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株式会社正電成和

人事の専任がいない製造業。外部パートナーを“人事部門の一員”に迎え、技術者の採用を立て直す

Results

3名

1年で技術者が入社

株式会社正電成和 常務取締役 植村 康生様

1988年古河電気工業入社。主に光受動部品の設計開発・生産技術に従事し、2013年からは中国製造子会社の董事長兼総経理として経営に携わる。2018年に正電社(現・正電成和)へ取締役製造統括として着任。2019年の統合による社名変更や土気工場長を経て、2025年より現職。製造全体の責任者として千葉(土気)・埼玉・三重の3工場を統括する。

株式会社正電成和は、古河電工グループに属する情報通信分野の部品メーカーで、光通信関連製品の開発・製造・販売を行う企業です。千葉・埼玉・三重に事業拠点を持ち、光ファイバ接続材や光ファイバ通信網の保守システム製品を中核として事業を展開しています。

同社の取締役として製造全体を統括する植村様は、古河電気工業で長年技術畑を歩んできたプロフェッショナル。人事の専門経験が無い中、なぜ自ら採用の最前線に立ち、組織の若返りに向けた大きな一歩を踏み出すことができたのか。その背景には、外部パートナーを単なる代行業者ではなく、共に悩み動く「人事部の一員」として迎え入れる決断がありました。

通信インフラの基盤を支える、技術継承の断絶

――まずは、植村様が直面していた組織の課題について教えてください。

植村: 弊社は、光ファイバ通信網の構築に不可欠なコネクタやクロージャといった接続材、そして通信網の保守システムを専門に手がけています。国内の通信インフラ、ひいては情報通信産業の基盤整備を支えるのが私たちの役割です。

私が2018年に古河電気工業から出向し、最初に勤務した埼玉工場で直面したのは、社員の年齢構成への強い危機感でした。実は過去、光需要が落ち着いていた時期に約10年ほど採用を抑えていた空白の期間があったのです。その結果、40代後半以降のベテラン層が厚い一方で、次世代を担う20代・30代が決定的に不足していました。

――その危機感は、その後の土気工場への異動でより切実なものになったそうですね。

植村: はい。2023年に土気工場へ異動しましたが、ここではデータセンター等で使われる多芯光コネクタ(MTコネクタ)を製造しています。昨今の生成AI普及に伴い、データセンター向けの需要が世界的に急増。増産体制の構築が急務となり、現場を支える技術者の増強が避けられない状況になりました。

MTコネクタは、接続の誤差がサブミクロン以内という極めて繊細な技術が求められる製品です。どんなに最新の機械を導入しても、それを使いこなし、メンテナンスできる技術者がいなければ、この需要に応え続けることはできません。技術継承の断絶をどう埋めるか。それが最大の経営課題でした。

「専門外」の採用活動。自ら動いて見えた限界

――当初は、植村様ご自身で採用活動を行っていたそうですね。

植村: はい。弊社には人事の専任担当がいなかったため、まずは私自身がダイレクト採用ツールを使い、技術者を探してスカウトメールを送り始めました。

しかし、すぐに限界を感じました。候補者のプロフィールを読み込み、一人ひとりに響く言葉を選び、進捗を管理する。これは製造現場の統括や経営判断という本来の業務の傍らで、片手間にできるほど甘い仕事ではありませんでした。

また、従来の求人広告を出しても応募はゼロ。知名度のある大企業ではない私たちが、ただ「待っているだけ」では優秀な若手には見向きもされない。その厳しい現実を突きつけられました。

――そこで外部パートナー(ダイレクトソーシング社/以下DS社)に支援を依頼されました。決め手は何だったのでしょうか。

植村: 正直に言えば、最初は「誰か代わりにやってほしい」という一心でした。でも、お話を聞く中で、単なる代行業者ではないなと感じたのです。

印象的だったのは、単に「スカウトメール送付を代行します」という作業の話ではなく、「正電成和の良さをどう定義し、誰に届けるか」という戦略から一緒に考えてくれたことです。支援が始まってからは、エージェントさんとの細かな交渉やスカウト文面の作成も安心してお任せしています。私は「この人にお会いしたい」という最終判断と面接にだけ集中できる。この距離感の近さは、技術畑の人間としても非常に心強いものでした。

社員アンケートで再発見した、飾らない自社の魅力

――支援の中で実施した全社員アンケートから、どのような気づきがありましたか?

植村: 自分たちが「外からどう見えているか」が分かっていなかったことに気づかされました。それまで自社の魅力は「古河電工グループの安定性」や「技術力」だと思い込んでいたのです。

しかしアンケートの結果、現場の社員が感じていた魅力は、もっと身近なところにありました。「通勤のしやすさ」や「人間関係のフラットさ」、そして「役員とも普通に話せる風通しの良さ」です。

この結果を受け、スカウト文面や面接でのメッセージを、こうした等身大の魅力を伝えるものに修正しました。背伸びをせず、ありのままの良さを言語化したことで、候補者の方にも私たちの熱意が真っ直ぐ伝わるようになったと感じています。

1年で3名の入社。期待を超えた「組織変革」の第一歩

――結果として、この1年で3名の技術者が採用できました。

植村: 計画では4名でしたが、この採用難の中で3名も入社してくれたのは、私にとっては期待以上の結果です。入社した方は現場が求めていた即戦力となるメンバーで、すでに現場で設備の立ち上げや改善に携わってくれています。

かつての広告を出して祈るスタイルから、プロの知見を借りてエージェントを巻き込み、ダイレクトにアプローチする。この手法のシフトがなければ、この成果はなかったでしょう。

「20年後も価値ある技術者でいたい」――徹底した企業分析の末に選んだ、正電成和という確信

DS社による支援のもと、一人の志高い技術者との出会いが生まれました。2024年9月に中途入社したIT自動化推進課のHさんです。冷静かつ戦略的な視点で転職活動を行っていた彼は、なぜ数ある企業の中から正電成和を選んだのか。その選択の背景に迫ります。

――戦略的に転職活動をされていたそうですが、正電成和を選んだ決め手は何でしたか?

H: 私は「20年後も技術者として価値を出し続けるために何が必要か」を軸に置いていました。前職は自社工場を持たないファブレス企業でしたが、現場と経営のギャップを感じることが多く、自ら実機に触れて改善できる、工場を持つ企業へ戻りたいという強い思いがありました。

そこで、まずは徹底的な市場調査から始めました。業界の動向を探るために複数の展示会へ足を運び、各社の技術レベルや将来性を自分の目で確かめたのです。

さらに、親会社である古河電工のIR資料も詳細に読み込みました。光通信事業の投資状況や世界シェアを読み解いた結果、ここなら一生モノの技術を磨けると確信しました。

――実際に足を運ぶことも重視されたのですね。

H:はい。 面接の際、工場見学をさせていただいたのですが、そこで見たサブミクロン単位の精度を追求する真摯なものづくりの姿勢が、決定打となりました。

自分のこれまでの自動化スキルを、この圧倒的な光技術の現場に掛け合わせれば、自分にしかできない価値が発揮できる。ここ以上の環境はないと、迷いなく決断できました。

――現在の仕事内容と、実際に働いてみた感想を教えてください。

H: IT自動化推進課として、検査工程を自動化する装置の導入や立ち上げを担っています。機械設計、電気設計、ソフトのすべてに関われる裁量権の大きさが、エンジニアとしての醍醐味ですね。

また、入社直後に子供が熱を出した際、有給がまだない時期だったのですが「看護休暇(有償)」を当たり前のように活用させてくれました。こうした制度が形式だけでなく、実際に使える風土があること。そして資格取得を全面的にバックアップしてくれる姿勢には、個人の学びを尊重する誠実さを感じています。

採用はゴールではない。自走できる組織へ

――最後に、お二人の今後の展望をお聞かせください。

H: 今後は、現場の泥臭い感覚を理解しながらも、最新のIT技術でメーカーと対等に議論できる橋渡し役の技術者を目指したいです。正電成和は、学ぶ意欲に対してどこまでも協力してくれる会社なので、自分の限界を決めずに挑戦し続けたいと思っています。

植村: Hさんのような高い志を持った方が活躍し続けられるよう、採用と並行して育成にもさらに力を入れていきます。資格取得費用の全額負担やコーチングの導入など、長く安心して挑戦できる環境づくりは欠かせません。

次の課題は、現場をリードするキーマンの獲得と育成です。組織の若返りを進め、自分たちで自走できる体制になるまで、これからも信頼できるパートナーと共に歩んでいきたいと考えています。

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