
中途採用においては、コロナ禍により有効求人倍率が大きく落ち込み、これまでの売り手市場から買い手市場へとやや傾きつつあるのが2023年の市場トレンドです。
買い手市場においては、企業側はコストを抑えて採用活動を実施することが求められるため、低コストで採用活動を始められるダイレクトリクルーティングやリファラル採用、SNS採用を導入する企業も増加しています。
参考:一般職業紹介状況(令和5年2月分)について | 厚生労働省
しかしITエンジニアなどの専門性の高い理系人材は、依然として激しい人材獲得競争が起こっており、質の高い人材の確保が困難となる状況が続いています。
理系人材の供給不足は今後も続くとみられているため、エンジニア採用を検討している企業にとっては厳しい状況となるでしょう。
参考:調査から読み解くエンジニア採用の最新トレンド|成功に欠かせないポイントは
採用課題の調査・分析方法
自社が直面している採用課題を調査・分析するためには、採用活動における「数値・データ」を収集することが欠かせません。
たとえば、採用者一人当たりの費用を表す「採用単価」のほか、書類選考や面接といった採用プロセスの通過者の割合を示す「採用歩留まり」を分析してみることが効果的です。
複数の採用チャネルを併用している場合には、チャネルごとの費用対効果を調査しても良いでしょう。
仮にエントリーから書類選考、面接までの各プロセスにおいて、約50%の採用歩留まりが発生していたとして、最終面接のみ歩留まりが10%に低下してしまう状況があったとします。
この場合には、人事や採用部門の選考基準と、役員や経営層が求める人材に齟齬があると考えられます。
こうした採用課題を解決するため、最終面接を受け持つ役員や社長との選考基準のすり合わせを行い、自社が求める人物像について改めてヒアリングするなどの対策が求められるでしょう。
ほかにも採用単価が著しく上昇している採用チャネルを特定して別の採用手法に切り替えたり、新たな採用手法を導入したりするアプローチが考えられます。
母集団形成についての採用課題と解決策
ここからは採用活動の段階ごとの採用活動をピックアップしながら、原因や対策についてご紹介していきます。
まず母集団形成における採用課題として、以下の3つを取り上げます。
- 応募数が集まらない
- 求める人材とのミスマッチ
- 応募が多すぎる・リソース不足
それぞれの解決策とともにご紹介しましょう。
応募数が集まらない
採用活動を成功に導くためには、応募数を集めて母集団形成を図ることが欠かせません。
しかし求人広告や人材紹介など、利用している採用サービスで成果が上がらず、応募が増えない状況に陥っている企業は少なくありません。
応募が集まらない原因としては、自社の求人の訴求力が弱く競合他社に負けてしまっていること、そして不十分なターゲティングにより求職者の興味を引きつけられていないことが挙げられます。
たとえば求人広告を利用している場合にも、上位表示されにくいプランを利用していたり、タイトルで魅力やメリットを訴求できていないケースでは、求職者の目に触れにくくなるでしょう。
求人広告での成果を求める場合には、予算を割いて上位表示プランを利用したり、プロのライターに依頼して求人原稿を作成したりするのが効果的です。
ダイレクトリクルーティングなどの個別採用を実施している場合にも、同じ文面のメールを一斉送信していては求職者に刺さるスカウトメールとはなり得ません。
一人ひとりの候補者の興味を引きつけるような文面を考え、丁寧にカスタマイズしながらメールを送信することが応募数を集めるコツです。
なお、スカウトメールの返信率を上げるコツについては、以下の記事も併せてご覧ください。
参考:スカウトメールの返信率を上げる方法|平均値や下がる理由も紹介 |
求める人材とのミスマッチ
応募数は集まるものの、自社が求める人材とはかけ離れた応募者ばかりとなってしまい、採用工数だけが増加してしまう企業も少なくありません。
これは前提となる求める人物像や採用要件がはっきりしておらず、間違ったターゲットを想定していることが原因のケースが多いです。
ほかにも求人原稿の文言や表現が求職者に誤解されてしまい、面接辞退につながるケースもあります。
こうした採用課題を解決するためには、たった一人の「ペルソナ」を設定しながら求める人物像・採用要件を固めるのがおすすめです。
実際に集まってしまった応募者とペルソナとの違いを分析することで、求人広告を改善するヒントが得られるかもしれません。
若手の人材が欲しい場合に、SNS採用なども検討しながら若い社員の写真を多く使用して求人広告を掲載したりと、ペルソナに合わせた発信方法を試みることも大切です。
応募が多すぎる・リソース不足
採用担当者のリソースに対して応募が多すぎることで、選考に支障が出てしまっているケースもあります。
応募数が集まること自体は望ましいことですが、スキル不足の人材やペルソナと一致しない人材からの応募が集まっても、工数が増えて採用担当者の負担が重くなってしまいます。
この場合には、応募要件をやや厳しくすることで応募へのハードルを高め、応募者の量・質を調整することをおすすめします。
ただし応募者が全く集まらなくなれば別の採用課題が発生するため、間口を狭めすぎないようご注意ください。
選考についての採用課題と解決策
次に、選考についての採用課題である以下の3つについて、原因と解決策を解説していきます。
- 面接段階での辞退が発生する
- 内定辞退されてしまう
- 役員面接に通らない
自社の採用課題に当てはまるもの、近しいものがあれば、ぜひ課題解決の参考にしてください。
面接段階での辞退が発生する
求人への応募は集まるものの、面接辞退が頻繁に発生してしまう採用課題を抱える企業も多いです。
面接辞退が発生する背景には、選考の遅れが挙げられます。
書類選考や面接の期間が延びるほど、他社で内定が決まり始めることで面接辞退が起こりやすくなります。
意欲の高い状態で入社してもらうためにも、十分なリソースを確保してスピーディに応募者対応を進めることが大切です。
工数が負担となる場合には、オンライン面接やRPO(採用代行サービス)なども活用しましょう。
また、選考や面接を通じて応募者の入社意欲が低下してしまうことも、面接辞退につながります。
面接の場は、企業が応募者のスキルや性格を見極める場である一方で、応募者が企業の魅力を調べる場でもあります。
企業が応募者を評価していると同時に、応募者も企業を評価していることを念頭に置きながら、面接の場でも自社の魅力発信を心がけると良いでしょう。
内定辞退されてしまう
内定辞退が発生する原因として、魅力的な他社から内定が出たケースや、現職の会社からの引き留めがあったケース、転職することへの不安が勝るケースなどが挙げられます。
内定辞退を完全に防ぐことは難しいですが、前述したようなスピーディな応募者対応を実施したり、こまめにコミュニケーションを取ったりすることで防止できることがあります。
いわゆる内定者フォローを徹底し、内定を出した後にも定期的にコミュニケーションを取りながら、不安や疑問を解消することが効果的です。
特に内定から入社までに期間が空く場合には、内定者や社員との交流会を設けるなど、丁寧に情報提供しましょう。
役員面接に通らない
採用担当者や現場社員による面接を通過後、役員面接や最終面接で不合格となってしまうことに悩みを抱える企業も少なくありません。
役員面接における歩留まりが極端に低い場合には、採用担当者と役員との間で求める人物像に齟齬があると考えられます、各面接での歩留まりに大きな差があるケースでは、面接を担当する採用担当者や役員同士で、選考基準の見直しを行うことが大切です。
採用ターゲットや選考基準を決める際には、スキルや経験だけではなく、性格や価値観などの人材要件も定めておき、面接の担当者全員が同じペルソナをイメージできるように共有することが重要です。
選考基準をチェックリストとしてまとめておくと、面接官ごとにブレることなく応募者を評価できるでしょう。
入社後の採用課題と解決策
応募者へ内定を出して入社が決まり、業務に従事し始めた後に直面する採用課題として、次の2つが挙げられます。
- 早期離職が発生する
- 期待したほどの活躍が見られない
これら入社後の採用課題についての原因と対策をご紹介しましょう。
早期離職が発生する
入社した社員がすぐに辞めてしまい、定着率の低下が起こっている場合には、入社前後のギャップが発生していないかを疑った方が良いでしょう。
応募者自身が入社前にイメージしていた企業風土・業務内容と、入社後に感じた雰囲気・仕事内容に大きなギャップがあると、ミスマッチを感じて早期離職に至りやすくなります。
こうした採用課題が発生する背景として、採用活動において自社の魅力を過大に伝えてしまっている状況が考えられます。
応募者の興味を引きたいからと魅力的な条件や労働環境を提示しても、ミスマッチが起こって採用活動が延びてしまえば意味がありません。
良い面だけを強調するのではなく、ありのままの自社の姿を伝えることが、結果的に早期離職の防止に役立つでしょう。
期待したほどの活躍が見られない
スキルや経験を高く評価して採用したにも関わらず、配属後の部署で期待したほどの活躍が見られなかったというケースも散見されます。
特に即戦力採用を目指して実施する中途採用に多い採用課題で、企業風土や文化とのミスマッチが起こっていると推測できます。
その社員が持つ価値観や志向性が自社と合わない場合には、本来の実力を発揮できず期待した成果が得られないことも多くなるでしょう。
そのため配属先を決める際には、その社員が持つ志向性がマッチする部署を選定することにより、ミスマッチを防止しやすくなります。
また、年功序列の文化が当たり前だった前職から、成果主義の色が濃い文化の自社に移ったケースなど、企業風土の違いに慣れるまで時間を要するケースもあります。
その場合には、内定者フォローの段階から自社の風土への理解を丁寧に求めていくことが大切です。
➡︎資料の無料ダウンロードはこちら
採用課題を解決して優秀な人材を獲得するコツ
最後に、企業が抱える採用課題を解決し、採用成果を高めるためのコツについてご紹介しましょう。
採用課題を乗り越えて優秀な人材を確保するには、以下の5つのポイントを押さえておくことが大切です。
- 採用ターゲットを明確化する
- ターゲットに刺さる魅力を発信する
- 内定者フォローを徹底する
- 選考スピードを早める
- 採用支援・採用代行サービスを活用する
一つずつ詳しく解説します。
採用ターゲットを明確化する
採用課題の解決に最も効果的なのは、採用ターゲットを明確化して面接の担当者同士ではっきりと共有しておくことです。
求める人材の定義が曖昧のままでは、面接官同士で認識の齟齬が発生し、歩留まりの悪化や優秀な人材を不合格としてしまうリスクが生まれます。
採用ターゲットを検討する際には、以下のような項目を埋めながら「たった一人のこの人物」をイメージできるペルソナを決めることをおすすめします。
- 年齢・性別
- スキルレベル
- 経験の豊富さ
- 求める人材の思考・行動・性格
- 求める人材にふさわしくない思考・行動・性格
それぞれの項目を考える際には、あくまでも入社時点で必要な要件を定めることが大切です。
人材要件を盛り込みすぎて応募や選考のハードルが上がってしまうと、母集団形成が難しくなります。
現在現場で活躍している社員にヒアリングしたりしながら、必要十分な採用要件を定めましょう。
ターゲットに刺さる魅力を発信する
上記で定めた採用ターゲットを念頭に置きながら、求人広告やSNS、オウンドメディアなどを活用してターゲットに刺さる魅力発信を実施しましょう。
たとえば、ワークライフバランスを重視する優秀な人材を確保したいと考えるのであれば、残業の少なさやリモートワークへの理解、時短勤務制度などを積極的にアピールするのが効果的です。
上昇志向が高い若手人材を採用したい場合には、研修制度や資格取得支援制度が充実していることを発信し、ターゲットの興味を引きつけることを意識しましょう。
採用担当者だけでは自社の魅力を洗い出すのが難しい場合には、ほかの部署の社員にヒアリングを行ったり、社員インタビューを実施したりするのもおすすめです。
ご自身では気づけなかった魅力を整理できれば、ターゲットから選ばれやすい企業を目指せるでしょう。
内定者フォローを徹底する
入社後のミスマッチや内定辞退が頻発している場合には特に、内定者フォローを徹底することが求められます。
内定を出した応募者は、入社までの間に現職の業務の引き継ぎや残務処理などに追われながら、忙しく過ごすことになります。
本当に転職して良いのかという不安が湧いてくるなど、心理的にも不安定になりやすい時期です。
こうしたタイミングで先輩社員との交流会や社内見学といった機会を提供することにより、入社後の働き方をありありとイメージできるようになれば、転職への不安も薄れていくことでしょう。
採用担当者の業務の負担となるほどコミュニケーションを図る必要はありませんが、入社手続きの連絡を行う際は疑問・不安について尋ねてみるなど、入社を楽しみにしている姿勢を伝えられると良いでしょう。
選考スピードを早める
優秀な人材は常に他社の選考を同時に受けており、大量のオファーやスカウトを受け取っているのが普通です。
その中で自社を選んでもらうためには、可能な限り選考スピードを早めることも欠かせません。
採用担当者からの連絡が遅れたり、コミュニケーションがうまくいかないと感じてしまえば、企業に対するマイナスイメージにもつながってしまいます。
ほかの条件が同一であれば、よりレスポンスが早い企業からの内定を受けるのは自然なことでしょう。
そのため慎重に選考を行うだけではなく、他社に負けないスピードで評価・判断を進めることが重要です。
採用担当者のリソースを十分に確保したり、後述する採用支援・採用代行サービスを活用したりしながら、スピーディな選考を実施しましょう。
採用支援・採用代行サービスを活用する
自社が抱える採用課題を解決するためには、時には社外の力を借りることも大切です。
採用支援・採用代行サービスを利用して採用担当者の工数軽減を図ったり、採用戦略の立案についてアドバイスを受けたりすることで、採用成果を高めることが可能になります。
採用支援・採用代行を提供している会社には、これまで企業の採用活動を支援してきた高いノウハウが蓄積されています。
そのため自社だけでは気づけなかった採用フローの改善点や、採用プロセスの効率化を指摘してもらえるケースも多く、自社の採用ノウハウを蓄積するのにも役立ちます。
自社だけでは採用課題を解決するのが難しいと感じる場合や、採用の専門家からのアドバイスを受けたい場合には、採用支援・採用代行サービスを積極的に活用してみましょう。
なお、私たち株式会社ダイレクトソーシングでも、過去50万件、40種類以上の媒体を扱った実績を活かし、クライアント企業のダイレクト採用を支援しています。
LinkedInやWantedlyをはじめ、各媒体を利用した直接採用を戦略提案・実行支援の面から強力にサポートしていますので、ダイレクト採用・スカウトに興味がある方はお気軽にお問い合わせください。
採用課題に合わせた対策で効果的な採用活動を
企業が抱える採用課題には、主に母集団形成についての課題と、選考に関する課題、入社後に関する課題の3種類が挙げられます。
自社の採用活動がうまくいかない原因はどこにあるのか、数値やデータをもとに調査・分析しながら採用課題を特定し、適切なアプローチで解決していくことが大切です。
そのためのコツとして、採用ターゲットの明確化やターゲットに刺さる魅力の発信、内定者フォローの徹底などの対策が挙げられます。
自社だけでは採用課題の特定・解消が難しい場合や、採用担当者のリソース不足に悩まされている場合には、採用支援・採用代行サービスも積極的に活用してみましょう。
45分の気軽な相談会を
開催しています
竹村 朋晃
株式会社ダイレクトソーシング CEO (プロフィールはこちらをクリック) 2005年に野村総合研究所に入社。損害保険システムの構築に従事。2015年11月より株式会社ダイレクトソーシングを立ち上げ。エンジニア経験者中心にデータドリブンリクルーティングを中心としたサービスを展開。
関連記事