小林 哲大さん(4期・PMO)
過去の挫折は、自ら「正解」に変える。組織を立て直し、数千人規模のイベントを成功させたPMOのコミットメントとは

学生が主体となって企画・運営するキャリアイベント「LSCW(LinkedIn Student Career Week)」。この大規模プロジェクトを支えているのは、有志の学生団体「LSC(LinkedIn Student Club)」です。
今回、LSC4期生でPMO(Project Management Office)を務めた小林哲大さんにインタビューを行いました。足並みが揃わなくなった組織の現状をどう打破し、目標未達の危機からいかにして数千人を集客し、イベントを成功へ導いたのか。
LinkedIn Student Club 4期生 PMO
東洋大学 グローバルイノベーション学科 小林 哲大さん
「ここで逃げれば後悔する」。危機的な現状を変えるために選んだ、PMOとしてのフルコミット
Q. まず、小林さんがLSCWの運営に携わったきっかけと、PMOという役割を担うことになった経緯を教えてください。
きっかけは、3期生の知人に誘われて参加した春のLSCWでした。同年代のメンバーが企業の方々と対等に渡り合い、学生主体でこれほど質の高い場を作り上げている姿に圧倒されたんです。
当時、私はアメリカ留学を終えたばかりでしたが、現地のキャリアフォーラムで自分の市場価値の低さを痛感していました。
「就活に向けて武器が欲しい、自分を変えるきっかけを掴みたい」という切実な思いで、4期への参加を決めました。
当初はグループのサブリーダーでしたが、9月頃、前任のPMOがプライベートの都合で辞退しなければならなくなり、コアメンバーからの推薦で私が役割を引き継ぐことになりました。当時の組織は、正直に言って危機的な状況でした。タスクは複雑化し、全員が「何から手をつければいいか」を見失い、モチベーションも徐々に低下し始めていたのです。

Q. その状態の組織を引き受けることに、迷いはありませんでしたか?
正直、かなり迷いました。自分の就職活動や英語の勉強、学生団体の活動など、優先したいことが他にもたくさんあったからです。
ただ、当時の活動に対して「もっとこうすれば良くなるのに」という不満に近い改善の余地を感じていました。進捗報告をするだけの会議や、ネクストアクションが不明確なまま終わる空気を変えたかった。ここで逃げたら後悔すると思い「やるならフルコミットでやろう」と決めました。
Q. PMOとして、具体的にどのようなアクションで組織を立て直していったのでしょうか。
まず着手したのは、週1回の全体定例会の構造を変えることでした。それまでは各チームがやったことを発表するだけになりがちでしたが、私がアジェンダを事前に作成し、司会を務めることで「その課題に対して、次に誰がいつまでに何をするか」をその場で決めるように徹底しました。
100名近いメンバーが動く組織では、情報の透明性が欠けると、目的意識に差が出てしまいます。各グループのリーダーと密にコミュニケーションを取り、全体の進捗を可視化することに注力しました。
空いている時間は常にプロジェクトのことを考えて動いているような状態で、2ヶ月間は文字通り、生活のすべてをプロジェクトに捧げました。無報酬の活動だからこそ、リーダーが誰よりも動く姿を見せなければ、メンバーの熱量を維持できないと考えたからです。

開催2週間前、目標まであと5,000人。過去の成功体験を捨て、最短距離を考え抜く
Q. 集客面では、かなりの苦戦を強いられたと伺いました。
最大の壁は事前登録者数でした。目標6,000人に対して、開催2週間前の時点で1,000人程度。達成率はわずか16%でした。
普通なら「もう間に合わない」と諦めてしまうような状況かもしれません。しかし、そこからが本当の意味での試行錯誤の始まりでした。
これまでのやり方をただ繰り返すのではなく、なぜ数字が伸びていないのかを冷静に分析することから始めました。前回の運営で成功した「練り歩き」や「ビラ配り」といった手法が、必ずしも今期のターゲットに合うとは限りません。
過去の成功体験を一度リセットし、ターゲットとなる学生の属性や、キャンパスごとの特性を考慮したアプローチへの切り替えを決断しました。

Q. 具体的には、どのような工夫をして数字を積み上げていったのでしょうか。
「どの層に、何をフックにすれば、最短距離で動いてくれるか」をチームで徹底的に議論しました。例えば早稲田大学での施策では、学生の生活動線に合わせ、お弁当の割引券と引き換えにその場で登録してもらう仕組みを構築する案が出ました。
また、授業時間を活用したプレゼンテーションを実施する際も、限られた時間内でLinkedInのベネフィットをどう伝えるか、資料の構成までメンバー間でブラッシュアップを繰り返しました。
PMOとしての私の役割は、こうした各現場のアイディアを形にするための議論をファシリテートし、適切なメンバーを適材適所にアサインし、モチベーションを高い状態で保つこと、そして進捗を徹底的に管理し、タスクを整理することでメンバーが主体的に活動しやすい環境を作ることでした。
このプロセスにおいて、「社会人メンバーの方々との壁打ち」が非常に大きな意味を持っていました。学生ならではのアイディアに対し、プロの視点から「その施策の効率性は?」「なぜその数字が導き出されるのか?」と厳しく問われる。
その問いに向き合うことで、私たちのアイディアは単なる思いつきではなく、現実的な計画へと変わっていきました。
最終的には、約5,000人規模まで事前登録者数を積み上げることができました。2週間という短期間でこれだけの人数を動かせたのは、闇雲に動くことをやめ、ターゲットの属性に合わせた合理的なアプローチを徹底した結果だと捉えています。

「滑り止めの大学」に入った後悔を、自分の行動で「正解」に変える
Q. 小林さんは、なぜそこまでこの活動に執念を燃やすことができたのでしょうか。
私は浪人を経験し、言い方は良くないですが、第一志望ではない今の大学に入りました。入学当初はコンプレックスが強く、人生が停滞しているような感覚がありました。
だからこそ、就活では絶対に成功したい、今の大学に来て良かったと思えるような実績を作りたいという思いが人一倍強かったんです。
LinkedInというツールは、学歴に関わらず実力や発信で市場価値を逆転させるポテンシャルがあると感じていました。
この団体で結果を残せば、自分の人生をここで変えられるかもしれない。そう思うと、どんなに苦しくても手が止まることはありませんでした。
Q.その経験は、今の就職活動や小林さん自身の変化にどう繋がっていますか?
二つの大きな変化がありました。一つは、人前で話すことへの苦手意識が消えたことです。
以前は論理が破綻したり緊張したりしていましたが、PMOとして大勢の前で話し続けたことで、筋道立てて話すスキルが身につきました。
もう一つは、「迷ったときに一歩踏み出すこと」の価値を知ったことです。今回のPMOも、引き受ける前は不安でしたが、やり切ったことで「自分をレベルアップさせる方法」を一つ実証できたと思っています。
以前は安定志向で知名度のある企業ばかり見ていましたが、今は「自分がガツガツ挑戦できる環境か」を基準に企業を選んでいます。自分の選択を、後から自分の力で「正解」にしていけばいい。その確信に近い感覚を持てるようになりました。

就活イベントでは見られない、学生たちの「本気」をその目に
最後に、企業の採用担当者の方へメッセージをお願いします。
LSCWの運営に関わっている学生は、ただ「イベントを楽しんでいる」わけではありません。
目標数字に追われ、どうすれば効率的に人が動くかを考え、当日の予期せぬトラブルにも現場で対応する。正直、逃げ出したくなるほどしんどい瞬間もありますが、そのプレッシャーの中でしか得られない学びがあることを知っています。
LinkedInという、多くの学生がまだ知らない世界に一歩踏み出し、社会人の方とリアルに繋がろうとする意欲。そうした「現状を突破しようとする学生」がLSCWには集まっています。
形式的な就活イベントでは見られない、私たちが本気で悩み、行動した結果を、ぜひ会場やLinkedInを通じて受け取っていただけたら嬉しいです。
